今日の中国関係ニュースほか(9/26分)(追記・訂正あり)

 中国ネタを中心にいろいろ書いていくことにします。
■産経『中国の輸入規制「緩和」「大きな朗報」宮城知事』
https://www.sankei.com/region/news/181030/rgn1810300046-n1.html
 産経のような極右でもない限り、中国ビジネスを無視するようなバカなまねはできないわけです。


■産経『訪中直後、偶然ではないモディ首相来日…安倍晋三首相、日印の絆見せつけ中国牽制』(力武崇樹)
https://www.sankei.com/politics/news/181029/plt1810290040-n1.html
 まあ強弁ですね。こんなことが牽制になるとは安倍も産経も思ってないでしょう。


■【一筆多論】中国と台湾の冷戦構造 河崎真澄
https://www.sankei.com/column/news/181029/clm1810290006-n1.html

 民進党筋は統一地方選をめぐり、「水面下の世論操作や資金供給を通じ、中国が台湾で巧みに、親中派の政党や政治家らを支援している」と語気を強めた。

 当然ながら何の根拠もあげないのではただの陰謀論であり、中国政府や親中派政党(中国国民党?)などへの誹謗でしかありません。そもそも発言者が「民進党筋」という曖昧な代物で「具体的な個人名や肩書きが出ない」時点で怪しいことこの上ない。「国民党の議席増と民進党議席減」を恐れて今から予防線張ってるだけではないのか。
 なお「国民党に限らず」野党各党がどれだけ伸びるかはともかく、「与党・民進党議席減」は間違いないとみられてるようです。

民主社会の世論を誘導して選挙に影響を及ぼす構図は、11月6日の米中間選挙で「中国が介入を試みている」とトランプ大統領が批判した状況に似ている。

 トランプのこうした主張については「事実無根」「共和党の敗戦濃厚な選挙結果をごまかしたい」「ロシアゲート批判について中国を持ち出してごまかしたい」とする見方がむしろ有力でしょう。

 総書記を含め3期目も、権力を手放す考えがないことは明白だ。

 とはいえないでしょうね。単に「レイムダック化を避けるために任期制限を撤廃したが、3期目は子飼いに譲る」つう可能性は当然あります。

 毛沢東トウ小平に比べ実績の乏しい習氏

 AIIBや一帯一路は十分実績でしょう。


■リベラル21『日中首脳会談で大東亜戦争を語れるか(1)』半澤健市
http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-4544.html

 靖国神社秋の例大祭への閣僚の集団参拝はピタリと止んだ。安倍晋三習近平に会いに行くからである。この「ピタリ」ほど、政治家のご都合主義と軽薄な信念を示すものはない。

 もちろん半澤氏は安倍政権の閣僚連中(首相の安倍含む)に靖国にいってほしいわけではないでしょう。しかしおっしゃるようにこれほど安倍政権の閣僚連中(首相の安倍含む)の無定見を示すもんはありません。
 連中は信念があって靖国に行ってるわけではおそらくない。日本会議の票がほしいから行ってるだけでしょう。しかし今はそんなことより「中国ビジネスを期待する財界の献金」がほしいわけです。だから靖国に行かない。


■産経【日中首脳会談】日中外交の転機となるか 中国の苦境見透かし、人権・東シナ海で懸念表明(原川貴郎)
https://www.sankei.com/politics/news/181028/plt1810280003-n1.html
 「安倍応援団」産経的にはそういうことにしたいのでしょうが「ウヨ支持層の手前」、安倍もそうしたことにある程度触れざるを得なかっただけの話でしょう。
 懸念表明が無意味だとまでは言いませんが産経が褒め称えるほどではないでしょう。まあ、本当は産経もそんなことはわかってるでしょうが。

 「競争から協調へ」「脅威ではなくパートナー」「自由で公正な貿易体制の発展」。
 安倍首相は「新3原則」と名付け、「これからの日中関係の道しるべとなる」とした。今後、中国が、「脅威」となる行動を取ったり、自由・公正な貿易を阻もうとした場合、この新3原則が「錦の御旗」となりえるからだ。

 酷い詭弁ですね。産経的には中国は「そもそもパートナーじゃない」「脅威でしかあり得ない」んじゃなかったのか。
 大体これは「お互いに守ろう」なんですから、中国だけでなく日本も縛るわけです。「中国を軍事的脅威として軍拡することは日本政府は自重すべきだ、新三原則の精神に反する」つうことになるわけです。


ツイッターいろいろ

福山和人
 日中首脳会談で「パートナーであり互いに脅威とならない」ことが確認されたことは重要だ。辺野古移設、改憲、軍備拡大などの口実に「中国脅威」論を都合よく利用することはもうできない。

 「できない」というよりは「政治道徳的に」「国家間の約束として」許されないというべきでしょうね。安倍だと平気で中国脅威論ぶちかまして訪中の成果を台無しにする危険性が否定できませんが。
 つうか、会談後なのに
■産経『石垣島駐屯地、年度内に着工 陸自、中国にらみ防衛強化』
https://www.sankei.com/politics/news/181029/plt1810290003-n1.html
なんて記事が出てますからねえ。事実なら全くとんでもない話です。そもそも石垣島において、「中国がー」なんてのは嘘じゃないのか。配備理由は全く別ではないのか。

福島香織
【訂正】安倍首相がウイグル問題を言及したのは李克強首相との会談です。ネットのvpn不具合で、報道をしっかりと確認できず、知人との会話で、聞き間違いしました。密かに期待していたので、期待が聞き間違いをまねいてしまいました。すみません!。やはり習近平さんには言えなかったかあ。

 「やはり」て(苦笑)。「福島さんの考えはなんとなく想像はつきますが、一応確認したいので。えーと『やはり習近平さんには言えなかった』の『やはり』とは具体的にどういう意味なんでしょうか?」と聞かれたら、福島もどう答える気なんですかね?

石平がリツイート
・take4
 安倍総理は総裁選等で世話になった親中派二階俊博氏や経済界の人々に気を遣って、訪中して一帯一路に協力すると発言。

 「企業献金をくれる財界の要望(中国ビジネス重視)」はともかく、二階氏が親中派だの、二階派が総裁選で安倍支援しただのは、安倍の今回の訪中に全く関係ないでしょう。そもそも二階氏が親中派なのは財界の要望に応えてのことです。そして安倍の訪中は「5月の李首相訪日からの流れ」でしょう。
 そして二階氏以外の自民党派閥ボスだって、「安倍と対決した石破*1」も含めて、岸田*2にせよ、石原*3にせよ、麻生*4にせよ、誰にせよ反中国なんて輩はいないでしょう。

石平
 中国紙が1面で大きく報道したことは、要するに習近平政権からすれば、今回の安倍首相訪中において、中国側は大いに宣伝すべきほどの外交上の成果を上げたからだ。それに対し、日本側はこれと言った成果を何か上げたというのか。
■読売『中国紙、1面で大きく報道』
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181027-00050083-yom-int
 中国の共産党機関紙・人民日報など各紙は27日、安倍首相と習近平(シージンピン)国家主席の会談を大きく伝えた。
 人民日報は、安倍首相と習氏、李克強(リークォーチャン)首相との各会談をともに1面で報道し(中略)た。

 「人民日報の報道」以前に、そもそも外交成果が期待できなかったら安倍の訪中を受け入れないでしょうからね。一方、外交成果が期待できなければ「安倍も訪中しない」わけです。結局のところ「安倍の考える成果」を石が成果と認めないだけの話です。

石平
 安倍首相の訪中は中国に良いこと尽くしの展開となった。中国を助ける通貨交換協定は再開され、「第三国市場での協力」の名目で日本は事実上一帯一路に参加。おまけに、安倍首相自身は習近平との会談では一帯一路を評価する発言をした。そこまで中国に迎合して関係改善する必要性は日本にあるのか?

