『赤木俊夫氏の自殺は野党やマスコミの追及のせいだ、安倍元首相は悪くない』と強弁する産経に心底呆れる

【産経抄】11月20日 - 産経ニュース

 あの狂熱的な批判と追及の嵐はどこへ去ったのか。森友学園に関する財務省の決裁文書改竄(かいざん)をめぐり、新たな文書が開示されるたびに、マスコミや野党が、「主犯」扱いをしていた安倍晋三元首相への言及が消えていく。

 「はあ?」ですね。どこにそんな事実があるのか。

 人事院は今月8日、文書改竄にかかわり自殺した近畿財務局元職員*1の公務災害認定の記録を、妻側に開示した。それによると元職員は国会議員からの資料要求や行政文書開示請求、マスコミ対応などに追われ、平成29年7月に鬱病と診断されている。

 で、これ以降の引用は「見るに堪えない醜悪なおぞましい文章」なので、省略しますが「ありもしない疑惑で不当な追及を野党やマスコミがするから、加重労働で赤木氏はうつ病になったのだ」「安倍首相は潔白だ!」「赤木氏を死なせたのは安倍氏ではなくむしろマスコミや野党だ」と無茶苦茶言い出すのだから「どこまでクズなのか」と産経には心底呆れます。
 ご遺族である妻(赤木雅子氏)は勿論、そんなバカなことは言ってないわけですが。
 「横田早紀江など自分に都合のいい被害者家族の意見」は「大々的に宣伝する」一方で「都合の悪い被害者家族(安倍批判を理由に家族会を追放された蓮池透氏や今回の赤木雅子氏)の意見」はこのように公然と無視して安倍を詭弁でかばう。産経のでたらめさにはいつもながら呆れます。
 なお、こうした産経のような暴論については以下を紹介しておきます。

