今日の中国ニュース(2021年4月17日分)(副題:楊海英のクズぶりに呆れる)

「文明を与えてくれた中国」への忖度が日本にもたらす悪夢 | 楊海英 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
 「稲作」「律令制度」「儒教道教、仏教(思想)」などを日本に伝えた「日本にとって中国が文化先進国だった」前近代ならともかくそんな忖度は明治以降はどこにも存在しない。それどころか「南京事件」などでわかるように一時期は「明らかに中国人を後進国の劣等民族と見なす深刻な差別意識があった」ので楊のデマには呆れるほか有りません。日本が泥沼の日中戦争に突入していったのも「劣等民族などに負けるわけがない」という差別意識が明らかにありました。
 むしろ「中国ビジネスという忖度」の方が「現実的な話」です。そしてそうした忖度をしているのは日本だけで無く世界中の国がそうです。

 「中国は文明を与えてくれた大人の国*1」と日本人は理解し、「中国人は皆、孔子様が論語の中で唱えていたような聖人君子のように行動する」と考えているらしい。

 吹き出しました。本当にそうであるならば楊が『墓標なき草原 内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録』(2009年)を大手出版社「岩波書店」から出版し、2011年に司馬遼太郎賞を受賞することも無ければ、その後も

『中国とモンゴルのはざまで ウラーンフー*2の実らなかった民族自決の夢』(2013年、岩波書店
チベットに舞う日本刀 モンゴル騎兵の現代史』(2014年、文藝春秋→2020年、中公文庫)
『「中国」という神話 習近平「偉大なる中華民族」のウソ』(2018年、文春新書)
『「知識青年」の1968年:中国の辺境と文化大革命』(2018年、岩波書店
『独裁の中国現代史 毛沢東から習近平まで』(2019年、文春新書)
『世界を不幸にする植民地主義国家・中国』(2020年、徳間書店
内モンゴル紛争』(2021年、ちくま新書
紅衛兵とモンゴル人大虐殺:草原の文化大革命』(2021年、筑摩選書)

と大手出版社(岩波、中央公論新社、筑摩、徳間書店、文春)から「中国政府に批判的な著書(主として文革批判)」を出版することも無かったでしょう。よくも心にもないデマが放言できたもんです。

 1989年3月末に私が留学生として来日して間もない頃だ。ある大手出版社*3の編集者が「論語を現代語に訳し、その素晴らしい伝統を維持している中国について書けば売れる」と誘ってきたが、私は「有名人」になる近道を断った。

 まるで信憑性のない話ですね。「来日して間もない留学生(当時の楊)」なんて無名の人間に著書執筆を依頼してくる「大手出版社の編集者」がいるとはとても思えません。そんな無名人に本を書かせても売れないでしょうし、それ以前にそんな無名人を「大手出版社の編集者」が知っているなんてこともあり得ない話です。
 普通に考えて一番あり得る話は1)楊が留学生として雑誌等に研究論文を発表、2)それが出版社の編集者の目にとまり、楊が書いた論文関係での著書執筆依頼が来る、でしょう。「繰り返しますが」楊が何一つ研究活動をしてない時点で楊の存在が出版社編集に把握されることもあり得ない話なら、楊の意思や「過去の業績」*4に関係なく執筆依頼がされることもあり得ない話です。
 実際、楊海英 - Wikipediaによれば楊が最初に刊行した単著は「1989年の訪日」から大分時間が経った2001年刊行の『草原と馬とモンゴル人』(NHKブックス)です。そもそも「論語についての本」を仮に「1989年の来日直後の楊」が書いたとしても、「繰り返しますが」大して売れもせず、とても「有名人」になどなれはしないでしょうが。

 6月4日に起きた天安門事件で国民を弾圧した共産党政府に対しても、日本は欧米より甘い態度で交渉し、西側陣営の中で最も早く制裁を解いた。

 以前も別記事で書きましたが「名誉白人国家・日本がアパルトヘイト南アに制裁をしなくても」欧米はお構いなしで南アに制裁を行いました。
 つまりは「日本が対中国制裁を解除したから欧米も解除した」という「楊のような認識」は誤った認識だと言うことです(楊もそんなことは本当はよく分かってるでしょうが)。欧米には「南ア制裁」のように「対中国制裁を続行する道」はありましたが彼らは「中国ビジネスの利益」を重視し、制裁を解除しました。日本の制裁解除はせいぜい「欧米に制裁解除する口実を与え、欧米の制裁解除時期を若干早めた」程度の意味しかありません。

