今日の中国関係ニュースほか(12/10分)(追記・訂正あり)

 中国ネタを中心にいろいろ書いていくことにします。
ツイッターいろいろ

福島香織
 メルマガ、はじめます。チャイナゴシップスは北京特派員時代に始めたイザ記者ブログから始まり、日経ビジネスオンラインでの連載タイトルにも使いましたが、日経bj連載終了に伴い、メルマガに移行することに。

 こうなったのが福島が日経ビジネスから見捨てられたのか、逆に福島が日経ビジネスから独立したのか、気になるところです。どっちにしろ福島に明るい未来があるとは思えませんが。

I濱Y子*1
 一月末締め切りの原稿、O先生も、M 会長も「一応できました。ご参考までに」とか原稿を送ってくるんですけど、自分まだぜんぜん書いてない。
 論文が書けないので、インフルにでもなればとふっと運動会の前の子供みたいな考えが浮かぶ。

 すごいですね、I濱の常識のなさ。I濱に原稿依頼した人間がこれを読んで「手前、そんな馬鹿なツイートしてる暇があったら、締め切りに間に合うようにとっとと執筆しろ!」と怒り出すかもしれないという程度の常識もないようです。
 つうかO先生もM会長も多分「I濱の野郎いつも締め切りを守らない、困った奴だ」と思って「早く出せ」という警告(?)として送ってるのは間違いないでしょうね(苦笑)。

I濱Y子
 アメリカ大統領がお墨付きの「偉大なアメリカの料理」がファストフードなところに、この国の歴史のなさがみえてうける。

 前からバカだとは思っていましたが「I濱って本当にバカだな(苦笑)」ですね。
 「ネイティブアメリカンアメリカ原住民)」の存在は無視して、いわゆる「合衆国独立(1776年)」から数えてたって、200年の歴史があるわけでそれはI濱が言うほど「どうでもいい歴史ではない」でしょう。
 そして、もちろんアメリカだってハンバーガー以外にいろいろな料理がある。
 トランプ発言をネタに「米国にはたいした料理がない」つうのは「たこ焼きだの、お好み焼きだの日本版ファストフード」を理由に「日本にはろくな料理がない」つうくらい馬鹿げている。
 例のトランプの発言はあくまでも壁問題で民主党と対立し、予算案が通過しないがために「ハンバーガーしか出せない苦境」をへりくつで居直ってるだけであって、トランプですら本気じゃないでしょう。
 本当なら「ハンバーガーではない料理」がでていたわけです。
 問題にするなら「そんなへりくつを言う男が今大統領であること」「壁問題などにこだわる男が大統領であること」のわけです。
 つうか「歴史が長ければ偉大、短ければくだらない」つう話でもないでしょうに。
 一方でI濱は「長い歴史を持つ中国」を評価するわけでもないですし。
 つうかさ、トランプを馬鹿にするのはI濱の勝手だけど、我が国の安倍だっていい加減「トランプに勝るとも劣らないクズでバカ」なんですが。I濱って「M谷N子氏などとは異なり」何があろうとも安倍批判する気はないようですね。

I濱Y子
 「わたしは、やってない♪ けーっぱーくだ♪」この歌が頭の中によみがえった
■ゴーン前会長 「私は無実です」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190108/k10011770711000.html

 前からバカだとは思っていましたが「I濱って本当にバカだな(苦笑)」ですね。過去に散々マスコミが検察、警察リークで犯人扱い報道したのに、結局無罪判決などでマスコミが当事者にわびを入れたなんて話は「松本サリン河野氏」「厚労省の村木局長(逮捕当時。後に事務次官)」など、過去にもいくつもあるのに。
 過去に「松本サリン河野氏」「厚労省の村木局長」などについてI濱がなんと言っていたのか気になるところです。まあ「I濱はバカでクズ」「ただのダライラマ盲従分子」「チベット研究以外何の取り柄もない人間(いやチベット研究も実はろくでもない?*2)」なので、「多分、当初は犯人扱いしてたんだろうなあ」とおおよそ予想がつきますが。
 俺は「ゴーンが無罪だ」とは言いませんが裁判すら始まってない現時点では、「過去の河野氏や村木局長のこと」を考えれば、I濱のように公然と「断定的に」有罪扱いする度胸はさすがにないですね。さすが、「ノルウェーに霞を食えとはいえない」のid:Mukke(中沢君)の恩師だけのことはあります。恩師も「バカでクズ」なら弟子も「バカでクズ」です。この種のバカには心底呆れます。「ダライ・ラマのようなクズに盲従するから、こいつらはバカでクズになる」のか「こいつらはクズでバカだからダライラマのようなクズを盲従する」のか。
 つうかさ、I濱はオウム麻原がお嫌いなようだけど「麻原から1億円もらったお礼に散々麻原におべっか言ってた守銭奴のクズ=ダライ・ラマ」「未だにその件について公式にわびたことがないクズ=ダライ・ラマ」じゃん。「麻原批判とダライ崇拝」って両立するの?。すげえな、こいつらのダライ盲従ぶり(呆)。
 俺は「ダライみたいなクズ」「クズのダライを崇拝するバカども(ダライラマ一味=亡命チベット政府)」には「とっとダライ一味は滅亡すればいいのに」という怒りと憎悪しかないぜ。

石平太郎がリツイート
■take4
 中国人は生き残るためには国や法律よりも家族(一族)を重視せざるを得ず、儒教や相続はその上に則っています。一族の行動原理は全ての上にあり、善悪の判断もそこから出ないということ。

 「中国共産党が」ではなく「中国人が」ですから、完全な民族差別暴言ですね。
 いくら「家族が大事」だからといってそれは「法律無視」ということとは違うでしょう。
 つうかどこの国(日本含む)だって古今東西「家族は大事」でしょう。

