今日の産経ニュース(8/16分)(追記・訂正あり)

■【野党ウオッチ】民進党代表選は本当に「保守vsリベラル」なのか? 左派色強い枝野幸男*1の思想を読み解く
http://www.sankei.com/premium/news/170817/prm1708170009-n1.html
 敢えて言えば「旧社会党グループや菅*2元首相が支持する枝野がリベラル、旧民社党グループが支持し、離党した細野*3とも政治的に近かった前原*4が保守」でしょうね。ただし「敢えて言えば」です。
 枝野が決して護憲派ではないこと、また経済政策的にもいわゆる社民主義かどうか怪しいこと*5原発問題でも脱原発か怪しいこと*6は少し調べれば分かることです。そう言う意味では社会党共産党どころか、三木武夫*7宮沢喜一*8加藤紘一*9河野洋平*10といったいわゆる自民党リベラルと比べたらおよそ「リベラル」とは言えない程度のリベラルが枝野です。
 そう言う意味では菅対小沢*11の代表選*12ならともかく枝野をリベラルと呼ぶのには俺個人は相当抵抗があります。ただまあそれでも「枝野と前原」なら俺は枝野を選びます。
 これが「枝野と菅氏」「枝野と蓮舫*13・前代表」などならまた話も別ですが。


■【世界政治のキーマン】先進国リーダーの重鎮となった安倍首相 改憲、敗戦国体制の一掃は重大な歴史的責務(国際政治学者・藤井厳喜*14
http://www.sankei.com/politics/news/170816/plt1708160023-n1.html
 タイトルだけで大笑いです。安倍が重鎮だのキーマンだの誰も思ってないでしょうし、ましてや「改憲は歴史的責務」とはまた随分とふかすもんです。


福島瑞穂*15社民副党首、映画「ロード・オブ・ザ・リング」引いて「死者が地中から蘇り戦う…9条改悪止めたい」戦没者に呼び掛け 「英霊ゾンビ扱い許さない」批判殺到
http://www.sankei.com/politics/news/170816/plt1708160020-n1.html
 産経の記事を読むだけでもその死者が「主人公と共に戦う正義の立場だ」ということがわかります。
 全然戦死者への侮辱ではない。
 まあ、ぐちゃぐちゃ言ってるバカは社民党嫌いのただのウヨでしょうからまともに相手するだけ時間の無駄です。


■【政界徒然草】次期首相トップ候補の石破茂*16、実は「冬の時代」に 内閣改造で孤立 総裁選出馬に黄信号?
http://www.sankei.com/premium/news/170816/prm1708160008-n1.html
 安倍応援団・産経にとっては「そうあってほしい」つうだけの話です。


安倍晋三*17首相、3人の元首相らと会食
http://www.sankei.com/politics/news/170816/plt1708160007-n1.html
 元首相と言ってもそのうちの一人は財務相の麻生*18ですが。
 森氏*19、小泉氏*20と来て「福田氏*21がない」のは単に日程が合わなかったのか、「不仲の証明」なのか気になるところです。


■【終戦の日靖国神社ルポ 為政者が英雄称える米国と閣僚参拝ゼロの日本 トランプ米大統領の参拝で局面転換を(原川貴郎)
http://www.sankei.com/politics/news/170816/plt1708160005-n1.html
 本気でトランプが靖国参拝するとか、すれば事態が変わるとか思ってるんですかね?
 ロシアゲート批判とか最近の「白人極右テロへの批判がトランプは生ぬるい」批判とか見てもトランプなんか米国民から厳しい批判を浴び続けてるわけです。そんなんが靖国に行ったところで「東条英機が英雄扱いされてるところに行くなんてそれでも米国人か」とトランプが米国内から批判されるだけでしょう。

 英霊にこたえる会の寺島泰三会長は降雨の中開会した集会でこう訴えた。
 「今上陛下のご在位中、両陛下の行幸啓をいただくためには、わが国の最高責任者である安倍晋三首相が靖国神社に参拝し、これを定着化し、国民の靖国神社尊崇の思いを国内外に明らかにすることが不可欠だ」

 ウィキペディアに寄ればこの寺島、元陸上幕僚長だそうです。田母神が元航空幕僚長だし、自衛隊とは右翼の巣窟なのかと聞きたくなります。
 なお、寺島は他にも日本李登輝友の会理事、日本会議代表委員を務めてるので完全な極右です。
 まあ、天皇夫妻は彼らの期待には応えないでしょうね。応えてもウヨ以外からはドンビキされるだけだからです。皇室の維持がかえって難しくなる。
 いずれにせよこの発言からはウヨ連中の価値観が未だに「天皇>首相」であることが伺えます。

 安倍首相の参拝後、中国が「第二次大戦のA級戦犯を祭る靖国神社を公然と参拝し、軍国主義の亡霊を公然と呼び戻そうとした」(人民日報)などと猛烈に反発し、世界中で反日キャンペーンを展開したことは記憶に新しい。

