黒坂真に突っ込む(2019年12月11日分)

■黒坂ツイートにコメント

黒坂真
‏ 日本共産党は現在から未来永劫にわたって、日本を攻撃、侵攻する国はないと盲信しています。

 「未来永劫無いか」はともかく「当面無いこと」は確かです。ロシアも中国も北朝鮮もそんなことは考えてないでしょう(そもそも中国や北朝鮮が侵攻するとしたら日本よりむしろ台湾や韓国でしょうが*1)。黒坂は一体どこの国が日本を侵攻するというのか。
 在日米軍自衛隊がある*2以上、軍事侵攻しても勝てるかわからない。
 また現在は「戦争に勝てばいい」つう時代ではありません。「戦争は原則として悪」という認識が定着している以上、「戦争の正当性」をアピールし「国際社会の支持」を得なければならず、だからこそ侵攻などそう簡単にはできない。イラク戦争のようにフセイン政権を打倒しても「大量破壊兵器なんかウソじゃないか」と非難されて、ブッシュ子政権やブレア政権がレイムダック化し、「共和党オバマ民主党に大統領選で敗北した」「労働党がキャメロン保守党に政権奪還された」のはそういうことです(敗北理由はそれだけではないですがそれも大きいでしょう)。
 「戦争に勝てばそれだけでメリット」という時代ではもはやない。
 かつ日本には「科学技術力」以外にはろくな資源がない(その科学技術力も韓国や中国などに追いつかれ、追い抜かれつつあると思いますが)。中東のように石油が埋まってるわけでもない。そんな国を軍事侵攻して直接支配しても大してメリットはないでしょう。日本を金儲けに利用するなら、何も軍事侵攻する必要も無い。
 日本企業を国内に誘致してもいいし、日本企業と合同研究してもいいし、可能なら、「シャープが台湾企業の傘下になった」ように日本企業を買収してもいい訳です。
 また、自国に有利な状況を中国、ロシア、北朝鮮がつくりたいなら「日米貿易交渉」のように外交すればいい話です(日本が経済制裁し、関係がほとんど無い北朝鮮はともかく、中露は実際に日本とこれらの国が交渉し、その結果、日中、日露の経済交流は進んでいます)。
 戦争は「酔っ払いのケンカ」とは違います。国益のためにやるのであり、当然ながら「むしろ戦争はマイナスが大きい」「戦争以外の方法(典型的には外交)でプラスになる」なら誰も戦争などしません。
 で、共産党は「日本侵略など現在の情勢でありえない*3」「今の日本の軍事力はむしろ過大」「在日米軍がなくても自衛隊で対応できる(そもそも在日米軍イラクなどに出撃しており日本防衛が目的ではない)」などの認識の元、「在日米軍はいらない」「自衛隊はもっと軍縮すべきだ」と主張しているに過ぎません。主張の是非はともかく、共産党は黒坂の言うようなことは何一つ主張していない。

黒坂真
 日本共産党本部の皆さん。立憲民主党幹部には、政権をとろう、という気持ちがあまりないように思えます

 やれやれですね。そんなことは「立憲民主党本部」のツイートならともかく、共産党本部のツイートにリツイートされても「はあ?」「そういう意見表明は立民の関係者にして下さい。我々野党共闘してるとは言え立民の考えなんか分かりませんので」と言う話です。
 まあ、それはともかく、「黒坂のツイートとは関係なく」俺も「京都市長選で自民系現職に相乗りなどする」立民に、そして「参院選大阪選挙区で愚劣にも自党候補擁立を強行し、共産現職の辰巳氏を落選させた(そして立民候補も落選)」立民には「政権を取ろうという意識があるのか」疑問に思っています。大阪選挙区において立民候補の当選可能性が低いことなど選挙前からわかりきっていたはずです。
 「最大野党で支持率も一番高いから、いずれ、国民民主など昔の旧民主党仲間を立民に加入したがるだろう。政権を目指すのは急がなくてもいい。とにかく今は安倍を首相から引きずり下ろせばいい」「とにかく共産党とはあまりつきあいたくない(反共主義)」という態度が露呈しているように思います。
 本気で政権を目指すなら遠い将来はともかく、近い将来においては「現在の立民の党勢」では難しいことはわかりきっています。
 共産も含む野党共闘を目指すのが当然です。
 にもかかわらず、参院大阪選挙区に自党候補擁立を強行し、自党候補が「共産候補・辰巳氏を下回る得票」で落選したあげく、野党支持層の票の分裂で共産・現職の辰巳氏も落選、立民が候補を擁立しなければ「辰巳氏の当選の可能性は充分あった」というのでは「立民はアホか」と呆れざるを得ません。

*1:まあ台湾や韓国への侵攻もないと思いますが。

*2:それらの存在を俺が肯定しているわけではなく事実の指摘です

*3:そもそも過去の日本の歴史で「日本が何もしてないのに侵略された」といえるのは「鎌倉時代元寇」くらいしかないのではないか。太平洋戦争末期のソ連参戦は「日本が何もしてないのに侵略された」とはとても言えないでしょう(まあソ連参戦を「日本が何もしてないのに侵略された」と見なしたところで日本が過去に侵略などほとんど受けてないことに変わりはありませんが)。