 もちろん「安倍にとってはそうする必要性があるから、そうした」わけです。 

石平
 今日出演した(ボーガス注:大阪朝日放送の)「正義のミカタ」で、安倍首相が中国首相に対して(ボーガス注:ウイグルの?)人権問題を提起したことについて、「アリバイ作り」だとコメントしたが、これは軽率な批判だと反省して撤回したい。日本の首相は中国首脳にこの問題を提起しただけでも意義がある。安倍首相は言ってはいけなかったのは一帯一路への評価だ。

山際澄夫*5
・28日の朝日、産経は安倍訪中をともに高く評価しているが、〈友好の演出で足並みをそろえたことに意義〉とした朝日よりも、尖閣の守りが固まったわけでも、靖国参拝をしたわけでもないのに、〈中国の苦境見透かし〉と、日本の外交勝利のように伝えた産経に違和感を感じた。
天安門事件後、孤立する中国に手をさしのべたのも日本だった。世界が経済制裁を続ける中で、巨額の経済援助を再開した。その結果が、今日の中国の軍事大国化と覇権主義である。中国との友好演出は、日本国民の独裁国家中国への警戒心を薄めさせることにもなる愚策だ。
・なぜ安倍首相は、中国支援に踏み切るのか。正気かと思われるほどの唐突感がある。経団連を批判して済む話ではあるまい。
・安倍首相の中国訪問に経営トップ数百人が同行するという。キーワードは友好、関係改善。一帯一路への協力を打ち出し、パンダの貸与要請まで行う。中国の軍事大国化に協力し、感謝もされなかった対中ODAをやっと終了できるというのに、まだ懲りないのですか。
・安倍首相は、中国にパンダの貸与を依頼するらしい。メディアは〈友好ムードが一層高まりそう〉(朝日)〈関係改善が高まりそう〉(時事)というが、中国は民主主義も法の支配もないならずもの国だ。日本政府も友好ごっこで国民の目を曇らせるのはいい加減にしてほしい。

 石や山際にとって安倍訪中はよほど不快なようです。ただ他のウヨ連中(産経の阿比留、櫻井よしこ福島香織など)は、安倍を批判できず、ただただ、だんまりでしょう。しかし石みたいなごろつき極右を出演させるとは大阪朝日放送はどうしようもないですね。
 しかし「ならず者だー」つうなら領事館でヒットマン使って政府批判派を暗殺する「王国」サウジもいい加減「民主主義も法の支配もないならずもの国」と思いますが、まあ、石や山際はサウジ批判なんかしないわけです。

Shoko Egawa
・安倍首相の最大のメリットは、(ボーガス注:天皇訪中を決定した宮沢*6首相など)リベラルな政治家が日中関係改善しようとすると、妨害、非難、罵倒する人たちが、あべちゃんがやることならギャーギャー言わないことだ

 「5月の李首相訪日」「10月の安倍訪中」についてのウヨに対する痛烈な皮肉ですが全くその通りです。ウヨは石、山際、酒井信彦など一部例外しか安倍批判しませんから。おそらく阿比留、櫻井よしこ福島香織などは安倍批判しない。その一部例外も「安倍さんは酷い」とぼやくだけで、安倍に無視されて終了です。
 そういえば日中平和友好条約もリベラル三木*7ではなく、タカ派福田赳夫*8でした。
 米中国交正常化も「反共のはずのニクソン*9」でした(正式な国交樹立はカーター*10ですが)。

福島香織
・シリア情勢って本当にわからないんだよね。米国の言ってることが正しいんだか、ロシアの言ってることが正しいんだか。もちろん安田さんの言ってることが正しいのかもわからない。だからこそ聞く耳を持たなきゃいけないと思うんだよ。
・いずれにしろ、ジャーナリズムとは何か、ジャーナリストはどうあるべきか、久しぶりに考えさせられました。

 正論ではあるでしょうが、もはやジャーナリストではなくただの極右活動家で、「一帯一路は失敗してる」とデマを飛ばし、また、「産経在籍当時の福島本人の書いた記事はともかく」デマメディア産経に在籍した人間が、産経批判もせずにこんなこと言っても笑うほかありません。

M谷N子*11
 ネトウヨや自称保守陣営による(ボーガス注:安田純平*12ら)ジャーナリストや(ボーガス注:高遠菜穂子*13ら)海外ボランティアへの自己責任論。その背景には、日本国政府への無謬の盲従がある。政府の渡航禁止勧告を聴かなかったのだからという言い方をするが、そもそも国が、民の命や、情報や善意を大切にしなくて、何の政府なのか。本末転倒で議論にもならない。(ボーガス注:今回安田氏が救出されたとはいえ、長い間「ウヨ連中」の安田氏への自己責任論による非難を放置した)安倍政権を、私は厳しく批判する。

 いやー、はっきりと「安倍政権を批判する」といいきっただけ、俺的には「安倍批判するM谷女史>絶対に越えられない壁>安倍批判しないI濱女史」ですね。しかも「つい最近まで、ウヨ連中の安田氏非難を放置していたのに今頃安田解放で安倍政権はどや顔か。恥を知れ」「ぶっちゃけ今回、活躍したのはトルコやカタールじゃないの?。日本人が活躍したとしてもせいぜい日本外務官僚で、自民党の政治家は外務三役も含めて全く関係ないんじゃないの?。民主党政権でも解放できたんじゃないの?」という「安倍批判理由」も「合点合点」「全く同感」です。
 つうか共産党すら「現時点ではこの件での安倍批判を控えてる(安田氏の政治利用との批判を避けたいのでしょう)」状況でM谷氏もずいぶん思い切ったツイートです。


■【田村秀男のお金は知っている】「消費税増税」と「デフレ」が習主席を助けるのか
https://www.sankei.com/premium/news/181027/prm1810270007-n1.html

 日経電子版10月23日によれば、日本の野村証券などが日中首脳会談に合わせて日中共同ファンドを設立する。ファンドを通じて対中投資する。日本側にとっての利益は格別、見当たらない。

 「あほか」ですね。企業の目的は金儲けです。金の儲からないことは基本的にしない。
 小生も経済音痴なのでどんな利益があるかわかりませんが「日本側に利益がない」なんてことはあるわけがない。


■産経『安倍首相の訪中に秘められた明確な戦略』(北京 原川貴郎)
https://www.sankei.com/politics/news/181026/plt1810260049-n1.html

 安倍首相は伝統的に対日関係を重視する中国共産主義青年団出身の李氏との親密さを強調。米中貿易戦争の影響が中国経済に広がる中、国内では習近平国家主席への批判もあり、中国指導部内で李氏の影響力は相対的に高まっている。安倍首相には(ボーガス注:国家中央軍事委員会主席である)習氏の配下にある中国軍の行動を牽制する狙いもあったのだろう。

 なるほど「5月に訪日した李首相の北海道旅行に安倍総理が同行したのも習主席への牽制なんですね!」てそんな訳あるか、詭弁も大概にしろて話です。
 大体訪中して「ナンバー2」李首相に会うのは当たり前の話ですし、安倍は「ナンバー1」習主席にも会うわけです。「習には会いません。李だけに会います」つう話ではないのに何が牽制なのか。
 たとえば「仮定の話」ですが、訪日した中国首脳が「今の無役の、干されてる石破ならともかく」、幹事長時代の石破*14にあったら「安倍への牽制」になるのか。普通誰もそうは思わないでしょう。与党ナンバー2に会うのは当たり前の話です。

 安倍首相が中国との関係強化を図るのは北朝鮮という要因も大きい。拉致問題解決の上で北に発言力を持つ中国との連携を確認する重要性は論をまたない。

 間違いじゃないですが、それは最近そうなったわけではなくて、小泉訪朝の時からずっとそうですから。
 たとえば和田春樹氏などは「日本が対北朝鮮制裁を成功させるには中国の協力が必要。中国が北朝鮮を経済支援したら、日本が制裁しても意味がない」と言い続けてきたわけです(ただし和田氏は「中国の協力はあり得ない」と見て、むしろ制裁解除を主張したわけですし、俺も和田氏に同感ですが)。「今更それ言うのか?」ですね。

 中国の巨大経済圏構想「一帯一路」への協力姿勢について安倍首相は、周囲にこう話している。
 「こっちの利益になることは一緒にやってもいいというだけだ」

 安倍がどう言い訳しようと結局協力するわけです。
 大体中国は最初から「中国だけでなく、日本の利益にもなるように取り扱いますから是非参加してください」といってるわけで「イヤー日本どころか中国の経済的利益も出ないんですけど、いろいろ事情があってやらないわけにいかないんですよ、協力してもらえませんか」とは一言も言ってないでしょうに。


■産経『日中首脳会談で影潜めた“歴史戦” 一時的な停戦状態』
https://www.sankei.com/politics/news/181026/plt1810260045-n1.html
 尖閣チベットウイグルなど他の問題はさておき、歴史戦(南京事件否定論靖国参拝正当化など)なんか首脳会談で安倍が持ち出せるわけがないでしょう。非常識にもほどがあります。
 一方の中国も「日本国内にはあの戦争を正当化する極右勢力も存在するが、あの戦争に批判的な平和勢力も存在する。あの戦争の惨禍を二度と繰り返してはならない」程度の一般論にとどめ、安倍のメンツを丸つぶれにするような安倍批判を歴史認識問題でしなかったのはある意味当然でしょう。
 つうか、安倍に限らず、過去の日中首脳会談で訪中した日本首相が悪口されたことなんかないでしょう。
 まあ「訪中しない首相」ならくそみそに言われた人間もいたようですが。
 俺の以前読んだ本だと石橋湛山*15宇都宮徳馬などといった自民党親中国派が訪中した際「岸*16首相は中国敵視、台湾べったりで本当に酷いですね」などといわれて返事に困ったなんて話が確かあります。