 靖国批判、安倍批判は俺のような「靖国や安倍に否定的な人間」にとっては何ら反日ではありません。

緊迫の度合いを増す北朝鮮情勢を踏まえれば、対中関係悪化を避けることは理解できなくはない。

 いやいやそういう問題じゃなくて「中国での商売」が一番大きな問題です。

例年15日に靖国神社を参拝しており、過去の閣僚時にも参拝していた野田聖子*22総務相

 つまりは野田は安倍ほどの極右ではないにせよリベラルとは言えないという話です。


■【主張】戦後72年の靖国 だれに「申し訳ない」のか
http://www.sankei.com/column/news/170816/clm1708160001-n1.html
 「靖国が戦前の日本に置いて戦争美化の役割を果たし、多くの人間を戦死させてきたこと」を考えればたとえ「海外の批判*23がなくても」「政教分離原則に反しなくても*24」、靖国など批判されて当然だし、そんなもんに首相が参拝したり、真榊奉納したりすることはふざけています。

東京・九段の靖国神社は、わが国の戦没者追悼の中心施設である。

 ここからしてまずウソです。
 靖国には軍人、軍属しか祭られていません。「日本人の民間人死者(例:原爆、東京大空襲など)」「日本軍と戦った外国(日露戦争のロシア、日中戦争の中国、太平洋戦争の米国など)の兵士」「日本の賊軍(戊辰戦争幕府軍西南戦争の西郷軍など)の兵士」は祭られてない。
 そもそも靖国戦没者追悼施設ではなく「日本の戦争を美化し礼賛する施設」だからそうなるわけです。だからつくる会教科書を靖国が支持する。
 一方で戦没者でもないのに「安政の大獄の刑死者(吉田松陰橋本左内)」、「桜田門外の変で井伊大老を暗殺した水戸浪士」、幕府側に暗殺されたと見られる坂本龍馬中岡慎太郎や不平士族に暗殺された大村益次郎、「堺事件で切腹した土佐藩士」、「東条英機*25元首相、陸軍大臣(死刑)、松岡洋右元外相(裁判中病死)、小磯國昭*26元首相、元朝鮮総督(終身刑判決で服役中病死)ら一部のA級戦犯」が合祀*27されてる(ウィキペ「靖国神社」参照)。
 靖国戦没者追悼施設ならこんなことはありえない。そこには「日本の為に戦死した偉大な兵士たちと同列に評価していい偉大な人間の不幸な死(暗殺や死刑)は評価して合祀する」つう「戦没者追悼施設ならあり得ない判断基準」があるわけです。その靖国の判断基準においては「大老暗殺犯」というテロリストすら英雄になる*28わけです。
 そして「靖国のようなインチキではない」本当の戦没者追悼施設としては千鳥ケ淵戦没者墓苑(以下、千鳥ヶ淵)があります。「靖国なんて時代錯誤」つう理解が保守側にもあったから千鳥ヶ淵が国によってつくられたわけです。産経らウヨは故意に千鳥ヶ淵を無視あるいは軽視しますが。

参考

千鳥ケ淵戦没者墓苑(ウィキペ参照)
 1950年、フィリピンでの戦没者の遺骨4822柱が、アメリカ軍より送還された。また、1952年より、厚生省は遺骨収集事業を本格化させた。厚生省の庁舎内に仮安置される遺骨は、増加の一途を辿った。それにともない、身元不明などの理由で遺族に返還できない遺骨の取り扱いが課題となり、それらを納める墓地が求められるようになった。
 かつて、日本における戦没者追悼施設としては、戦死した軍人、軍属を英霊として祀る靖國神社があった。靖國神社内務省陸軍省および海軍省の統括を受けていたが、既に1946年に国の管理を離れ、宗教法人に移行していた。そのため、1950年代は、国家的な戦没者追悼施設自体が存在しないという状況であった。幣原*29内閣当時から既に「各国の“無名戦没者の墓”に類するものを造ったらどうか」との構想が持ち上がっていたが、吉田*30内閣がサンフランシスコ平和条約に調印し、GHQ連合国軍総司令部)の占領も終わりを迎えたことから、この構想も本格化することになった。
 諸団体の意見を聴取し、関係機関や有識者による検討を経た後、1953年(昭和28年)12月11日、「戦没者遺骨の内、氏名判明せざるもの並びに遺族不明のためお渡しできぬものを、国が建設する「無名戦没者の墓」(仮称)に収納し、国の責任において維持管理する」との方針を閣議決定した。その背景には、1953年に来日したアメリカ合衆国副大統領のリチャード・ニクソン(後に大統領)が、靖国神社参拝を断ったという経緯もあるとされる。
 2013年10月3日、米国のケリー国務長官ヘーゲル国防長官が日米安全保障協議委員会のため来日のおり献花した。米国の閣僚が訪れるのは初めてとされる(なお、両長官は靖国は訪問していない)。

