金正恩最大の弱点高容姫(R7.6.30)|荒木和博ARAKI, Kazuhiro
東京新聞元ソウル特派員の五味洋治さん*1の著書『高容姫*2』を読んであらためて北朝鮮というのは誰も幸せになれない国だと思いました。
「弱点」とは何のことかと言えば以下の通りです。つまり、この話を荒木は「北朝鮮や金正恩のdisネタ」として何度もやっています。
「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2019年12/30分:荒木和博の巻) - bogus-simotukareのブログ
重荷のオモニ【調査会NEWS3151】(R01.12.30): 荒木和博BLOG北朝鮮内での在日朝鮮人差別が激しいため、最高領導者の母親が在日だとなれば一気にカリスマがなくなるということで、その意味では金正恩にとって永遠の「重荷」なのでしょう。
荒木や高英起など一部の人間が勝手に言ってることなので「在日朝鮮人差別が酷いから出せない」どころか「在日だと言うこと」も真偽不明です。
それはともかく、「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(10/5分:高英起の巻)ほか(追記・訂正あり) - bogus-simotukareのブログでも書きましたが、この話、「手塚治虫『ブッダ』のビドーダバ(ルリ王子)の母親の話」に似ている話ですね。
「国王でありながら、ヒンズー教のしがらみを脱することができず、元スードラの実母を泣く泣くスードラ待遇に落としたあげく死に至らしめ、深い後悔にさいなまれるビドーダバ」や「ビドーダバの苦悩を救うことなどできるのかと悩むブッダ」の描き方は「俺的」にはさすが手塚という所です。
小生も「お涙頂戴」には結構弱いので、こういうのを読むとつい涙腺がゆるんできます。
と言ってもブッダを読んでない人は何のことだかさっぱり分からないでしょうが。
「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2020年1/9分:荒木和博の巻、ほか) - bogus-simotukareのブログ
誕生日【調査会NEWS3161】(R02.1.9): 荒木和博BLOG昨日は金正恩の誕生日でした。北朝鮮では一切行事はしなかったようです。何度も書いていますが母親高容姫が北朝鮮では差別の対象である在日の出身のため、誕生日を祝えば産んだのは誰かということになり、表に出せないのが最大の原因でしょう。
もちろん荒木が勝手に言ってるだけで何か根拠がある話では全くありません。
「謙虚なイメージの構築」「自らをあえて低めることで父や祖父の権威を強化している」といったことで十分理解は可能です。
「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2022年1/9日分:荒木和博の巻) - bogus-simotukareのブログ
なぜ1月8日金正恩の誕生日を祝わないのか(R4.1.10): 荒木和博BLOG
荒木説を書いておけば、「金正恩、金与正兄妹の母親とされる高容姫が在日朝鮮人(北朝鮮では在日朝鮮人への偏見が強いとのこと)で、また高の父(正恩、与正兄妹の祖父)が日本軍協力者だから」だそうです。
「真偽は不明」ですが、ウィキペディアにも高容姫 - Wikipedia参照
◆2002年頃から、金正日は『後継と見なした金正恩』の生母として「共和国の敬愛なる母」として彼女の偶像化を推進した。しかし、デイリーNKの高英起*3らによれば、彼女の父親が日本陸軍の軍需工場の幹部として働いていたことが、朝鮮総連を通じて北朝鮮国内に知れ渡ることが危惧されたため中断されたという。
◆高英起らによれば、高容姫の元々の名前は「高容子」。「容姫」に改名したのは、「容子」がいわゆる日帝残滓とみなされる『「子」の付いた日本風の名前』だったからではないかという。と荒木と似たり寄ったりの説が書いてあります。
つまりは手塚治虫「ブッダ」での「ルリ王子」のエピソード*4に似ているかと思いますが「そのように荒木が主張するまともな根拠」はないので馬鹿馬鹿しい。
なお、こうした指摘が事実かどうか素人の俺は知りません。
かつ拉致問題の解決とも関係ないのであまり興味も無い。
