珍右翼・高世仁に悪口する(2022年12/11日分)

「望むのは第一に平和、次に仕事」とカブール市民 - 高世仁のジャーナルな日々

 マイクロファイナンスと言えば、2006年にノーベル平和賞を受賞したバングラデシュグラミン銀行が有名だが、貧困層を対象にした少額融資のこと。
 イスラム圏でもマイクロファイナンスは広まっている*1ようだが、シャリア(イスラム法)によれば「利息」は禁止されるはずなので、どうやって融資を回収するのか。
 このパキスタンの彼に聞くと、インド風の巻き舌の流暢な英語で縷々説明してくれたが、半分くらいしか理解できなかったのであとで調べよう。

 恐らくは「どう考えても利息だが建前では利息ではない」と言う処理なのでしょう(勿論、高額利子は教義の建前上不可でしょうが)。「そんなややこしいことではなく、利息否定の教義を変えればいいのに」とは思いますが、教義に固執して融資ができないよりはいい。「融資自体は悪ではない(問題は高額利子等の弊害)」と思うので「敵基地攻撃能力は専守防衛に反しない(岸田政権)」「ウクライナ侵攻は自衛権の行使で侵略ではない(プーチン政権)」などという詭弁(これらの詭弁を認めることは悪の助長でしかない)とはまた意味が違うでしょう。

「スタッフ採用にあたっては競争による選抜とし、我々は多様性とジェンダーのバランスを促進していく」
 民族間の共存と女性のエンパワーメントを主張するような文言に、タリバンへの牽制を感じる。「国際社会はこういう方針でやらせてもらいますよ」と。

 「話が本筋から脱線します」が、エンパワーメントとは聞き慣れない言葉だと思いますが「パワー(力)」に「接頭辞エン」をつけると「エンパワー(力づける、意訳すると支援する)」となりそれに「接尾辞メント」がつくと「エンパワーメント(力づけること、意訳すると支援、援助)」となります。なお、こうした「接頭辞エン」「接尾辞メント」がつく言葉には「エンリッチメント(豊かにすること)」などいろいろあります。
 それはともかく、要するにこの場合は「エンパワーメント=国連が女性支援するという話」でしょう。
 この種の外来語は「古い人間」の俺は「わかりづらいだけ」「格好付けか」「1)翻訳が難しい、2)すでに広く普及している以外の場合は外来語は避けるべき」と思い、好きではない*2のですが、最近はエンパワーメントは以下のように「俺が思うよりは普及している」ようです(とはいえ「セクハラ」「パワハラ」などと比べたら全然普及してないでしょうが)。
【エンパワーメントの例】
小峰ひずみ 平成世代が描く左翼像――エンパワーメントによる新しい連帯のかたち|政治・経済|中央公論.jp2022.9.23
 残念ながら「続きは中央公論で」となってるので、「エンパワーメントによる新しい連帯=平成世代が描く左翼像」が何を意味するのかは分かりませんが。
お寺に未来はあるのか 鍵握る女性のエンパワーメント | 毎日新聞2022.10.7
 有料記事なので途中までしか読めず、「寺にとっての女性のエンパワーメント」が何を意味するのかは分かりませんが。

環境省グッドライフアワード 石巻・大谷地小に特別賞 SDGs活動を評価 | 河北新報オンライン2022.12.10
 石巻市大谷地小(児童114人)のSDGs(持続可能な開発目標)に関する活動が、環境省主催の第10回グッドライフアワード*3で実行委員会特別賞の「子どもエンパワーメント賞」を受賞した。7日、関係者が市役所を訪れ、斎藤正美*4市長に報告した。
 使用済みの詰め替え容器の回収や北上川のヨシを活用した紙すき体験、地域の危険箇所や避難方法を盛り込んだ防災マップの作成にも取り組んだ。

