今日の産経ニュース(10/5分)(追記・訂正あり)

■【ノーベル賞受賞】屠ユウユウ氏は博士号も留学もない「三無*1教授」 「真の科学者いない」中国で称賛の嵐、“偽物”*2じゃない初受賞と大はしゃぎ*3 
http://www.sankei.com/world/news/151005/wor1510050045-n1.html
■【ノーベル賞受賞】大村智*4、風土病薬「イベルメクチン」を実用化 アフリカで失明の危機を克服、効果劇的
http://www.sankei.com/life/news/151005/lif1510050064-n1.html
■【ノーベル賞受賞】大村智氏、常識破りの発想で治療薬開発
http://www.sankei.com/life/news/151005/lif1510050066-n1.html
・ノーべル医学賞に「日本人学者と中国人学者を選ぶ」とはノーベル賞選考委員会も実に「面白いことをする」もんです。なお後一人、「アイルランド人の学者ウィリアム・キャンベル氏が受賞し」、三人の同時受賞です(単に功績のみによる評価で「日中友好につなげよう」とか言う意思は選考委員会にないでしょうが)。
 断言してもいい気がしますが、日本マスコミは「日本人の大村氏ばかり取り上げ、中国人の屠ユウユウ氏やアイルランド人のキャンベル氏は全然取り上げない」という醜態をさらすのでしょう。産経なんか「初受賞に大はしゃぎ」と自分の「大村名誉教授受賞に大はしゃぎ」を棚に上げて中国を小馬鹿にしていますし記事の分量も明らかに大村氏の方が多くなっています。
・まあ、それは中国やアイルランドの方も自国民の屠ユウユウ氏やキャンベル氏ばかり取り上げて、お互い様かも知れません。しかし「ノーベル賞受賞者がまだ少ないであろう中国やアイルランド」なら同情の余地もあると思いますが、「既に何人も受賞者を出してる」日本がそれでは一寸恥ずかしい気がします。また「ニュースバリュー」と言う意味ではあえて言えば「中国やアイルランドの受賞者は数が少ないだろう」から「屠ユウユウ氏やキャンベル氏の受賞」のほうが大村氏の受賞よりニュースバリューがあるように思います。
 また「屠ユウユウ氏」の場合、
1)「マラリア*5という一般人にもなじみがある病気」なのに対し、大村氏、キャンベル氏の受賞は「アフリカの風土病」だそうで今ひとつ我々にはなじみがありませんし、
2)屠ユウユウ氏はこの種の科学賞では数が少ない女性研究者(日本は過去数々の科学分野のノーベル賞受賞者がいますが実は女性受賞者はいません*6
と言う意味でニュースバリューがあると思います。
 またウィキペ「屠ユウユウ」によれば

 ラスカー賞を受賞した2011年まで、何十年もの間、屠は「人々からほとんど忘れ去られた」無名の存在だった。2007年のインタビューによると、屠の生活環境は非常に貧しいものだった。彼女のオフィスは北京の古いアパートにあり、暖房も滞りがちで、電化製品といえば2つだけ、電話機と、薬草サンプル保存用の冷蔵庫しかなかった。

ということで「『おしん』のような日本人好みのサクセスストーリー」と言う意味でもニュースバリューがあると思います。
 まあ日本人だと「大村万歳、万々歳」になるのはある意味「ナショナリズムの発露」で自然ではあるでしょうが。

【追記】
■人民日報『陳化蘭氏、ユネスコ・ロレアル女性科学賞を受賞』
http://j.people.com.cn/n/2015/1009/c95952-8959696.html
 中国の科学力は意外とスゴイのではないかという気がしてきました。


