黒坂真に突っ込む(2020年4月12日分)(追記あり)

黒坂真
 日本共産党本部の皆さん。皆さんは全国民に10万円の給付と、休業となったあらゆる企業に補償を主張。総額いくらの予算になりますか。

 常日頃は、日本共産党相手に「日本共産党が提案するように強制性交罪を不同意性交罪にしたら美人局が増える(不同意性交罪の是非はともかく既にそうした法制度はドイツやスウェーデンで導入されている上にそうした弊害があったという報告もないのでデマも甚だしい)」などくだらないデマ中傷しか「しない」「できない」反共デマ極右・黒坂ですが、今回はまあ、「それなりにまとも」です。 

 休業となったあらゆる企業に補償

は休業要請を政府がしている以上当然の話で『いくら補償するか』はともかく、「補償しない方がおかしい」。
 ただし「10万円の給付」については「困ってる人間にのみ給付すれば充分で、全国民に給付する必要はないのではないか(例:資産階級にも給付金を与えようとする「労働者階級の党」: 白頭の革命精神な日記)」「予算的に可能なのか。臨時増税するのか、国債発行するのか、どうするのか」「5万でも、20万でもなく10万とした根拠は何か」などの疑問提示や批判は「黒坂のような反共極右ではない善意の批判(共産党支持層も含む)」でもありえますので、それに対する「理論武装」はきちんとしてほしいところです。
 なお、この「10万円支給論」は

新型ウイルス “国民1人当たり10万円給付を” 国民民主党 | 注目の発言集 | NHK政治マガジン
 新型コロナウイルスの感染拡大で国民民主党は、国民1人当たり10万円を給付することや、今後1年程度、消費税率を5%に引き下げることなどを盛り込んだ緊急の経済対策をまとめました。

立憲・枝野代表「現金給付、所帯という考え方は古い」:朝日新聞デジタル
 私たちは一貫して、1人当たり10万円以上(の給付を主張している)。

「1人10万円以上給付 追加検討も」立民など緊急提言 | NHKニュース
 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、立憲民主党などはすべての国民に1人当たり10万円以上を給付し、経済状況によっては追加の給付も検討するよう求める緊急提言をまとめました。
 立憲民主党、国民民主党社民党の野党3党などがまとめた提言では感染拡大を受けた経済対策は、企業の倒産などを防ぐための「緊急対策期」と終息後の「活動再開期」の2段階で対応すべきだとしています。
 「緊急対策期」にはすべての国民に1人当たり10万円以上を給付し、経済状況によっては追加の給付も検討することなどを求めています。

ということで立憲民主党の枝野*1代表、国民民主党の玉木*2代表、社民党の福島*3党首など、「共産党以外の政治家」にも主張者がいることはぐぐれば分かりますが「枝野、玉木、福島などは批判せず」共産党のみに噛みつく辺り、黒坂らしい反共極右ぶりです。

【4/15追記】

二階氏「一律10万円給付を」 所得制限は今後検討 :日本経済新聞
自民党二階俊博*4幹事長は14日、2020年度第2次補正予算案の編成を念頭に、国民への一律10万円の現金給付を政府に要請する考えを示した。「一律10万円の現金給付を求めるなどの切実な声がある」としたうえで「できることは速やかに実行に移すよう政府に強力に申し入れたい」と述べた。高額所得者の扱いは検討する方向だ。
・受給者の所得制限を設けるかどうかについては「所得がたくさんの方々に対してまでやっていくだけの財政的なゆとりはなかなか困難だと思うが、これから関係者の間で十分検討願おうと思う」と語った。一律10万円という金額は「(党内で)まとまればそういう方向でいく」と話した。
 新型コロナが日本経済に大きな打撃となっている現状を踏まえ「国民に安心の気持ちを持ってもらうためにそういう対策も必要だ」と主張した。

山口代表、首相に「1人10万円」要請 所得制限なし [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル
 安倍晋三*5首相は15日、首相官邸公明党山口那津男*6代表と会談した。山口氏は、新型コロナウイルス感染症に対する追加の経済対策として、所得制限を設けず国民1人あたり10万円を給付するよう要請。首相は「方向性を持ってよく検討をしたい」と応じた。
 会談後、山口氏が記者団に明らかにした。山口氏は会談で「緊急事態宣言を発してから、広範な深い影響が社会経済に及んでいる」と指摘。10万円の給付で「先が見通せず困っている状況に、その励ましと連帯のメッセージをしっかりと伝えるべきだ」と要請したという。首相の反応について、山口氏は記者団に「積極的に受け止めていただいたものと理解している」と語った。

