今日の産経ニュース(2020年8月31日分)

【検証92カ月】外交 「シンガポール会談」首相が提案(1/2ページ) - 産経ニュース
 タイトルが「検証7年8ヶ月*1」でないのが謎ですがそれはさておき。
 安倍が「トランプ・金正恩シンガポール会談に尽力した(朝鮮戦争の事実上の終戦をアピールするために板門店で会談したがる金正恩と、それに否定的な米国右派の間をとってシンガポール会談をトランプに提案)」と書く産経ですがおよそ信じられませんね。むしろ米朝首脳会談に尽力したのは文在寅大統領の方でしょう。
 というか「米朝首脳会談」に貢献できるだけの外交力が本当に安倍にあるのなら拉致問題だって北方領土問題だってもっとまともな成果が出たでしょうよ。要するにガセ記事でしょうね。というか産経はあの会談について、会談当時「トランプが北朝鮮にだまされてる」だの「成果は皆無」だの悪口してきた記憶がありますが、「安倍が尽力した」と言い出すとは、一体産経の脳みそはどうなっているのか。

 安倍政権の官邸主導外交は数々の新機軸を打ち出していく。北方領土交渉で2島返還や経済協力を先行させる柔軟姿勢、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対する条件付き協力、18年2月に開かれた韓国・平昌(ピョンチャン)五輪開会式への首相出席…。これらは外務省の反対を押し切って実現した政策だ。
 いずれも経済産業省出身の今井尚哉首相秘書官(後に首相補佐官)らが主導したため、安倍政権の外交は「外務省対経産省」の争いとも描写された。

 従来の政府方針に反する疑い濃厚な「北方領土交渉での二島先行返還論や経済協力先行」はともかく「中韓との友好関係に役立つ」一帯一路参加や安倍の平昌五輪開会式への出席に外務省が反対するとはとても思えませんがそれはさておき。ここで産経が
1)「条件付き」とエクスキューズを付けながらも一帯一路参加を批判するどころかどう見ても高評価してるところ
2)日露外交についてはその種のエクスキューズも付けずにどう見ても高評価してるところが興味深い。
 産経は別記事において「一帯一路批判」や「プーチンロシア批判&それに関係した日露外交批判(プーチンは信用できる相手ではなく外交など無意味)」をしていた「はず」なのですが全く産経の脳みそはどうなっているのか。


【総裁選ドキュメント】「選択肢示す」石破元幹事長も出馬へ - 産経ニュース
 ということで「出馬辞退しても厚遇される保証もない(例:安倍三選後の石原伸晃)。むしろ出馬辞退したことで人気を失うことの方が怖い」「実現は難しいとは思うが先ずは党員選挙実施を主張する」という判断に石破は達したようです。


【総裁選ドキュメント】最大派閥の細田派も菅官房長官支持へ - 産経ニュース
 予想の範囲内ですが二階派麻生派に続いて、「安倍の出身派閥」細田*2派も「菅支持」だそうです。下村*3や稲田*4が希望していたという「細田派候補としての出馬」はやはり挫折したようです。
 安倍の意中は岸田という説も以前ありましたが、「二階氏や麻生に安倍が説得されて岸田支持を諦め、菅擁立を受け入れた」のか、はたまた「首相辞任を表明した安倍の政治的影響力はもはや無い」のか、そもそも「岸田*5禅譲説」自体が間違いだったのか、気になるところです。
 こうなると安倍三選時に「主流三派(細田、麻生、二階派)に逆らっても干されるだけ」と易々と安倍支持になった竹下*6派や石原*7派も「菅支持」になるでしょうから「党員選挙否定」なら「不幸なことに」「石破、岸田、菅の三人の中では最悪の候補」菅が総裁と言うことになるのでしょう。こうしてみると、安倍長期政権においては主流三派(細田、麻生、二階派)がモリカケだろうが桜を見る会だろうが、何があろうが安倍を支え続け、それに反主流派、非主流派(石破派、石原派、岸田派、竹下派)がろくに抵抗しなかったことが大きいわけです(「安倍の子分」、つまり「安倍と同じレベルのゲス」の菅が総裁など勘弁して欲しいですが)。この状況で岸田や石破が「党員選挙実施を目指し」、また「それが挫折して議員投票オンリーでも、菅擁立派に易々と屈したというネガティブイメージを持たれるよりはあえて出馬する」と出馬を決意できるかと言ったところでしょう。
 当然ながら出馬すれば平然と干すのが二階氏や麻生でしょうが、一方で出馬辞退しても「安倍三選後の石原伸晃が二階幹事長や岸田政調会長と違い、ろくなポストに就けてもらえなかったこと」でわかるように厚遇される保証はありません。そして出馬辞退すれば確実に「がっかりした」と人気が下がるわけで岸田や石破としても難しいところです。


