黒井文太郎&常岡浩介に突っ込む(2022年2月11日分)

常岡浩介
 アン・アップルバウム*1プーチンの目標は、繁栄する平和で豊かなロシアではなく、彼が支配し続けるロシアです」

 プーチンシンパと誤解されたくはないのですがこういう物言いも「何だかなあ」ですね。
 プーチンとて「繁栄する平和で豊かなロシア」が望みではあるでしょう。別にプーチンが立派という話ではなく「そのようなロシアの方が国民の支持が得やすく統治しやすい」という話ですが。つまりは「豊かな」に「物質的豊かさ」だけでなく「精神的豊かさ(表現の自由など)」を入れるのならともかく、そうでないなら「彼が支配し続けるロシア」と「繁栄する平和で豊かなロシア」は別に矛盾はしない。
 大戦に突入した「ナチドイツや戦前日本」ですら主観的目標は「繁栄する平和で豊かな国」でしょう。ただし「ナチドイツや戦前日本」はそのためには「戦争が不可避」という認識だったわけですが。

常岡浩介がリツイート
◆奥山真司*2
 今回のような危機をSNS上で見ていると、興味深い現象が起こっているように見える。
 普段から平和を訴えている人々が沈黙してしまっていること。

 ウヨの常岡と類友の「左派誹謗」ですが反論として、ロシアは軍事威嚇をやめよ――国際社会は外交的解決に力をつくせ/ウクライナ問題 志位委員長が談話を紹介しておきます。

常岡浩介がリツイート
◆黒井文太郎
 米軍はウクライナを守らない。ウクライナ軍は単独で戦わなければならない。
 ロシア側は制裁は痛手だが、痛手に過ぎない。
 プーチンがやらない理由はあえて探せばいろいろありますが、やる理由は探さなくてもある。

 アンチロシアの常岡、黒井らしくて吹き出しました。
 「ロシア侵攻時にNATO軍がロシアと戦わず、ウクライナだけに戦争させる」「制裁措置についてプーチンが覚悟して侵攻する(そしてプーチン体制崩壊のような大きな打撃もなく済む)」とは何が根拠なのか。その逆の展開だって「十分考えられる」でしょうに。
 仮に侵攻のために「自作自演謀略」を仕掛けるにしても、満州事変のようにいきなり仕掛けることができるのならともかく、米国側に「ロシアの自作自演謀略の危険がある」と広報されたことも侵攻を躊躇する理由ではあるでしょう。

常岡浩介がリツイート
 畔蒜さんはいつもロシアに都合のよい話ばかりする人だから
◆大前仁
「ロシアがウクライナ侵攻しても何も得られず、軍事行動は考えにくい」。
 笹川平和財団の畔蒜(あびる)泰助主任研究員はこう指摘する。
論点:露軍集結、ウクライナ国境 | 毎日新聞

 常岡らしい「意味不明な無内容ツイート」で吹き出しました。これでは「常岡」にとって畔蒜氏の何が問題だかさっぱり分かりません。
 「今回の行動は軍事的威圧にとどまり侵攻まではない」と言う考えは十分あり得るでしょうし、それは必ずしも「ロシアに都合のよい話」ではないでしょう。
 しかし産経の「阿比留(あびる)」も一般的な名字とは言いがたいですが、「畔蒜(あびる)」なんてもっと読めません。しかも「畦」は今回は「畔蒜(あびる)」ですが「畔柳(くろやなぎ)」と読むこともあるから予備知識が無いとまず読めません。

黒井文太郎
 「プーチンは2島引き渡したがってる」という一切ロシア政府側が明言していない根拠乏しき仮説。しつこいようですが、この分析ミスを認めて反省しないと、「領土交渉は国益。ロシアは2島は引き渡すつもりなのでロシアとの関係悪化は国益毀損」という論理がいつまでも続くからです。

 ロシアが「島を引き渡す気かどうか」に関係なく「あらゆる手段を使ってロシアに島返還意欲をかき立て島の返還を目指す」と言う立場に立つ限り、「ロシアとの関係悪化は国益毀損」でしょう。
 いっそのこと、黒井も「島の返還は少なくともプーチン政権下では諦めよう」とか「島の返還よりもロシアに甘い態度をとって米国に憎まれる方が国益毀損」とはっきり言ったらどうなのか。要するに奴の言ってることはそういうことでしょう。

黒井文太郎
「仮にウクライナ全体の衛星国化が実現すれば、プーチンにとっては利益は大」
 言うまでもないですが「ロシアにとって」ではなく「プーチンにとって」です

 「はあ?」ですね。
 プーチンでなくても「隣国が衛星国化する」なら大歓迎でしょう。
 もちろんだからと言って「今回のプーチンほど強引な手まで使うか*3」と言ったら話は別ですが、一般論として言うなら「隣国が衛星国化する」なら大歓迎でしょう。
 そもそも「現在がプーチン政権であり、当面、プーチン反対派が政権奪取する見込みもない」のにこんなことを黒井が言って何の意味があるのかという問題もあります。

*1:著書『グラーグ:ソ連集中収容所の歴史』(2006年、白水社)、『鉄のカーテン:東欧の壊滅1944~56』(2019年、白水社)、『権威主義の誘惑:民主政治の黄昏』(2021年、白水社

*2:著書『地政学アメリカの世界戦略地図』(2004年、五月書房)、『「悪の論理」で世界は動く!:日本属国化を狙う中国、捨てる米国』(2010年、フォレスト出版

*3:なお「衛星国」の定義にもよりますが、今回プーチンが狙ってるのが「ウクライナNATO加盟阻止」にとどまるのならば、それは「衛星国化」とまではいえないでしょう。