■産経【主張】日中首脳会談 「覇権」阻む意思が見えぬ 誤ったメッセージを与えた
https://www.sankei.com/column/news/181027/clm1810270001-n1.html
 本文読まなくてもタイトルだけで内容がわかりますが安倍訪中に不満たらたらの産経です。

 日本は、天安門事件で国際的に孤立した中国にいち早く手を差し伸べ、天皇陛下の訪中や経済協力の再開に踏み切った。だが、日中が強い絆で結ばれるという期待は裏切られた。

 いやいや別に裏切られてはいないでしょう。日中関係がその後ギクシャクしたのは「小泉靖国参拝」「野田内閣の尖閣国有化」「安倍靖国参拝」などがあったからです。
 そうした問題で中国の日本批判を支持する、しない*17はともかく、中国は日本の奴隷ではありません。
 「天皇訪中したんだから後は俺の言いなりになれ」つうわけにいくはずがない。裏切ったという話ではないわけです。
 大体、「経済協力の再開」などは単純な善意ではありません。中国ビジネスで儲けたいという考えがあり実際に日本企業は儲けたわけです。「期待が裏切られた」どころか期待は大きな成果を生みました。


■日中平和友好条約締結40周年記念レセプション 安倍総理挨拶(2018年10月25日)、から一部引用
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2018/1025jpncn40.html
■日中第三国市場協力フォーラム 安倍総理スピーチ(2018年10月26日)、から一部引用
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2018/1026daisangoku.html

https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2018/1025jpncn40.html
 日中平和友好条約の締結40周年という記念すべき年を、中国の皆様と共に、心からお祝いしたいと思います。
 40年前、批准書の交換を終えたトウ小平副総理は、日本で新幹線に試乗し、当時最先端のカラーテレビ工場、製鉄所、自動車工場を視察されました。新幹線の中で感想を聞かれたトウ小平副総理は、「これこそ我々が求めている速さだ」、「今回の訪日で近代化とは何かが分かった」と述べられました。そして中国に帰国されてから僅か2か月後、かの有名な中国共産党第11期三中全会が開かれます。改革開放の始まりです。
 つい先ほど、私は李総理と共に、この40年の日中両国の歩みを回顧する写真を見ました。日中友好病院や宝山製鉄所の第一高炉など、日中協力の下で中国の近代化を支える重要な施設が次々と建設されていく様子がうかがえました。
 トウ小平氏の唱えた改革開放の下で、世界を驚かす大きな発展を遂げた中国。写真から、その熱気を感じることができました。
 この過程で、日本はODA(政府開発援助)や民間の投資を通じ、中国と共に歩み続けてきました。このことをうれしく思います。今や、中国は、世界第2位の経済大国へと発展し、日本の対中ODAは、その歴史的使命を終えました。今日、日本と中国は、アジアのみならず世界全体の経済発展に欠くことのできない役割を果たしています。世界がかつてないほどつながり合い、一国だけで解決のできない問題が増える中、日中両国が世界の平和と繁栄のために共に貢献する、そうした時代が来ていると思います。
 明日の李克強総理、そして習近平国家主席との会談では、こうした新たな時代にふさわしい、新たな次元の日中協力の在り方について、大所高所から胸襟を開いて議論したいと思います。
 この40年間の日中関係を支えてきたもの、そして、これからの日中関係を支えていくものは、国民同士の絆(きずな)です。うれしいことに、今年の国慶節(こっけいせつ)に、中国人の方々が最も訪れたい場所として選んだのは日本でした。最新の世論調査で、日本に良い印象を持つ中国人の方々の割合が大幅にアップしています。相互理解を増進する上で何より重要なのは、直接足を運び自らの目でありのままの姿を見ることではないでしょうか。
 両国の未来を担うのは青少年です。私は青少年の交流を力強く後押ししていきます。青少年交流に長年尽力された李克強総理からも、新たな交流の枠組み作りに賛同いただいています。私自身も明日、李総理の母校である北京大学を訪れ、学生の皆さんと交流することを大変楽しみにしておりますし、学生の皆さんから質問を受けることも予定しているわけであります。わくわくしながら、どきどきもしているところであります。
 今、両国が進む航路の先には、協力の大海原が大きく広がっています。今回の訪中を通じ、皆さん、力を合わせて、日中友好の船を前へ前へと進めていこうではありませんか。
 最後に、改めて日中平和友好条約締結40周年をお祝いし、日中の友好協力のますますの発展、御列席の皆様の御健勝、御多幸を心から祈念いたしまして、私の御挨拶とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2018/1026daisangoku.html
 1980年代、中国に、いち早く支援を始めたのが日本です。日本の政府と企業が投資を行い、中国の皆さんと共に近代化を進めてきました。現在の発展した中国を見ることができるのは、日本人としての誇りでもあります。
 そして今、発展した中国と日本が、ついに、共に世界に貢献する時代がやってきました。
 日中協力の主役は企業です。本日、この人民大会堂には、日中の企業幹部など1,000人を超える皆様が集まっています。正に歴史に残る盛大な会と言えるでしょう。今回、ここにお集まりいただいた日中両国企業や関係機関の間で、50件を超える協力文書が締結されました。インフラや物流、さらにヘルスケア、金融など、新たな可能性が期待される分野ばかりであります。今日が、正に新しい日中関係の幕開けとなります。
 ここにお集まりの企業の皆様は、それぞれ、優れた能力をお持ちです。両国の企業が競争するだけではなく、その力を組み合わせて協調することで、需要と課題の両方に応える可能性を高めていくことができます。例えば、電力インフラの分野です。多くの国が大規模な投資を必要としており、日中の企業が激しく競い合ってきました。しかし、最近は、両国企業が、技術力、価格競争力、ネットワークなど、それぞれの強みを持ち寄って、協力してプロジェクトを進める例も現れています。先ほどその成功例をパネルで企業の皆様から説明していただきました。今後、質の高い電力インフラの整備が進むことで、現地の発展に大きく貢献していくことでしょう。
 このような協力を進めるには、共通の考え方、すなわち土台が必要であることも忘れてはならないと思います。インフラ投資において、開放性、透明性、経済性、対象国の財政健全性といった国際スタンダードに沿ってプロジェクトをつくることが重要であります。
 例えば、タイはEEC(東部経済回廊)という地域開発プロジェクトを進めています。本日、日中とタイの企業が、EECにおけるスマートシティを開発するプロジェクトを始動しました。ここでは、誰もが使える共通インフラを構築し、国際企業に広く入居を呼びかける計画です。これは、開放性と透明性を確保しています。
 1999年、カザフスタンで、製油所近代化プロジェクトがスタートしました。当初は、日本の資金で日本企業が手掛けており、2006年の引渡しから現在まで、12年もの間、順調に稼動している質の高いインフラとなりました。2009年からの第2期は、中国政府がサポートし、リーマンショック後の苦しい時期にリスクマネーを供給し、カザフスタンを助けました。そして、2011年に始まった第3期では、日中両国が手を組み、最強のチームで挑みました。両国の政府系金融機関と民間金融機関もファイナンス面で支援をし、インフラの経済性と財政健全性を確保した成功例となりました。
 このカザフスタンの成功は、今後、世界に羽ばたきます。日本企業はこの体験を基に、世界の日中の企業が、この体験を基に、世界の持続的な発展に貢献していくことでしょう。
 日中企業が、国際スタンダードにのっとり、ビジネスとして持続可能なプロジェクトを進め、各国のお手本となることは可能です。日本と中国で、その手助けをできればと考えています。中国政府も、質の高いインフラ、開放性や透明性といった国際スタンダードについて発言されていると聞いており、大変心強く思っています。
 本日のフォーラムは、出発点です。日中が協力して国際スタンダードに合致し、第三国の利益にもなるウィン・ウィン・ウィンのプロジェクトを形成していこうではありませんか。日本政府としても、中国政府と共に力強く後押ししていく所存です。
 本日お集まりの日中企業の皆様が、フォーラムでの議論を通じて、更なるビジネスの創出につなげていただくことを期待してやみません。そして世界の経済発展で、日中が共に大きな貢献をしていく。そうした成功例を次々とつくっていくことを期待いたしまして、私のスピーチとさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 いつもの産経新聞なら

「日中両国が世界の平和と繁栄のために共に貢献する、てどういうことだ!」
「両国が進む航路の先には、協力の大海原が大きく広がっています、てどういうことだ!」
「日本の1980年代の経済支援で発展した中国が見れてうれしい、てどういうことだ!」
「日中でウィンウィン、共存共栄の関係を築くってどういうことだ!」
「中国にこびへつらうのも大概にしろ!」

などと悪口雑言でしょうが、まあ相手が安倍ではだんまりでしょう。


■朝日『新たなパンダ貸与、中国に要請 神戸や仙台での飼育念頭』
https://www.asahi.com/articles/ASLBV5JV5LBVUTFK01B.html
 産経らの強弁「安倍総理は中国にこびたりはしない。安倍総理の態度は何一つ変わってはいない」を見事なまでに裏切る安倍です。