■【防衛装備庁発足(1)】防衛装備の海外移転で中国封じ込め 太平洋の安全保障に力こぶ 民間各社も海外展開前のめり
http://www.sankei.com/premium/news/151005/prm1510050005-n1.html
 「武器の輸出、海外販売」「武器の外国との共同開発」を「防衛装備の海外移転」と言う辺り実に姑息です。
 まあ、それはともかく。
 何で武器を輸出するか、共同開発するかといったら「軍需産業の金儲け」でしょう(小生はハト派としてそう言う考えには反対ですがそれはひとまずおきます)。産経の言うような「中国封じ込め」ではない。そう言う意味では「勿論防衛機密の保持などに十分注意する」でしょうが今後、日本企業による
1)中国への武器販売
2)中国に武器工場設立
3)中国との共同武器開発
といったことも可能性としてはあるわけです。産経が本気で「防衛装備庁などによる武器輸出等の促進の目的は中国封じ込め」と思ってるのか、「中国脅威論を持ち出せば武器輸出等への国民の同意が得られる」などの判断から「故意にデマを流してる」のか知りませんが、まあ、いつもながら困ったデマ新聞です。


■【主張】民主党と安全保障 まず自分の考えまとめよ
http://www.sankei.com/column/news/151005/clm1510050003-n1.html
 産経にはいつもながら「やれやれ」です。もちろん民主党には「右派(自民党出身者)と左派(旧社会党出身者)の対立」があり、「安保政策は曖昧」です。それが民主党の伸び悩む理由の一つでしょう。ただ産経がこういう事を言うのはそう言う話ではなく「例の安保法をうまく正当化出来ない」「例の安保法について保守派からも批判がある」ので「民主党攻撃すればごまかせる」と汚い算段してるだけです。いつもながら、「全く自民党御用新聞だな」としか言いようがない。 


■【櫻井よしこ 美しき勁き国へ】民主党の矛盾と欺瞞 実態としての集団的自衛権を個別的と言い張る不誠実さ
http://www.sankei.com/premium/news/151005/prm1510050007-n1.html
 「集団的自衛権問題」での民主党からの「貴殿の我が党批判には同意できない」とする再質問、再批判について「一回目の質問で総て答えたと思うから応じない、反論する気ない、時間の無駄」という対応をしたよしこがまた「集団的自衛権民主党批判」です。俺だったら「こういう事は恥ずかしくてできません」。「既に言いたいことは言った」というならその後しつこく言い立てるのは変でしょう。
 しかし、よしこには常識がないようです。
 民主党が今回反論文を送るか知りませんが、仮に送ったとしてまた「反論する気ない」でよしこは終わらせてしまうんでしょうね。「言いたい放題言うが批判には応じない」というんだから、自称ジャーナリストとは思えない不誠実で無茶苦茶な振る舞いです。

 1999年に能登半島沖で北朝鮮工作船に対処した海上自衛隊の自己犠牲の精神がその1例である。イージス艦みょうこう」の当時の航海長、伊藤祐靖氏が振り返った。
 「北朝鮮工作員が強力な武器を持っているのは間違いなく、乗り込めば銃撃戦になる。しかしわれわれには防弾チョッキもない。そこでせめてもの弾丸除けに船内の雑誌を腹に巻いて準備をしました」

 それって「仮に事実*7だとしても」安保法の問題なんですかね。どこに「自衛隊に防弾チョッキは必要ない」と言う人がいるんでしょうか。そして今回の安保法はそういう問題だったのか。安保法反対デモ隊は「自衛官の防弾チョッキ着用に反対していた」のか。もちろん違うわけです。

97年には鹿児島県下甑島に中国人密航者20人が不法上陸し逃走した。航空自衛隊員30人は一切の武器を携行せず自己責任で、野外訓練名目で出動した。中国人全員を拘束したが、彼らが武装していれば丸腰の自衛官が犠牲になった可能性もある。

 ばかばかしい。この捜索には「地元の警官」や「青年団消防団といった一般民間人」も動員されています。密航者がよしこが言うほど危ない連中なら「地元の警官」や「青年団消防団といった一般民間人」は動員されないでしょう。特に一般民間人なんか動員するわけがない。一般民間人から死傷者が出たら政府の責任問題になるからです。仮に密航者が何か武器になるものを持っていたとしても「ナイフや木刀が関の山」で「ピストルだの手榴弾だの」は持ってないでしょう。もちろんよしこもそんな事はよく分かった上でのデマ垂れ流しでしょう。本当に最低最悪のバカ女です。