石平太郎*3
 12月16日、中国人民大学国際貨幣研究所副所長で中国農業銀行元首席経済学者の向松祚氏は公開フォーラムで爆弾発言。今年の中国経済成長率は政府の言う6%以上ではない。内部研究機構の試算では1.67%であるという。それなら来年はマイナス成長になるのは必至のこと、大不況が中国を襲ってくるのだ。

 普通に考えて「1.67%を6%に水増し」なんてことはないでしょう。石が向氏の発言を捏造してるのでなければ、向氏のデマでしょうね。いずれにせよ、石が中国の不況を喜んでるらしいのに頭痛がします。そんなことになったら日本経済も世界経済も大打撃です。


福島香織『台湾をめぐって何かが起きるかもしれない:ほとんど恫喝、習近平の危うい台湾政策』
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55292
 産経退社後、よほどカネに詰まってるのか福島も落ちぶれたもんです。福島の産経退社は「福島が彼女の予想に反し、経済的に落ちぶれた」上に「誇りも良心もないクズ」福島が

・『赤い帝国・中国が滅びる日』(2016年、ベストセラーズ
・『中国バブル崩壊の全内幕:2017年、習近平は失脚する』(石平*4宮崎正弘*5との共著、2016年、宝島社)
・『暴走する中国が世界を終わらせる:オンナ・カネ・権力への妄執の果て』(宮崎正弘との共著、2016年、ビジネス社)
・『アメリカと中国が世界をぶっ壊す』(高山正之*6との共著、2017年、徳間書店
・『「中国の悪夢」を習近平が準備する』(2017年、徳間書店
・『日本は再びアジアの盟主になる:トランプvs.習近平! 米中激突で漁夫の利を得る日本』(石平、宮崎正弘との共著、2017年、宝島社)
・『習近平王朝の危険な野望:毛沢東トウ小平を凌駕しようとする独裁者』(2018年、さくら舎)
・『世界の中国化をくい止めろ』(宮崎正弘との共著、2018年、ビジネス社)

などと反中国デマを垂れ流す様になったことで「大失敗だった」といっていいでしょう。
 大体「さくら舎」とか聞いたこともない様なマイナー出版社から本を出すとは哀れを感じますね。
 習近平氏の言動を恫喝と見なすかどうかは「価値観の問題が大きい」ので、ひとまず置きます。
 少なくとも彼の主張については
1)台湾が独立宣言すれば軍事的選択肢も否定しないとしているが、これは江沢民胡錦濤時代からそうであり、習近平氏が台湾について特に強硬派という事実はない。
2)「軍事的選択肢を否定しない」とはいえ、即時に軍事攻撃するとはさすがに言ってない。仮に独立宣言があっても、実際には経済的締め付けがまず始まるとみられる。
3)彼も「香港返還、マカオ返還の様に台湾統一もあくまでも平和的統一が原則」としており武力行使は例外としている
点に注意すべきでしょう。
 つまりは台湾が独立宣言しない限り「台湾と国交がある国と中国が国交を結ぶ」などの外交的締め付けはあり得ても軍事攻撃などあり得ません。そして現状において台湾で一番多いのは「現状維持」ですし、最近の地方選挙では「蔡英文の対中国外交に対する批判」もあって国民党が勝利し、民進党が敗北しているから独立宣言がでることはまずあり得ません。下手に蔡英文が反中国をエスカレートさせたらかえって蔡英文は党内の総スカンで失脚しかねないでしょう。
 一方で中国の方も「仮に、台湾に軍事的に勝てたとしてもクリミア編入で制裁を食らったロシアの二の舞」がほぼ確実に予想される台湾侵攻など「台湾が独立宣言しない限り」まず出来る話ではありません。
 福島の言う「何かが起きる」が「政治的、外交的締め付け(例:蔡英文政権誕生後に起こったパナマブルキナファソなどの台湾との断交、中国との国交樹立)」ならともかく軍事攻撃はまずあり得ません。まあ福島も故意にデマを放言してるだけでしょうが。

 蔡英文は今までは現状維持を心掛けるあまり、中国に対する姿勢は慎重になりすぎた傾向があり、そのせいもあって昨年の台湾統一地方選挙で与党惨敗の結果を招いたとして党首職を引責辞任した。

 むしろ国民党の地方選勝利から考えるに話は逆でしょう。「中国との関係を悪化させ経済を悪くしてまで独立路線なんかとらなくていい。現状維持でええ。蔡英文は勘違いするな。そういう独立支持という理由で民進党を支持したわけやない」が選挙民の意思とみるべきでしょう。
 もちろんアンチ中国言説でウヨにこびて飯を食う今の福島にそうした事実は絶対に認められないわけですが。もはや福島はジャーナリストではなくただの反中国の政治活動家ですね。


■I濱Y子『19年センゲ首相来日日程』

 ダライラマは1959年の亡命直後より難民社会の先頭にたって、民主化に取り組んだ。その理由は、こうである。転生によってその座をうけつぐダライラマ制に基づく限り、前のダライラマがなくなってから、次のダライラマが成人に至るまで長大な権力の空白期間が生まれる。平和な時期ならまだしも亡国の局面において、政治的な空白は亡国決定に等しい*7。つまり、ダライラマ一人にチベットのすべてがかかるという今の状態はかなりまずい。
ダライラマの代替わりとともにチベット社会が心中しなくて済むようにしよう。民主主義にはむろんいろいろな問題があるが、他の諸制度に比べればまし。人々が自ら選んだ代表によってチベット社会を運営できるようにしよう」とこう、ダライラマは考えたのである。
(中略)
 平岡先生がセンゲ首相から聴いた話であるが、首相といっても一国の首相ではなく、難民社会の首相であり、かつ、ここまで世界中に中国の影響力がすみずみにまで及んでいると何かと辛いめにあう。そのような時にセンゲ首相はダライラマ14世にアドバイスを求めにいくのだという。すると、気持ちが切り替わり、「ダライラマにアドバイスを得られる環境にいる自分は何て幸せなんだろうと思える」とおっしゃっていたという。
 ダライラマ14世のアドバイスなのだから、たしかに重みがあるであろう。