ニューズウィーク日本版『安倍訪中に経団連の利権あり:「一帯一路」裏切りの末路』楊海英
https://www.newsweekjapan.jp/youkaiei/2018/10/post-27.php

・9月12日、中西宏明*18会長率いる経団連と日中経済協会、日本商工会議所の合同訪中団は、中国の首都北京で李克強(リー・コーチアン)首相と会談。自由貿易の堅持が必要との認識で一致したという。
・10月10日にも中西会長は福田康夫元首相と北京を再訪して李首相と会談した。
・今回の安倍訪中も財界に突き動かされた感じは否めない。

 そりゃ財界の意向は影響してるでしょう。今更楊に教えてもらう必要もない。


■産経『対中ODA、戦後最大級の失敗』古森義久
https://www.sankei.com/world/news/181026/wor1810260002-n1.html
 中国に限らずODAは「単純な善意」ではないのに言ってること無茶苦茶ですね。日本企業の経済進出を応援するつう意味合いもあるわけです。

 日本のODAが中国の民主化や人権尊重に配慮しなかったことも明白だった。ODA大綱では民主主義や人権を弾圧する国には援助を与えないはずだったのだ。

 ならば中国以外のODAはすべて「人権上問題がなかったか」といえばそんなこともないでしょう。
 しかし古森らウヨは「中国だけあげつらう」わけです。


■産経『安倍首相が李首相と会談、日中通貨スワップ再開など合意へ』
https://www.sankei.com/politics/news/181026/plt1810260011-n1.html
 予想の範囲内ですがやはり産経の反対は無視してスワップ協定は実現の運びだそうです。


■産経『日中通貨スワップは日米の信頼損なう』編集委員 田村秀男
https://www.sankei.com/economy/news/181026/ecn1810260003-n1.html
 と産経が言ったところでおそらく日本財界の要請に従い、安倍は日中通貨スワップをするし、そうなったら産経もだんまりでしょう。
 日中通貨スワップについて一般的見方は

 財務省や日銀は、対中進出の銀行や企業が緊急時に人民元を調達でき、利益になると説明する

と田村が認めるとおりですから。

 日本の官民はハイテク分野での対中協力に踏み込む。経団連はインフラ設備と金融の両面で、一帯一路沿線国向けに日中共同プロジェクトを立ち上げるという。対中警戒心を強めているタイなどアジア各国も、中国ではなく日本がカネと技術を出すといえば、プロジェクト受け入れに傾くだろう。不確かなビジネス権益に目がくらんだ揚げ句、習氏の野心に全面協力するというのが、かつては国家意識の高さを誇った経団連の使命なのか。

 経団連中国ビジネスを重視するのは当たり前の話です。つうかドラマ「大地の子」で「経団連全面協力での中国への製鉄所建設の話」が出てきますが、あれは産経的にはどう理解されるのか。


産経
安倍晋三首相は習近平氏にウイグル問題を提起するか
https://www.sankei.com/politics/news/181025/plt1810250033-n1.html
■「米国は目覚めた。日本も発信を」 ラビア・カーディル氏、中国のウイグル族弾圧を批判
https://www.sankei.com/world/news/181025/wor1810250048-n1.html
■「洗脳され、ウイグル語も禁止に」 在日ウイグル人が語る中国の弾圧
https://www.sankei.com/world/news/181026/wor1810260004-n1.html
 まあ安倍は提起しないでしょうし、提起しなくても産経もカーディルも安倍批判しないでしょう。

https://www.sankei.com/world/news/181025/wor1810250048-n1.html
 少数民族ウイグル族への人権弾圧について「ナチス・ドイツの独裁者ヒトラー以上の大虐殺であり、人類に対する罪だ」と批判した。

 吹き出しました。イヤーさすがにヒトラーよりはずっとましでしょう。そもそも「問題にされてるのはウイグル政治犯収容所疑惑」であって「ウイグル人大量虐殺疑惑」ではありません。ましてや「ヒトラー以上の虐殺」て。

https://www.sankei.com/world/news/181026/wor1810260004-n2.html
イスラム教が禁じている豚肉も食べさせられる。要するに洗脳です。
・今や現地の学校ではウイグル語の使用が禁止され、ウイグルの歌を唱っている人も捕まえられる。
ウイグル人は土葬なのに、火葬場がどんどん造られています。

 「豚肉強制」「ウイグル語禁止」の部分は事実ならばもちろん弁解の余地のない暴挙です。
 一方「火葬推奨」は「やり方はともかく」、やること自体はむしろ衛生的でいいかと思います。日本も昔は土葬がメジャーでしたが火葬がメジャーに変わっています。

https://www.sankei.com/world/news/181026/wor1810260004-n2.html
 以前からあった弾圧が一層厳しくなったのは、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」と関係があるのではないか。私たちの故郷は「一帯一路」の要衝であるため、周辺のイスラム教の国々からの人の往来が活発になるでしょう。中国当局は国内外のイスラム教徒が結びつけば中国の脅威になると一方的に考え、懸念を払拭するため、自治区内でイスラム教の要素を徹底的に破壊し、漢民族に同化させようとしている。こうみています。

 もちろんこれが事実だとしてもそれは「一帯一路それ自体の問題」ではありません。


大紀元『第四章(下) 共産邪霊、人類を破滅の道へ』
https://www.epochtimes.jp/2018/10/33451.html

 共産党唯物論を唱えることにより人々を物欲に溺れさせ、享楽と精神的刺激を追求するようにした。

 法輪功らしいですが、もちろん唯物論とはそういう意味ではありません。


■産経『安倍首相訪中「対中ODA、歴史的使命終えた」』
https://www.sankei.com/politics/news/181025/plt1810250024-n1.html
 タイトルが産経らしくて吹き出しました。記事本文には

 レセプションで、安倍首相は「日中両国が世界の平和と繁栄のためにともに貢献する時代が来ている。(習氏らとの会談で)新たな次元の日中協力のあり方について胸襟を開いて議論したい」と語った。また「今回の訪問が、今後の新たな日中関係を切り開く契機となることを期待している。力を合わせて日中友好の船を前へ前へと進めていこう」と呼びかけた。

と書いているのにねえ。


■朝日『安倍首相、インド首相を別荘招待へ 異例の「特別待遇」』
https://www.asahi.com/articles/ASLBQ4FHVLBQUTFK009.html
■毎日『安倍首相、印首相を別荘招待 中国とバランス外交』
https://mainichi.jp/articles/20181024/k00/00m/010/147000c

 安倍らしいせこい行為です。「インドと連携した中国封じ込めを俺は諦めてない」つうウヨ支持層向けのパフォーマンスでしょう。


■朝日『高齢者2億人 介護、中国に商機 北京で日中フォーラム』
https://www.asahi.com/articles/ASLBR5K0LLBRUHBI03B.html
■読売『境港←→中国で商機創出』
https://www.yomiuri.co.jp/local/tottori/news/20181024-OYTNT50174.html

https://www.yomiuri.co.jp/local/tottori/news/20181024-OYTNT50174.html
 境港と中国・吉林省日本海経由で結ぶ新たな物流ルートの構築などを目指し、県と同省は25日、北京市で連携の覚書に調印する。

 産経の反中国がいかに非現実的か改めてわかります。


産経
■【中国点描】習主席に言わねばならぬ3つのこと
https://www.sankei.com/world/news/181024/wor1810240005-n1.html
■【阿比留瑠比の極言御免】中国には譲歩しないことが肝心
https://www.sankei.com/premium/news/181024/prm1810240011-n1.html

https://www.sankei.com/world/news/181024/wor1810240005-n1.html
 この5年間、安倍政権の対中政策はほとんど変わっていない。にもかかわらず、中国当局と官製メディアの安倍氏への“評価”が180度変わったのはなぜか。

https://www.sankei.com/premium/news/181024/prm1810240011-n2.html
 26年11月には、首相と習近平国家主席による日中首脳会談が実現する。この時の習氏は仏頂面で笑顔はなかったが、今年9月の会談では満面の笑みを浮かべる豹変(ひょうへん)ぶりである。
 この間、日本は中国の要求には一切応じず、友好を請うような言動も取らなかった。何ら譲歩しなかったにもかかわらず、である。

 産経らしい嘘八百ですね。今年5月に李克強首相が訪日した際に安倍が李首相の「北海道旅行」に同行したことの、あるいはその時に安倍自ら一帯一路支持を表明したことのどこが「安倍政権の対中政策はほとんど変わっていない」「中国の要求には一切応じず、友好を請うような言動も取らなかった」なのか。産経も別記事では安倍の北海道旅行同行や「一帯一路参加表明」を嘆いていたはずですが。

https://www.sankei.com/premium/news/181024/prm1810240011-n2.html
 理由はいくつも挙げられる。首相自身が展開した自由や民主主義、法の支配を訴える「価値観外交」が少しずつ中国を追い詰め、包囲網を築いていったことや、中国の軍事的膨張主義が国際社会で広く認知されたことも一因だろう。