■【ラグビーW杯】関心薄いくせ*8に日本の南ア撃破を「純血脱皮」と筋違いな批判 アジア対抗で日本に5−62で敗れたのはどこの国だったかな?
http://www.sankei.com/premium/news/151005/prm1510050006-n1.html
 「純血脱皮」という聯合ニュースの記事は産経記事を読む限りどう見ても「批判」ではありません(聯合ニュースの記事をネタにした一部韓国ネット民の感想「それで日本代表って言えるのかいな?」*9は批判かも知れませんが)。

果敢な『外部輸血』が大きかった

という聯合ニュースの記事は「批判」なんでしょうか。「果敢」というのは「褒め言葉で使われる言葉」でしょう。「果敢に殺人する」とか普通言わない。「脱皮」だって褒め言葉に使われる言葉で普通「暴走族からヤクザに脱皮した」とは言わないでしょう。
 結局産経は「韓国は反日」と言う色眼鏡で見てるから「純潔主義にこだわらない柔軟な姿勢が勝利をうんだ一因」という賞賛文章を読んでも「日本人にこだわらない混血(?)主義への批判」と誤読・曲解し「混血の何が悪い」「過去の日本代表ラグビーチームだって混血だ」「五郎丸のような純血だっている」ととんちんかんを言い出すわけです。
 まあ混血主義と言えば「エディー監督」も混血主義の一例でしょうね。
 聯合ニュース記事を読まないと何とも言えませんが本当は「韓国も日本を見習って純血主義にこだわるべきではない」なんて主旨の記事なのかも知れません。

*1:博士号や海外留学経験を持たず、中国学士院会員でもないということ

*2:過去にも「中国系」が科学分野のノーベル賞を受賞したことはあるが、それらは「中国国籍でない(アメリカに帰化したり台湾国籍だったり)」「業績が中華民国時代や海外留学時代の業績で、中華人民共和国建国後の中国国内の業績でない」。「中華人民共和国建国後に、中国国内の研究で中国国籍保有者が受賞した」のは今回が初めて。

*3:大はしゃぎというなら産経ら日本マスコミの大村・北里大学名誉教授絶賛だって大はしゃぎでしょうにねえ(苦笑)。【追記】「大はしゃぎ」というタイトルは産経社内外から「不謹慎だ」「失礼だ」という批判が出たからか、今は訂正されています。

*4:北里大学名誉教授。美術作品の著名な収集家であり、2007年に私費5億円を投じて故郷である山梨県韮崎市韮崎大村美術館を建設し、1800点を超える蒐集作品と共に韮崎市に寄贈し初代館長を務めている(ウィキペ「大村智」参照)。

*5:ウィキペ「屠ユウユウ」曰く「この頃、中国の同盟国である北ベトナムは、ベトナム戦争を戦っていたが、マラリアで多くの死者を出し、従来の特効薬クロロキンに対する抵抗性が出始めていた」「マラリアは中国南部の海南、雲南、広西、広東省でも主な死因の一つだった」そうです。

*6:例の「女性研究者」小保方某が騒がれた理由の一つはそう言う事です

*7:伊藤は例の「予備役ブルーリボン」メンバーという「荒木和博の類友」なのでその発言は裏をとらない限り、とても信用などできません。

*8:「関心薄い癖に」というならほとんどの日本人だって同じ事です。南ア撃破と言う快挙がなければラグビーなんてほとんどの日本人は興味ないでしょう。

*9:ただ日本でも「外国人選手が多いんじゃ複雑な気持ち(例:相撲)」なんて感想はありますので、是非はともかく一部韓国ネット民のような感想は我々日本人にもおなじみのものです。