 首相がダライラマに政治的助言を受けてることをを公言してるなんて、どう見てもまともな民主主義国家じゃありませんね。いつになったら「亡命チベット社会」はまともな民主主義国家になれるんでしょうか?(苦笑)
 つうか「ダライ猊下に依存しない社会のために民主主義で首相を選ぶことにしました」といったその後で「首相はダライ猊下に政治的助言を受けてるのです」て駄目じゃん、それ。
 I濱は書いてることが、前半と後半で矛盾してるがな。

●2019年1月27日(日) 18時〜19時30分
チベット亡命政権ロブサン・センゲ主席大臣来日特別企画「リーダーシップとこれからの社会に必要な人材とは」開催のお知らせ
ファシリテーター:島田由香氏(ユニリーバ・ジャパン*8・ホールディングス株式会社取締役人事総務本部長)

 何でユニリーバが出てくるのか?。「個人的なつながりで会社は関係ない?」のかとも思いましたが、それだと「会社の肩書き」は正直まずいですよねえ。
 つうか

「リーダーシップとこれからの社会に必要な人材とは」
ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社取締役人事総務本部長

てまさかとは思いますけど「企業の人材養成セミナー」なのか?。

【参考】

https://www.cafeglobe.com/2018/11/career_yuka_shimada.html
■仕事だけでなく、生きる目的を明確にする/ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役人事総務本部長 島田由香さん
Q:
 今、会って話を聞きたい人は誰ですか?
A:
 ダライ・ラマ法王。どれほどの存在感とエネルギーを持っているのか。由緒のある立場ながら、現代のテクノロジーや医療、イノベーションを取り入れようとしている。そのお考えを聞いてみたい。

 「オウム麻原から一億円もらって恥じないクズ」ダライなんかの何がいいんでしょうか?(人民日報『真相:ナチスオウム真理教とダライとの関係』(http://j.people.com.cn/94709/6562097.html)参照)


大紀元中国経済が失速しても世界経済に大きな影響ない=経済学者』
https://www.epochtimes.jp/2019/01/39568.html
 法輪功らしいトンデモ記事ですね。「そんなわけねえだろ」て話です。


■法輪大法明慧ネット『切断した右親指が病院に行かずにすぐに接着』
http://jp.minghui.org/2019/01/23/62104.html
 法輪功がいかに酷い反医療カルトかと言うことがよく分かる素晴らしい記事です。
 切断した右親指が医師の縫合もしないで、信心で治るのなら誰も苦労しません。そのうち「切断した右腕が」とか「ギロチンで切断した生首が」とか言い出すんでしょうか(皮肉のつもり)。


毎日新聞『中国活動家、台湾の空港に100日 亡命先見つからず「保護」』
https://mainichi.jp/articles/20190119/ddm/007/030/121000c
 国外退去させない一方で、台湾政府が積極的に受け入れたりはしない(第三国の受け入れを模索)、という点が興味深い。


■「急ぎすぎてはいけない」、あるいは、チベタンコミュニスト・プンツォク=ワンギェル*9の半生:阿部治平『もうひとつのチベット現代史』雑感
http://haruhiwai18-1.hatenablog.com/entry/20140112/1389536239

 イギリスはシムラ会議で中国のチベットに対する宗主権を承認し、チベットには自治権以上の権力を認めなかった。
 にもかかわらず、チベット政府はイギリスにも中国にも、積極的に独立を認めさせる外交らしい外交も、独立を確実にする内政の改革もしなかった。
 ラマを中心とするチベット政府首脳部にとっては宗教行事の方が国政よりももっと重要だったのである(86、87頁)。
 ダライ=ラマ5世以降、ラサ三大寺院と俗人貴族の連合政権は絶対的な統制力をもってチベット人に君臨していた。
 国家の危機と民衆の貧苦をよそに、200家族ほどの貴族社会は安穏でぜいたくな日常を送っていた(87頁)。
 プンワンが最終的にコミュニストになる素地は、ここらへんにある。

 I濱女史なんか絶対に認めたくないでしょうが、「チベット解放までのチベット」は政治的には全くろくでもない民衆無視の独裁国家だったわけです。

 チャムド(カムの中心都市)戦役が起きた時、カムパ(カムの住民を指す)の大衆の多くは、解放軍の勝利を願っていた。
 金沙江(長江上流)の東は国民党軍閥支配下にあり、汚職で腐敗していた。
 一方、西岸のチベット政府の支配は、より苛酷で、税金をむやみに取り立て、チベット兵は遊牧民の家畜や金品を強奪し、女性を物にすることに執着した。
 そのため、チャムド地区のカムパは東の同胞の暮らしを羨んでさえいた。
 ところが、人民解放軍は悪事を働かなかった。
 はじめカムに来た頃はぼろをまとい寄せ集めの武器を担いでいた。
 だが、人や家畜を動員したときは賃金を払い、物資買い入れの時も代金を払った(172頁)。
 解放軍によって幹部に抜擢され、のちにカム反乱に参加した人物は、そのように証言している(本書では『中国と戦ったチベット人』から、その証言は引用されている)。

 これまた、I濱女史は認めたくないでしょうが、「人民解放軍が勝った方がええんと違うか」と一般民衆ですら思うほど、チベット政権はダメダメだったわけです(1959年の騒乱を引き起こすチベット解放後の統治の問題はひとまずおきます)。こういう状況でプンワンが「チベット解放に協力する」のは当然だったと言うべきでしょう
 これを「ダライ万歳の阿部治平」が書いてるという点が重要ですね。I濱女史と比べたら彼はずっと客観的なわけです。

