黒井文太郎
2021年1月刊の拙著でとにかく強調したのが、今後、ロシアを中心に連携する世界の独裁国陣営が攻勢かけてくるということ。
以前も何度か指摘していますが
1)「軍政エジプト、王政サウジ(国内に米軍基地配置)など反ロシア・親米の独裁国家」もある
2)BRICSでロシアと付き合いがあり米国ほどロシアに敵対的ではなく融和的な「インド」「ブラジル」「南ア」は複数政党制の民主国
3)いずれにせよロシアと付き合う国は「国益判断でそうしてる」のであって、「ロシアを中心に連携してる」わけではない。ロシアを盟主としたワルシャワ条約機構のような話ではない
等の意味でデマでしかない黒井主張です。そもそも「攻勢」とは具体的に何なのか?
黒井文太郎
学生時代に近所の古書店*1に積まれてた本多勝一氏の著書を読みまくり、反米病を患いました。
けど、半年後くらいにアメリカやソ連・東欧を旅して社会主義国の非人道的恐怖支配体制を知り、反米病がすっかり治った。
「チェコ侵攻」「アフガン侵攻」を批判した「反ソ連」の日本共産党が、ベトナム戦争やチリクーデターなど「米国の対外政策」を「主たる理由」に「米国批判」をしていたこと(今も米国批判をしていますが)が分かりやすいですが、「米国批判=親ソ連」ではない。
「低レベルな親米右翼」黒井のアホ発言には心底呆れます。
そもそも本多氏を「親ソ連」扱いすること自体が間違いでしょうが、仮にそうだとしても、それは「彼の米国批判」が間違いであることを意味しない。
また、そもそも本当に黒井が学生時代に「本多氏に傾倒したかどうか」も怪しい。
本多氏の米国批判(米国の海外での軍事侵攻など)に共感した人間が「今も各地で対外侵攻を続ける米国」を礼賛し、米国批判派を「反米病=親ソ連(ソ連崩壊後の現在だと親マルクス主義か、あるいは親『既存社会主義国(中国、北朝鮮、ベトナム、ラオス、キューバ)』か?)」と誹謗することは考えがたい。
また本多氏には『アムンセンとスコット』、『アラビア遊牧民』、『カナダエスキモー』、『子供たちの復讐*2』、『憧憬のヒマラヤ』、『先住民族アイヌの現在』、『日本環境報告』、『日本語の作文技術』、『ニューギニア高地人』、『冒険と日本人』、『リーダーは何をしていたか *3』(朝日文庫) 等といった米国批判とは関係ない著書も多数あるし、それらにおいては「(堀江謙一に対する態度*4等を根拠に)米国は日本に比べて冒険者に寛容だ(『冒険と日本人』(朝日文庫)))」など「米国に対する好意的評価」もある。本多氏は単純な反米主義ではないでしょう。
そもそも「米国旅行で反米病が治った」云々という黒井ですが、米国在住者*5自体に「米国の対外政策を批判するリベラル派」がいるわけですし、そもそも本多氏自身が、米国リベラル派を取材した結果として、米国批判の著書『アメリカ合州国』(朝日文庫)を書いてるわけです。黒井発言が事実なら米国旅行中、よほど「右翼的な米国人(そして、親日的な米国人?)としか会わなかったのか?」と聞きたくなります。
ちなみに無知なので「本当かどうか知りません」が「米国留学中の差別体験」で反米主義に目覚めたと言われる人間の一人が「第二次近衛内閣外相」として親ドイツ外交を進めた松岡洋右です(勿論そうした反米主義が事実だとしても、それだけで、親ドイツだったわけではなく、彼なりに国益を考えていたでしょうが)。
*1:わざわざ「古書店」と書く辺り、明らかに「古い人間」という「本多氏への当てこすり」でしょう。本多著書の多くは「朝日文庫」で今も購入できるし、図書館でも借りられるからです。黒井も全く呆れたバカです。
*2:早稲田大学高等学院生殺人事件(高校生が祖母を殺害)、開成高校生殺人事件(息子(高校生)の家庭内暴力に苦しんだ父親が息子を殺害)を取り上げた
*3:亡くなった人数を考えれば、当然の判決と言わざるを得ない | inti-solのブログ - 楽天ブログのような引率登山事故を取り上げている。リーダーとは従って「引率登山のリーダー」
*4:当初、日本では違法出国として非難が強かった(危険だとして日本政府が堀江に正式なパスポートを出さなかったため)が、米国は当初から「優れた冒険家」として肯定的評価。これについては例えば堀江謙一 - Wikipedia参照