「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2022年7/14日:島田洋一の巻)(追記あり)

◆島田ツイート

島田洋一
 高市早苗氏は立派な人だが「人脈作りが下手」が政界の定評となっている。政治は人を動かすのが仕事であり、これは重大なウィークポイントだ。
 安倍氏という後ろ盾を失った今、少人数でも熱心に動いてくれる自身のグループを作れなければ急速に過去の人になりかねない。正念場であり頑張ってもらいたい

 「おやおや」ですね。
 確かに高市を総裁選で安倍は支援しました。その結果、高市は現在、政調会長の要職です。また、安倍は「第一次安倍内閣沖縄・北方等担当相」「自民党政調会長(第二次安倍総裁時代)」「第三次安倍内閣総務相」と高市を自分の政権において厚遇しました。
 とはいえ高市は昔は町村派でしたが、離脱しています。将来、安倍派復帰の可能性が皆無とは言えないとはいえ、今は安倍派ではない。
 しかも離脱の理由が「町村氏*1を会長として仰ぎたくない」なんて代物だったために「そんな人間に戻って欲しくない」と言う反発も結構強く戻れるか分からない(まあ、高市が戻りたがってるかも不明ですが)。
 なお、安倍が「稲田であれ下村であれ誰であれ」自派閥から担ぐことを避け、高市支持に動いたのは

【1】誰を立てるべきか迷って決められなかった
【2】誰かを立てることで安倍派が急速に「ホニャララ派(稲田派、下村派など)」することを避けたかった
→安倍の首相再々登板がまずあり得ない以上、安倍が総裁選に担いだ人間が「いずれは派閥を継ぎ、再度総裁選に出る」と安倍が認めたと派閥の内外から見なされて「ホニャララ派」化する恐れがある

のだろうと思います。つまり安倍は「できる限り派閥会長でいたい」がために後継者を作ることをおざなりにしたということでしょう(育てる能力もないと思いますが)。
 さて、安倍派は当面7人の幹部が構成する世話人会が集団指導することとなりました。その7人は以下の通りです。

安倍派、後継会長を置かず 塩谷氏ら7人が集団指導:時事ドットコム
世話人会代表】
塩谷立
 安倍派会長代理。麻生内閣文科相自民党総務会長(谷垣総裁時代)、選対委員長(第二次安倍総裁時代)など歴任
 代表に就任したのは「最も年長で当選回数も多い」ため。なお代表就任理由が何であれ、塩谷氏は「世話人会代表が会長になるのが自然」と言う方向に持って行こうとするでしょうから、この時点で塩谷氏以外は会長レースから後退したことになります。一方で塩谷氏も「会長就任」を現時点でできるだけの政治力はなかったわけです。
世話人(あいうえお順)】
下村博文
 安倍派会長代理。第一次安倍内閣官房副長官、第二次、第三次安倍内閣文科相自民党選対委員長(第二次安倍総裁時代)、政調会長(菅総裁時代)など歴任
世耕弘成
 参院安倍派会長。第二次、第三次安倍内閣官房副長官、第四次安倍内閣経産相などを経て、現在、自民党参院幹事長
◆高木毅
 安倍派副会長。第三次安倍内閣復興相を経て現在、自民党国対委員長
西村康稔
 安倍派事務総長。第三次安倍内閣官房副長官、第四次安倍、菅内閣経済財政担当相(ワクチン担当相兼務)を歴任
萩生田光一
 第三次安倍内閣官房副長官、第四次安倍、菅内閣文科相を経て、現在、岸田内閣経産相
松野博一
 第三次安倍内閣文科相。現在、岸田内閣官房長官

 従って島田の立場なら
【1】世話人会(7人会)の7人支持なら「7人のうちのAさんが会長にふさわしい」と主張(まあ世話人会からの会長就任が一番ありえそうですからね、その場合の最有力は勿論「世話人会代表」塩谷氏でしょう)
【2】7人に不満があるなら「世話人会メンバーじゃダメだ、安倍派のホニャララさんに会長になって欲しい」と主張するのが普通でしょう。ある意味「無派閥の高市などどうでもいい」。
 7人の中には「高木国対委員長」「萩生田経産相」「松野官房長官」といった政府、党の現役幹部もいるし、7人以外にも安倍派には「岸防衛相(安倍の実弟)」「福田総務会長(福田康夫元首相の息子)」といった政府、党の現役幹部もいる。
 にもかかわらず、島田は高市をプッシュする。しかも「安倍派に復帰して欲しい」とはいわないで「独立派閥の結成」を訴える。
 何故か島田が「今の安倍派」を評価してないらしいことが窺えます。
 「故人・安倍以外は、安倍派の連中は俺たちウヨの味方か分からない」とでも思ってるらしい。
 別のツイートでは