 プンワンは社会主義チベットチベット自身が作り上げるべきであり、チベット人農牧民自身が目覚め、チベット人主導で土地改革を行うべきと考えていた。
 だがこの方法は確実ではあるが、時間がかかる。
 苛烈な革命戦争を戦い抜いた漢人将軍らに通用する話ではなかった。
 「かれらは功をあせっていた」(246頁)。
 もっと温和な統治方法はなかったのか。
 「十七条協議」を基本に、高利貸排除と借金の整理、家内奴隷の解放、そうした改革にとどめ、あとは農牧民の要求が成熟するまで待つ、という当初の方針を貫くことはできなかったのか。

 小生も同感ですね。今更言っても仕方がないですが、プンワンに指導権を大きく委ね、性急な「上からの改革」を強圧的にしなければ、チベット解放には何ら問題はなかったのではないか。
 とはいえ、一方で、当初においてダライラマらに改革意思が全くなかったことも事実でしょう。
 「改革の意思がないダライ」と「改革の意思はあるが、その方向性に問題がある中国共産党」に挟まれたプンワンの苦悩は相当のものだったでしょう。

 そもそも、プンワンはなぜ、自ら作り上げたチベット共産党を解体し、中国共産党の下に入ったのかについて。
 それは無理なからぬことだった。
 実際、北京側は、1947年10月に発表された「解放軍宣言」でも、中国領内の少数民族の平等と自治、彼らが「中国連邦」に加入する自由を持つことを認める、と、依然として連邦国家構想をあきらかにしていた。
 プンワンの頭に、これがあったからこそ、妥協として「チベット共産党」の地位を捨て、中国共産党の地方組織になるという格下げを承知で、雲南北部で中国共産党に参加たのである(269頁)。
 だが、49年9月に人民政治協商会議で採択された共同綱領では「民族の区域自治」を実行すると明記され、連邦性は否定された(270頁)。
 プンワンはそのことを知らされていなかった(272頁)。
 彼は、53年に初めて中共の決議やその他文書を読んで、初めて知ったという。
 そもそも国際共産主義運動の原則から言って、革命に成功した多民族国家における少数民族の分離独立や自決権の承認は、当時のコミュニストにとって当たり前のことだった。
 じっさい、スターリンは、ロシア帝国の植民地だった国家や地域を独立させて、1922年にはソ連の構成国とした。一応。

 プンワンにとっては「ソ連みたいな連邦制じゃなかったんか?」「裏切られた」「だまされた」という思いが否定できなかったでしょうね。
 しかし彼はタフな現実主義者です。

 文革が終了して解放された後、プンワンは次のことを主張する。
 すなわち、独立の否定、中国の支配を前提としながら、厳格な民族平等、名実ともに、民俗区域自治、自主政策を実行することである(448頁)。

と現実の中での改善へ動くわけです。


■ハフィントンポスト日本版『国外のウイグル人が直面する究極の選択:ウイグルに帰国して収容所送りになる(ボーガス注:危険を冒す)か、日本に留まり家族と生き別れになるか』
https://www.huffingtonpost.jp/amnesty-international-japan/uighur0118_a_23642626/

 アムネスティ・インターナショナル日本では、現在、ウイグル人やカザフ人たちの不当な拘束をやめるよう、中国政府(駐日中国大使)に要請するオンライン署名を行っています。ぜひ、ご協力をお願いいたします。

 まあウイグル問題など、中国の民族問題、人権問題で何かするなら「アムネスティのようなある程度信頼の置ける団体」と関わるべきでしょうね。
 ペマ・ギャルポのようにウヨと野合するなど論外です。


■人民日報『日本の感動アニメ「さよならの朝に約束の花をかざろう」中国で公開へ』
http://j.people.com.cn/n3/2019/0117/c94473-9538751.html
 おっさんの小生は「日本アニメにまるきり興味がない」のでこんなアニメのことは全く知りませんでした。
 人民日報記事を「たまに見てる」のはあくまでも「中国関係で何かコメントできるネタがないかな」という意味で見てるに過ぎないのですが、偶然この記事を見つけたわけです。
 で思ったことはhttp://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20190115/5421309876で紹介した、■現代中国生活事情:北京滞在経験(下)(平子友長)での平子氏の指摘『中国では日本大衆文化がそれなりに人気がある』つうのは正しいのだなという感想ですね。
 このアニメが日本で公開されたのが2018年2月。で中国での公開が2019年2月予定だそうです。日本で公開されたものが1年たっただけで中国でも公開というのは割と早いでしょう。

 「さよならの朝に約束の花をかざろう」は、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」や「心が叫びたがってるんだ。」などで知られる脚本家・岡田麿里の監督作品

 「タイトルが無意味に長い」と思うのは俺がおっさんだからでしょうか。


大紀元中国当局による法輪功学習者への迫害(1) 集団レイプ』
https://www.epochtimes.jp/2019/01/39228.html

「善因善果、悪因悪果」
 法輪功学習者に拷問と性的暴行を加えた当局者の一部にはすでに報いが現れた。
 省内の司法・警察機関を統括する遼寧省政法委の元書記で、省高級人民法院(地裁)院長を務めた丁世発氏(76)は、2006年11月脳出血のため辞職した。現在も重度の昏睡状態が続いている。

 邪教法輪功らしい馬鹿馬鹿しさで心底呆れます。これがまだ「弾圧*10に対して憤激のあまり口が滑った」なら同情の余地もあるでしょうが、法輪功の場合、そうではなくてがちでえせ科学ですからね(呆)。


