・今日は「日比谷焼打ち事件の黒幕はガス抜きを狙った首相・桂太郎だったんだよ！」という陰謀論をかまし、「日比谷焼打ち事件はマスコミの煽りが原因、また尖閣問題で煽るなよ！」とマスコミ批判する仙谷氏は間違ってるというトンデモな抄子。あのなあ、それトンデモ学説で通説じゃないだろ。桂はこの事件で退陣に追い込まれるんだぞ。退陣に追い込まれてまでガス抜きなんかやるか？
・しかもそれが事実だとしても、「マスコミが煽ったこと」と焼打ちと関係ないと言えるわけもない。マスコミが煽ったからガス抜きが必要になったのだし、煽らなければ権力が仕組んでも暴動など起こるまい。
・仙谷氏に反論するなら下手な陰謀論など出さずに、「煽ってなどいない」と言えばいいだけなのだが。ま、私はマスコミは煽ってると思うけれどね。
・権力って怖いですね、って陰謀論じゃなくて大逆事件とか横浜事件とか菅生事件とか権力の謀略であることが明白な事件をネタにして言えよ。
・そして最後にこの説を本に書いた黒岩比佐子氏の追悼文って何だ、そりゃ。追悼文で仙谷叩きが前面に出るとかアホか。
別の演説会場では、小泉元首相の祖父（注：小泉又次郎）が捕縛され、電柱に縛り付けられた
だって、ヤクザ上がりでしょ、あの人。
編集者としての国木田独歩、食育の先駆者、村井弦斎、日本初の編集プロダクションを率いた堺利彦…彼らに続く、隠れたヒーローの物語をもっと読みたかった。
・ちなみにウィキペによるとこれらの本は、「編集者・国木田独歩の時代」（角川選書、角川財団学芸賞受賞）、「『食道楽』の人・村井弦斎」（岩波書店、サントリー学芸賞受賞）、「パンとペン・社会主義者堺利彦と「売文社」の闘い」（講談社）です。
・じゃあ、そう言うまともな人間を扱ったまともな本を紹介しろよ（村井はマクロビに影響を与えたらしいので彼だけはまともでないかも知れないが）。寄りによって陰謀論を紹介されたんじゃ彼女も浮かばれないだろ（抄子のことなので「当時そう言う説があった」という単なる紹介を誤読して、彼女の説扱いしてる疑いがあるが）。
それにしても産経が社会主義者・堺をヒーローよばわりねえ（苦笑）。「日本初の編集プロダクション」売文社もウィキペによれば参加者が「大杉栄・荒畑寒村・高畠素之（後に彼は右転向するが）・山川均・橋浦時雄・和田久太郎*1」と左翼揃いだし、売文社は解放出版社（部落解放同盟に近い）、前進社（中核派に近い）、新日本出版社（共産党に近い）、こぶし書房（革マル派に近い）*2などのような政治色の強い会社だと思うのだが？（新日本出版社が娯楽的な物を出してるように政治オンリーではないだろうが）
こんなに手放しでほめていいのか、産経。
・ちなみに不破哲三「日本共産党史を語る（上）」（新日本出版社）27ページに寄れば、このうち堺、山川、橋浦は1922年に誕生した日本共産党の創立メンバー。
・それと、彼女が紹介するまでは食育関係者など一部を除いて無名の存在だった村井はともかく、日本史や国語の教科書に載ってる独歩や堺は隠れてないだろ。彼女の紹介した側面に注目する人が少なかっただけで。まさか独歩や堺を知らないんじゃないだろうな？。
・ただ有名な割には独歩作品を読む人は今いるのかなとは思うが。
最後に「本日の産経SHOWと阿久根政界NOW：黒岩比佐子さんのご冥福をお祈りします」（http://d.hatena.ne.jp/slapnuts2004/20101122/p1）にコメント。
基本的に明治の政府は動きが早いんですよ。明治初期は騒擾事件*3が頻発していましたが、それへの対応が実に素早かったことは近代史の本を読めばよく分かります。政府上層部の少数による集団指導体制がまだ残っていた時代ですから、議会制民主主義より意思決定が速いのは当たり前です。
ですよね。対応の早さに陰謀論を持ち出す必要はどこにもない。しかもマスコミが煽りまくって不穏な空気が流れていたのですから、騒乱の発生は充分予想出来ます。予想外の突発的事件では全くないのだから、対応も発生前から考えていたことでしょう。
また、id:agricola氏もブクマやエントリで指摘していますが、自作自演などあり得ない関東大震災でも戒厳令は速やかに出ています。
（注：抄子が紹介する黒岩さんの本は）Amazonのカスタマレビューを見てみると、マスコミ批判の本みたいなんですが。それを読んで襟を正すどころか、主旨を捻じ曲げて政府批判に用いるとは。だからマスゴミって言われるんですよ。
まあ、産経は同業者の朝日相手に「宇治山田商業高校応援部が学ランを着ないのは朝日のせい」とデマすら平気で流し抗議されてもまともに謝罪しない新聞ですから。
だったら追悼コラムとして書けばいいのに。政府批判の最後に申し訳程度に付け加えるのはかえって失礼でしょう。
作家のつかこうへいさんが亡くなったときも、つか氏の追悼を口実に民主党の悪口を書くような人ですから。
