今日の産経ニュースほか(12/29分)(追記・訂正あり)

■【世田谷一家殺害事件 迷走の15年(下)】薄れる「特別な事件」「ホシに必ず現場を案内させる」思いで保存続く現場も取り壊しの危機
http://www.sankei.com/affairs/news/151229/afr1512290005-n1.html
 事件が迷宮入りの様相を深めていることには「ご遺族もつらいだろう」と思いますがそれはさておき。

 現場を訪れるたび、無人の家はこうも傷みが激しくなるのかと感じさせられる。現場となった宮沢みきおさん=当時(44)=宅は平成26年夏から壁崩落の危険性があり、ネットが張られ保護されている。15年も保存されている事件現場は極めて珍しい。
(中略)
 事件から12年ほどたった頃、事件の最高責任者である警視庁刑事部長のもとに決裁書類が回ってきた。すでに捜査1課長、刑事部ナンバー2の刑事部参事官の判も押してある。
 その決裁書類とは、宮沢さん宅を取り壊すというものだった。当時の刑事部長が難色を示したため取り壊されることはなかったが、あと少しで解体されるところだった。

 小生なんかは「スーパードライ」な性格なので「いいじゃん、老朽化して危険なら取り壊しても」と思います(まあ、遺族ではなく他人事だからってのはもちろんありますが)。
 いやご遺族が「いつまでも残したい、なくなった家族の思い出として」と言うなら「可能な限り」残すべきだと思う程度には俺も「人道主義者」ですが

 DNA型や指紋、多くの物証もあり、現場がなくても検証は可能だ。だが、捜査1課OBは憤りをあらわにする。
「取り壊しの話を聞いたときは愕然(がくぜん)とした。犯人に現場を案内させ、『あの日』を一から思い起こさせて事件を再現させなければ意味がない。『この事件だけは特別』。そうした思いが薄れつつあるのか」

てのはねえ。こんな言葉を聞かされるこっちの方が「この警察OBのとんでもなさ&OBの発言を正論だと言いたいらしい産経」に愕然とします。
 それただの感情論じゃないですか。そんな事しなくても証拠があれば、事件解決するし。取壊さないで事故が起きたら誰が責任を取るのか。
 「事件現場に行けば犯人に反省の思いが芽生えるかも」てそんな保証はないし、「反省云々」は警察の仕事じゃないでしょう。警察の仕事はあくまでも逮捕と「起訴を可能にするための証拠固め」だと思いますが。
 しかもこの種の「あの日の再現」なんてのは真犯人ならまだいいかもしれませんが「足利事件の菅家さん」のような冤罪ケースでは「やってもいないことを再現させられる」んだから人権侵害以外何物でもない。そして建前では有罪判決が出るまでは「常に推定無罪」のわけです。
 まあ老朽化が本当に酷くなればいずれは取り壊しでしょうけど。さすがに「何十年経とうが何百年経とうが保存する」つう訳にいかないでしょう。文化財じゃないんだから。

 15年という節目は特別な意味を持つ。
 22年の刑事訴訟法改正で殺人罪などの時効が撤廃されたが、それ以前では時効で「迷宮入り」していたからだ。

 つまりはこういうと酷ですがよほどの特殊事情でもない限り「事件解決の見込みはほとんどない」てことです。だからこそ長い間「殺人の時効は15年」だったわけです。

 このため、殺人事件の被害者遺族らで作る「宙(そら)の会」と地元町会や商店会などは昨年7月から毎月、情報提供を呼びかけるビラ配りを行ってきた。延べ約400人が事件解決を願い、ボランティアで実施した。「なんとか解決したい」。こうした思いが住民らを無償の活動に駆り立てた。
 一方、警視庁の捜査本部は今月19日に捜査1課長らがビラ配りを行っただけだ。わずか30分で終わったこともあり「年末のセレモニー」と揶揄(やゆ)する声も聞かれる。

 セレモニーつうのなら何も警察だけでなく、毎月のビラ配りだってセレモニーでしょう。悪いけどこういう事件は「事件発生当初」が勝負でしょう。10年以上も経ってからビラなんか配ったって成果なんかでない。「宙の会」だの商店会だのが「成果が出た」というならその成果とやらを出してみろて話です。はっきり言ってビラ配りなんて金と時間の無駄だからやらなくていい。こういうと「ボーガスは人非人だ、冷酷だ」「鬼畜だ、外道だ」「お前の体には赤い血が流れているのか」「遺族を踏みつけにしてる」とか言う方もいるでしょうが、「犯行から10年以上経ってからビラまきしても意味なんかない」という事実は直視しないと駄目だろうと俺は思います。
 だからこそ俺は横田夫妻に対しても「根拠レスでめぐみは生きてるなんて言うのは辞めなさいよ、事実は直視しなさいよ」ときついこと*1をいうわけです。犯罪被害者の家族だからって甘やかしたらいけません。
 孔子先生も「良薬は口に苦くして病に利あり。忠言は耳に逆らいて行いに利あり(良薬は苦いが病気に効果があるように、忠告も自分にとって耳障りで不快でも、聞いてそれに従えば利益がある)」と言っています(一般にはこれは短縮して「良薬は口に苦し」と言いますが)。
 「耳に逆らう忠言(例:蓮池透氏)」を家族会が無視した結果が今の拉致敗戦のわけです。

