■【主張】電気自動車 勝ち残る体制の整備急げ
http://www.sankei.com/column/news/170919/clm1709190002-n1.html
英仏両国は2040年までにガソリン・ディーゼル車の販売を禁止することを打ち出した。続いて中国もガソリン車禁止などの環境規制の検討を始めた。とくに中国は世界最大の自動車市場だけに、その動きは自動車各社の戦略に大きな影響を与える。
もちろん英仏も「電気自動車の重要な市場」ですが産経が
とくに中国は世界最大の自動車市場だけに、その動きは自動車各社の戦略に大きな影響を与える。
と書いているのが興味深い。結局、産経でも経済記者は非常識な中国敵視が論外だと分かってるわけです。
■【浪速風】反発は狼狽えているだけ? 解散を野党が「ややや」では情けない 望むところではないのか(9月19日)
http://www.sankei.com/west/news/170919/wst1709190050-n1.html
筋の通らない解散論を批判したら「うろたえてるのか」と居直る産経です。
■親中派の独前首相「日本は謝罪を」 元慰安婦訪問、韓国に“利用”され…引退後に露国営企業へ天下り、母国で大ブーイング
http://www.sankei.com/west/news/170919/wst1709190052-n1.html
まあ非常に産経らしい記事です。
韓国を訪問していたドイツのシュレーダー*1前首相(在任1998年〜2005年)が慰安婦問題について「日本政府が慰安婦に謝罪する勇気を持てないでいることはきわめて残念だ」などと日本を批判する発言を行った。
つうのは何の問題もないでしょう。
そこで
・ロシアのプーチン大統領とは昵懇(じっこん)の仲で、政界引退後の2006年3月には同国国営天然ガス会社「ガスプロム」子会社の役員に就き、1億4千万円(当時)とされる年俸を得るようになった。
・また、14年のロシアのクリミア併合から間もない時期にサンクトペテルブルクで開かれたプーチン大統領の誕生パーティーに参加、プーチン氏と抱擁する姿が非難を浴びた。
・今年8月末にはロシアの国営石油企業ロスネフチの社外取締役に就任することが明らかになったが、ロスネフチはクリミア併合による欧米の対ロシア制裁の対象だ。
なんてことを持ち出すのは全然関係がない。
「A(ロシアとのつきあい)が間違ってるからB(慰安婦認識)も間違ってる」なんて話はない。
大体、シュレーダーほど厳しい日本批判しないかもしれませんがメルケルに慰安婦問題で話を聞いたって産経のような認識は表明しないでしょう。大体安倍が日露経済交流をすすめてることを黙認してるのによくもまあ「シュレーダーとプーチンの関係は問題だ」なんて言えるもんです。
■【産経抄】ライダイハン…慰安婦像を建てる韓国がベトナムでしてきたこと 9月20日
http://www.sankei.com/column/news/170920/clm1709200003-n1.html
まあ、ベトナム戦争で韓国が問題行為してるなら批判すればいいだけの話です。
それは別に日本が慰安婦問題で無罪と言う事でもない。
韓国とベトナムの間に国交が結ばれたのは、1992年である。その際ベトナムが「過去」を問題視しなかったのをいいことに、韓国政府は、軍による民間人虐殺や婦女暴行について、一切謝罪をしてこなかった。
まあ、要するにカネですよね。当時のベトナムは貧乏だったのでそう言う事を言いたくなかった。とにかく韓国のカネが欲しかった。この辺り、「日本のカネが欲しかったから」国交正常化時にそう言う事をあまり言わなかった朴チョンヒや毛沢東と話は同じです。ただ韓国も中国もベトナムもそうですが、豊かになってくればあるいは民主化すれば「貧乏だから(あるいは独裁政権の圧力があるから)我慢したがやっぱり我慢できない」という不満が表面化するわけです。
産経が「日韓国交正常化、日中国交正常化の時そんな事はあまり言わなかった、中国、韓国は後出しじゃんけんするな」つうなら韓国だって「ベトナムは黙れ、後出しじゃんけんするな」と言えるわけです。ただマスコミ報道に寄れば、こうしたベトナムの動きは民間の動きでベトナム政府自体はあまり乗り気でないようですが。
自らの「歴史問題」からは目をそらしながら、日本の慰安婦問題を言い立てる。「ダブルスタンダード」の付けが回って来たといえるだろう。
確かにダブルスタンダードではあるでしょうが「東京大空襲、シベリア抑留」などの日本の被害ばかり騒ぎ、「南京事件、731部隊、慰安婦」などの加害を無視する産経も立派なダブルスタンダードです。
韓国国内では、ベトナム戦争に関係のない団体までもこの問題に介入している。韓国社会の混乱にほくそえむ、北朝鮮の影が見え隠れするからだ。
たぶん産経が北朝鮮シンパ扱いする挺対協のことでしょうが噴飯モノですね。
産経が「韓国叩きネタ」としてこの問題を騒ぐずっと前に、挺対協はこの問題に取り組んでいるからです。産経がゲスな印象操作するような話では全くない。いやそもそも「韓国のベトナム戦争での性暴力」を取り上げると北朝鮮が有利になるという理屈は意味不明ですが。
ちなみに
