【久保田るり子の外交ウオッチ】ニッポン親中外交が失おうとしているもの

 産経らしいいつもの反中国記事。

 専門家は「日本の中国属国化」への警鐘を鳴らしている。

・専門家って(苦笑)。産経文化人だけでしょ、そんなこと言ってるの(今回登場の産経文化人は平松茂雄氏)。
・それと「日本のアメリカ属国化」はどうでもいいんでしょうか?
・ちなみにウィキペディアによると今回ご登場の平松氏の最近の著書は次の通り。
 『中国は日本を併合する』(2006年、講談社インターナショナル
 『中国は日本を奪い尽くす』 (2007年、PHP研究所
 『「中国の戦争」に日本は絶対巻き込まれる』(2008年、徳間書店
 『日本は中国の属国になる』 (2009年、海竜社)
 『「日本核武装」の論点・国家存立の危機を生き抜く道』(中西輝政編、2006年、PHP研究所
 『マンガ日本核武装入門・中国の「核」が日本を消滅させる日』 (2010年、飛鳥新社マンガ入門シリーズ)

 本も読まずにこんなことを言ってはいけないんですが本の題名や共著者を見る限り、トンデモ右翼にしか見えません。
 特に最後の二冊はアマゾンレビューによればやはり予想通り「日本は核武装すべき」論のようです。NPT脱退して国際社会を敵に回すことになるから、無理だって。
 しかもウィキペディアに寄れば平松氏は真正保守シンクタンク「国家基本問題研究所」(理事長・櫻井よしこ)の評議員だそうです(なお、平松氏は昔は防衛研究所の研究員だったそうですから、びびらざるを得ません。防衛省の研究員全てがこうじゃないでしょうが)。
 それにしても属国(一応、日本は独立国)と併合(日本は中国の植民地?)じゃ違うと思うんですが、その辺り、平松氏はアバウトなんでしょうか?

 中国政府はここ約2カ月で、日中間にしこっていた「ギョーザ」「ガス田」という2懸案を相次いで片づけた。

 良かったじゃないですか。
 なお、政治問題であるガス田はともかくギョーザは刑事事件なので少なくとも建前は捜査の結果、やっと犯人が見つかったのであって、民主党への好意の表れではないんですが?

 中国側の「民主党評価」のポイントはふたつ。「歴史認識靖国問題)」と「台湾問題」で中国の意向に逸脱しないとの判断であった。

・「歴史認識靖国問題)」と「台湾問題」での中国側の要望は
靖国参拝するな」「あの戦争を正当化するな」「台湾の独立を認めるな」だけですからね。歴代自民党政権も守ってきた要望であって、別に特別な物ではありません。靖国参拝を強行した小泉政権の方が例外なのです。

 「菅氏は親中派」(関係筋)とみられており、中国側に警戒感はない。

 本当に親中派かどうか知りませんが反中派と理解されて日中関係がぎくしゃくするよりマシでしょう。

 丹羽氏の起用は、中国への強烈なメッセージだ。もはや日中関係は「政治より経済」であり、中国の海洋覇権への懸念より「日中間のトップセールスへの期待」の宣言となった。

 言いたいことがよく分からないのですが丹羽氏を大使にすべきでなかったと言うことですか?

 中国共産党は日本の民主党を「好(ハオ)=好ましい」と判断した。初動の民主党が示した媚中的な対中政策への評価である。

 せめて親中的と書いて欲しい。タイトルは「ニッポン親中外交」なんですから。

 日中関係小泉政権靖国神社参拝などで2006年まで冷え込んでいた。その後の自民党政権(安倍、福田、麻生内閣)は無難な路線で関係を修復した。そうしたなか、自壊する自民党に代わって現実味を帯びた民主党政権誕生に中国はただならぬ関心を寄せた。

 「自壊する自民党」って(苦笑)。産経は自民党の友達のはずなのに久保田記者、容赦ないな。
 まあ、麻生政権は解散も出来ずに支持率はどんどん下がっていく一方でしたからね。中国が「現実味を帯びた民主党政権誕生の可能性」に関心を寄せるのは当然です。

 政権交代後、民主党は中国の「期待」に応えた。まず自民党時代の安倍晋三政権に代表される「価値外交」(民主主義など価値を共有する国との関係重視)から異なる体制との共存共栄をうたう「友愛外交」へ転換。

 価値観外交って見るからに反中ぽかったですからね。それと価値観外交みたいなのが日本の外交では例外で全方位外交がスタンダードじゃないんですか?
 あとウィキペディアによれば、福田政権で価値観外交は事実上放棄されたようなんですけど。

 さらに小沢一郎前幹事長が同党議員ら大挙600人を引き連れ訪中。

 訪中しちゃいけないんですか?

 中国の次期指導者、習近平・国家副主席が天皇陛下との会見を希望すれば、天皇会見の「一カ月ルール」を破ってまで中国側の希望に沿った。

 「一カ月ルール」って不文律に過ぎないんですけどね。まあ、産経とかの反感を食らってまで会見をセットする必要があったか疑問ですが。

 そして、3月から5月にかけ東シナ海、西太平洋で続いた中国海軍の駆逐艦進出や艦隊航行、艦艇ヘリの示威飛行や調査船活動などの軍事的覇権行為に、日本の民主党政権は、厳しい態度を取らなかったどころか摩擦を回避しようと腐心した観すら残った。

 この件について詳しくないので意見保留。中国になめられても困りますが、無用の喧嘩で関係がぎくしゃくしても困るのでその辺、対応が難しいとは思います。