今日の産経ニュース(7/13分)

■【緊迫・南シナ海国際法上の「島」の要件を厳格化 仲裁裁定、専門家が注目 沖ノ鳥島にも影響の可能性
http://www.sankei.com/world/news/160713/wor1607130065-n1.html

 南シナ海での中国の領有権を否定した12日の仲裁裁定で、裁判所が示した国際法上の「島」の解釈が(中略)注目されている。裁定では、排他的経済水域EEZ)などを設定できる島と認められる要件を厳しく解釈しており、沖ノ鳥島などの法的地位に影響を及ぼす可能性もあるためだ。
(中略)
 「新しい判断が示された」と指摘する東北大の西本健太郎准教授によると、裁定は、島で人間集団が安定した共同体(コミュニティー)を維持できることや、外部に依存しないで「経済的生活」が保てることなどを要件として示した。
(中略)
 坂元茂樹・同志社大教授は「(島の要件の)ハードルを高くした印象だ」と話す。日本は最南端の沖ノ鳥島EEZを設定しているが、「法的地位の議論に影響を与えかねない」(坂元氏)との見方も出ている。(塩原永久)

 どう見ても「沖ノ鳥島は島じゃない、岩だ」という中国、台湾の主張に有利な裁定のようです。沖の鳥島に「外部に依存しないで経済的生活が保てること」なんて条件は成立しないでしょう。
 少なくとも「日本にとっては」、「中国が南シナ海で負けた」と喜べる裁定ではなさそうです。
 それにしても産経にこういう記事が載るのが興味深い。塩原記者はそれなりにまともな記者なのでしょう。

【追記】

http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2016/824.html
■浅井基文ブログ『南シナ海問題に関する仲裁裁定』から一部引用
(中略)
 仲裁裁判所が本件についてそもそも管轄権があるのかという根本的問題(中国は、英仏露等30ヵ国と同じく、国連海洋法条約(以下「条約」)第298条の規定に基づく「海洋の境界画定、歴史的海湾または所有権、軍事及び法執行などの分野の紛争に関しては、条約の紛争解決手続から排除する」という排除宣言を行っています。この条の(a)(i)では、「海洋の境界画定に関する‥規定の解釈若しくは適用に関する紛争又は歴史的湾若しくは歴史的権原に関する紛争」が紛争解決手続から排除されうると明定していますから、本件仲裁は不法かつ無効とする中国の主張は十分な法的正当性があります)に加え、国連海洋法条約にいう「島」・「岩」に関する裁定内容は、日本を含む多くの国々の法益に直結する重大な問題を含んでいます。
(中略)
 それらの諸点について検討を加え、安倍政権の「大はしゃぎ」及びそれを丸呑みにする日本メディアの報道姿勢が如何に誤ったものであるかを指摘したいと思います。
■仲裁裁定の問題点
(中略)
(管轄権の有無)
 この点については、冒頭に述べた以上に深入りする余裕はありません。むしろ、この裁定に対しては、国際司法裁判所(ICJ)は本件仲裁裁判がICJとは無関係であるとする立場を対外的に明らかにしたこと、国連事務局も裁定結果に対して立場を明らかにしないとするコメントを出したことを紹介しておきます。また、EU南シナ海の紛争に関しては交渉による解決を希望するという立場を明らかにしました。つまり、米日のはしゃぎぶりは突出した異常なものだということです。
(「島」と「岩」)
 「島」と「岩」に関する裁定内容については、中国の学者だけでなく、ドイツ及びアメリカの学者も厳しい批判を行っています。
 まず、ボン大学国際法学教授のステファン・タルモン(Stefan Talmon)は、「ドイツの声」(Deutsche Welle)でのインタビューで、「もっとも意外だったのは、裁定が南シナ海には一つの島もないとしたことだ」と指摘し、今回の裁定に示された観点が独り歩きするならば、その影響を受けるのは中国だけではなく、アメリカ、カナダ、フランス、イギリス、日本など、島礁の存在によって海洋権益を獲得しているすべての国々が影響を被ることになる、と指摘しました(7月14日付中国新聞網)。
 また、ヴァージニア大学海洋法・政策研究センター副主任のマイロン・ノードクイスト(Myron Nordquist)は中国新聞社記者の質問に対し、、(ボーガス注:台湾が実効支配し「EEZが設定できる島だ」とし、領有権を主張しているのに今回裁定が岩にすぎないとし、台湾が反発している)南シナ海の太平島を「岩」とし、「島」ではないとしたのはいかなる定義に基づいてなのか、まったく理解できないと述べました。また彼は太平島は島として200カイリの排他的経済水域を有しており、仲裁裁判所はこれに対して管轄権を有していないと指摘しました。そして、アメリカ自身にかかわる問題として、太平島が「岩」であって「島」でないとするならば、(ボーガス注:アメリカがEEZを設定できる島としている)太平洋中部に位置するジョンストン礁の扱いはどうなってしまうのか(ボーガス注:ジョンストン礁も裁定の論理では岩に当たるのではないか)と問題提起しました。
 日本にとってもまったく他人事ではありません。中国の学者も指摘していることですが、沖ノ鳥島を「島」とし、200カイリの排他的経済水域を主張することは到底許されないことになります。もともと、日本のこの主張は国際的には認められていないのですが、今回の仲裁裁定を高く評価し、中国に受け入れを迫る安倍首相は、沖ノ鳥島に関する日本のこれまでの主張・立場を誤りとして認め、国際的に撤回しなければ筋が通らないのです。