 「子どもエンパワーメント賞」のエンパワーメントとは「子どもによる環境へのエンパワーメント(環境保護活動)、を評価した」なのか、「子どもへの環境省によるエンパワーメント(これからも頑張りなさいと言う支援、励まし)」なのかが記事を読む限りではわかりません。
 それはともかく、高世の言うような牽制要素が全くないとは言いません。しかし国連の建前が「そういうもの」である以上、「牽制云々」関係なくそうしたアピールをしないわけにもいかないでしょう。
 なお、話が脱線しますが「多様性」については拙記事竹内久美子の陰謀論(ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包括性)は左翼の陰謀) - bogus-simotukareのブログを紹介しておきます。竹内や産経に「多様性を重視する国連も左翼の陰謀なのか?」と聞けば躊躇なく
「その通りだ。だから、慰安婦は公娼に過ぎないのにクマラスワミ報告、マクドガル報告(慰安婦関係)が出るのだ」
南京事件は中国の捏造なのに、ユネスコ世界遺産南京事件資料が登録されたのも国連が左翼だからだ」
「一時は国連女性差別撤廃委員会から、女性天皇を認めるべきだという勧告が出そうになった*5。これも国連が左翼であることの証拠だ」等と放言するのでしょうね(呆)。

 支給会場ではWFPのジャケットを着た多くのスタッフが働いていたが、彼らのほとんどは現地のNGOで、WFPにプロジェクトを委託されている。アフガニスタンNGOを資金的にも助けることになる。現地NGOを存続、活性化させることは、タリバンの偏狭な統治に楔(くさび)を打ち込むという意味もあるだろう。

 アンチ北朝鮮の高世は今でも「絶対にそのようには評価しない」のでしょうが、金大中政権の太陽政策(韓国企業から一部に留まるとは言え、北朝鮮国民が金をもらう)も基本的には考えは同じでしょう。単純に北朝鮮を経済支援してるだけの話ではない。

 タリバン政権を国家承認した国*6はなく、国際社会は制裁を科し続けている。

 タリバンが国家承認されてないことについては以下を紹介しておきます。

タリバン、広がらぬ国際承認 代表権問題で国連も静観―アフガン:時事ドットコム2022.8.13
 イスラム主義組織タリバンアフガニスタンの実権を握って1年。この間、タリバンは正式な政権として認めるよう国際社会に訴えているが、各国は承認に慎重な姿勢を崩していない。
 アフガンの国連代表部は現在も、米国が支援してきた旧民主政権時代に送られた職員が職務に当たる。
 旧政権の大統領だったガニ氏は既に国外に逃亡しているが、タリバンが女子を中等教育から締め出したことで、国連内ではタリバンへの風当たりは強いままだ。「誰もこの(代表権)問題には触れたがらない」(国連外交筋)のが現状で、今年も結論が先送りされる可能性が高い。

 とはいえ、タリバンが実権を握ってる以上、何もしないわけにもいかないので

日本大使館が業務の一部を再開 タリバンが権力握ったアフガニスタン:朝日新聞デジタル2022.10.21
 イスラム主義勢力タリバンが権力を握ったアフガニスタンで、昨年8月に一時閉鎖されていた首都カブールにある日本大使館が業務の一部を再開した。

となるわけですが。

 今は少し緩んだが、一時は海外からの送金さえできず、故中村哲医師のペシャワール会も日本からわざわざ人を隣国まで派遣して現金を運んだという。
 制裁で封じ込めておいて、同時に人道支援を急げという国際社会。この矛盾をどうするのか。厳しい暮らしを強いられているアフガニスタンの人々は、私たちにこの国にどう向き合うかという大きな課題を投げかけている。

 「制裁と人道支援」が矛盾だというなら「高世が忌み嫌う北朝鮮」も「制裁(核、ミサイル開発を理由とした国連安保理)と人道支援(WFPの食料援助)」という矛盾がある*7のですが、

 厳しい暮らしを強いられている北朝鮮の人々は、私たちにこの国にどう向き合うかという大きな課題を投げかけている。

といった形で北朝鮮には話を広げない辺りが高世らしい。1)未だに本心からアンチ北朝鮮なのか、2)救う会や家族会とのしがらみなのか、はともかく「北朝鮮への制裁は当然だ」という「不動の結論」を絶対に動かしたくないのでしょう。滑稽というか何というか。 