 もちろんそんな事実はどこにもありません。安倍主導による中国包囲網なんてもんはありません。
 最近欧米が批判を強めてるウイグル問題についても安倍は「欧米と比べてろくにウイグル問題になど言及しません」。
 「軍事的」膨張主義なんてもんもないでしょう。シリア軍事介入したロシア、イラクやアフガンに軍事介入した米国と違い、中国は海外軍事介入などしていません。
 一帯一路などの経済進出は「軍事的」膨張主義とは言えない。南シナ海の領土紛争を「軍事的膨張主義」というのは誇張が過ぎるでしょうし、フィリピン、ベトナムがAIIBや一帯一路に参加してることでわかるように中国とこれらの国の関係は対立一辺倒ではありません。
 台湾、チベットウイグルは実効支配してるチベットウイグルはもちろん、実効支配してない台湾も「中国にとって国内問題」ですしね。かつ台湾への締め付けは現時点ではもっぱら経済的なものばかりです。まあ、台湾侵攻なんて現実的にないですが。
 チベットウイグル統治において軍が投入されてるか知りませんが、仮にそうだとしてもそれは国内問題である以上「是非はともかく」、膨張主義ではありません。

https://www.sankei.com/premium/news/181024/prm1810240011-n2.html
 最近では逆に、安倍政権側も中国の巨大経済圏構想「一帯一路」への協力など、中国との接近に前のめりになっているのではないかとの見方も出ている。

 最初に阿比留が書いた「安倍政権の対中政策はほとんど変わっていない」「中国の要求には一切応じず、友好を請うような言動も取らなかった」と明らかに内容が矛盾しています。

https://www.sankei.com/premium/news/181024/prm1810240011-n2.html
 だが、首相は周囲にこんな本音を漏らしている。
「別にこちらが前のめりということではない。一帯一路の件は、リップサービスをしているだけだ。中国にカネをやるわけでも出すわけでもない」

 ウヨ支持層に対する「ただのいいわけ」でしょうね。一帯一路は「ただの机上の空論」ではなく現実に様々な経済プロジェクトがある以上、参加表明が「リップサービス」ですむわけもない。「このプロジェクトに日本は参加できないか?」と要請されて「すべて断る」なんてバカなことができるわけもないでしょう。
 大体「リップサービス」だとしてもリップサービスをすること自体、中国に対する方針変更ではないのか。

https://www.sankei.com/premium/news/181024/prm1810240011-n3.html
 首相が日中首脳会談で、新たなジャイアントパンダの貸与を求めるとの観測についても突き放す。
 「パンダの件は地方自治体の要請で外務省が勝手に進めていることで、私は知らなかった。そんなこと頼みたくもない」

 酷いいいわけですね。安倍に相談もなしに外務官僚なり、河野外相なりが勝手にパンダ誘致の話を進めてるというのか。「もっと小さな話」ならともかくパンダ誘致なんて大きな話でそんなことがあるわけないでしょう。
 つうかパンダ誘致したくないなら安倍が「そんなことはするな!」と指示すればいいことです。
 安倍も阿比留も「安倍様は中国に毅然とした態度をとり続けてる」という虚構を維持するために強弁してるわけです。

https://www.sankei.com/premium/news/181024/prm1810240011-n3.html
 首相は今回の訪中に合わせて対中政府開発援助(ODA)の終了を決めるなど、姿勢は全くぶれていない。

 いやいや遅くとも一帯一路参加表明、李首相訪日歓迎の今年5月の時点で、安倍は阿比留の言うような反中国の態度を公式に放棄しています。
 ODA打ち切りについても中国が激しく抗議していないことから考えるに「まあODAはもらえるならもらえる方がうれしいが、うちも世界に冠たる経済大国になったし、財政事情で出せないつうなら別にいいですよ。その代わりと言ったら何ですが一帯一路への協力お願いします」つう話でしょうよ。
 阿比留も全く酷い嘘つきです。

https://www.sankei.com/premium/news/181024/prm1810240011-n3.html
 むしろ懸念されるのは政界、経済界の今後だろう。

 経済界はともかく政界とは一体何のことなのか。野党(立憲民主、国民民主、共産、社民、自由など)の動きは安倍の対中国外交には直接関係ないでしょうし、与党(自民、公明)の動きは「自民党総裁」安倍が了承してるに決まってる。結局、阿比留も今後、与党が「親中国」で動くことを予想し、その際に「二階*19幹事長や岸田*20政調会長らが勝手にやってることだ」と強弁する気なんでしょう。


■産経【正論】「友好」に騙されない対中外交を 文化人類学者、静岡大学教授・楊海英*21
https://www.sankei.com/column/news/181022/clm1810220003-n1.html
 タイトルだけでうんざりですね。だますも何も、隣国にして経済大国の中国に対して日本が友好関係を築くのは当然のことです。議論の余地すらない話です。
 問題は友好関係を築くかどうかではなく「どんな友好関係を築くか」ですね。

 「一帯一路」巨大経済圏構想も行き詰まっている

 一帯一路がすべてバラ色だと言ったら嘘になりますが、一方でこうした楊の物言いも完全なデマです。「成功もあれば挫折もあるが、概ねうまくいってる」というのが適切な認識でしょう。

 日中国交正常化以来、反日は最も鋭利な武器として隣人に対する牽制(けんせい)として使われてきた

 そんな事実はどこにもありません。「中曽根*22、小泉*23、安倍*24首相の靖国参拝」「野田*25政権の尖閣国有化」など対立する理由があるから対立するわけです。


■産経『亡命ウイグル人ら、国際組織で中国の弾圧に対抗 東京に事務局、26日結成大会』
https://www.sankei.com/world/news/181017/wor1810170003-n1.html

 日本の支援者も加わる。

 以前からラビアらと付き合いのある反中国右翼との腐れ縁が今回も続くのでしょう。

 ラビア氏らは(中略)安倍晋三首相が提唱する「自由で開かれたインド太平洋戦略」について「中国の拡張主義に対する明確な答えだ」と高く評価している。

 まさか本気ではないでしょうが、安倍が一帯一路支持にシフトを切った今、こんなことを言っても全く無意味でしょう。

 結成大会が開かれる26日には首相と中国の習近平国家主席による首脳会談が北京で行われる予定で、首相が中国の人権問題にどう言及するのかにも注目が集まる。

 安倍のことだから何も言及しないでしょう。そして安倍万歳ウヨ連中もそれを黙認するわけです。


■産経『台湾の訪問要請断る ローマ法王
https://www.sankei.com/world/news/181019/wor1810190015-n1.html
 ついにバチカンも台湾と断交し、中国と国交樹立でしょうか?


■ちきゅう座『対アフリカで日中協調は可能か 関係改善背景に微笑のサイン』岡田充*26
http://chikyuza.net/archives/88257

・安倍政権は、日中関係改善の「切り札」として、昨年来「一帯一路」への条件付き支持・協力を打ち出した。5月の安倍・李克強*27首脳会談では、「一帯一路」協力について協議する「官民合同委員会」発足で合意した。
・安倍首相は日中平和友好条約40周年にあたる10月末に訪中(ボーガス注:予定)。第一回官民合同委員会(北京9月25日)では、日中両国が第三国で協力するインフラ整備事業として①タイの鉄道建設、②中欧鉄道での物流協力、③西アフリカでのプロジェクト―などが検討されたという。安倍訪中の「土産」になる。
・日中両国のアフリカ関与の歴史を振り返る。日本主導のTICADは1993年、国連と世界銀行との共催でスタートした。TICAD閣僚レベル会合を経て、2013年までは5年ごと、それ以降は3年に一回開かれている。一方、「中国・アフリカ協力フォーラム」は2000年10月に北京で第一回首脳会合が開かれ、やはり3年ごとの開催。
 先行した日本だが、貿易額、投資残高ともに今や中国が日本を引き離す。2018年の「通商白書」によると、中国の2016年の対アフリカ輸出のシェアは16・6%と、5・8%のフランスを引き離し一位。日本のシェアはわずか2・2%である。2001年の中国輸出シェアは3・7%に過ぎず日本の4・2%を下回っていたから、この15年でいかに輸出が伸びたかが分かる。アフリカ全体でみると、中国は最大の貿易相手である。
 対アフリカ投資残高は2016年、中国が330憶㌦と日本(100億㌦)の三倍超。アフリカ進出企業も「中国が2000社と日本企業300社の差は開く一方」(みずほ総研「アフリカ重視を続ける中国」)である。
・アフリカでの日中協力は、両国の経済力の差が3倍近くにも広がった現実を反映しているのかもしれない。「もはや中国を包囲することはできない」(外務省高官)という現実的認識から、中国との関係を見つめ直さざるを得ない。