 かつて捜査本部に詰めた元捜査員はこう嘆いた。
「時効がなくなったとはいえ、どうしても今この時期に解決しなければならないという真剣さ、気概を感じない。『今年は15年なんだ』という切迫感が伝わってこない」

 そんな事言ったってどうしようもないでしょう。犯人に結びつく手がかりがなければ打つ手がないわけです。時効がなくなろうがどうしようもない。初動捜査を失敗したのか、はたまた犯人の犯行が巧妙で証拠があまり残ってないのか、はたまた「外国人の流しの犯行で、犯行直後出国した」ような犯人を追及しづらい事件だったのかはともかく。


■【よむスポーツ】変わる勢力図 羽生*2を脅かす存在が台頭 日本男子フィギュア陣が女子人気をしのぐ秘密
http://www.sankei.com/premium/news/151229/prm1512290016-n1.html

 青嶋ひろのさん*3は、『百獣繚乱−フィギュアスケート日本男子』*4のまえがきの冒頭でこう記している。
「かつて、日本のフィギュアスケートといえば、イコール女子シングルのことだった」と。
 日本初の金メダルを獲得した荒川静香*5安藤美姫、そして現在もなお第一線で活躍する浅田真央*6*7が牽引してきた。
 それが今や、男子人気のほうが上回る勢いだ。

 まあこういうタイトル記事が書かれるほど、日本フィギュアスケートでの一番人気は今羽生のわけです。
 先日の全日本も羽生ばかりワイドショーでは取り上げてて、まあ、浅田の存在は一時期に比べれば大分薄れてるわけです。


中央日報『<韓日慰安婦交渉妥結>マイク・ホンダ米議員「完ぺきにはほど遠いが歴史的な道しるべ」』
http://japanese.joins.com/article/191/210191.html

 マイク・ホンダカリフォルニア州)米連邦下院議員が、韓国と日本の慰安婦交渉妥結について「完ぺきにはほど遠いが正しい方向へと一歩進んだ歴史的な道しるべ」と評価した。29日(現地時間)、自身のフェイスブックにあげた声明を通じてだ。
彼は「生存している(元慰安婦)おばあさんの人生がいくらも残っておらず、韓日国交正常化50周年の重要性を認識して両国が鋭い葛藤をときほぐした」と意味づけした。しかし「今回の合意で、これ以上歴史に目を閉ざすことなく未来世代にしっかり教育するという日本の約束はなく、深く失望した」と明らかにした。また彼は「公式なおわびは日本の内閣によって発表されるが、今回のおわびが公式なおわびではないという点に失望した」とした。
それでもホンダ議員は「日本が韓国と全世界、そして最も重要な(元慰安婦の)生存者の立場で原則に立ち、今回の合意履行の責任を負わなければならないという点では希望的」としながら「未来世代に対する教育だけが人権を尊重し誤った歴史が繰り返されないようにできるのだから、こうした教育を実施することを安倍首相と日本政府に促す」と要請した。

 さすがマイク・ホンダ氏と言うべきでしょうか。「慰安婦の高齢化」などを理由に、一応は歓迎しながらも「百点満点ではない」と批判し「日本政府が本気なら慰安婦違法性否定論撲滅のため、学校教育などでの正しい知識の流布ができるはずだ、それをすぐやるべきだ」とするのは、「歓迎声明しか出さないオバマとは違うのだよ、オバマとは!」と思います。


■【「慰安婦」日韓合意】「同盟国の関係改善」米政府が歓迎 国際社会に合意支持を要請
http://www.sankei.com/world/news/151229/wor1512290030-n1.html
■【「慰安婦」日韓合意】カナダ、「新たな一章」と祝福
http://www.sankei.com/world/news/151230/wor1512300067-n1.html
■【「慰安婦」日韓合意】豪政府も歓迎声明「不可欠な和解、達成への指導力たたえる」
http://www.sankei.com/world/news/151229/wor1512290059-n1.html
■【「慰安婦」日韓合意】「期待されていた、しかるべき一歩」と評価 EU報道官
http://www.sankei.com/world/news/151230/wor1512300030-n1.html
 「お前ら関係ないだろ」「韓国の慰安婦や支援団体、野党やマスコミ、アムネスティなど各方面から批判でてるのに合意を規定事実化しようとか姑息だろ」とは思います。
 そういう批判は十分予想されるのに「あえて歓迎声明を出す」のは要するに「日韓のごたごたが米国やカナダ、豪州、EU諸国の利益に反する」からのわけです。