 ということでご存じの方も居るでしょうが、二階自民党幹事長や山口公明党代表も「全世帯10万支給」を言い出しましたね(彼らの主張が共産党など野党の主張のパクりかどうかは不明ですが)。そして安倍がどこまで本気かはともかく、山口氏の要請に「やります」とはいわないものの「検討する」とはいった。
 二階、山口発言が出た時点で、黒坂が本気で「10万支給論は無責任だ」と思うのなら、「共産党に引きずられて、無責任な人気取りをするのはやめろ」と二階、山口を批判すべきでしょう。与党最高幹部の発言は軽いものではない。
 ところが、黒坂は「10万支給論」を「共産を叩くためのネタ」としか考えてない、ただの「安倍自民万歳」「反共右翼」なので二階、山口批判なんかしません(もちろん過去の共産批判との整合性が明らかになくなるので二階、山口を支持もしませんが)。
 さすがに「10万円支給」での共産批判ツイートは止める黒坂ですが、とはいえ過去の「10万円支給なんて共産は無責任だ、財政健全化に反する」という趣旨のツイートを削除もしないし、もちろん撤回もしません。以前から分かってる話ですが、黒坂はどこまででたらめなのかという話です。

【4/16追記その1】

黒坂真
 福山和人さん。私も自民党若手議員の批判は貴重と思いますが、日本共産党国会議員が志位さんや小池さんの見解を「野党でいる資格がない」などと批判する声明を出したらどうなるか、御存知ですよね。即刻除名。
◆福山和人
 自民党の若手議員らが安倍政権のコロナ対策を批判し始めた。自粛要請に対して補償をしない点などを批判し「経済対策の体を成していない」「こんな対策しか作れないのなら与党でいる資格がない」「100点満点で10点」と厳しい見方を示した。
安倍政権のコロナ経済対策、なんと自民若手たちが「批判」を始めた…!(小川 匡則) | マネー現代 | 講談社(1/6)
 安倍首相は4月7日、ついに緊急事態宣言を発令した。それに合わせて決定した緊急経済対策は「事業規模108兆円」という数字が躍る。
 安倍首相は記者会見で「GDPの2割に当たる事業規模108兆円、世界的にも最大級の経済対策を実施することとした。考え得る政策手段を総動員して、この戦後最大の危機を乗り越えていく決意であります」と力強く語った。
 しかし、この「108兆円」というのはあくまで「事業規模」であり、融資(将来的には返済を求めるもの)や当初予算で未執行だった事業なども含まれている。「コロナ問題のため」に「新たに国債を発行して」財源を確保したいわゆる「真水」は新規発行国債のわずか16兆8000億円余りに過ぎないのだ。
 実際、この「108兆円の経済対策」に対しては、国民民主党玉木雄一郎代表が「膨らし粉で膨らませたような経済対策」、「1 trillion dollar(1兆ドル)と言いたかっただけでは」(当時1ドル108円前後で推移)と揶揄したように、インパクト重視で実効性の乏しい内容だと批判する声が少なからず出ている。
 じつはそうした声は「身内」である自民党内部からも出始めている。
 自民党議員連盟「日本の未来を考える勉強会」は3月11日、首相官邸や党本部に対して若手議員50名超の賛同を得て「消費税ゼロ」「30兆円規模の真水投入」などの提言を行った。
 議員連盟の会長を務める安藤裕*7衆院議員は今回発表された政府の経済対策について、「点数をつけるなら100点満点で10点。自粛の要請に対して補償は一切しないというのはおかしい。30万円の支給というのも支給要件が厳しすぎる上、時間がかかる。給付は一律で迅速に行うべきだった」と厳しく批判する。
 政府の経済対策は4月6日、自民党本部で行われた成長全体会議で了承された。安藤氏はその会議の場で「経済対策の体を成していない。撤回すべきだ。こんな対策しか作れないのなら与党でいる資格がない」と公然と批判し、党内をざわつかせた。

 いやいや「何が貴重なの?」ですよねえ。黒坂は「財政危機を考えたら安易な経済支援論には賛成できない。そもそも予算をどう考えてるのか!。国債発行するのか、臨時増税するのか!」などと共産党の「10万円支給論」を批判していたのだから同じ事を安藤氏ら自民党若手議員*8に言うべきでしょうよ。
 にもかかわらず「安倍批判が出来る自民党は素晴らしい、共産党とは違う」と話のすり替え。「若手議員の安倍批判」に賛同するか、反対するかは答えずに逃げる。
 しかも今回「若手議員が安倍批判してる」のはこの件では安倍もさすがに「この程度で粛清したらまずい」と思ってるからであって「粛清の恐怖があっても安倍批判」なんて話ではない。「溝手氏*9に対する刺客擁立(河井案里)」「前川氏に対する読売『出会い系バー』報道」などで分かるように安倍は「本当に憎悪を感じたら」容赦なく潰そうとするでしょう。
 モリカケ桜を見る会では「石破*10以外はほとんど安倍批判しない、出来ない惨状」「その結果、石破が安倍に露骨に干されてる惨状」を見ながら良くもふざけたことがいえたもんです。