「第一には、この国が平和になること、その次に仕事があって収入を得られること」

 タリバンの「厳格なイスラム統治(その結果としての女性差別)」などに怒りを覚えても大抵の人間はこうでしょう。
 アフガンは「内戦が長期化してる」し、タリバン統治が崩壊する現実性は当面乏しいし、「タリバン統治が崩壊すればそれだけでバラ色になる」と言う保証はないからなおさらそうです。
 『たとえ独裁等の問題があっても、『戦争(内戦)よりも平和』と考える人間は少なくない』ということは勿論タリバンだけではない。その意味では過去に無神経に「北朝鮮政権の打倒、転覆」を放言してきた高世がいかに無責任か。


冬を迎えて困窮するアフガニスタンの庶民 - 高世仁のジャーナルな日々

 ファティマさんは、タリバンと対立するIS(イスラム国)の台頭を懸念*8し、国際社会はタリバンとの対話を急ぐべきだという。
 「好きであろうと嫌いであろうとアフガニスタンの現政権はタリバンです。関与しなければ現状を改善できません。改善はタリバンに)関与して初めて可能となるのです。

 ファティマ氏の発言は「好きであろうと嫌いであろうと中国の現政権は中国共産党です。関与しなければ現状を改善できません。改善は中国共産党に)関与して初めて可能となるのです。
好きであろうと嫌いであろうと北朝鮮の現政権は朝鮮労働党です。関与しなければ現状を改善できません。改善は朝鮮労働党に)関与して初めて可能となるのです。
と書き換えることが可能ですが、アンチ中国、北朝鮮の高世はこういう立場では恐らくないのでしょう。
 タリバンだけに何故か大甘の高世です。それは不当なダブスタ二重基準)だと思います。
 なお、拉致問題について言えば明らかに「好きであろうと嫌いであろうと北朝鮮の現政権は朝鮮労働党です。関与しなければ現状を改善できません。改善は朝鮮労働党に)関与して初めて可能となるのです。」ですね。
 現政権(朝鮮労働党)との外交交渉以外に現実的解決策はなく、外交交渉においては「バーター取引以外に現実的解決策はない」でしょう。それを否定して事態を悪化させるのが救う会拉致議連、家族会なので始末に負えませんが。

*1:というか「グラミン銀行バングラデシュ」自体がイスラム圏だし、にもかかわらず、「利子否定のイスラム教義を上手くクリアしてマイクロファイナンスを普及させた功績(勿論、マイクロファイナンスの結果、貧困が減ったという成果もありますが)」でグラミン銀行ノーベル平和賞を受賞したのではないのか?

*2:似たようなことは本多勝一氏もエッセイに書いています。

*3:グッドライフを「『良い生活』と日本語表現にしろ」とまではさすがに言いませんが古い人間なので「アワード」には若干違和感があります。「グッドライフ賞でええやろ」と思ってしまう。

*4:石巻市議、宮城県議を経て石巻市

*5:これについては、例えば【国連女子差別撤廃委】男系継承を「女性差別」と批判し、最終見解案に皇室典範改正を勧告 日本の抗議で削除したが…(1/2ページ) - 産経ニュース(2016.3.9)、【国連女子差別撤廃委】日本の国柄・伝統を無視し、「男系継承は女性差別」と勧告しようとした裏でやはりあの国が暗躍していた…(1/2ページ) - 産経ニュース(2016.3.11:あの国とは「中国出身の女子差別撤廃委員」ですが、女性天皇主張は中国の委員だけではないし、外国人からすれば産経のような「男性天皇」に変な思い入れはないから「エリザベス女王(英国)とか古今東西女帝は沢山いるのだから、日本だって昔は女帝がいるのだから認めるのが当然だ」としか思わないでしょう)参照。今時日本人ですら女性天皇支持の方が多いのに産経らウヨも良くも出任せが言えたもんです。

*6:タリバンを「パキスタンが長年支援している」とされますが、そのパキスタンも現時点では国家承認してないようです。

*7:まあ、これは北朝鮮とアフガンに限らず、他にもあるでしょうが。

*8:「他地域はともかく」少なくともアフガンにおいては、ISの台頭はないと思います。ファティマ氏の本心は「タリバン打倒は現実的でない(あるいはタリバンを打倒したところで、タリバンを支えた庶民の精神構造は変わらないので、ポストタリバンにあまり期待できない)」というものでしょうが、そう主張するのを躊躇して「IS」云々と言ってるだけではないか。タリバンが容易に打倒できる(そしてそうすることで改善が期待できる)と思えば恐らくそう言うでしょう。