■海峡両岸論『「新冷戦論」の落とし穴にはまるな デジタル経済争う21世紀型対立』岡田充*11(おかだ たかし):共同通信客員論説委員
http://chikyuza.net/archives/90609
 「今の米中対立は、1980年代の日米貿易摩擦のようなものにすぎない。米国も中国も冷戦期の米ソと違い、相手の体制を打倒しようとしているわけではない。お互いそんなことをしたら経済的に大ダメージだ。そういう意味で『新冷戦』という言葉はミスリーディングで不適切だ」とみる岡田氏です。
 小生も同感ですね。もちろん「打倒中国」などされたら困るのは米国だけではなく日本やEU諸国も同じでしょう。


ニューズウィーク日本版『市場経済遊牧民は貧困化:独裁者復活がモンゴルを救う?』(楊海英)
https://www.newsweekjapan.jp/youkaiei/2019/01/post-32.php

 国民の我慢は限界に達し、昨秋から続いてきた反政府デモは今なお、大統領官邸前で繰り広げられている。

 楊を信じれば「民主化への期待が高かった」が故に「共産党独裁時代に比べてあまり豊かでもない」上に「共産党独裁時代に比べて清廉潔白でもない政治家連中」にモンゴル国民も失望し、その反動で「一党独裁の方がましだった」という思いが「一党独裁時代を知る人々の間」で高まってるようです。
 もちろん「だからといって一党独裁には戻れない」。モンゴルも政治不信と経済苦境でかなりまずい状態にあると言うことでしょうか?

 経済の主軸は豊富な地下資源に移行。

 第一次産業農林水産業)でもうけることが出来ず、「第二次産業のうちの製造業」、第三次産業(サービス業)も未成熟であるが故に、「鉱業に過剰に傾斜した経済構造」になってるのでしょう。経済構造として非常にまずいことは言うまでもないでしょう。


■産経【聞きたい。】石平さん『中国人の善と悪はなぜ逆さまか』 「内輪のみが大事」という伝統
https://www.sankei.com/life/news/190113/lif1901130017-n1.html
 言うのも馬鹿馬鹿しいですがろくでもない社会なら善悪は転倒し異常なことも起こります。
 「ヒトラー時代のドイツ」「スターリン時代のロシア」「ポルポト時代のカンボジア」「内戦状態の旧ユーゴ」「集団自決の強要が起こった戦前沖縄」など、いくらでも例はあげられるでしょう。
 でそこから「ドイツ人(あるいは日本人など)の善悪はなぜ逆さまか」などと言い出したらバカとしか言い様がないでしょう。中国に対する石の無茶苦茶な物言いももちろん話は同じです。
 「ホニャララ民族だからどうこう」という話ではないし、そういうことを言うのはもろに民族差別、ヘイトスピーチです。
 そんな物言いが許されるなら731部隊南京事件などを理由に「いかに日本人が民族として邪悪で外道か」なんて話も出来るわけです。もちろんそういうことはするだけ馬鹿馬鹿しいですが。

 中国共産党の要人の不正蓄財はけた違い。日本では総理の犯罪でも5億程度でしょ。

 「5億」というのは「ロッキード事件で田中が起訴された金額」にすぎません。表に出なかった賄賂があるならば「5億ではすまない」でしょう。なお、金銭価値の変動がありますので田中時代の5億は今の5億とは違います。2倍の10億とか3倍の15億とか、かなりの金額になるでしょうね。

 しかも一族の間では『悪』ではなく『善』なのです

 さすがに「善ではない」でしょう。そしてそうした身びいきは程度の差こそあれ、「日本も含め」どこの国でもあるわけです。


■読売『中国「3邦人スパイ、日本政府関与」判決で認定』
https://www.yomiuri.co.jp/world/20190113-OYT1T50004.html
 さすがに根拠レスでそんな認定はしないと思いますが、どんなもんなんでしょうか。
 いずれにせよこうした認定がされた以上「関与していようがいなかろうが」、日本政府が彼らの釈放に動くべき責務が「以前からもちろんありますが」、いっそう重くなったとはいえるでしょう。
 事実ならば「スパイなどやらせなければこんなことにはならなかった。だからこそその責任をとるべきだ」という意味で、事実でないならば「事実ではない、と抗議して早期釈放を目指すべきだ」という意味で。


■産経『AIIB、間もなく開業から3年 日本、参加への慎重姿勢変わらず』
https://www.sankei.com/politics/news/190113/plt1901130006-n1.html
 これほどまでに参加しない理由は何でしょうか?。米国への配慮?。米国が「俺、AIIBに参加する」といえば日本も参加するのか?


■産経【主張】習氏の台湾演説 一国二制度を誰が信じる
https://www.sankei.com/column/news/190112/clm1901120001-n1.html
 「中国が」ではなくて「産経が」馬鹿馬鹿しいですね。
 信じるか信じないかは、「台湾が当事者」であって日本は関係ない。
 そもそも台湾住民の多数意見は今のところ現状維持です。
 習近平氏にしても「今すぐ一国二制度方式で統一したい」とはいってない。「統一」は習近平氏においても「遠い将来の話」です。産経のようにむきになって「そんな統一を誰が支持するか」というほど統一は現実の課題には全くなっていない。


■産経『蔡英文氏、総統選へ追い風と神経戦と…台湾、民進党首に卓栄泰氏』
https://www.sankei.com/world/news/190106/wor1901060014-n1.html

 蔡氏の再選支持派とされる卓栄泰(たく・えいたい)*12前行政院秘書長(59)が得票率約72%の大差で当選した。2020年1月予定の総統選に向け、再選出馬を目指す蔡氏にとって追い風となる。
 ただ、投票権を持つ党員約20万人の投票率は16.9%にとどまった。

 つまりはほとんどの党員は「支持したい候補がいないから投票できない」「どうせ卓栄泰が当選するんだろ?」と冷め切っていたわけです。
 そして

 ただ、3日には伝統的な党の支持層である「台湾独立」派の長老4人が蔡氏に再選放棄を求める書簡を公表。独立派が好感する頼清徳(らい・せいとく)行政院長(首相に相当)は予算が成立する月内に辞任する見込みで、総統選出馬への布石と見る向きが絶えない。

