今日の産経ニュース(12/7分)(追記・訂正あり)

■【日曜経済講座】アベノミクスによる円安に対応できない中国・韓国、その衝撃度は重大 編集委員・田村秀男 
http://www.sankei.com/column/news/141207/clm1412070008-n1.html
 円安に中韓が対応できないも何も「円安による物価高騰」で困ってる日本人がいることは田村氏の眼中にはないんでしょうか。「輸出大企業」や「日本旅行する外国人*1(及び彼らをターゲットにする旅行産業)」にとっては円安は美味しいですが、「国内市場で儲ける中小企業」にとっては「輸出なんかしない」んだから円安による物価高騰はデメリットしかありません。

習政権が安倍政権との対話再開に動き出した理由の一端は、以上のような中国側の苦境にあるだろう。

 もちろん日中関係の悪化による日中間貿易縮小、あるいは日本企業の中国投資の減少てのは中国にとってうれしくはないでしょう。
 だからこそ首脳会談に中国が動いたてのは間違ってない。問題は産経が「安倍も首脳会談に動いた」「日本財界も関係改善を希望してる」という側面を完全無視することです。安倍の方も「アベノミクスの挫折」で「中国ビジネス、中国市場の日本にとっての重要性」に気付かされたわけです。だからこそ安倍は福田元首相を特使にし、例の「4項目合意」に応じた。
 中国も安倍の無茶苦茶を容認した訳じゃなくて「4項目合意」という最低限度のラインは設定したわけです。
 なーんてことを指摘しても産経には「蛙の面に水」で無視するしょうが。理解能力がないのか、はたまた理解した上で故意にデマを飛ばしてるのか知りませんが産経の脳内では「安倍は中国に勝ってる、妥協や譲歩なんか何一つしていない」という設定になってるからです。この設定は基本的に何があっても変わりません。まあ、この田村さんて人は「産経を辞めてフリーになったり他の新聞社に移る人(例:福島香織)が多い」のに「日経を辞めて産経に移籍するような変わり者」ですからね。


■【映画オタク記者のここが気になる】文革中国が輸入した「高倉健映画」*2 「文太」が蹴った『新幹線大爆破』、健さんは乗った…健さん・文太さん秘話
http://www.sankei.com/premium/news/141207/prm1412070029-n1.html
(その1)
 「新幹線大爆破」の佐藤純哉監督によればもともと「新幹線大爆破」の犯人役は菅原文太にオファーがあったのに菅原が断ったので、高倉健に役が回ってきたんだそうです。菅原文太がやっていたらどうだったのかという興味がありますね。
 なお断った理由は

シナリオを読んだ文太さんは『この映画の主役は新幹線で、演技者は付け足しだ』と断ってきた。

だそうです。
わかりにくい表現ですが
1)この映画のメインは「新幹線爆破の恐怖とそれを防ごうとする国鉄&捜査当局の奮闘だ」
2)犯人役は「犯行動機とかが深く描かれるわけでもなく」俺(菅原)が全然美味しくない、見せ場がねえ
とかいうことなんでしょうか。いや俺は、映画見てないんで良く知らないのですが。
(その2)

 『新幹線大爆破』は模倣犯が出るという理由で中国で上映されていない。ただ映画の大学なんかでは研究材料として見られているようです(佐藤監督)

 ホンマかいな、都市伝説と違うのかて思いますけどね。それとも新疆ウイグルとかでテロやる輩もいるし、本気でそう思ってるのか。
 だって日本でDVD売ってるわけですからね。上映原則不可にしても意味ないんじゃないか。

(その3)

高倉さんと菅原さんが共演した「最後の特攻隊」(70年)や「日本ダービー勝負」(同)も手がけた佐藤監督。

 「最後の特攻隊」については『【映画】最後の特攻隊』(http://blog.goo.ne.jp/langberg/e/8cf55d355ecb6779e8a8383a7c714b06)を紹介しておきます。
 「最後の特攻隊」と言っても「宇垣纏の終戦後の特攻」とは関係ありません。
 主役が鶴田浩二、鶴田の妻役が藤純子、鶴田の友人が高倉健て完全に「鶴田、藤、高倉の任侠映画」と同じ面子です。この時点では菅原氏はそれほどの重要な役ではないようです。
 まあ、彼が大看板になる「仁義なき戦い」(1973年)はこの後のことですからね。
 「日本ダービー勝負」については『競馬ファン向けの東映東京「日本ダービー・勝負」三橋達也/健さん尾形藤吉の半生を描く。』(http://ameblo.jp/73379184/entry-11887490208.html)を紹介しておきます。
 この映画、主役は尾形調教師役の三橋達也だそうです。高倉、菅原は騎手役で高倉が兄貴分と。小生、三橋については土曜ワイド劇場「十津川警部シリーズ」(1979〜1999年)のイメージが強いですね。既に「十津川シリーズ」の頃は三橋は高齢でどたばた動き回れないとの配慮から「亀井刑事役の愛川欽也が事実上の主役」というヘンテコなドラマになっていました。アレはアレで面白いんですけどね。今は「十津川役が高橋英樹になった」ため十津川メインの形になっています。


【2015年5/5追記】

 実際の映画では、むしろ犯人役(高倉、山本圭織田あきら)に十分すぎるほど描写がされていますけどね。海外版では、くどいとこれらのシーンが削除されているとか。あるいは菅原氏も、完成した映画を見て、「しまった!」と思ったかもですね。

と拙エントリでid:Bill_McCrearyさんがコメントし
 またライプツィヒの夏『「新幹線大爆破」についての面白いエピソード』
http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/77578b7d0d3523b171bb3bcce5251473
では

 菅原さんの読んだシナリオが、完成品に近いものなのか、それともまだ犯人らの描写が少なかったものなのかは分かりませんが、あるいは映画を見た(たぶん見たでしょう)菅原さんは、「うわ、断らなければよかった!」と後悔したかもですね。

と書かれていますが、ウィキペディア新幹線大爆破」を信じるならばもともとのシナリオは海外公開版並みに犯人の描写は希薄(つまりただのパニック物に過ぎなかった)で、高倉主演決定後、「天下の高倉健主演なのに犯人描写が希薄では勿体ない」「高倉健主演なのにただの凶悪犯扱いでは観客の共感が呼べない」として「犯人の人物描写を大幅に増やす」という大規模な書き直しがされたそうです*3。つまり「菅原がシナリオを見た時点」では菅原の感想は全く正しかったのでしょう。しかし高倉主演で事情が全く変わってしまったと。
 なお、ウィキペディアに寄れば「沖田役には高橋英樹も候補に挙がった」そうですが、これまた「菅原文太の沖田」同様、ちょっと想像できないですね。「高倉健の沖田」はまさにはまり役だったと言う事でしょう。

*1:当初愚かにも「海外旅行する日本人」と全く逆のことを書いていました。コメ欄のご指摘により書き直しました。まあ小生その程度のとんちんかん野郎ですが今後もよろしくお願いします。

*2:君よ憤怒の河を渉れ」のこと

*3:以前このエントリを小生が書いたときには「このウィキペディアの記述」には全く気付いていませんでした。もしかしたら拙エントリ執筆のその後「ウィキペディアの追記訂正」がされたのかもしれません。