天皇陛下 「生前退位*1」のご意向
http://www.sankei.com/life/news/160713/lif1607130020-n1.html
 「びっくり仰天」ですね。何故びっくりかといえばそう言う制度は現在存在しないからです。
 そして「そう言う制度を作りたい」と誰かが言ってもウヨが賛成するとも思えない(これは現天皇が言ったとしてもです)。
 にもかかわらず現天皇がそう言った「らしい」というのが驚きですね(とりあえず天皇の非政治性に反しないかどうかという問題はひとまずおきます)。よほど体調が悪い*2んでしょうか。
 しかし気になるのは仮にこの話が進むとして「雅子さんの鬱病の件はどうなるんだろう」というのは若干気になります。ウヨ連中が「あんなんは皇后にふさわしくない」とか言い出すのか。
【追記】
 ふと思ったのですが現天皇の体が悪いのは事実なのでしょうが、彼はこれを突破口に「女帝導入が議論されること」を目指してるのかも知れません。


■【政界徒然草】パンティー疑惑の高木毅*3復興相は参院選でもお荷物だった 首相視察中にタブレット端末いじり 被災地からもノーサンキュー!
http://www.sankei.com/premium/news/160713/prm1607130003-n1.html

 やっぱり高木毅復興相のスキャンダルがボディーブローのように効いていた―。7月10日投開票の参院選で、与党が被災地で擁立した候補者は全員落選したことに関し、被災地選出の国会議員から高木氏への怨嗟の声が上がっている。

高木毅(ウィキペディア参照)
政党助成金疑惑
 支給された政党助成金は余った場合、国庫へ返還するよう政党助成法により定められているが、2013年、高木は計1119万円を「基金」の名目で保管し、うち224万5千円を車の購入代金に充てていた。
■下着窃盗疑惑
 2015年10月15日発売の『週刊新潮』と『週刊文春』の両誌において、下着泥棒の常習犯であったと報じられた。被害者の妹の説明によれば、30代当時の高木は被害者の自宅に侵入し下着を持ち出していた。侵入するところを目撃していた近所の住民から話を聞いた被害者の妹が警察に通報したが、本件は示談となり、立件されることなく捜査は終結した。この一件は、1996年の時点で既に『財界北陸』が記事化しており、地元においては広く人口に膾炙している。2015年10月に第3次安倍改造内閣で入閣を果たしたことで、本件が全国的に大きく報道された。
 一方、同日、高木は総理大臣官邸にて本件について質問されると「今日はそういった場所ではございませんので、お答えを控えさせていただく」と回答するなど、否定も肯定もしないという立場を貫いた。2015年10月20日、高木は記者会見を開き、『週刊新潮』などの女性下着窃盗に関する関する報道について言及し「そういった事実はございません」と明確に否定した。2016年1月13日付『日刊県民福井』は、当時の福井県警察の捜査関係者が「窃盗は事実」と証言した、と1面トップで報じた。

という高木氏に問題がないとは言いませんが「彼一人のせいで負けたわけがない」 し、批判があるのに彼を大臣ポストに就け続けたのは安倍です。にもかかわらず「高木が悪い」としか言わない産経はいつもながらどうしようもない。

 福島の復興と東京電力福島第1原発事故の収束や除染という問題は切っても切り離せない。だが、これまでの記者会見で高木氏の口から原子力や除染、あるいは放射性廃棄物の処理などについて具体的な政策が語られることはなかった。

 それは高木氏個人の問題と言うよりは「政権全体の問題」でしょう。大体、これらの問題の担当は彼一人ではなく林幹雄*4経産相丸川珠代*5環境相も担当です。

 参院選に先立つ6月6日、高木氏がまたやらかしていた。この日、安倍晋三首相は東京都内で開かれていた「東日本大震災復興フォーラム」の視察中にアテンド役の高木氏がおもむろにいすに腰掛け、タブレット端末をいじり出したのだ。
 安倍首相はこの日、サプライズ・ゲストとして来場し、シンポジウムの会場であいさつ。その後、被災地で活躍する女性起業家らとの交流イベントに参加し、彼女らの話に熱心に耳を傾けていた。
 すると、側に控えていた高木氏はおもむろにタブレット端末を取り出し、画面を指でスクロールし始めたのだ。周囲は想定をはるかに超えた行動にあっけにとられ、その場の空気は凍り付いた。