【産経抄】8月31日 - 産経ニュース

 ルール無用の悪党を正義の味方がたたきのめすのは、アニメの世界くらいで、本物の「悪党」はルールそのものを変える。
▼政治の世界もルールが勝敗の鍵を握る。安倍晋三首相の辞任表明で号砲が鳴った自民党総裁選もそう。本来は、全党員が参加する党員票と国会議員票の合算で争うルールだが、緊急の場合は、国会議員票が大きなウエートを占める両院議員総会で代替できる、というからややこしい。
▼どちらを選ぶかは、審判ならぬ二階俊博幹事長の腹一つというから、まさにキングメーカーだ。余計なお世話だが、次の総選挙に勝ちたいなら、本格的な総裁選をやった方がいい。候補者同士が真剣に政策論議を戦わせることは、国民に安心感を与える。

 まあ「やれやれ」ですね。「党員人気の低い」菅を勝たせるために議員投票のみを画策してるのは二階氏だけでは無く麻生や「もちろん菅本人」などもそうですが、二階氏にしか悪口しない産経です。
 「党員選挙をやった方がいい」という結論自体は良いでしょうが、その理由が産経の場合、どう見ても産経が親中国派として忌み嫌う「二階幹事長」が「菅勝利の功労者」として「今後も自民党の権力者として党内に君臨して欲しくない(このままでは二階が幹事長留任か副総裁就任になりかねない)」という「低レベルな理由」なのだからいつもながら呆れます。


【野党合流】焦る立民・枝野代表 合流直前の首相交代劇で目算狂う - 産経ニュース千田恒弥)
 アンチ枝野*8の産経的には「そういうことにしたい」のでしょうが別に枝野は焦っては居ないでしょう。
 むしろ「安倍*9が辞任したこと」は「もちろん枝野一人の手柄ではない」ですが枝野ら野党各党の批判に「支持率低下」「コロナに終息の兆しが見えないこと」もあって耐えかねた安倍が責任逃れしたのであり、枝野にとっては「嬉しい成果」でしょう。
 もちろん「タカ派・岸*10の後のリベラル派・池田*11」「金脈辞任・田中*12の後のクリーン三木*13」のような形でポスト安倍が「安倍とは違うニュー自民」をアピールして野党の追及をかわす危険性はあります。
 しかし、それも「安倍に干されていた石破*14が総裁になれば」あり得る話にすぎません。
 「今まで安倍を支えてきた我々が新総裁に切って捨てられては困る」とばかりに「安倍の子分・菅」を擁立した二階*15幹事長、麻生*16副総理・財務相らの思惑通り、「菅が首相になれば」、新首相・菅が安倍の不正を率先して暴くことは残念ながら期待できませんが、一方で「皮肉なことではありますが」安倍とほとんど変わりない「安倍の子分(安倍内閣官房長官)」菅が首相なら「野党共闘は継続しやすい」わけです。どっちにしろ「政権がとても維持できない」と思ったから安倍は辞任したわけです。ポスト安倍が誰でアレ「コロナ終息」等の成果を出さなければ「苦しい政権運営」は変わらないでしょうし、現時点ではむしろ野党に追い風では無いのか。

 首相が持病を理由に辞任を表明したことに対し、立民の石垣のり子参院議員が28日にツイッターで「大事な時に体を壊す癖がある」と投稿し、非難が殺到。政権批判に終始する野党のイメージを改めて印象付けた。

 産経的にはそう言うことにしたいのでしょうが非難してるのはほとんどが安倍信者でしょうよ。そもそも安倍の病気辞任は「病気のために政治活動に支障が出る危険性がある」として辞任したくせに「首相臨時代理を立てない不自然さ」から見てどう見ても仮病であり、石垣ツイート(安倍の仮病への皮肉)が問題だとは俺は思いません。
 まあ、仮に問題だとしても彼女のツイートは「彼女個人の行為」でしかありません。自民党議員(例えば萩生田*17文科相が英語民間テスト導入を白紙撤回に追い込まれた「身の丈」暴言、新潮45が廃刊となった杉田水脈LGBT差別暴言)が問題を起こせば常に「自民党は関係ない」ですます産経が良くもいったもんです。

 枝野氏自身、禁止されている議員会館の事務所内での喫煙を記者に問われ、「認識が甘かった」と反省の弁を口にした。

 「禁煙場所での喫煙(さすがに故意ではなく過失でしょうが)」を勿論やっていいとは言いませんが安倍のモリカケ桜を見る会、アベノマスクと言った「業務上横領や背任の疑いすらある政治私物化」に比べたらたいした問題ではありません。こんな小さなことを騒ぎ立てる一方で、安倍の不正は正当化する産経はいつもながらデタラメです。

 合流新党の新代表就任が確実視される枝野氏はこうした逆風をはね返すかのように、これまで慎重姿勢を見せていた消費税減税を急に訴え始めた。合流新党への不参加を決めた国民の議員は「今ごろ消費税に言及しても遅い。合流は失敗だ」と突き放した。

