今日の中国&ロシアニュース(2022年10月31日分)(副題:産経のブラジルデマに呆れる)

中南米に左派政権続々 中露浸透に懸念 - 産経ニュース

 ルラ氏は、ロシアや中国の外交戦略と重なる米国の一極支配に対抗する「多極化した世界の創造」を掲げており、中露への接近が顕著になるとみられる。

 こうした産経の主張は

ジャイール・ボルソナーロ - Wikipedia参照
【対中国】
◆当選後、訪中した際に「中国は最大の貿易相手国だ。貿易や投資をさらに増やしたい」と述べた
◆副大統領ハミルトン・モウランは「ブラジルは脅威としてではなく、戦略的パートナーとして中国を認識している」と述べ、アメリカがブラジルに呼びかけていた5G通信網でのファーウェイ製品の排除について応じないと述べた
◆中国の電力会社「国家電網」がブラジルの電力会社「CPFLエネルジア」を買収するなど中国はブラジル最大の投資国であり中国とブラジルの経済関係は他の中南米諸国やアジア諸国における中国と同様、不可欠なものとなっている
◆中国への輸出の大部分はブラジル最大の輸出農産物である大豆などの原料である。米中貿易戦争でも中国向け米国産大豆の代替となることでブラジルの対中輸出を6,400万ドル押し上げた。

ブラジル大統領がプーチン氏と会談 「いじめっ子に味方」と国内から批判、米国も懸念:東京新聞 TOKYO Web2022.2.17
 ブラジルのボルソナロ大統領は16日、ウクライナに軍事的圧力を強めるロシアのプーチン大統領とモスクワで会談し、両国関係の強化で一致した。

ブラジル大統領、副大統領を叱責 ロシアの侵攻非難巡り | ロイター2022.2.25
 ブラジルのボルソナロ大統領は24日、ロシアのウクライナ侵攻を非難したモウラン副大統領を叱責し、東欧の危機について発言するのは副大統領の仕事ではないと指摘した。
 ボルソナロ氏は最近、ロシアのプーチン大統領とモスクワで会談し、プーチン氏には平和的な意図があると述べていた。

ブラジル大統領、対ロシア制裁「機能せず」 プーチン氏に同調 | ロイター2022.7.8
 ブラジルのボルソナロ大統領は7日、欧米がロシアに課している経済制裁は機能していないと述べ、ロシアのプーチン大統領の発言に同調した。

ロシア孤立化の回避主張 経済制裁を批判―ブラジル大統領:時事ドットコム2022.9.21
 ブラジルのボルソナロ大統領は20日、米ニューヨークで始まった国連総会の一般討論演説で、ロシアのウクライナ侵攻を受けて欧米諸国や日本が科している対ロ経済制裁を改めて批判し、ロシアの孤立化を避けるよう訴えた。農業大国ブラジルは、肥料の多くをロシアに依存し、侵攻後も輸入が急増している。
 ボルソナロ氏は、ウクライナ紛争をめぐる世界の分断を回避すべきだとし、「外交・経済での(ロシアの)孤立化に反対する」と強調。「一方的かつ選択的な制裁は最善の方法と思えないし、国際法に反する」と主張した。

ブラジル大統領、対露経済制裁に「反対」 国連演説 - 産経ニュース2022.9.21
 南米ブラジルのボルソナロ大統領は20日、ニューヨークの国連総会で演説し、ウクライナに侵攻したロシアに対する「経済制裁に反対する」と表明したうえで、即時停戦を呼びかけた。
 ボルソナロ氏は「一方的な制裁が紛争を処理する最善の方法とは考えていない」と述べ、紛争の解決は「交渉と対話を通じてのみ達成される」とつけ加えた。農業大国のブラジルは肥料輸入の多くをロシア産に依存し、対露関係を重視している。

で分かるように「ルラに敗北した前職ボルソナロ」が「中露に批判的という事実はない(むしろ米英仏独等と比べるとかなりロシアに融和的)」ので産経の主張はデマも甚だしい。
 「ルラが親中露」かどうかはともかく、「ボルソナロ時代」に既にブラジルは「中露との経済関係」を理由*1に「中露に融和的」であり、仮にボルソナロが当選しても、産経が期待するような「反中露」の方向はまずあり得ません。まあボルソナロの「同性愛嫌悪」「中絶反対」「死刑賛成」と言った右翼性は「産経好み」ではあるでしょうが(ただし、ボルソナロはルラの有力支持層である貧困層を切り崩すために「貧困層へのばらまき」をやったそうなのでそこは「緊縮財政路線」の産経とは違います)。
 そもそもロシアはともかく中国についてはシュルツ・ドイツ首相も近々訪中予定なのに産経は何を言っているのか?

*1:ブラジルの場合、中露との関係は産経が強弁するような「イデオロギー的理由(ルラのような左派は親中露、ボルソナロのような右派は反中露)」ではなく「中露との貿易の利益」という「カネの問題(だからこそボルソナロも中露に融和的)」なので「ボルソナロであれ、ルラであれ、他の誰であれ」誰が大統領になっても「中露と疎遠になること」は非常に困難でしょう。