【4/16追記その2】
首相が補正予算案の組み替え指示 新型コロナ、10万円一律給付へ - 産経ニュース

 安倍晋三首相は16日、新型コロナウイルス対策として、国民1人当たり10万円の現金を一律給付するため、令和2年度補正予算案を組み替える方向で検討するよう麻生太郎*11財務相に指示した。政府関係者が明らかにした。

 ということで「黒坂が悪口していた共産党の10万円支給論」を安倍が実行するそうですが、まあ黒坂が安倍批判しないことはいうまでもありません。
 なお、この10万円支給を仮に「肯定的」に評価するとしても、先に「10万円支給」を言い出したのは共産党立憲民主党、国民民主党社民党と言った野党側である以上、赤旗記事政府一転/1人10万円給付検討へ/野党の要求と世論の批判受け 首相が表明が指摘するように、「安倍を追い詰めた(?)野党の手柄」と見なすべき*12でしょう(まあ、安倍と安倍自民支持層は絶対にそうは言わないのでしょうが)。

参考

政府一転/1人10万円給付検討へ/野党の要求と世論の批判受け 首相が表明
・政府は15日、新型コロナウイルス感染拡大を受けた追加経済対策として、国民1人あたり10万円の現金給付を実施する検討に入りました。全ての国民を対象とする現金給付と自粛に対する継続的な補償を求める日本共産党立憲民主党など野党の要求と、政府が先に発表した「30万円給付」は不十分だとの世論の批判を受けて、方針転換を余儀なくされたものです。
日本共産党は6日の「緊急要望」でも、自粛要請と一体に補償を行うこととともに、緊急にすべての国民を対象に1人10万円の給付金を支給することなどを求めていました。
 しかし、安倍首相は日本共産党や野党の要求をかたくなに拒否。7日発表の政府の「緊急経済対策」も、収入が急減した世帯への30万円の給付を盛り込んだものの、少額で支給の対象範囲が狭く、手続きが複雑であるうえ、継続的な補償を否定していました。
 これに対して、国民から不十分だとの声が強まっていました。自民党内からも、二階俊博幹事長が14日に所得制限付きの一律の10万円の現金給付を政府に求める考えを示したほか、有志議員グループ*13が一律10万円以上の給付を行うよう要請文を政府に提出(8日)していました。
◆志位委員長
 日本共産党志位和夫委員長は、安倍晋三首相の10万円給付検討を受けてツイッターで、「『まず補正予算案を通してから』などと言わずに、いまの補正予算案を急いで組みなおして、その中に『すべての日本在住者に1人10万円給付』を書き込むべきだ」と表明しました。

*1:鳩山内閣行政刷新担当相、菅内閣官房長官、野田内閣経産相民主党幹事長(海江田、岡田代表時代)、民進党代表代行(前原代表時代)を経て立憲民主党代表

*2:民主党政調副会長、民進党幹事長代理、希望の党代表などを経て国民民主党代表

*3:社民党幹事長、鳩山内閣少子化等担当相、社民党副党首などを経て党首

*4:小渕、森内閣運輸相、小泉、福田、麻生内閣経産相自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)を経て幹事長

*5:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*6:公明党参院国対委員長公明党政調会長などを経て代表

*7:第4次安倍改造内閣復興大臣政務官

*8:若手と言っても「自民党での若手」であり、安藤氏は55歳というおじさんですが。

*9:第一次安倍内閣国家公安委員長(防災担当相兼務)

*10:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相を歴任

*11:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)などを経て首相。現在、第二~四次安倍内閣副総理・財務相

*12:勿論否定的に評価すれば話は別で「安倍も公明も野党もバカだ」ですが。個人的には「今すぐ10万が欲しいほど生活に困ってるわけでもない俺のような人間までもらっていいのか(もらっても多分貯金するし)。ましてや大金持ちまでもらっていいのか→やはり貧困者限定で集中投下した方がいいのでは?(注:もちろんこれは安倍の発表した30万円給付をそのままの形で支持するという話とは違います)。これは悪しきポピュリスムでは?」つう疑問を感じます(正直、こう言っては失礼ですが、よほど金に困ってる人間でない限り10万円は「その程度では子どもの大学進学費用、親の介護費用など多額の出費はまかなえない端金」にすぎません)。共産支持者とは言え、共産党の「10万支給論」に話を限れば俺は否定的見解です。いや「10万くれるというなら、もらいます(拒否したり、どこかに寄付したりするほど善人(?)ではない)」けどね。そして「歴史修正主義極右への批判(国民民主党はその点が明らかに弱い)」「消費税増税への批判(立民はその点が明らかに弱い)」などで共産を今後も強く支持しますが(まあ10万支給論支持は共産だけでなく立民や国民民主もそうですしね、そう言う意味でも「10万円支給論」での疑問は俺において共産不支持の理由にはなりません)。

*13:安倍政権のコロナ経済対策、なんと自民若手たちが「批判」を始めた…!(小川 匡則) | マネー現代 | 講談社(1/6)が紹介する議員グループのこと