 確かに「復興フォーラムについて復興相が無関心としか理解できない行為を、首相もいる場所で公然とやる」というのは非常識ではあるでしょう。ただその「非常識マン」を自民党国会議員とし、閣僚としたのは安倍ですが。


■【緊迫・南シナ海】フィリピン「平和的解決目指す」 漁業権回復なるか
http://www.sankei.com/world/news/160712/wor1607120068-n1.html
 要するにアキノ前政権が始めた訴訟をドゥテルテ新政権が、政権発足直後、中国との領土紛争について「中国が新提案を持ち出すなど」状況の変化もないのに、そして「フィリピン国内のアキノ支持派、中国批判派も無視できない政治力を持っている」のに「いきなり訴訟を取り下げる」つう訳にもいかないので訴訟を続けたが「この判決振り回して全面対決する気ない」てことでしょう。
 まあ、「この判決でたんやから中国の主張が100パー正しいなんて通用しないのと違いますか」として交渉に有利に使おうとはするでしょうが、基本、交渉で片をつけると。


■【緊迫・南シナ海】どう出る欧州? 中国への経済的配慮も絡み、結束がカギ
http://www.sankei.com/world/news/160713/wor1607130003-n1.html
 「どう出る」て「敗訴判決を受け入れたらどうやろ?」くらい言うかも知れませんがまあ基本、EU諸国に関係ない話ですからねえ。


■【緊迫・南シナ海】裁定の意義は? 中国側の「完敗」、「歴史的権利」根底から否定
http://www.sankei.com/world/news/160712/wor1607120072-n1.html
 中国の主張とは「中国共産党オリジナル」というよりは「蒋介石中華民国政権主張の引き継ぎ」という面が強いのですがその辺りに触れないのはさすが「台湾万歳」産経です。まあただこの判決、そのうち台湾(中華民国)から「受け入れられない」発言が出るでしょうし、産経もそれは報じるでしょうが。
 しかし「中国は敗訴を受け入れろ」って朝日や毎日が言うならまだしも「東京裁判判決やICJの捕鯨判決を非難する産経」がよくこんな事を言えたもんです。


■【参院選】米紙が安倍氏に注文「改憲より経済優先すべきだ」 アベノミクスは成果上がらず
http://www.sankei.com/politics/news/160713/plt1607130009-n1.html
 基本「米国の忠実な子分」安倍政権を米国主流メディアは「一応支持」してるわけですがよほどの極右系メディアでない限りこのように「改憲より景気に力入れろよ」というわけです。


■【米大統領選】サンダース氏がクリントン氏支持を表明「彼女が大統領になるため、あらゆることする」
http://www.sankei.com/world/news/160713/wor1607130016-n1.html
 まあ予想の範囲内ではあります。まさか「本選に出馬して分裂選挙、トランプを有利にする」なんてできるわけもない。後はこの撤退を「ベストの選択、良かった」、「もっと早く撤退すれば良かった(でも撤退したからいいけど)」「撤退自体は仕方ないけど、こんなんで撤退しちゃダメだ(本選直前まで、もっと最後の最後まで引っ張ってクリントンにサンダース主張をできる限りのませるべきだ)」の3つの内、どれと判断するか、つう話です。


■【産経抄】勝てば官軍 7月13日
http://www.sankei.com/column/news/160713/clm1607130002-n1.html
 「勝てば官軍」というのは「参院選改憲を必死に隠しながら大勝すると改憲を持ち出す」など、むしろ安倍や産経など日本ウヨの行動原理だと思うのですが「都知事選での四野党共闘」を「勝てば官軍か(まあ勝てそうなら野合するのかつう意味でしょう)」と「1面コラム」で言い出すのだからまあ産経記者というのは普通の組織とは違い「上へ行けば行くほど」「恥知らずのバカ」でないとつとまらないのでしょう。その結果「あんなバカの下で働きたくない」と福島香織のようなそれなりに力のある人間は「早期退職制度使って辞めちゃう」と。
 それはともかく「まだ勝ってはいない」し「勿論勝つかわかりません」が今の時点で「勝てば官軍か」なんて言い出すとはよほど野党共闘が産経にとっては「効いてる効いてる」なんでしょう。

*1:なお通説的見解では別に改憲の必要はありません。皇室典範を変えれば済む話です。

*2:少なくとも安倍の政治的思惑というわけではないでしょう。安倍にとって、生前退位制度は別にデメリットもないでしょうがメリットもないだろうからです。「これを改憲に悪用する」つうのはさすがに安倍もしないんじゃないか。通説的見解では改憲不要ですしいかに改憲派のウヨ連中(例:産経)でも生前退位改憲に利用しようとすることに賛成するかは疑問です。

*3:小泉内閣防衛庁長官政務官、第二次安倍内閣国交副大臣を経て第三次安倍内閣復興相

*4:福田、麻生内閣国家公安委員長

*5:第二次安倍内閣で厚労大臣政務官