今日の産経ニュースほか(2021年2月12日分)

菅首相が過去に森喜朗会長と同じような女性差別発言 会見で女性は質問するより控えた方が好きかと問われ「そっちのほうがいい」|LITERA/リテラ2021年2月8日

 いまもっとも森会長を守っているのは、言うまでもなく菅義偉首相だろう。
 実際、新聞とテレビが差別発言を大きく報じはじめた4日の衆院予算委員会では、菅首相は「森会長が発言された内容の詳細は承知していない」などと(ボーガス注:どう見ても嘘としか思えない)驚きの答弁をおこない、その後、立憲民主党菊田真紀子衆院議員が森会長の発言内容を紹介してようやく「あってはならない発言だと思っています」と述べた。
 しかし、5日の衆院予算委員会では、日本共産党藤野保史衆院議員が「辞職を求めるべきではないか」と問うと、菅首相は「内閣総理大臣にその権限はない」「組織委は公益財団法人であり、総理大臣としてそうした主張をすることはできない」と拒否したのである。
 まったく何を言うか。そもそも森氏を組織委の会長に就任させるべく文科省に正式要請したのは、下村博文*1五輪相、竹田恒和*2日本オリンピック委員会JOC)会長、秋山俊行*3東京都副知事(いずれも肩書は当時)だが、実際には〈東京都やJOCは、政治的中立性や資金集めに有利などの理由で財界人を希望〉していた(朝日新聞2014年1月15日付)。ところが、組織運営の主体であるはずの東京都やJOCの意向をよそに森氏を会長にねじこんだのは、当時の安倍晋三首相だ。つまり、公益社団法人であるために総理大臣には選任も解任もする立場にないというのに、安倍首相の意向によって森氏は会長となったのだ。
 そして、安倍前首相の“親分”である森会長は、絶対的権力を誇る安倍氏を後ろ盾にしたことで、権限を自分に集中させ、これまで組織委会長として暴言をいくら連発してもスルーされてきた。政府関係者は「森会長にそんたくするあまり、政界も官僚も誰も何も言えなくなった」と述べている(毎日新聞5日付)。
 菅首相にしても、直接解任させることができずとも、公然と性差別発言をおこなって国際社会から非難を浴びるという国益にかかわる状況に陥っているのだから、「辞職するべき」と促すことは当然できる。だが、菅首相も、その当然の一言さえ言おうとはしないのだ。
 しかし、菅首相が「辞職すべき」と言わないのは、「いまさら森氏の代わりがいないから」などという理由だけではない。むしろ、性別で差別をおこなうという森発言の問題の深刻さを、菅首相はいまだにわかっていないのではないか。
 忘れてはならないことは、菅首相は性差別発言をスルーした前例があることだ。
 それは、菅氏が総理に就任して9日後である、昨年9月25日に杉田水脈衆院議員がおこなった「女性はいくらでも嘘をつけますから」という発言だ。
 このとんでもない暴言が飛び出したのは、自民党の内閣第一部会などの合同会議でのこと。女性への性暴力や性犯罪について議論するなかで、杉田議員は、来年度予算の概算要求を受け、女性への性暴力に対する相談事業について民間委託ではなく警察が積極的に関与するよう主張。そうした議論のなか、「女性はいくらでも嘘をつけますから」などと、女性被害者が虚偽申告するというような発言をおこなったとされている。
 これは性犯罪の被害者攻撃をさらに助長するもので、断じて許されない暴言であり、森発言と同じように重大な性差別発言だ。
 菅首相については、「安倍前首相と違って極右的傾向がないからまだマシ」などという声もあったが、性差別という問題では、安倍首相と思考がほとんど同じなのである。
 たとえば、官房長官時代の2015年9月には、福山雅治吹石一恵の結婚に際して「(ボーガス注:福山ファンの?)ママさんたちが一緒に子どもを産みたいとか、そういうかたちで国家に貢献してくれればいい」「たくさん産んでください」とコメント。子どもを産むことを「国に貢献」することなのだと堂々と明言したこともある。
 さらに、菅首相は森会長とまったく同じように、女性の発言を封じ込めようとしていた。その典型が、東京新聞の望月衣塑子記者におこなった数々の嫌がらせだ。
 森会長が「組織委の女性はわきまえている」とし、積極的に発言する女や、自分にとって不都合なことを言う女はわきまえていないと言わんばかりの発言をおこなったが、菅首相はまさに望月記者を「わきまえない女」として排除しようとしていたのだ。
 その一方、2017年7月21日の会見では(ボーガス注:SAPIO常連ライターで自民シンパ極右の)フリージャーナリストの安積明子氏が、トランプ大統領安倍昭恵氏について「ハローも言えない」とニューヨークタイムズで語ったことについて質問し、なぜか「女性からは矢継ぎ早にどんどんどんどん言われるよりも、やはりちょっと控えたほうがお好きなんでしょうか」という望月記者を当てこするような質問をおこなったのだが、菅官房長官は満面の笑みを浮かべながら「そっちの(控えた)ほうがいいですね。ヘッヘヘヘ」と答えていた。
 この発言は、トーンが柔らかいだけで、今回の森首相とほとんど同じ。菅首相もまた「女は黙っておけ」という思想をもっていることを自ら開陳したものと言っていいだろう。

 全く同感なので紹介しておきます。


新しい歴史教科書をつくる会『中学校教科書「従軍慰安婦」記述復活にSTOPを!、2月24日・東京で緊急集会を開催予定
 「はあ?」ですね。そんなことより「つくる会歴史教科書の検定不合格撤回」について何かすべきではないのか?。もはや「つくる会歴史教科書の検定合格」を目指すことは完全にあきらめたのか?
 まあ、この慰安婦記述の件だって萩生田は

萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年1月29日):文部科学省
記者)
 中学の歴史教科書における従軍慰安婦の記述問題でお聞かせください。令和元年度検定で合格した山川出版社の歴史教科書にある従軍慰安婦の記述をめぐって、「新しい歴史教科書をつくる会」などが、昨日、記述の問題点を指摘した上で、文科省の方に削除を勧告するよう求める申入れをしました。同趣旨の申入れは、先月にもなされて、教科書課名で(ボーガス注:審議会で何ら指摘がなかったのでそうした申し入れには応じられないと)回答済みなのですけれども、この問題について大臣はどのようにお考えでしょうか。また、あの、平成5年の河野談話を除いて、政府が使わなくなった用語が教科書では使われ続けるという状況が是正されるべきとの指摘もあるんですけれども、その点、どうお考えでしょうか、お聞かせください。
大臣)
 「新しい歴史教科書をつくる会」などの関係者が、昨日、文科省を来省し、担当課に再度申入書を提出したことは承知をしています。ご指摘の図書の記述については、教科書検定基準等に基づき、教科書用図書検定調査審議会の学術的・専門的な審議の結果、検定意見は付されなかったところであり、記述の訂正を発行者に勧告することは考えておりません。

としているので「つくる会の期待がかなうこと」は極めて望み薄ですが。行政訴訟を起こすのならともかく政治集会なんぞやったところで萩生田は無視するだけでしょう。


五輪組織委、後任会長選考委を設置へ 委員長に御手洗氏 - 産経ニュース
 川淵の「森氏からのご指名」発言が「密室の談合決定」と批判を浴びたことで「選考委員会」が設置されることになったわけです。もちろん委員会が本当に「実権を持っているのかどうか」や「誰が委員になるのか」という問題はありますが。


川淵氏、受諾しない考え 五輪・パラ組織委会長 - 産経ニュース
 「ええ?」ですね。別に川淵に就任して欲しいわけではないですが、前日に「引き受ける意思」を表明していたのは一体何だったのか。
 「辞退」が事実なら1)森氏より年上、2)「森氏からの指名」発言(密室の談合決定)、3)森氏を相談役として残すと表明したこと(森氏への甘い態度)への「マスコミなどの批判」から「早くもやる気を失った」のか。とはいえ森氏辞任は動かないようなので、その場合、誰が会長なのかが勿論問題になります。


経済界、森会長後任人事プロセスに不満 早期の新体制発足を - 産経ニュース

・ゴールドパートナーである三井不動産の広報担当者は森氏の発言を「五輪・パラリンピックの理念に反する不適切なもの」と批判し、辞任はその責任を取ったものと評価した。
パナソニックも「女性蔑視などの差別は当社の価値観とは相いれない」と強調する。
・森氏が会長にとどまり続けるような事態になれば、スポンサー企業の国際的なイメージ悪化につながってしまうとの不安も強かったようだ。

 これらの発言から分かること、それは森氏辞任の直接の理由は「スポンサー企業の批判」だったということです。「軒並みスポンサーが下りたら赤字になる」、その恐怖で森氏は辞任を余儀なくされたわけです。


【主張】森会長の辞意 心機一転の奇貨としたい - 産経ニュース

 ただ、川淵氏は森氏より1つ年長の84歳であり、体調の不安もある。昨年2月、東京五輪選手村の村長に就任が決まった際には「人生最後の大役」と述べていた。組織委会長となれば、さらに大きな負担をかけることになる。
 これまでもスポーツ界は、(ボーガス注:ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ理事長、日本バスケットボール協会会長、日本トップリーグ連携機構会長、大学スポーツ協会顧問、東京五輪選手村村長、東京五輪評議員会議長などと)ことあるごとに川淵氏の存在を頼ってきた。いつまで頼り続けるつもりなのか。後任に川淵氏の名が挙がることは、半面、スポーツ界に次代の後継者が誕生していない証しでもある。

 率直に言って後継者が育ってないとしたら、「後継者育成をしてこなかった川淵の責任」でしょうにねえ。というか「川淵がいつまでも最高幹部と君臨し続けたいが故に」、故意に育ててこなかったのだと思いますが。
 ついでに言えば後任が川淵になったのは、後継者云々より「森氏の意向が強い」でしょうが。川淵はマスコミ取材に早速「会長は辞めて頂くが森氏は重要な人材」として「相談役」の形で森氏を組織委員会役員に残す意向を表明しています。
 つまり「森氏を何らかの形で役員として組織委員会に残す」という人間で無ければ森氏は「辞めない意思」だったわけで、「相談役」云々はおそらく「辞任を森氏に呑ませるための取引材料」でしょう。「森氏が役員に残っても構わない」と思う人間で無ければ会長は引き受けないでしょう。
 つまり川淵は「森氏が役員に残っても問題ない」「残した事への批判は無視すれば良い」と思ってる人間だと言うことです。森氏辞任は良かったとは言え、これで「一件落着」にはとてもできないでしょう。
 ちなみに、IOCのバッハ会長からは「汚名払拭のため、ここは森氏(80代)よりもずっと若い会長(60代など:たとえばJOC会長の山下が60代です)が望ましい。出来れば女性会長がいい」という要望があったそうですが、川淵会長では「バッハの意見完全無視」であり「はあ?」ですね(追記:その後、川淵は辞退を表明しました)。

*1:現在は自民党政調会長

*2:東京五輪買収疑惑で引責辞任

*3:秋山俊行 - Wikipediaによれば現在は日本自動車ターミナル(東京都が大株主)の社長