■【「慰安婦」日韓合意】アムネスティが批判「正義の回復よりも責任を免れるための政治的取引だ」
http://www.sankei.com/world/news/151229/wor1512290044-n1.html
 まあ「評価するにしても」所詮「本心では反省など何一つしていない男・安倍」の合意ですし、やはり手放しで評価できるような代物ではないんでしょうね。


■日台の慰安婦協議「1月にも」開催 台湾通信社、報道
http://www.sankei.com/world/news/151230/wor1512300058-n1.html

 民主進歩党蔡英文*8主席は29日、報道陣に「つらい思いをした台湾の女性*9がなぐさめ*10と補償を得られるようにするのは、政府の当然の務めだ」と述べ、当局の方針に支持を表明した。

 コメント欄でデュオ・マックスウェルさんが

馬英九政権が交渉の指示を出しましたが、政権交代に関わらず行われるかを注視することにします。
民進党も総統選の前後で言及すると思いますが。

と言っていましたが、蔡英文がはっきりと「交渉支持」を表明しました。これで政権交代があったとしても少なくとも「交渉しない」という選択肢はなくなったわけです(交渉するかどうかはともかく)。
 と同時に台湾においてはこの件について蔡がすっとぼけることなどできずに、選挙前に「もちろんこの件では当局の方針を支持する」と表明せざるを得ない程度には慰安婦に対する世論の同情もあるのでしょう。


■【「慰安婦」日韓合意】台湾・外交部長「交渉、強く求める」
http://www.sankei.com/world/news/151229/wor1512290046-n1.html
■【「慰安婦」日韓合意】台湾、馬総統が日本と交渉入り指示 外交部長会見に慰安婦団体も同席
http://www.sankei.com/world/news/151229/wor1512290064-n1.html

http://www.sankei.com/world/news/151229/wor1512290046-n1.html
 台湾の林永楽外交部長(外相に相当)は29日、記者会見し、日韓両政府が慰安婦問題で合意したことについて、「日本側が交渉を行うよう強く求める」と台湾当局とも交渉するよう求めた。

http://www.sankei.com/world/news/151229/wor1512290064-n1.html
 交渉のため、休暇で台湾に戻っていた対日窓口機関、台北駐日経済文化代表処の沈斯淳*11代表を同日中に日本に戻らせる意向を示した。馬英九*12総統も沈氏に交渉入りを指示した。

 この台湾の要望について安倍がどう応じるのか注目したい。冷淡な態度を取れば「台湾との関係が冷え込みかねない上」、韓国からも「やはり安倍には反省はないのだ!」と安倍批判が出かねませんが、安倍が交渉などしたくないことははっきりしてるわけです。


■【「慰安婦」日韓合意】インドネシア 「対話を歓迎」日韓関係改善に期待感
http://www.sankei.com/world/news/151229/wor1512290019-n1.html
 引っかかるのは「インドネシアにも慰安婦がいる」ということでしょう。産経は

「対話を歓迎」日韓関係改善に期待感

としていますが「対話の歓迎」とは「我が国も慰安婦問題で交渉を行いたい」と言う意味なのかも知れません。


■【主張】慰安婦問題で合意 本当にこれで最終決着か
http://www.sankei.com/column/news/151229/clm1512290002-n1.html
 今回の合意とやらをどう評価するかはなかなか難しいかなと。日本では左派(社民、共産)も「100点満点評価ではない」にせよ一定の評価をしているようですが、韓国野党やマスコミ、慰安婦や支援団体は総じて批判的なようですので。
 まあ、小生も「何らかの成果が出たことはそれなりに良かった」とは思います。ただ今回の合意って「日本政府から慰安婦への補償に当てる金として10億出す」以外に何か成果ってあるんかいなあと(前回は完全な基金方式ですから今回はある意味成果と言っていいのではないか)。
 安倍がわびの手紙出すって言っても内容的には河野談話の踏襲でしかないようですしね。
 向こうは「安倍みたいなバカが政府、与党高官として『河野談話撤回したい』とかバカほざかないこと」を「一番」求めてるわけでその辺り「スゲー不安」です。なにせしつこく「慰安婦銅像の撤去」だの「ユネスコ世界遺産申請しないこと」だの求めてるわけですから。そんなん言う暇があったら「ウチの極右議員(それも複数)が河野談話否定論放言して今まで本当にサーセン。2度とこういう事が起きないようにしますから。そう言う奴が今後出たら自民党から除名するくらいの厳罰で臨みます。今後ははっきり『お前ら慰安婦について政府見解(河野談話)否定するのなら、党除名覚悟で物は言えよ』『今後はそう言うバカは問答無用で除名するから』と党所属議員にしっかり指導しますから」くらい言えよと思いますがトップの安倍がそもそもそう言うウヨ議員ですからね。
 最終決着したかったら「お前らウヨがバカほざくのよせよ」つう話ですがそう言う認識は産経にはありません。
 チッソが今頃になって「水俣病の原因が水銀か疑問」なんてほざけば患者団体が怒り出すのと同じ事が慰安婦問題では起こってるだけの話なんですが、そう言う理解は産経にはできないようです。
 しかし「決着が望ましい物だったかどうか」でなくて「最終決着にしたい、もう韓国にあれこれ言われたくない」つう感情もろだしのタイトルは産経らしいですが心から呆れます。

