「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2022年8/3日分:荒木和博の巻)

荒木和博 on Twitter: "金正日も大好きだった陸軍中野学校の話です。市川雷蔵主演の映画「陸軍中野学校」シリーズな北朝鮮の工作機関でも教材に使われていたとのこと。https://t.co/h7I0YCtAVW @YouTubeより" / Twitter

 5分33秒の動画です。実に馬鹿馬鹿しい。
 まず第一に荒木は過去にも

陸軍中野学校: 荒木和博BLOG
 拙記事「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2/22分:荒木和博の巻)(追記・訂正あり) - bogus-simotukareのブログでコメント
陸軍中野学校 【調査会NEWS2337】(28.11.21): 荒木和博BLOG
 拙記事「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(11/9分:荒木和博の巻)&北朝鮮最新ニュースその他色々(追記・訂正あり) - bogus-simotukareのブログでコメント
陸軍中野学校について(11月14日のショートメッセージ): 荒木和博BLOG
 拙記事「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2020年11/14日分:荒木和博の巻) - bogus-simotukareのブログでコメント

として中野学校云々の話をしています。何度同じ話をすれば気が済むのか。
 しかも

【刊行年順(刊行年が同じ場合は著者名順)】
◆畠山清行『秘録・陸軍中野学校』(2003年、新潮文庫)
◆畠山清行『陸軍中野学校終戦秘史』(2004年、新潮文庫)
斎藤充功*1陸軍中野学校』(2006年、平凡社新書)
斎藤充功『諜報員たちの戦後:陸軍中野学校の真実』(2008年、角川文庫)
斎藤充功陸軍中野学校極秘計画』(2011年、学研新書)
斎藤充功『証言・陸軍中野学校:卒業生たちの追想』(2013年、バジリコ)
斎藤充功『日本スパイ養成所・陸軍中野学校のすべて』(2014年、笠倉出版)
斎藤充功『スパイ・アカデミー:陸軍中野学校』(2015年、洋泉社
斎藤充功『日本のスパイ王:陸軍中野学校の創設者・秋草俊*2少将の真実』(2016年、学研プラス)
◆山本武利*3『日本のインテリジェンス工作:陸軍中野学校731部隊、小野寺信』(2016年、新曜社
◆山本武利『陸軍中野学校』(2017年、筑摩選書)
◆川満彰*4陸軍中野学校沖縄戦』(2018年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)
NHKスペシャル取材班『少年ゲリラ兵の告白:陸軍中野学校が作った沖縄秘密部隊』(2020年、新潮文庫
斎藤充功陸軍中野学校全史』(2021年、論創社

といったノンフィクションを基に中野学校の話をするならともかく「映画というフィクション」がネタだから呆れます。
 第二に過去の中野学校話もそうですが今回も拉致解決(拉致被害者帰国)には全く関係ありません。仮に荒木が言うように「中野学校」も参考に北朝鮮が工作機関を作り、その工作機関が拉致を実行したとしても、そんなことは拉致解決(拉致被害者帰国)には全く関係ない。


鳥取でのライブについて【調査会NEWS3634】(R4.8.2) : 荒木和博BLOG
 特定失踪者はそもそも「北朝鮮拉致認定するまともな根拠は皆無」で「既に国内で40人以上発見されてほとんどが自発的失踪」です。
 しかし仮に北朝鮮拉致だとしても、失踪から何十年も経ってから失踪現場で捜査の素人・荒木が探偵ごっこしたところでわかることがあるわけがない。今回の調査対象者は一番古い人で「55年前の1967年*5」、新しい人で「21年前の2001年」です(後で1967年、2001年の出来事についていくつか紹介しておきます)。
 「三億円事件(今から54年前の1968年)」「国松警察庁長官狙撃(今から27年前の1995年)」の犯行現場で調査しても犯人逮捕につながる情報などもはや出ないのと同じです。

【参考:1967年と2001年の出来事(赤字が朝鮮半島関係)】

1967年 - Wikipedia
◆4月15日
 東京都知事選で美濃部亮吉が初当選(1979年まで3期12年務めた)
◆6月5日
 第三次中東戦争。6月11日に戦闘が終結イスラエルの圧勝。この結果、イスラエルの占領地域は戦前の4倍以上に拡大。
◆10月31日
 吉田茂元首相の葬儀が戦後初の国葬として日本武道館で営まれる

2001年 - Wikipedia2001年の日本 - Wikipedia
◆2月9日
 えひめ丸事故(死者9名)
◆3月1日
 東京地検KSD事件で村上正邦元労働大臣を収賄容疑で逮捕
◆6月8日
 大阪教育大学附属池田小学校襲撃事件(死者8名)
◆9月11日
 米国同時多発テロ。死者は約3,000人に上り、アメリカ史上最悪のテロ事件
◆10月7日
 米軍によるアフガニスタン侵攻が開始
→アフガン侵攻自体は北朝鮮拉致とは直接は関係ないですが、「アフガンやイラクで泥沼の戦争を始めてしまった」が故に「北朝鮮で米軍が侵攻することなど無理になった」という形での関係性はあるかと思います。
◆12月22日
 九州南西海域工作船事件

◆12月5日
 沙知代夫人の脱税事件の責任を取る形で阪神タイガース野村克也監督が辞任
◆12月23日
  アルゼンチン政府がデフォルト(対外債務の一時支払い停止)を宣言

*1:著書『脱獄王:白鳥由栄の証言』(1999年、幻冬舎アウトロー文庫)、『謀略戦:陸軍登戸研究所』(2001年、学研M文庫)、『昭和史発掘:幻の特務機関「ヤマ」』(2003年、新潮新書)、『刑務所を往く』(2003年、ちくま文庫)、『昭和史発掘:開戦通告はなぜ遅れたか』(2004年、新潮新書)、『日台の架け橋・百年ダムを造った男』(2009年、時事通信出版局)、『ルポ出所者の現実』(2010年、平凡社新書)、『塀の中の少年たち:世間を騒がせた未成年犯罪者たちのその後』(2016年、洋泉社)、『ルポ老人受刑者』(2020年、中央公論新社)など

*2:1894~1949年。ソ連抑留中に病死。陸軍中野学校校長、第4国境守備隊長、関東軍情報部長(ハルピン特務機関長兼務)など歴任

*3:一橋大学名誉教授、早稲田大学名誉教授。著書『特務機関の謀略:諜報とインパール作戦』(1998年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)、『紙芝居:街角のメディア』(2000年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)、『日本兵捕虜は何をしゃべったか』(2001年、文春新書)、『GHQの検閲・諜報・宣伝工作』(2013年、岩波現代全書)、『検閲官:発見されたGHQ名簿』(2021年、新潮新書)など

*4:著書『沖縄戦の子どもたち』(2021年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)

*5:政府認定拉致は「全て1970年代前半」であり「1960年代後半」という失踪時期からし北朝鮮拉致の可能性は低い