ですからねえ。蔡の基盤は盤石ではありません。

 中国の習近平*13国家主席が示した武力行使を含む台湾統一方針を明確に拒否したことで、世論が蔡氏に有利に傾くとの見方もある。

という産経ですが影響はほとんどないでしょう。「独立宣言を強行すれば武力行使もあり得る(中国)」「統一の考えはない(蔡)」なんてのは「以前から中国や蔡が言ってること」で何ら新鮮味はないからです。
 むしろ「中国にこびろとは言わないがけんか腰はいい加減やめてくれ」「適当に受け流すことが出来ないのか」と蔡への反発が高まる可能性すらあるでしょう。


夕刊フジ『習氏「中台武力統一」発言が示す中国の窮状 識者「対米貿易戦争の打撃を隠そうとしている」』
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/190105/soc1901050003-n1.html
 「台湾が独立宣言をしたら軍事侵攻というオプションもあり得る(注:即座に侵攻するとは言ってない)」なんてことは習近平氏の前任である胡錦濤*14なども言っていたことで何ら新味はありません。
 しかも習氏は一方で
1)平和統一が原則、あくまでも「台湾独立分子が独立宣言を強行したときのみ」軍事侵攻の可能性がある
2)平和統一の方式としては香港の一国二制度も参考にしたい
3)当面は経済、文化交流を進めたい
ともしています。
 従って『対米貿易戦争の打撃を隠そうとしている』なんてのは全くのデマです。
 地方選での民進党敗北を契機に改めて、中国が「独立派ではないかと疑いの目で見ている」蔡英文に牽制を行ったに過ぎないでしょう。まあ、「識者」が誰かと言えば「島田洋一」ですから全く論外ですが。


■産経『台湾・蔡総統、中国発フェイクニュース対抗策で協力呼びかけ』
https://www.sankei.com/world/news/190105/wor1901050016-n1.html

 蔡氏は「中国が偽情報を通じて台湾の民主的な選挙に介入している」と指摘。

 一体いつそんなことがあったんでしょうか。「偽情報」とは何のことなのか。先日の地方選挙での民進党敗北は「中国の選挙介入ガー」という話ではないでしょう。
 いわゆるロシアゲートならまだしも、「中国の選挙介入」なんて事実は確認されていないと思います。蔡英文の発言は明らかな「恥ずべきデマ」ではないのか。


ニューズウィーク日本版『宣伝、観光、不法移民......ロシアで高まる中国警戒論』楊海英*15
https://www.newsweekjapan.jp/youkaiei/2019/01/post-31.php

 サンクトペテルブルク国立大学はロシアで最古の大学の1つで、東洋諸言語に関して権威ある研究教育機関だ。この大学のある研究棟を訪ねたら、中国政府の文化機関、孔子学院の機関誌が山積みになっていた。
 最新号をめくると、「中国共産党の正しい外交政策」を宣伝する内容ばかり。

 「で、それがどうかしたのか?」て話です。

 「ロシア革命の砲声から始まった社会主義によって、中国人民は封建主義と帝国主義の圧政から解放された」という中国共産党の宣伝を固く信じて、中国から観光客が大勢、サンクトペテルブルクを訪れる。

 サンクトペテルブルグ訪問は単なる観光に過ぎないと思いますが。楊が「共産主義学習の一環」と決めつける根拠は何なのか。

 彼らにとって観光の目玉は、ロシア革命時に砲撃された冬宮殿を含むエルミタージュ美術館だ。

 「観光の目玉がエルミタージュ美術館」つう時点で「フランスに観光に行った人がルーブル美術館行くのと変わらないだろ」ですね。「ロシア革命時に砲撃された」とは酷いこじつけです。別にそういう理由で行くわけではないでしょう。楊と「この文章を掲載したニューズウイーク日本版」の正気を疑いますね。

 ロシアを訪れる中国人は「サハリンを含む極東地域はわが国の固有の領土だったが、帝政ロシアに取られた」と主張する。中国国内のネット上では、「強大になったわが国はロシアとの間で結んだ不平等条約を見直し、失われた領土を取り戻すべきだ」といった強硬論も横行している。

 そんなことを中国は公式にもちろん要求していません。「中国版ネトウヨの暴言」など相手にするだけ馬鹿馬鹿しい。


■『「韓國瑜現象」:高雄市長選挙の異変』(2018年11月4日)東京外国語大学・小笠原欣幸*16
http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/ogasawara/analysis/hanguoyuphenomenon.html