島田洋一
 今は一応「安倍元総理の遺志を継ぐ」と言ったり、神妙にしている議員たちも、多くはまもなく安倍路線をないがしろにし始める。
「死んだ者は怖くない」
 利権にしか興味のない議員も多い。
 安倍氏不在はやはり大きい。

なんて言ってますし。

【追記】
【安倍晋三】安倍元首相亡き後の「清和会」で早くも“跡目争い” 西村康稔氏ら露骨な動き、ライバル外しも|日刊ゲンダイDIGITAL

 いち早く動いたのは、派閥事務総長の西村康稔前コロナ担当相だった。
「西村さんの呼びかけで11日の昼、派閥の幹部会合が開催されました。出席者は塩谷立下村博文の両会長代理、それに参院派閥の世耕弘成会長の4人だったそうです。参院選で当選した新人を含めると、現在93人の安倍派(清和会)は100人規模になる可能性がある。会合を呼びかけた西村さんは、下村さんと組んで最大派閥の主導権を握ろうとしたのではないか、そう見られています。ミソは、ライバルである萩生田経産相を外したこと。派閥の役職に就いていない萩生田さんを会合に呼ばずに“萩生田不在”の中で今後の体制を決めてしまいたかったのかもしれません」(官邸事情通)
 ところが、この動きを察知した派閥重鎮が待ったをかけたという。「安倍さんの通夜も終わっていないのに、そんなことをしている場合か」といさめたとされている。
 結果、幹部会合は流れ、メンバーを拡大した会合を11日夕方に都内ホテルで改めて開催することになった。約20人が出席した。

清和政策研究会 - Wikipediaを見る限り、会長代理の塩谷、下村にダメ出しできる重鎮は

【最高顧問】
衛藤征士郎*2
山崎正昭*3

ぐらいでしょう。
 勿論、現役議員に限定しなければ「森、小泉、福田元首相」などもありえますが。しかしタブロイド記事なので話半分に聞く必要がありますが、これが事実ならば派閥分裂の可能性もあるでしょうね。
 清和政策研究会 - Wikipediaにも書いてありますが、過去にも三塚博*4安倍晋太郎*5の後を継ぎ、清和会会長になった際に、いろいろ対立があったあげく亀井静香*6三塚派を離脱して亀井派(いろいろ紆余曲折があって現在の二階派)を結成しています。

【追記】
 安倍派、後継会長を置かず 塩谷氏ら7人が集団指導:時事ドットコムでは「世話人会代表は年齢、当選回数から塩谷氏」となっていましたが、
安倍派、塩谷、下村両会長代理の双頭体制で調整 - 産経ニュースは「塩谷、下村(現在、ともに安倍派会長代理)の共同代表」となっています。「塩谷代表など飲めない」とごねて、下村が巻き返したということなのか。

*1:橋本内閣文相、森内閣文科相、小泉、第一次安倍内閣外相、福田内閣官房長官衆院議長など歴任

*2:村山内閣防衛庁長官森内閣外務副大臣衆院副議長など歴任

*3:小泉内閣官房副長官自民党参院幹事長、参院副議長、参院議長など歴任

*4:中曽根内閣運輸相、竹下内閣通産相、宇野内閣外相、自民党政調会長(海部、宮沢総裁時代)、幹事長(河野総裁時代)、橋本内閣蔵相など歴任

*5:三木内閣農林相、福田内閣官房長官自民党政調会長(大平総裁時代)、鈴木内閣通産相、中曽根内閣外相、自民党幹事長(竹下総裁時代)など歴任

*6:村山内閣運輸相、橋本内閣建設相、自民党政調会長(小渕、森総裁時代)、国民新党代表、鳩山、菅内閣金融等担当相など歴任