「違法」な黒塗りをはがすと、赤木俊夫さんの死の理由が「偽装・隠蔽」されていた!(赤澤竜也) - 個人 - Yahoo!ニュース
 11月9日、赤木雅子さん宅に一通の郵便物が届く。差出人は人事院。全70ページの文書の一枚目の表題である「進行管理票」という文字には見覚えがあった。パラパラとめくってみると、今回はしっかりと「日本語の活字」が印刷されている。
 2年前にも同じ書類が届いた。2019年11月19日付けの部分開示決定により送られてきた文書は、そのほとんどが真っ黒いインクで塗りつぶされた、いわゆる「のり弁」。なにがなんだかサッパリわからない。
 翌2020年2月14日、雅子さんは人事院総裁に対し、部分開示決定を取り消すよう審査請求する。さまざまな難関を乗り越え、今般ようやく、もうひとつの赤木ファイルとも言うべき「夫に対する公務災害の認定に当たり、実施機関が行った人事院への協議に関する文書」が開示された。
(中略)
 意見書提出から約1年3ヵ月を経て2021年9月16日、情報公開・個人情報保護審査会が答申を出す。結論は「違法なものであり、取り消すべきである」というものだった。
 審査会の答申を受け、10月29日、人事院総裁は「原処分を取り消す」と裁決した。2019年9月11日の最初の開示請求から2年2ヵ月。弁護団の先生方の尽力のもと、気の遠くなるような膨大な書面のやり取りと複数の訴訟を経て、俊夫さんの公務災害認定に関する近畿財務局と人事院の書類が、ようやく雅子さんの手もとにそろうことになったのである。
 国はすぐに出せば済んだ書類を違法に隠蔽するため、いったいどれほどの税金を浪費したのだろうか。
財務省=近畿財務局・人事院の内部書類で赤木俊夫さんの死の理由はどう書かれていたのか?
 いよいよ本題である。
 公務員が仕事中に脳出血心筋梗塞を起こして死亡したとしても、すぐさま公務災害として認められるわけではない。俊夫さんはウツ病となって自死に至ったわけだが、その発症が明らかに公務に起因すると認定されなくてはならないのだ。近畿財務局、および人事院はどのような公務に基づいてウツが発症し、死に至ったと申し述べているのだろうか。
「2017年2月9日のマスコミ第一報より、国会対応や行政文書の開示、上級官庁との連絡調整などで連日深夜におよぶ超過勤務が慢性化するようになった」と書かれている。
 ここまではその通りだ。問題はその次の一文。少し長くなるが、引用してみる。
「特に、同年2月21日、国会議員団が近畿財務局を訪問した際、国会議員が多数のマスコミ関係者が取材を行っている面前において、上司・同僚を一方的に厳しく詰問・批判し、責め立てていることを本人は目の当たりにし、また、このマスコミによる近畿財務局への批判報道等を見聞きする中で、これまでにない、怒り、不満、そして同事案の担当を続けることへの不安など、精神的なストレスを抱え込むこととなった」
 この文章からしてツッコミどころ満載だ。
 まず1点目。「本人は目の当たりにし」という記述から、俊夫さんはヒアリングの会場にいたことになっている。しかし、雅子さんは、「夫は(ボーガス注:上司である近畿財務局・統括国有財産管理官の)池田さんから『ボクがやるから君は出なくていいよ』と言われたと話していたのをハッキリと覚えています。とても感謝してましたから」と述懐する。
 果たして俊夫さんは会議室内にいたのだろうか。その日の動画を再度チェックしてみた。私の手もとにある映像は、政治家の正面に座る役所側の人たちすべてが映るアングルに設置されたカメラで撮影されたもの。会議が始まる6分前から録画が始まり、国会議員が出て行ったあとのぶら下がり会見終了まで記録されていたが、俊夫さんの姿は発見できなかった。この記述自体が「ねつ造」である可能性は高い。
 2点目は「国会議員が多数のマスコミ関係者が取材を行っている面前において、上司・同僚を一方的に厳しく詰問・批判し、責め立てている」という記述。まるで野党議員が近畿財務局の職員をイジメたとしか受け取れない記述である。果たしてそうなのか。
 厳しい追及があったのは確かである。ただしそれは8億円値引きの根拠となるゴミがどこからどう出て、どのような写真が残っているのかについて、まったく答えられなかったことによるもの(ボーガス注:で当然の追及である)。
 しかるに公務災害認定の書類では、野党議員が上司・同僚をイジメたから部下の俊夫さんがウツになるキッカケとなったと言っている。片腹痛いにもほどがある。
 さらに3点目は俊夫さんの精神的不調のスタート時点の記述について。雅子さんは次のように振り返る。
「事件発覚当初、確かに終電にも乗れず、連日タクシーでの帰宅でしたが、夫は『池田さんのためにも頑張るんだ』と精気がみなぎっていました。この書類では2月21日から『精神的ストレスを抱え込むようになった』と書かれていますが、その日以降も元気でしたよ。おかしくなったのは2月26日から。私の母をともなって3人で梅を見に行っていた日曜日に電話で職場に呼び出された、あの日からなんです」
 財務省=近畿財務局は俊夫さんの精神的不調が17年2月26日から始まっては困るようなのである。
 今回、開示された書類については、そのほかにも、理財局長だった佐川氏の虚偽答弁の想定問答作成に関わっていたこと、会計検査院検査の対応で田村嘉啓国有財産審理室長の指示のもと、重要な書類を隠蔽するなど検査忌避を強いられていたこと、森友関連の情報開示請求対応業務では、「応接録が不存在である」と虚偽の回答をするよう命じられていたことなど、俊夫さんの自死の遠因となった事実がまったく記載されていない。
 書きだしたらキリがないほどおかしな点が散見されるこれらの書類であるが、このへんにしておこう。もっとも問題であるのは、俊夫さんの死の根本原因であるはずの重要な言葉が見当たらないことだ。
 その言葉とは「改ざん」。
 まさか。そんなわけはないと、近畿財務局の559ページおよび人事院の70ページをくまなく探索したのだがどこにも見当たらない。
 俊夫さんが改ざん行為の強要により命を絶ったことは火を見るよりも明らかだ。
 では人事院、および近畿財務局の作成した「公務災害認定に関する協議書類」において、その死の理由はどう書かれていたのか。
 赤木弁護団の松丸正弁護士は、「長時間労働が原因で亡くなったということになっていますね。(中略)改ざんをするために長時間労働させられていたんですけれども、役所にとって都合の悪いことは書かれていません」と語る。
 財務省=近畿財務局、および人事院がこれほどまでに書類を隠し続けていた理由は、俊夫さんの死の理由を「偽装・隠蔽」していたからだったのである。真相が明らかにならない限り、同じような悲劇が繰り返される。
 2017年6月4日、財務省は「森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書」を出し、それによって必要な調査はすべて終わったとしている。先にも述べたように、この報告書には改ざんを強要されたことを苦に命を絶った俊夫さんの名前すら出て来ない。
 さらに今回、開示された人事院、および昨年裁判のなかで提出された近畿財務局の公務災害認定に関する内部書類においては、事実関係を偽装してまで俊夫さんの死と改ざん行為強要との関連を隠蔽していた。
 財務省=近畿財務局は俊夫さんの死と改ざんとの因果関係について、公式にも非公式にも一切認めていないことが明らかになったのである。
 ひとりの人間が命を賭して国家の歴史そのものである公文書の改ざんの問題性を提起した。しかるに国はその事実に向き合おうともしない。こんなことで再発防止など出来ようはずがない。
 第三者機関による公文書の改ざん事件の再調査が必要なのである。
 10月6日、雅子さんは岸田首相に対し「夫は改ざんや書き換えをやるべきではないと本省に訴えています。それにどのように返事があったのかまだわかっていません」「第三者による再調査で真相をあきらかにしてください」としたためた手紙を送った。10月8日になって岸田首相は、「読みました。しっかりと受け止めさせていただく」と述べている。
 しかし、まだ返事は届いていない。

*1:「名前ぐらい書けよ!」ですね。そんなに「赤木俊夫」という名前を書きたくないのか。産経が「赤木俊夫」という名前を書きたくないらしいという事実が「語るに落ちてる」と思いますね。