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/28474.html
市民社会団体と市民などが集めたナビ基金は、2013年にコンゴ民主共和国の戦時性暴力被害者を助けることに使われ、2014年からはベトナムの韓国軍性暴力被害者と韓国軍2〜3世の支援にも使い道を広げた。
ですから挺対協は「性暴力問題全般」に取り組んでるわけです。もちろんコンゴの性暴力は韓国軍は関係ありません。
■【岡部伸*2欧州分析】英国でも静かに広がる誤解 英戦争博物館資料が示す「慰安婦=性奴隷」の虚妄
http://www.sankei.com/premium/news/170919/prm1709190002-n1.html
産経は批判してるつもりのようですがまともな批判とはとても言えないので「産経が国際社会で孤立していること」が改めて明らかになっただけです。
同博物館は中国、韓国など8カ国14団体と国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」(記憶遺産)登録に慰安婦資料30点を共同申請している。
共同申請してる資料は「英国が行った戦後のBC級戦犯裁判資料」でしょうか。中国、韓国もできる限り多くの国(確かインドネシアを領土としていたオランダがあったと思います)を巻き込むことで産経や安倍自民などの不当な批判に対抗する考えのようです。
それはともかく「虚妄じゃねえから」「いい加減あきらめろよ」で終わる話です。
行間を読み解くと、撮影されたのは終戦直前の8月8日。ビルマ戦線で死闘を繰り広げた「仇敵」を憎悪する余り、「強制的に慰安婦」と誤解・曲解して加筆。ところが後日、事実と異なると判断して「訂正」したと解釈できる。
「自分の勝手な思い込み」で「これは登録に値する慰安婦資料ではない」なんて勝手に行間なんか読み解かないで、英国戦争博物館に「この資料はどう理解すべきでしょうか。博物館のお考えを聞きたい」と聞けばいい話なんですけどねえ。
現在も元英兵士は、日本軍に悪意を抱いてるのだろうか−。
「全くありません。慰安婦や性奴隷の話など一度も出たことはありません。むしろ勇敢に戦った日本人に敬意を持っています」
陸軍中尉として英軍と戦火を交えた父親を持ち、日英の和解を目指す在英の民間団体「ビルマ作戦協会」の代表を務めるマクドナルド昭子さん(66)は断言する。
現地に住む一右翼日本人女性の個人的感想で「英国兵士は慰安婦の存在を知らなかった」と決めつけたあげく「そもそも慰安婦なんてなかったんや」とはさすが産経です。呆れて二の句が継げません。
つうかこの種の右翼女性に「慰安婦がどうこう」言うなんて喧嘩売ってる以外の何物でもないですからねえ。「彼女に喧嘩を売っても仕方がない、そうせざるをえない」と思わない限り、そんなことしないでしょうよ。そしてそこまで慰安婦問題に関心がある英国兵士がどれほどいるのか。つうかそういう関心がある兵士は「黙って彼女とのつきあいを辞めるだけ」じゃないのか。
申請前に所蔵する「慰安婦」資料が「性奴隷」を証明するものか十分に検証した形跡はない。
とまで英国戦争博物館の申請登録を非難するなら産経は博物館側に取材し、博物館側の主張を掲載すべきでしょう。
しかしこの記事にはそんな主張の掲載はありません。取材したかどうかすら怪しい。話になりません。
■【歴史戦】ベトナム戦争に派兵された韓国兵士の女性暴行「韓国政府に謝罪要求」英国で団体設立、混血児問題で像制作【岡部伸】
http://www.sankei.com/world/news/170919/wor1709190010-n1.html
産経的には「ざまあ韓国」なのかもしれませんがむしろこうした動きは「国際社会が戦争での性暴力に厳しくなってること」の表れなので、こうした動きが進めば進むほど「似たり寄ったりのこと(慰安婦)をやっていた日本」への風当たりも強くなります。
「日本軍の性暴力は大目に見るが韓国軍の性暴力は叩く」なんて都合のいいことはあるわけがない。
そもそも「ベトナム戦争での性暴力追及」は「慰安婦問題を追及していた挺対協」などがやってきたこと*3なので産経の言ってることは「バカじゃねえの?」で終わる話です。
しかし「こういう動きが表面化する背景」には何か(英国でのベトナム移民増加など)があるはずですが産経記事を読んでもその辺りは全く分かりません。
ロンドン市内で開かれた設立イベントにはブレア、ブラウン*4両政権下で司法相や外相などを務めた労働党の重鎮、ジャック・ストロー氏*5も参加。
米国のマイク・ホンダ氏にあたる御仁でしょうか。
英国人彫刻家、レベッカ・ホーキンスさんは被害女性とその子供たちのために制作した約40センチの「ライダイハン像」を披露。同団体では等身大のライダイハン像を制作し、在ベトナム韓国大使館前などに設置し世論喚起することを検討している。
まあ、この話のヒントは明らかに「駐韓国日本大使館前の少女銅像」ですよねえ。産経が少女銅像を「ウィーン条約違反だの反日だの」などと批判した理屈ならこの計画も産経によって「ウィーン条約違反だの反韓国だの」などと批判されて当然ですが、まあ産経のことだから批判しないでしょう。