・4年前の台湾統一地方選挙を特徴づけたのは「柯文哲現象」であった。今回の選挙を特徴づけるのは「韓国瑜現象」であろう。国民党の韓國瑜候補が民進党の地盤の高雄市で旋風を巻き起こし,台湾メディアの支持率調査で民進党の陳其邁候補を上回った。民進党が20年も市政を掌握し,民進党の躍進を支えてきたこの高雄という地で,無名に近かった国民党候補の支持率が民進党の有力候補を上回ったという事が「現象」といってよい。
1.「現象」の背景
■蔡政権への失望・不満
 これなしには始まらない。蔡英文民進党への失望・不満が広がり,閉塞感となっていた。その閉塞感の打開への渇望があった。期待は普通の人ではなく型破りな人に集まる。
■高雄の民進党への飽き
 謝長廷*17・陳菊*18の両市長の20年で民進党が(ボーガス注:高雄市において)体制化・権威化していることへの潜在的不満がある。旧高雄県で見れば実に1989年から連続して民進党籍の県長が続いた。民進党のスローガンの「高雄はすばらしい」に飽きがきているのではないか。
 また,蔡政権が発足すると高雄市政府の幹部が次々と中央に引き抜かれた。これは高雄市民にとって高雄市の人材が評価されたという面と,高雄の地元が軽視されたのではないかという面と両面がある。人気が高かった陳菊市長も今年3月北上し総統府秘書長に就任した。
民進党予備選挙
 陳菊市長の後任となる市長候補を決めるため,民進党は今年3月,党内予備選挙を行なった。予備選挙のルールは,高雄市民を対象とする民意調査で支持率1位が公認候補になるというものであった。5人の立法委員が争い,陳其邁が勝ったのだが,高雄市では民進党が非常に強いので,党の公認を得さえすれば市長に当選確実という空気があった。そのような,選挙民を軽視する民進党内の露骨な態度に反感が生じたのではないか。
2.韓國瑜を有名にした人物
■王世堅
・韓國瑜は,(中略)雲林県の地方派閥張榮味派(王金平*19と近い)と近い人物と見られている。
・韓が2012年に台北市青果市場の総経理に就任したのは張榮味の押しがあったからといわれている。
 しかし,台北市青果市場の総経理といってもそれは特に目立つ仕事ではなかった。それを目立たせたのは,蔡政権が強引に韓國瑜を辞めさせようとしたからである。蔡政権は青果市場での張榮味の影響力を断とうとしたと見られている。ここで出てくるのが,王世堅と吳音寧である。
 王世堅は民進党のベテラン台北市議員で,派手な言動で有名な人物だ。王議員は,2016年11月台北市議会で韓國瑜を「流氓」(ならず者,チンピラ)と罵倒するのだが,その映像は王の方がよほど「流氓」に見えるのでネットで話題になった。
■吳音寧
・韓國瑜は2017年1月国民党主席選挙に出馬するため総経理を辞任した。国民党主席選挙でも韓はほとんど話題にならなかった。台北市青果市場の総経理の後任には吳音寧が就任した。吳音寧は農業や環境に関心を持ち理念的に活動していたが農産物の市場取引の経験はなく,当初から,父親が独立派系の有名な郷土作家吳晟であるから抜擢されたといわれた。
 それが話題になるのは,2018年2月3月にかけて台北市青果市場が立て続けに市場を休みにし批判が出た時に,責任者の吳音寧が姿を見せず説明責任を果たさないという事件があってのことである。吳音寧は「年収250万元の実習生」「青二才」とメディア,ネットのバッシングにさらされる。
 批判は吳音寧を起用した蔡政権にも向かった。その過程で蔡政権が引きずり降ろそうとした前任者の韓國瑜に関心が集まっていったのである。それでも韓國瑜はまだブレークしていない。4月に韓は国民党の高雄市長候補に決定するが,誰も韓が勝つ可能性があるとは考えなかった。
 その後も吳音寧は市議会で答弁するしないであるとか,海外視察をするしないなどで論争を引き起こす言動が続き,吳音寧批判は拡大した。
・吳音寧の人事を主導したのは農業委員会の陳吉仲副主任委員(副大臣相当)と台湾メディアでは報じられている。もしそうであるなら,まったくの浅知恵であった。「この不慣れな若い娘さんのために追い払われたかわいそうなおじさんの韓國瑜ってどんな人?」という感じで韓國瑜の人気が爆発していくのである。
3.ブレークの要因
 陳其邁陣営は当初韓國瑜をまったく相手にしていなかった。韓の話題を一過性のものと見ていたのであろう。陣営が気がついた時には,韓はブレークしてしまっていた。
■個人特質
 韓國瑜は話し方がおもしろい。お笑い芸人的で,自分をさらして笑いのネタにする。話が軽妙だから失言も多い。おそらくは政治家をやめたつもりでいたから自然体になっていて,それが与野党の既成政治家とは違うという印象を与えた。
■反エリート意識・ポピュリズム
 国民党の救世主となった韓國瑜であるが,韓は国民党エリートではなかった。馬英九*20時代に冷遇されている。そして蔡政権からは(ボーガス注:台北市青果市場総経理を)やめるよう圧力をかけられた。国民党でありながら,反体制・反権威の雰囲気を出している。それが,高雄の強力な民進党組織に単騎で挑む勇者という,非常にねじれたイメージにつながる。
 韓國瑜の社会的な思想は保守的で反リベラルであり,「韓國瑜現象」は世界各国で見られる右寄りのポピュリズムと共通の性質を持つと見ることができる。これは4年前の「ひまわり運動」とは異なる潮流である。「現象」の登場は,蔡政権の挫折により台湾政治の潮流が変わったことを示すのかもしれない。
■台湾の民主政治
 かつての権威であった国民党は野党に転落し,民衆レベルの反権威の感情はいつでも民進党に向く状況になっていた。蔡政権にはその自覚はなかったであろう。
4.「現象」のゆくえ
 執筆時点で投票日まで3週間を切った。韓國瑜人気は短期間で沸騰したので,批判は遅れて出てきた。韓の反リベラルな思想にも批判が出ている。しかし,ネットでの人気はまったく影響を受けていない。こうなると韓の失言や反リベラルの思想を批判したところであまり効果はないであろう。投票日までこの勢いは続くのではないか。いまは柯文哲さえも目立たなくなっている。
 「韓國瑜現象」は基本的に韓個人の現象であるが,当然民進党の選挙情勢には悪影響となり,国民党はある程度の恩恵を受ける。10月の「美麗島民調」では,国民党の好感度が41.7%で,9月と比べて11ポイントも増加した。国民党の反感度は39.2%で,9月より3.8ポイント減少した。他方,民進党の10月の好感度は27.4%,反感度は57.5%で,反感度は9月より5.5ポイント増加した。国民党の好感度が急に上がる理由も見当たらないことから,これは「現象」の効果と考えられる。
 韓が当選しなければ「韓國瑜現象」もあだ花に終わるが,当選した場合は,台湾全体の得票数で国民党が民進党を上回ることになり,「現象」はいよいよ本格的になる。(ボーガス注:歴史的には民進党王国で市長選での敗戦の可能性は低かった)高雄市の政治的意味を考えれば,韓の当選は蔡政権に決定的な打撃を与え台湾政治の流れを変えることになる。
 当選後の韓國瑜がどういう市政運営をするのかは分からないが,民進党台北の柯文哲も高雄の韓國瑜も「中国と同調する人物」という趣旨の批判をしている。両者が共に当選すれば,民進党は極めて厳しい状況に追い込まれる。 

