明らかに『光華寮訴訟での日本政府の対応と矛盾する』行為に呆れる(2023年11月23日記載)

外務次官が韓国大使を呼び抗議 慰安婦訴訟支払い命令 上川陽子外相は是正措置要求 - 産経ニュース
上川陽子外相、韓国外相との会談で慰安婦訴訟判決に「極めて遺憾」と抗議 対北では連携確認 - 産経ニュース
 判決内容については特に論じません。「日本政府の愚行」批判だけします。
 裁判所の判決で「韓国の駐日大使や外相に抗議」とは意味不明です。三権分立なのだから韓国外務省にできることはない。何かしたらそれこそ「司法の独立」侵害と言う違法行為になる。
 そもそも
【1】1987年の光華寮訴訟大阪高裁判決(一審の中国勝訴判決が取り消され、台湾勝訴判決:なお、その後、最高裁で破棄差し戻しとなり、事実上中国が勝訴、また光華寮は2023年に老朽化を理由に取り壊され、実質的には裁判は無意味になった(光華寮訴訟 - Wikipedia参照))に対し当時の中国政府が「日本外務省」に抗議したとき、あるいは
【2】2007年の最高裁の破棄差し戻し判決(台湾勝訴判決を取り消し事実上中国が勝訴)に対し当時の台湾政府が「日本外務省」に抗議したときに
三権分立だから何もできない」と日本側が釈明したこととの整合性はどうなっているのか?

【参考:光華寮訴訟】

光華寮訴訟 - Wikipedia
 最高裁は、1987年の大阪高裁判決(台湾側勝訴)以降、上告審を長年塩漬け状態にしていたが、2007年に入って突如として審理を再開し、2007年(平成19年)1月22日、上告人(被告・中国人寮生側)と被上告人(原告・中華民国(台湾)側)の双方に意見書提出を求め、その提出期限を3月9日と定めた。これに対し、被上告人(台湾側)が期間が短すぎるとして期限の延長を要請したが、最高裁は拒否。結局、双方とも期限までに意見書を提出した。
 2007年3月27日、上告から20年ぶりに判決が出された。最高裁は「第一審(京都地裁)の訴訟手続き」に問題があったとして、第一審(京都地裁)から審理をやり直すよう命じる判決(事実上の中国勝訴)をした。この判決の中では、光華寮の所有権の帰属については言及されていない。
 2007年(平成19年)4月2日、中華民国(台湾)の黄志芳外交部長(外相に当たる)は、日本の対台湾窓口機関、財団法人交流協会台北事務所(大使館に当たる)の池田維*1代表を呼び、最高裁判決について「台湾としてまったく受け入れられず、極めて遺憾だ」と抗議した。
 2007年(平成19年)4月3日、台湾側弁護団が都内で記者会見を開き、「国際法上の知識及び歴史上の事実認識への理解を全く欠如した内容に、驚きを禁じえない」とする最高裁判決批判声明を発表した。弁護団の一人である小田滋*2弁護士(元国際司法裁判所判事、元日本学士院会員、文化勲章受章者、東北大名誉教授)は、意見書提出期限の延期要求が最高裁に拒否されたことについて「(1987年の上告から)20年近く放置された事件について、なぜこのように急ぐのか」「(中国への)何らかの政治的配慮があったのではないかと、邪推もしたくなる」と痛烈に最高裁を批判した。
 2023年9月時点においても京都地裁で係争中であるが、審理は開かれていない。最大の理由は、中国が訴訟資料の受け取りを拒んでいることとされる。地裁は「訴訟当事者が訴訟資料を受け取り拒否でも訴訟開始」ができる公示送達手続きを検討したが、台湾側が「日本の司法が中国を服せしめる強権を発動したと受け止められ政治問題化する」と反対し、実現していない。
【光華寮の現況】
 老朽化が進み、また、無人となっており、近隣住民からの崩落を心配する声を受けて、2018年1月には京都市が立ち入り調査をしている。裁判で所有者は確定していないが、中国政府を支持する「京都華僑総会」(京都市左京区)が実質的に管理している。管理が行き届かない空き家に対して行政が建築基準法により行政代執行で取り壊した例が過去にあるものの、京都市外交問題のため、取り壊しについては慎重な姿勢を示していた。
 2023年6月、実質的に施設を管理する京都華僑協会により建物が取り壊された。協会は以前から撤去の意向を固め在大阪中国総領事館に打診していたが、総領事館に判断を先送りされ続けたため、工事を断行した。ただし、協会は「危険物を除去しただけで解体ではない」と主張している。これに対し中華民国(台湾)外交部(外務省に当たる)は、協会が建物を取り壊したことを非難し、京都市が台湾側に取り壊しを通知しなかったことに対し遺憾の意を表明した。

「 三権分立を放棄するのか最高裁 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト2007.5.3
 3月27日の最高裁第3小法廷で藤田宙靖(ふじた・ときやす)*3裁判長らが下した判断は、司法が政治を慮り、その影響を受けたのか、或いは特定のイデオロギーに染まったのかと疑わざるを得ないものだった。
台北駐日経済文化代表処の許世楷代表も指摘する。
「突如、最高裁の審理が始まり、ひと月半で裁判所の質問に答えよという命令です。20年の間に担当弁護士は80代、90代の高齢になりました。書類を精査する時間もいります。そこで私たちは回答期限の延長を求めましたが、却下されました。そして、3月27日、最高裁はこれまでの判決を覆し、台湾には光華寮の所有権はない*4としたのです。余りに政治的な判断ではないでしょうか」

*1:外務省アジア局長、官房長、オランダ大使、ブラジル大使、交流協会台北事務所代表など歴任

*2:著書『国際法と共に歩んだ六〇年』(2009年、東信堂)、『回想の海洋法』(2012年、東信堂)、『国際法の現場から』(2013年、ミネルヴァ書房)、『回想の法学研究』(2015年、東信堂)、等

*3:東北大学法学部長。東北大学名誉教授。著書『公権力の行使と私的権利主張:オットー・ベール「法治国」の立場とドイツ行政法学』(1978年、有斐閣)、『西ドイツの土地法と日本の土地法』(1988年、創文社)、『行政法学の思考形式(増補版)』(2002年、木鐸社)、『行政法の基礎理論(上・下)』(2005年、有斐閣)、『最高裁回想録:学者判事の七年半』(2012年、有斐閣)、『裁判と法律学:「最高裁回想録」補遺』(2016年、有斐閣)等

*4:台湾が事実上敗訴したものの「訴訟手続きに欠陥があった」とされたのであって所有権についての判断はされていない。