日韓関係の改善は日米韓の枠組みを機能させる。日本の国益にかなうことは明らかだ。

さすがの産経も「まあ今回の合意は安倍がやったことだから」つうのもあるでしょうが「日韓関係は重要」と言わざるを得ないわけです。

この問題が今後、二度と蒸し返されないという国と国との約束が守られることだ。

 蒸し返してるのは「河野談話を撤回したい」とほざく日本(つうか安倍ら日本極右)の方でしょうに何を抜かしてるのか。

岸田文雄外相と韓国の尹炳世外相が明確に述べたのは、この妥結が「最終的かつ不可逆的な解決」であり日韓関係が未来志向の新時代へ発展する、ということだ。

と言う産経ですが

10億円規模の新基金に政府の予算を投じることにも、日本国民の理解が得られるのか。疑問である。

なんて書いてるんですから「そもそも産経は今回の合意潰す気なんだろ?」「それでよく韓国側に蒸し返すなとか言えるな」て話です。
 まさか産経は「10億は出さないが韓国側は合意内容に従え」とか馬鹿な事を言い出す気でしょうか。
「10億」も合意の重要な要素なんだからそれを反故にすれば向こうは「合意破棄」と見なすでしょう。
 まあ、「10億」を安倍が守っても韓国の野党やマスコミ、慰安婦や支援団体は総じてこの合意に批判的ですのでこれで決着するか疑問です。しかし「10億を反故にしたら」それ以前の話です。朴クネ政権がそんな安倍との「最終決着合意とやら」に縛られる理由はどこにもない。
 まあ、こうなると「合意の行方がどうなるかを決めること」の一つは「10億も含めた合意内容を安倍が守れるのか」でしょう。なにせ安倍は本心では「10億出したくない」でしょうし、自民党ウヨ議員や産経は「10億出すな」と騒ぎ立てることが予想されるわけです。

岸田外相は「適切な移転がなされるものと認識している」と述べた。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産への慰安婦問題に関する資料登録をめぐっても「韓国が申請に加わることはないと認識している」と述べた。

 慰安婦銅像が愉快かといえば、まあ俺は日本人として愉快じゃないですけど事実ですからね。
 そこは加害者の国として受け入れる度量があって当然でしょう。「不快だ」と言う感情論以外に撤去を求める理由ないわけですから。撤去をしつこく求めるとは神経を疑います。ユネスコ世界遺産登録だって同じ話です。そんな事言ったらロシア人は日本のシベリア抑留資料登録なんか不愉快だったでしょうよ。

*1:まあでもその代わりに「孫にどんどん会いなさいよ」という俺って「自分で言うのも何だけど善人よね(口は悪いけど)」「巣くう会の方がよほど悪人よね」と思いますが横田ママなんかは「あいつは北朝鮮の手先だ」扱いして絶対そうは思わないでしょう。

*2:ソチ五輪金メダル

*3:著書『浅田真央物語』(2010年、角川つばさ文庫)、『羽生結弦物語』(2015年、角川つばさ文庫

*4:2015年、KADOKAWA

*5:トリノ五輪金メダル。現在、日本スケート連盟副会長(ウィキペディア荒川静香」参照)

*6:バンクーバー五輪銀メダル

*7:まあ、もっと大昔には伊藤みどりアルベールビル五輪銀メダル)や八木沼純子という人がいますが。

*8:陳水扁政権行政院副院長(副首相)を経て民主進歩党主席。

*9:慰安婦のこと

*10:日本側からの何らかの謝罪と言う事でしょう。補償とは「金額や形式(基金方式など)はともかく」日本政府からの慰安婦への経済支援と言う事です。

*11:チェコ代表処代表(駐チェコ大使)、外交部常務次長(外務事務次官)などを経て駐日経済文化代表処代表(駐日大使)

*12:連戦内閣法相、台北市長などを経て総統。