 こうした岡田記事を読めば、福島香織や石平などが一帯一路を誹謗するのがいかにデマかわかろうというもんでしょう。


■人民日報『第14回東京-北京フォーラムが東京で開幕 中日平和友好条約の意味を考える』
http://j.people.com.cn/n3/2018/1015/c94473-9508464.html

 内閣官房副長官西村康稔氏は挨拶で、「日中平和友好条約は日中関係の原点・基礎であり、両国の持続的な協力関係を発展させ、平和的な手段でどんな争いも解決するという原則が、同条約締結40周年を迎えた今日に至るまで守り続けられている。日中両国は互いに助け合うパートナーであるべきで、両国における真の平和を実現させるためには、両国民のサポートがさらに必要となってきている」と述べた。

 安倍お気に入りの極右の西村ですら中国ビジネスを考えてこういうわけです。


■産経『福田康夫元首相、日中首脳会談で国際秩序発展の具体策に期待感』
https://www.sankei.com/politics/news/181014/plt1810140024-n1.html
 福田氏に才能や人脈があることや、彼の日中友好への熱意を評価し、認めた上でのことですが、「元首相」とはいえ、政界引退を表明した人間がこれほど目立ってしまうことは「日中間に他にまともなパイプがないのか?」という意味で健全なことではないでしょう。


■産経【正論11月号】中国資本の土地買収を追う! 学生たちと現場を歩んで 北海道特別ツアーリポート 産経新聞編集委員 宮本雅史*28
http://www.sankei.com/life/news/181014/lif1810140008-n1.html
 いつもながら反中国の妄想が非道すぎる産経です。
 しかしこんなトンデモ妄想ツアーに参加する学生がいるとは。

 中国と関係がある*29とされる農業生産法人に農地の五六パーセントを買収された平取町豊糠地区や、登別市上登別の太陽光発電所用地、伊達市喜茂別町のゴルフ場、洞爺湖町の月浦温泉、赤井川村のキャンプ場など、中国系資本が買収した十か所を視察して回った。
 現実を目の当たりにした学生たちは強い衝撃を受けたようだ。
 「視察に行くまでは、大げさに考えすぎているとみていたが、実際に自分の足で歩いて、意識が百八十度変わった。日本人としての屈辱が芽生えた。日本の危機的状況がなぜ、国民に知れ渡っていないのか? 国民が知らなければ、どんな重要な問題であれ、無と化してしまう。現地視察という体験をして、今回の問題を伝えていく使命感が生まれた」(二十三歳男性)
 「現場を見ると、日本の将来に関わる問題だと感じ、必ず解決しなければならないと気づいた。一人でも多くの人に伝えたい」(二十歳女性)
「なぜ、観光地でもなく、交通の便がよいわけではない豊糠が買収されているのか。何の目的があるのだろうか? 日本であるにもかかわらず、そこで何をしているのか把握できない場所があるというのは恐ろしいことだと感じた。このまま土地買収が進むと、気がついたときには日本がなくなってしまっていた、ということが十分に起こりうることだと感じた。私達ができることは、現実をもっと多くの人に知ってもらうことだと思う。日本の国土を守っていくためには、国民がもっと真摯に向き合い、行動していかなければならない。改めて日本という国の素晴らしさを感じた。そして守っていきたいと心から思った」(十九歳女性)
「外国資本によって国内での自由な経済活動が行なわれることは社会の発展の上で不可欠であり、グローバリゼーションや資本主義の観点からも否定されてはならない。しかし、土地、不動産売買は越えてはならない一線である。国家の独立にかかわる問題だからだ。外国人の土地保有が規制なしに野放しにされている現状はどう考えてもおかしい。われわれ一人一人が今一度、国家や領土を守るということに関心を寄せる必要があると感じた北海道視察だった」(十八歳男性)
「中国資本が開発を進めることの何が悪いのか?中国人が嫌いなだけではないか?などという声もある。具体的な脅威としての姿が見えないものを恐れていても杞憂でしかないと。しかし、問題の本質はそこにはない。中国人であろうとロシア人であろうと、我が国の領土がいとも簡単に買収されていることが問題であって、現実は想像以上に深刻なのだ。脅威としての姿が見えない。これ以上の危機は存在するだろうか。今後、国民一人一人が『脅威』を意識しなければ、いずれ我が国もそして美しい山河も消失するだろう」(十九歳男性)

 そんなもん視察して何がわかるのか。外部から一見してわかる明らかな違法行為でもしてない限り、そんなところに行ったところで何もわかりません。中国に限らず外資の土地購入それ自体は何ら違法ではないし。
 感想も非常識すぎて絶句ですね。
 むしろ脅威を感じるのならシャープや日産が台湾企業(ホンハイ)やフランス企業(ルノー)といった外資の傘下になったことに「日本経済は大丈夫だろうか」と脅威を感じるべきじゃないですかねえ。
 いや別に傘下になったことが悪いとか法律で禁止しろとか言う話じゃないですが。しかしフランスや台湾なら何も言わないウヨ連中もこれが「シャープや日産が中国企業の傘下」なら「中国の脅威」を叫んでるんでしょうね。


■産経【田村秀男のお金は知っている】相次ぐ謎の要人拘束は習主席の悪あがき? 米との貿易戦争で窮地に追い込まれた中国
http://www.sankei.com/premium/news/181013/prm1810130007-n1.html
 産経の田村記事が無茶苦茶すぎて頭痛がします。産経以外ではまず載らない記事じゃないか。
 マスコミ報道を見る限り、要人(女優ファン・ビンビン*30や孟宏偉*31ICPO総裁)の拘束は「法的に是とは言いがたいように思いますが」、「要人拘束」の是非はひとまずおきます。 
 問題は「悪あがき」だの「貿易戦争で窮地」だのと、「要人拘束」につながりがあるとみなす田村の主張が無根拠だと言うことです。こじつけですら根拠と言えそうなものは何もありません。


ダライラマ法王日本代表部事務所『ダライ・ラマ法王と3人の科学者たちによる仏教科学と現代科学との対話のご案内』
http://www.tibethouse.jp/event/2018/Dialogue181116.html
 ダライ的には「ダライ集団(ダライ一味)の科学による権威付け」がしたいのでしょうが、まあ馬鹿げた話だと思います。
 宗教と科学では分野が違う。「科学の素人」ダライが「宗教の素人」科学者と何か話し合っても宗教的な意味でも科学的な意味でも何ら意義あることはないでしょう。
 そもそもまともな科学者ならこんな企画には応じないでしょうね。ここでいう「まとも」とは「学問的能力」という意味ではなく「こんな馬鹿げた企画に応じない常識の持ち主」という意味ですが。


■産経【主張】ウイグル族拘束 中国の人権侵害見逃すな
https://www.sankei.com/column/news/181012/clm1810120001-n1.html

・中国が新疆(しんきょう)ウイグル自治区で、100万人以上の少数民族を再教育施設に強制収容した疑いが出ている。
・国連の人種差別撤廃委員会なども、中国政府にこの問題で正確な情報を公開するよう相次いで要求した。

 やれやれですね。慰安婦問題や朝鮮学校問題、あるいは沖縄基地問題で「在日朝鮮・韓国人への人種差別ではないのか」「琉球民族*32への人種差別ではないのか」と人種差別撤廃委員会にダメ出しされたら「あの委員会は偏向してる、反日だ」「慰安婦は公娼だ、性奴隷じゃない」「そもそも琉球民族などいない。日本にいる少数民族アイヌだけだ*33」「朝鮮学校の教育を全肯定するのか(ボーガス注:そんなことは人種差別撤廃委員会は何一つ言っていません。単に「差別するな」といってるだけです)」「沖縄独立論に加担するのか(ボーガス注:そんなことは人種差別撤廃委員会は何一つ言っていません。単に「翁長知事などの日本政府批判には一理ある」としか言っていません)」「翁長*34知事らを支援するのか。内政干渉だ」「沖縄には米軍基地が必要だ」などと逆ギレしていた分際でこれです。
 「お前、あの委員会を評価するのか、しないのかどっちなんだよ」「中国たたきに使えて都合のいいときだけ評価して、自分らの国が批判されたら『事実誤認』といって居直るとかとかダブスタじゃん」「手前らが慰安婦問題とかであの委員会に対して居直っていいなら、中国もウイグル問題で居直っても何の問題もねえよな」「朝日や毎日ならまだしも少なくとも手前ら産経には人種差別撤廃委員会の勧告で中国批判する資格なんかねえよ」ですね。
 しかし「慰安婦問題や朝鮮学校問題、あるいは沖縄基地問題」でのウヨの逆ギレのせいでこの委員会もある程度日本において有名になったかと思います。俺もこの委員会について知ったのは「産経の逆ギレ」がきっかけですし。三度も産経に逆ギレされればさすがに「国際問題には無知な」俺も注目します。
 それにしても委員会にダメ出しされた内容がすべて「安倍の極右ぶり(戦前賛美の歴史修正主義や、沖縄差別や在日差別や反共・反北朝鮮)に基づく話」つうのは今更ながらうんざりします。「安倍政権以前から沖縄差別が続く*35基地問題はともかく、他の問題は安倍でなければこんなダメ出しは委員会からは出てなかったでしょう。そしてその基地問題にしても、安倍は過去の首相と比べても最低最悪の訳です。