 日本は事実上の戦後賠償金であるODA(政府開発援助)と最新の先端技術を長らく提供し続けたが、中国は常に反日カードを使って主導権を握り続けた。

 もちろんODAや技術支援は「中国のやらずぼったくり」なんて話ではありません。日本にとってもメリットがあるからそうしたわけです。「常に反日カード」も大嘘で実際には

◆中曽根*5、小泉*6、安倍*7靖国参拝
◆鳩山*8政権の尖閣船長逮捕
◆野田*9政権の尖閣国有化

などといった「トラブルが発生したから(そしてそのトラブルを生じさせたのは日本と言うことが多い)」です。
 例えば「天皇訪中の宮沢*10内閣」などに対しては中国も楊のいう「反日カード」など切る必要はどこにも無いわけです。


立憲民主・枝野氏、日米首脳会談の成果乏しいと批判 台湾海峡めぐる合意は評価 - 産経ニュース

 立憲民主党枝野幸男*11代表は17日、日米首脳会談の成果が乏しいと批判した。福岡県春日市で記者会見し「新型コロナウイルスが蔓延する中、わざわざ菅義偉首相が行くまでのことがあったのか」と述べた。台湾海峡をめぐる合意は「大きな成果だ」と評価した。
 共産党志位和夫委員長は「日米軍事同盟を全面的に強化する方向が打ち出された。危険極まりない」と非難する談話を発表した。

 志位氏には全く同感ですね。一方で日中友好憲法九条擁護をまともに考えてるとは思えない枝野には心底呆れます。そして、これで「野党共闘が成り立つのか」懸念を感じますね。


岸防衛相、南西防衛強化に意欲 与那国視察「台湾近い」 - 産経ニュース
 岸は、中国が沖縄侵略するとでも言う気なのか、はたまた「中国が台湾侵攻したら」沖縄の米軍と自衛隊で迎え撃つとでも言う気なのか。
 いずれにせよ中国を挑発するような愚行は辞めて欲しい。まあ、そもそもバイデンと菅の声明自体がそういう「中国に敵対的な酷い代物」なので俺のバイデン評価ははっきり言って「トランプよりはマシ」程度の評価でしか有りません。

*1:前近代においてはその通りですが、当然ながらそれは「今の日中関係とは直接には関係しない話」です。

*2:1906~1988年。新中国建国後、内モンゴル自治区党委員会第一書記、内モンゴル自治区人民委員会主席、内モンゴル軍区司令員兼政治委員、内モンゴル大学学長、内モンゴル自治区政治協商会議主席など要職を歴任するが、文革で「内外モンゴル統一を企む民族分裂主義者」と批判され失脚。文革終了後、復権し、全人代常務副委員長、全国政治協商会議第一副主席、国家副主席など歴任(ウランフ - Wikipedia参照)。

*3:事実というなら出版社の名前を「岩波書店」「角川書店」「講談社」「集英社」「小学館」「新潮社」「文藝春秋」などのように具体的に挙げてみろという話です。

*4:とはいえ来日して間もない頃にそんな業績はありはしませんが。

*5:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官などを経て首相

*6:宇野内閣厚生相、宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相などを経て首相

*7:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*8:新党さきがけ代表幹事、細川内閣官房副長官民主党幹事長などを経て首相

*9:鳩山内閣財務副大臣菅内閣財務相、首相、民進党幹事長(蓮舫代表時代)を歴任

*10:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、福田内閣経済企画庁長官、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相などを経て首相。首相退任後も小渕、森内閣で蔵相

*11:鳩山内閣行政刷新担当相、菅内閣官房長官、野田内閣経産相民主党幹事長(海江田、岡田代表時代)、民進党代表代行(前原代表時代)を経て立憲民主党代表