【参考:手塚治虫「ブッダ」に出てくる「ルリ王子」のエピソード】
ルリ王子 (るりおうじ)とは【ピクシブ百科事典】
ルリ王子は、父王の勧めで母君の郷里であるシャカ国の首都カピラヴァストゥに遊学したところ、同級生や先生役の老師にまで冷たい視線を浴びせられる。実は、ルリ王子の母君はシャカ国の王女ではなく、偽って差し出された奴隷の娘だったのだ。
憤慨したルリ王子とパセーナディ国王は、シャカ国王スッドーダナを捕まえて戦犯として幽閉、侮辱した同級生も射殺して報復しただけでは飽き足りず、シャカ国の臣民を強制労働させて虐待し続けた。それに先立ってルリ王子は、シュードラ(奴隷階級)だった母君を奴隷部屋に投獄してしまう。
奴隷部屋から疫病が発生した時も平然としており、父王に怒鳴られるも言い負かしてしまう。こうして、ヤタラに託して母君を城外に追い出すことに成功するが、道中で病死してしまった母君を見たルリ王子は、埋められた彼女の亡骸にすがり、号泣して悲しんだ。
珍右翼・高世仁に突っ込む(2022年6/1日分)(副題:『即時一括全員帰国路線が二人を見捨てた』という高世の救う会、家族会批判に驚く) - bogus-simotukareのブログ
我が心の愛しき漫画 | カクテルハットでロココ曜日♪
ブッダは読み進めるうちに、私にも涙を禁じえないシーンがたくさんあるのですが、一番は、ルリ王子の母親が亡くなってしまうところ。
ルリ王子とは、本名はビドーダバと言って、豪壮な名前の持ち主ですが、奴隷の身分であった母親と、王族の父親の間に生まれた王子で、プライドが高いため、自分の母親が卑しい身分の出身だったことにとことん苦しんで、熱病にかかった母親を、王族の立場から捨てさせて見殺しにしてしまうのですね。
その後、国境沿いの墓標なき砂地に埋められた母親を素手で掘り返して抱きしめて号泣するのですが、ブッダに会い、改心するまで、それを心のそこから苦しむのです。
もしかしたら、身分差別の犠牲となった母親を抱きしめて号泣したところに、冷徹な王族としてのルリ王子と、弱い人間としてのルリ王子が同居していて、それが母性本能をくすぐったのかもしれません。つれづれなるまま 手塚治虫。
ルリ王子と母親のエピソードが泣ける。
「母上!私です、ビドーダバです!母上…母上…母上…母上……この大たわけの親不孝者の顔をご覧ください!…やっと…母上とこうやってふたりきりになりました。でも、あなたはもう生きてはいない!!武士の身分のためには側近の手前…母上をわざとああするほかに仕方なかったのです」
「坊主、答えろ。なぜ世の中不幸せな人間と幸せな人間とがいるのか。なぜ、なぜそうなのか答えろ!!」
「お前は自分が一番不幸な人間だといったが、そのふたりのお母さんのほうがもっと不幸な人なのではないか?」
「じゃあおっかさんを殺したルリ王子だ!それなのにルリ王子、罰うけない。誰も咎めない!なぜだ!!」
「お前の話ではその王子は本当は実の息子なのだな。その女奴隷の?」
「それが本当ならその王子は奴隷階級の母親から生まれていままで育つ間にどんなに苦しんだだろう。そして奴隷として母親をわざと(ボーガス注:奴隷小屋に)追放し焼き殺す*5命令を出したとき心の中はどんなに苦しかったろう。それを顔にも態度にも出さずに王子として我慢しなければならない立場だったのだろう。その母親を憎む気持ちと慕う心とがぶつかりあったときその王子はどんなに悶え苦しんだろう。その王子こそ不幸な人間だ…そう思わないか」
*1:著書『北朝鮮と中国』(2012年、ちくま新書)、『女が動かす北朝鮮:金王朝三代「大奥」秘録』(2016年、文春新書)、『金正恩が表舞台から消える日:北朝鮮・水面下の権力闘争』(2021年、平凡社新書)等
*2:2025年、文春新書
*3:著書『金正恩』(2013年、宝島社新書)、『北朝鮮ポップスの世界』(共著、2015年、花伝社)
*4:ググった限りでは、「ブッダ」についていい感想記事がヒットしなかった上に説明がややこしいので、詳しい説明はしません。興味のある方は手塚「ブッダ」をお読みいただけると幸いです。
*5:「奴隷小屋に蔓延した伝染病」を予防するためには「奴隷小屋を焼き払うしかない(助かる見込みがないのでその際、病気に感染した奴隷(ルリ王子の母親を含む)は一緒に小屋ごと焼き殺すべきだ)」と側近に言われてそれを実行したという話です。