国の指導者が、国民を代表して哀悼の意を表することは、当然の行いだ。それが堂々と行われないのはなぜなのか。

 だから「靖国でやるな、千鳥ヶ淵でやれ」て話です。何でその程度の事がわからないのか。

英霊の前で平和と国の守りをしっかりと誓うべきである。

 あの戦争を未だに美化して恥じない極右神社・靖国で一体何の平和を誓うのか。

海外の激戦地には、いまなお多くの遺骨が眠っていることも忘れてはならない。

そんなん靖国の意義と全く関係ありません。

国や故郷、家族を思って逝った尊い犠牲のうえに国が築かれてきた歴史を改めて知る日としたい。

 「勝ち目のない無謀な戦争」「避ければ避けられた戦争」での死は「貴い犠牲」ではなくただの犬死にです。
 そして戦後の経済的繁栄は生き残った人々の努力によるモノで「犬死にした人々」は何ら関係ありません。
 産経の主張ならたとえば「文革スターリン粛清の死者」すら「国や故郷、家族を思って逝った尊い犠牲」になるでしょう。

*1:鳩山内閣行政刷新担当相、菅内閣官房長官、野田内閣経産相民主党幹事長(海江田、岡田代表時代)など歴任

*2:社民連副代表、新党さきがけ政調会長、橋本内閣厚生相、鳩山内閣副総理・財務相を経て首相。現在、民進党最高顧問

*3:野田内閣環境相民主党幹事長(海江田代表時代)、政調会長岡田代表時代)、民進党代表代行(蓮舫代表時代)を歴任

*4:鳩山、菅内閣国交相菅内閣外相、民主党政調会長(野田代表時代)、野田内閣国家戦略担当相を歴任

*5:そもそも新自由主義的性格が強いと言われた事業仕分けの担当大臣(鳩山内閣行政刷新担当相)が枝野です

*6:野田内閣経産相時代の枝野は別に脱原発政策をしたわけではありません。

*7:片山内閣逓信相、鳩山内閣運輸相、自民党幹事長(石橋総裁時代)、岸内閣経済企画庁長官(科学技術庁長官兼務)、自民党政調会長(池田総裁時代)、佐藤内閣通産相、外相、田中内閣副総理・環境庁長官などを経て首相

*8:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相などを経て首相。首相退任後も小渕、森内閣で蔵相

*9:中曽根内閣防衛庁長官、宮沢内閣官房長官自民党政調会長(河野総裁時代)、幹事長(橋本総裁時代)など歴任

*10:中曽根内閣科学技術庁長官、宮沢内閣官房長官、村山、小渕、森内閣外相、衆院議長を歴任

*11:中曽根内閣自治相・国家公安委員長自民党幹事長(海部総裁時代)、新生党代表幹事、新進党党首、民主党幹事長(鳩山代表時代)などを経て自由党代表

*12:菅氏がリベラル、小沢が保守です。勿論菅氏が勝ちました

*13:菅、野田内閣行政刷新担当相、民主党代表代行(岡田代表時代)を経て民進党代表

*14:著書『トランプ革命で復活するアメリカ』(2016年、勉誠出版)、『希望の日米新同盟と絶望の中朝同盟』(2017年、徳間書店)、『日米対等:トランプで変わる日本の国防・外交・経済』(2017年、祥伝社新書)など

*15:社民党幹事長、党首、鳩山内閣少子化等担当相などを経て社民党副党首。著書『結婚と家族』(1992年、岩波新書)、『裁判の女性学』(1997年、有斐閣選書)、『迷走政権との闘い』(2011年、アスキー新書)など

*16:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*17:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*18:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)を経て首相。現在、第二次、第三次安倍内閣副総理・財務相

*19:中曽根内閣文相、自民党政調会長(宮沢総裁時代)、宮沢内閣通産相、村山内閣建設相、自民党総務会長(橋本総裁時代)、幹事長(小渕総裁時代)などを経て首相

*20:宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相を経て首相

*21:森、小泉内閣官房長官を経て首相

*22:小渕内閣郵政相、福田、麻生内閣食品安全等担当相、自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)を経て第三次安倍内閣総務相

*23:産経が故意に政教分離原則の存在を無視するのはいつものことですが、朝日なども最近は海外の批判ばかり前面に出すのは全くおかしな話だと思います。国内にも政教分離原則などを理由に批判はある。

*24:まあそんなことはないですが

*25:関東憲兵隊司令官、関東軍参謀長、陸軍次官、近衛内閣陸軍大臣などを経て首相

*26:陸軍次官、関東軍参謀長、朝鮮軍司令官、平沼、米内内閣拓務大臣、朝鮮総督などを経て首相

*27:吉田松陰などの合祀を知らない方もいるでしょうが実はそうです。「靖国問題での産経らのウソ(靖国戦没者追悼施設)」は少し勉強するだけでこのように簡単に分かるレベルの大嘘です。問題はマスコミがこうしたことをきちんと報じないことでしょう。

*28:ただしテロリストの合祀にはさすがに異論もあり、正式な合祀は大分遅れてのことになりますが。

*29:戦前、加藤高明、若槻、濱口内閣で外相

*30:東久邇、幣原内閣外相を経て首相