 「石垣氏のツイート」「枝野の喫煙」だの「安倍のコロナ失政や政治私物化(モリカケ桜を見る会、アベノマスクなど)」に比べたら逆風などという代物では全くないでしょう。
 それにしても国民民主なんて立民以上に支持率が低迷し、毎回、世論調査で「自民、立民」どころか維新、共産、公明すら下回ってるくせによくもこんなでかい口がたたけたもんです(まあ、だからこそほとんどの国民民主議員が「寄らば大樹の陰」で立民入党を決めたわけですが)。そもそも国民民主が立民との合流を拒否した最大の理由は「反共主義(共産と野党共闘したくない)」であって消費税減税など関係ないだろうによくもいったもんです。まあ、産経がこんな記事を書けば書くほど「産経って立民に本心では怯えてるんだなあ」ですし「どこまで安倍自民応援団なのか」と改めて呆れられるだけです。


【政治デスクノート】「ポスト安倍」は靖国神社に参拝するのか…菅、岸田、石破各氏の国家観を問う - 産経ニュース
 普通に考えて参拝しないでしょうね。そんなことをしたら対外関係が悪くなるし、菅、石破、岸田の中で「参拝すべきだ」などと安倍批判した人間もいない。言うのもばかばかしいくらい分かりきった話です。
 産経ですら

 結論に先に触れると、誰が首相になったとしても靖国神社に参拝する可能性は低いと言わざるを得ない。

と書いています。


次の首相、石破氏1位34% 菅氏14%、河野氏は13% 共同緊急世論調査 - 産経ニュース
 不人気だった菅の支持率が突如2位(とはいえそれでも石破との差は大きく、3位以下との差は小さいですが)に躍り出るとは、結局の所日本人(特に自民党支持層)とは「体制順応主義」「自民党総裁なら誰でもいいのか」とげんなりします。


【主張】ポスト安倍の課題 拉致解決へ熱情継承せよ - 産経ニュース
 タイトルからし噴飯物です。拉致問題について、継承するのは安倍の「政策」では無く「熱情」だそうです(安倍に「熱情」があったとは思いませんがそれはひとまずおきます)。
 ここからはまず第一に産経が安倍の拉致への取り組みについて「これこれこういう政策をポスト安倍は引き継ぐべきだ」といえるものは何も無いと認識していることがうかがえます。
 第二に、「これこれこういう政策を新たにやってほしい」などと訴えるべき「拉致問題での政策」を産経が持ち合わせていないことも分かります。
 つまりは「今まで通り経済制裁しろ」という話でしか無いわけですがそれで解決するようならとっくに解決しています。
 まあ、いずれにせよ「熱情」などと精神論を持ち出す時点でお話になりません。全くお粗末な産経です。

*1:安倍のようなゲスが首相としてそんな長期間在任したことに改めて屈辱を禁じ得ません。

*2:小泉内閣官房長官自民党幹事長(麻生総裁時代)、総務会長(第二次安倍総裁時代)など歴任

*3:第一次安倍内閣官房副長官、第二次安倍内閣文科相などを経て自民党選対委員長

*4:第二次安倍内閣行革相、自民党政調会長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣防衛相を経て自民党幹事長代行

*5:第一次安倍、福田内閣沖縄・北方等担当相、第二次、第三次安倍内閣外相を経て首相

*6:第三次安倍内閣復興相、自民党国対委員長、総務会長(第二次安倍総裁時代)など歴任

*7:小泉内閣国交相自民党政調会長(第一次安倍総裁時代)、幹事長(谷垣総裁時代)、第二次安倍内閣環境相、第三次安倍内閣経済財政担当相など歴任

*8:鳩山内閣行政刷新担当相、菅内閣官房長官、野田内閣経産相民主党幹事長(海江田、岡田代表時代)、民進党代表代行(前原代表時代)を経て立憲民主党代表

*9:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*10:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後、日本民主党幹事長、自民党幹事長(鳩山総裁時代)、石橋内閣外相を経て首相

*11:大蔵次官から政界入り。吉田内閣蔵相、通産相、石橋内閣蔵相、岸内閣蔵相、通産相などを経て首相

*12:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)などを経て首相

*13:国民協同党書記長、委員長、片山内閣逓信相、改進党幹事長(重光総裁時代)、鳩山内閣運輸相、自民党幹事長(石橋総裁時代)、政調会長(岸総裁時代)、岸内閣科学技術庁長官(経済企画庁長官兼務)、池田内閣経済企画庁長官、自民党政調会長、幹事長(池田総裁時代)、佐藤内閣通産相、外相、田中内閣副総理・環境庁長官などを経て首相

*14:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*15:小渕、森内閣運輸相、小泉、福田、麻生内閣経産相自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)を経て幹事長

*16:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、外相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)を経て首相。現在、第二~四次安倍内閣副総理・財務相

*17:福田、麻生内閣文科大臣政務官自民党総裁特別補佐(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣官房副長官などを経て第四次安倍内閣文科相