これに対し中国外務省は、「根拠がない」「内政干渉だ」と反発している。だが、事実と異なると主張するのであれば、中国政府が国際社会が納得する明確な根拠を示して、説明せねばならない。

 そうですね。
 日本政府にも「人種差別委員会のダメ出しに居直らないでまともに対応してください」といいたいですよね。
 そして「マスコミや野党の私への批判は事実と異なる」というだけでまともに釈明しない「モリカケの安倍」にも是非同じこと(社会が納得する明確な根拠を出して説明しろ)を言ってあげてください。

 国際社会は結束して、対中制裁も辞さない強硬な姿勢で迫る必要がある。

 いや制裁なんぞは「中国の世界経済における重要性を考えたら」現実問題無理でしょう。
 「アパルトヘイト南ア」とつきあって名誉白人の称号をもらってたゲス国家・日本(当時)を国際社会が批判してもさすがに「よし対日制裁だ、日本が南アと付き合うのをやめない限り制裁で日本経済をたたきのめす」とはならないのと同じことです。
 しかし、チェチェン問題、ロヒンギャ問題などでは「ロシアに制裁を!」「ミャンマーに制裁を!」などとは言わないのに、そして「日本の少数民族問題アイヌ」には無関心なのに、中国の少数民族「だけ」にはお優しいことです(皮肉のつもり)。まあマジレスすれば産経にとってウイグルチベットは単に中国たたきのネタ扱いでしかないわけですが。

 亡命ウイグル人でつくる「世界ウイグル会議」議長で民族活動家のラビア・カーディル氏は昨年、日本で弾圧の現状を訴え、地方議会が憤りを表明した意見書を採択するなどしている。

 日本の一部地方議会で採択と言ったところで「ウヨ地方議員が反中国的な意味合いでやったに過ぎない」でしょうからね。正直、「産経の中国批判」みたいなもんで、ある意味「何の期待もできない」話です。

 日本政府の動きは鈍くはないか。今月訪中する安倍晋三首相は、習近平*36国家主席との首脳会談で問題を取り上げ、厳しく非難すべきだ。

 まあ、安倍はそんなこと言わないでしょうし、言わなくても産経もM谷N子女史もid:noharraもたぶん安倍批判なんぞしないでしょう。
 M谷N子女史やid:noharaが喜んでた「安倍元首相がウイグル問題で胡錦濤に批判的なことを言った」が結局、id:Bill_McCrearyさんも
安倍晋三が口先だけの男でなければ、首相だった時に胡錦濤に同じことを言っている
https://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/cc419a0ee6f60979f2e29de949b3a81c
■ね、首相に復活したら安倍は動いてはくれないだろ(今後に期待?)
https://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/c7fc57b318e56872b390dedcbcf5c0ba
でご指摘のように、首相をやめて、責任のない立場になったことによる「口先だけのいい加減なものであったこと」が改めて明確になるわけです。そしてM谷N子女史、id:noharraなどの過去の安倍賛美も「自らの発言に責任を負う覚悟が何一つない放言だったこと」が改めて明らかになるわけです。


■産経『世界同時株安 米金利上昇が世界に打撃 対中貿易戦争の悪化も懸念』
https://www.sankei.com/economy/news/181011/ecn1810110037-n1.html
 世界同時株安が日本や世界の経済にとっていいことかといったら「いいことだ」という人はまずいないでしょう。実際「いいことではない」でしょうが。
 ではなぜこうなったか。「トランプのイラン制裁による原油高」「米国中央銀行金利上げ」などいろいろ考えられる理由はありますが、産経記事にも書いてあるように大きな理由の一つは「トランプの対中国制裁関税」でしょう。
 「トランプが中国と対決してうれしい」などと抜かしていた産経、国基研などウヨ連中は故意に無視しますが、「対中国関税」レベルでこれです。ウヨ連中が放言するように「中国経済が崩壊」したらそれこそ日本や世界の経済が恐ろしいことになります。


東京新聞『<東京人>アジアンタウン 本当の意味での共生とは』
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201805/CK2018050602000132.html

 現在、東京在住の外国人は五十二万人を超え、外国人の五人に一人が都内在住です。編集部がある飯田橋でも、中国語と韓国語に加えてタイ語ベトナム語など、他のアジアの言語を耳にするようになりました。どうやら、近くの日本語学校に通っているようです。
 彼らが住む・働くアジアンタウンというと、(ボーガス注:韓国料理店の多い)大久保のコリアンタウン、(ボーガス注:中国料理店の多い)池袋チャイナタウンが知られていますが、同じ大久保では近年、ネパール料理の店が増え、駅近くの路地は通称「イスラム横丁」と呼ばれるように。また、お隣の高田馬場は(ボーガス注:ミャンマー料理店が増え)リトル・ヤンゴン*37化が進んでいます。「東京人」六月号では、都内を中心に新たなアジアンタウンを紹介しています。

 日本もずいぶんと国際化したもんです。とはいえ「朝鮮学校差別」のような排外主義が未だにある点が困りものですが。


■ビジネスジャーナル『西川口、チャイナタウン通り越し本物の中国化…定員も客も中国人のみの超レア料理店が密集』
https://biz-journal.jp/2018/10/post_25076.html
東洋経済オンライン『中国人の街「西川口」の変貌っぷりが凄すぎる』
https://toyokeizai.net/articles/-/233998
サピオ『中国語だけで暮らせる西川口 街を歩けば犬肉に食用ガエルの販売も』
http://news.livedoor.com/article/detail/15017603/

https://biz-journal.jp/2018/10/post_25076.html
 「鯉の姿蒸し」(時価)、「ウシガエルの四川風煮込み」(1680円)、「カイコ串*38」(150円)などの斬新なメニューも目を引く。
 これらは、日本人向けの中華料理店では目にすることのない料理だ。
(中略)
 これらの街の様子からわかるのは、西川口は横浜中華街や神戸南京町とは根本的に存在が異なるということだ。
 ここは観光地ではなく、中国人が実際に生活する居住地域なのである。本当の意味でのチャイナタウンといってもいいだろう。
 事実、西川口の中国人住民はここ10年間で急増している。川口市の統計資料によると、17年時点での川口市の中国人の住民数は1万8000人弱で、06年に比べて1万人以上も増加している。

https://toyokeizai.net/articles/-/233998
 中華街について詳しい立正大学山下清*39教授は最近になってこの一帯を「西川口チャイナタウン」と呼び始めた。「中華街」という言葉はそもそも、1955年に今の横浜中華街に建てられた牌楼門にそう書かれたことに由来している。
 日本人にとっての観光地というイメージの強いその「中華街」と区別するために、山下教授はあえてこのエリアを「チャイナタウン」と定義した。
(中略)
 過激な風俗店の数が一時は200を超えたが、2000年の半ばの摘発をきっかけにそのほとんどが消えた。
 その後に増加したのが中国料理店だった。今ではこのエリアのあちこちで「麻辣湯(マーラータン)」「鴨脖(注:鴨首のスナック)」「油条(注:細長い揚げパン)」といった看板が躍っている。

http://news.livedoor.com/article/detail/15017603/
 近所のイトーヨーカドーのフードコートでは、鴨の頭や鴨の首が中国語の説明書きのみで売られている。日本人は誰も買わず、中国人だけが買うのでこうなっているようだ。
 西川口には、多くの在日中国人の故郷である旧満州福建省の料理のほか、雲南省の過橋米線(グォチャオミィシエン)、西安*40刀削麺(ダオシャオミエン)、湖北省の鴨ボー(ヤーボォ)、甘粛省の蘭州*41拉麺(ランヂョウラーミエン)、新疆ウイグル自治区の郷土料理など中国各地の味が揃う。

 まあ中にはそういう「中国人客やマニアな日本人客向け」の店もあるんでしょうね。すべてがそうではないでしょうが。


■私の一冊(筑波大学新聞 第270号 2008年6月16日):本多勝一著 『極限の民族:カナダ・エスキモー、ニューギニア高地人、アラビア遊牧民*42山下清
http://www.geoenv.tsukuba.ac.jp/~yamakiyo/daigakushinbun.html

