民主主義社会でこそ抹殺された「土人のお祭り」 | 三浦小太郎BLOG Blue Moon
呉智英氏の「日本衆愚社会*1」(小学館新書)を再読していたら、最初の時は読み飛ばしてしまっていたらしいが、とても面白い歌が紹介されていたので、豆知識としてここにも引用します。
ヤシの木陰でどんじゃらほい
シャンシャン手拍子足拍子
太鼓たたいて笛ふいて
今夜はお祭り パラオ島
土人さんがそろってにぎやかに
あ ほういほういよ どんじゃらほい
作詞は玉木登美夫という人で、題名は「土人のお祭り」。戦前の歌だそうですが、戦後は禁止となりました。
呉氏はこのことを次のように語っています。
「戦前は自由に歌われた歌だが、表現の自由が実現した民主主義の中で抹殺された。民主主義というものはそういうものだから当然でしょ、という考えなら、それでいいのだけれど」(呉智英)
おいおいですね。後で指摘しますが当初、禁止命令を出したのはGHQらしい。もちろんGHQの禁止命令は「民主主義云々」ではない。GHQは日本国民の選挙で選ばれた機関ではありませんので。
もちろん「日本の独立回復後に使用がされなくなったこと」も「民主主義云々」と言う話ではない。「土人という言葉は差別的ではないか」というのは民主主義云々という話ではない。
そもそも「差別的ではないか」として使われなくなった言葉なんか
・裏日本→日本海側
・精神分裂病→統合失調症
・痴呆症→認知症
・日本のチベット「岩手県」→まず使用されない
・ライ病→ハンセン病
などいくらでもあるわけです。
わけの分からない民主主義への因縁を付け出すとは「呉某って、戦前の天皇主権は正しかったと言い出す気か?」と心底呆れます。
参考にウィキペディア「森の小人」の記述を紹介しておきます。
◆森の小人(ウィキペディア参照)
・当時日本の委任統治領*2であったパラオ島の夜祭にテーマをとり、玉木登美夫(作家・金谷完治の童謡作詞時のペンネーム)が作詞。
・「土人のお祭り」という題で1941年(昭和16年)7月に秋田喜美子の歌でキングレコードから発売された。
・ただし、戦前、この曲はあまり一般受けせず、それほど人気はなかった。
◆「森の小人」の誕生
戦後になり、GHQ(連合国総司令部)の民間情報教育局(CIE)から、土人の表現が差別的である、という指摘があり、そのままでは発売できない状態になる。
キングレコードのディレクター山田律夫は、作詞中の表現を、椰子⇒森、パラオ島⇒夢の国、土人⇒小人、といった形で改作し、題名も「森の小人」に改めた。
呉氏はとても適切な分析をしていて、「土人」とは「土着の人」のこと
「ジャップはジャパニーズの省略にすぎない」レベルの酷い詭弁ですね。ならば、たとえばチベット人、ウイグル人のことを「チベットやウイグルの土人(土着の人)」と呼んでいいのか。
河口慧海(黄檗宗の僧侶。大正大学教授)は著書『チベット旅行記』(現在は講談社学術文庫、中公文庫BIBLIO、白水uブックス。また、著作権が切れてるらしく現在では
河口慧海 チベット旅行記でも読める。)において「チベットの土人」と書いていますが、それは三浦や呉的には
・河口が生きた時代(1866年(慶応2年)~1945年(昭和20年))では「土人」表記でも仕方がない
・歴史的文献だから無修正でそのまま発行すべきだ(その上で、断り書きを付ければいい)
ではなく「そもそも土人は差別語ではないから今も『チベットの土人』と呼んでいい」のか。
ペマ・ギャルポ、I濱Y子・早稲田大教授、M谷N子・明治大准教授などが怒り出すんじゃないですかね。三浦も「速攻で崩壊する詭弁」なんか吐いて恥ずかしくないんでしょうか。