 東京教育大の学生であった頃,中央線沿線の西荻窪に住んでいた。いつも銭湯の帰りには,洗面器を持ったまま古本屋に立ち寄った。その時に買った本が,本多勝一著『極限の民族』(朝日新聞社,一九六七年刊)であった。当時,本書はベストセラーであり,私が買ったのは,刊行から四年あまり過ぎた第一四刷であった。
 著者の本多勝一は,当時,朝日新聞のスター記者であり,のちに,ベトナム戦争や日本軍の中国での残虐行為などのルポを朝日新聞に連載して大きな反響を呼んだ。
 本書は,朝日新聞に連載されたルポをまとめたもので,「カナダ・エスキモー」,「ニューギニア高地人」,「アラビア遊牧民」の三部作からなっている。いずれも,現地に住み込んで,当時ほとんど知られていなかった民族の姿を生き生きと描き出した。理学部地学科地理学専攻の二年生であった私は,本書を読んで,将来は自分も外国の民族について調査をしたいと思うようになった。今思えば,私が世界の華人(華僑)社会やチャイナタウンの研究をするようになったのも,『極限の民族』の影響だろう。二年生の終りの春休み,私は本多のまねごとをしながら,リュックを背負って東南アジアのひとり旅に出かけた。
 「カナダ・エスキモー」の中で,本多がカリブーやアザラシなどの生肉を食べる場面が出てくる。本書から学んだことの一つは,調査者は,現地の人々が食べているものを食べ,できるだけ現地の人々と同じ生活をするべきだということである。大学院時代にシンガポールに留学した際にも,東南アジア各地を歩きながら,このことを実践するように努めた。
 大学教員になってからも,屋台や大衆食堂で,できるだけ現地の人々と同じものを食べるようにしている。中国や韓国では犬料理を味わい,池袋チャイナタウン(池袋駅北口周辺)の調査でも,院生たちといっしょに,犬肉の鉄板焼きや蚕のさなぎの串焼きなどを食べながら,「人文地理学をやるんだったら,何でも食べられないとダメだ!」などと,アカハラもどきの「指導」をしている。

 「カイコ、本多氏」でググったら、ちょうどヒットしたので紹介しておきます。

*1:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*2:第一次安倍、福田内閣沖縄・北方等担当相、第二次、第三次安倍内閣外相を経て、現在、自民党政調会長

*3:小泉内閣国交相自民党政調会長(第一次安倍総裁時代)、幹事長(谷垣総裁時代)、第二次安倍内閣環境相、第三次安倍内閣経済財政担当相を歴任

*4:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)を経て首相。現在、第二〜第四次安倍内閣副総理・財務相

*5:産経新聞ニューヨーク支局長、外信部次長など歴任。著書『安倍晋三と「宰相の資格」』(2006年、小学館文庫)、『それでも中国と付き合いますか?』(2008年、ワック文庫)、『民主党政権で日本は滅びる』(2010年、ワック文庫)、『すべては朝日新聞から始まった「慰安婦問題」』(2014年、ワック文庫)

*6:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、福田内閣経済企画庁長官、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相などを経て首相。首相退任後も小渕、森内閣で蔵相

*7:片山内閣逓信相、鳩山内閣運輸相、岸内閣科学技術庁長官(経済企画庁長官兼務)、池田内閣科学技術庁長官、自民党政調会長、幹事長(池田総裁時代)、佐藤内閣通産相、外相、田中内閣副総理・環境庁長官などを経て首相

*8:岸内閣農林相、自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)、佐藤内閣蔵相、外相、田中内閣蔵相、三木内閣副総理・経済企画庁長官などを経て首相

*9:アイゼンハワー政権副大統領を経て大統領

*10:ジョージア州知事を経て大統領。2002年ノーベル平和賞受賞者

*11:著書『中国を追われたウイグル人:亡命者が語る政治弾圧』(2007年、文春新書)など

*12:著書『ルポ 戦場出稼ぎ労働者』(2010年、集英社新書)など

*13:著書『戦争と平和:それでもイラク人を嫌いになれない』(2004年、講談社)、『破壊と希望のイラク』(2011年、金曜日)など

*14:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相を歴任

*15:吉田内閣蔵相、鳩山内閣通産相などを経て首相

*16:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後、自民党幹事長(鳩山総裁時代)、石橋内閣外相を経て首相

*17:俺個人は靖国尖閣では中国を支持するというか、日本の行為に非常に問題があったと思いますが。

*18:日立製作所会長

*19:小渕、森内閣運輸相、小泉、福田、麻生内閣経産相自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)を経て現在、幹事長

*20:第一次安倍、福田内閣沖縄・北方等担当相、第二次、第三次安倍内閣外相を経て、現在、自民党政調会長

*21:著書『草原と馬とモンゴル人』(2001年、NHKブックス)、『モンゴル草原の文人たち:手写本が語る民族誌』(2005年、平凡社)、『チンギス・ハーン祭祀』(2005年、風響社)『墓標なき草原(上)(下):内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録』(2009年、岩波書店)、『続・墓標なき草原:内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録』(2011年、岩波書店)、『中国とモンゴルのはざまで:ウラーンフーの実らなかった民族自決の夢』(2013年、岩波現代全書)、『植民地としてのモンゴル:中国の官制ナショナリズムと革命思想』(2013年、勉誠出版)、『ジェノサイドと文化大革命内モンゴルの民族問題』(2014年、勉誠出版)、『モンゴルとイスラーム的中国』(2014年、文春学藝ライブラリー)、『チベットに舞う日本刀:モンゴル騎兵の現代史』(2014年、文藝春秋)、『狂暴国家中国の正体』(2014年、扶桑社新書)、『日本陸軍とモンゴル:興安軍官学校の知られざる戦い』(2015年、中公新書)、『モンゴル人の民族自決と「対日協力」:いまなお続く中国文化大革命』(2016年、集広舎)、『「中国」という神話:習近平「偉大なる中華民族」のウソ』(2018年、文春新書)、『「知識青年」の1968年:中国の辺境と文化大革命』(2018年、岩波書店)、『最後の馬賊:「帝国」の将軍・李守信』(2018年、講談社)、『モンゴル人の中国革命』(2018年、ちくま新書)など

*22:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官を経て首相

*23:宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相を経て首相

*24:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*25:鳩山内閣財務副大臣菅内閣財務相、首相、民進党幹事長(蓮舫代表時代)を歴任

*26:共同通信社香港、モスクワ、台北各支局長、編集委員論説委員を経て、現在、客員論説委員。著書『中国と台湾:対立と共存の両岸関係』(2003年、講談社現代新書)、『尖閣諸島問題』(2012年、蒼蒼社)など

*27:共青団中央書記処第一書記、河南省長・党委員会書記、遼寧省党委員会書記、第一副首相などを経て首相(党中央政治局常務委員兼務)

*28:著書『対馬が危ない:対馬を席巻する韓国資本』(2009年、産経新聞出版)、『爆買いされる日本の領土』(2017年、角川新書)など

*29:どんな関係だよ?ですね。中国へ農産物を輸出するのだって関係ですし。

*30:一時消息不明だったが、脱税を理由に追徴金が課されることが発表され、当人も姿を現している。

*31:中国公安部副部長、国家海洋局副局長、海警局局長を歴任。現在、汚職を理由に中国捜査当局に身柄拘束され捜査を受けているとみられる。

*32:「在日朝鮮・韓国人」「琉球民族」でわかるようにこの場合の「人種」には民族が含まれます

*33:とはいえアイヌ問題でもこの委員会から「小野寺まさるのようなアイヌ差別暴論を日本政府はきっちりダメ出ししろ。放置するな(実際には、事実上野放し状態)」などのだめだしが出ていて、それについても産経が逆ギレてますが。

*34:那覇市議、沖縄県議、那覇市長を経て沖縄県知事。著書『闘う民意』(2015年、KADOKAWA

*35:たとえば少女への性的暴行事件がきっかけで大規模な抗議集会が沖縄で開かれたのは橋本政権時代です。

*36:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*37:ミャンマーの首都

*38:カイコについては本多勝一氏(長野出身)が「私が子どものころは、まだ養蚕がされていたので食べたことがある。結構おいしい(要約)」と、本多『本多勝一はこんなものを食べてきた』(2004年、七つ森書館)に書いていた記憶があります。

*39:秋田大学教授、東洋大学教授、筑波大学教授を経て、現在、立正大学教授。著書『チャイナタウン』(2000年、丸善ブックス)、『池袋チャイナタウン:都内最大の新華僑街の実像に迫る』(2010年、洋泉社)、『改革開放後の中国僑郷:在日老華僑・新華僑の出身地の変容』(編著、2015年、明石書店)、『新・中華街』(2016年、講談社選書メチエ)など。個人サイト(http://qing-hai.org/)(ウィキペディア山下清海」参照)

*40:陝西省省都

*41:甘粛省省都

*42:1967年、朝日新聞社。後に本多『カナダ=エスキモー』、『ニューギニア高地人』(1981年、朝日文庫)、『アラビア遊牧民』(1984年、朝日文庫)として文庫化。