 面白い記事だと思うので紹介しておきます。やはり国民党勝利は「民進党への不満」であり「中国万歳」などでは全くないわけです(もちろん『中国との商売』的観点から、蔡英文の反中国路線が選挙民に嫌われたというのはあるでしょうが)。
 なお、この文章は選挙結果前に書かれましたが、選挙では柯文哲氏(台北、無所属、現職)、韓國瑜氏(高雄、国民党、新人)がともに当選しました。

*1:著書『ダライ・ラマと転生』(2016年、扶桑社新書)など

*2:I濱のチベット研究については「興味も評価する能力もない」のでコメントしませんが

*3:著書『「日中友好」は日本を滅ぼす!』(2005年、講談社プラスアルファ新書)、『なぜ、日本人は日本をおとしめ中国に媚びるのか』(2009年、ワック文庫)、『なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか』(2013年、PHP新書)、『中国崩壊カウントダウン』(2014年、宝島社)、『「全身病巣」国家・中国の死に方』(2014年、宝島SUGOI文庫)、『世界征服を夢見る嫌われ者国家 中国の狂気』(2014年、ビジネス社)、『なぜ中国人にはもう1%も未来がないのか』(2014年、徳間書店)、『習近平にはなぜもう100%未来がないのか』(2015年、徳間書店)、『狂気の沙汰の習近平体制』(2016年、ビジネス社)、『冗談か悪夢のような中国という災厄』(2017年、ビジネス社)、『習近平の終身独裁で始まる中国の大暗黒時代』(2017年、徳間書店)、『教えて石平さん。日本はもうすでに中国にのっとられているって本当ですか?』(2017年、SB新書) 、『なぜ中韓はいつまでも日本のようになれないのか』(2017年、KADOKAWA)、『中国五千年の虚言史』(2018年、徳間書店)、『なぜ日本だけが中国の呪縛から逃れられたのか』(2018年、PHP新書)、『アメリカの本気を見誤り、中国を「地獄」へ導く習近平の狂気』(2018年、ビジネス社)、『なぜ中国は民主化したくてもできないのか』(2018年、KADOKAWA)などトンデモ右翼本多数。

*4:著書『なぜ、日本人は日本をおとしめ中国に媚びるのか』(2009年、ワック文庫)、『なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか』(2013年、PHP新書)、『なぜ中国人にはもう1%も未来がないのか』(2014年、徳間書店)、『世界征服を夢見る嫌われ者国家 中国の狂気』(2014年、ビジネス社)、『習近平にはなぜもう100%未来がないのか』(2015年、徳間書店)、『習近平の終身独裁で始まる中国の大暗黒時代』(2017年、徳間書店)、『教えて石平さん。日本はもうすでに中国にのっとられているって本当ですか?』(2017年、SB新書)、『アメリカの本気を見誤り、中国を「地獄」へ導く習近平の狂気』(2018年、ビジネス社)、『中国五千年の虚言史:なぜ中国人は嘘をつかずにいられないのか』(2018年、徳間書店)など

*5:著書『瀕死の中国』(2005年、阪急コミュニケーションズ)、『中国から日本企業は撤退せよ』(2006年、阪急コミュニケーションズ)、『中国は猛毒を撒きちらして自滅する:全世界バブル崩壊の引き金を引くのも中国』(2007年、徳間書店)、『上海バブルは崩壊する』(2010年、清流出版)、『中東民主化ドミノは中国に飛び火する』(2011年、双葉新書)、『中国が世界経済を破綻させる』(2012年、清流出版)、『中国バブル崩壊が始まった』(2013年、海竜社)、『「中国の終わり」にいよいよ備え始めた世界』(2015年、徳間書店)、『「アジアインフラ投資銀行」の凄惨な末路』(2015年、PHP研究所)、『習近平の独裁強化で世界から徹底的に排除され始めた中国』、『米国混乱の隙に覇権を狙う中国は必ず滅ぼされる』(以上、2017年、徳間書店)、『米中貿易戦争で始まった中国の破滅』(2018年、徳間書店)、『日本が危ない! 一帯一路の罠』(2019年、ハート出版)など

*6:著書『高山正之が米国・支那・韓国・朝日を斬る』(2013年、テーミス)、『アジアの解放、本当は日本軍のお陰だった!』(2014年、ワック文庫)、『中国と韓国は息を吐くように嘘をつく』(2017年、徳間書店)など

*7:一応「揚げ足をとっておけば」1)転生霊童などしなければ、つまり「高僧の中からダライを選ぶローマ法王方式」をとればそうした問題は「民主化しなくても」一応解決します、2)もちろんダライが幼い時期も「実際には高僧たちがダライの後見人になる」ので完全な「権力空白」などはありえません。そもそも「チベット解放以前のダライ体制」が「常に平和だったか」といえばそんなこともないわけです。I濱の言うようなことではなく「欧米民主国家と付き合うにはチベット民主化しないと向こうが相手にしてくれない」つうことじゃないか。

*8:https://www.unilever.co.jp/ウィキペディアによれば日本では紅茶(リプトン)、男性用化粧品(アックス)、石けん(ラックス)などのブランドを展開。

*9:全国人民代表大会常務委員、中央民族委員会副主任など歴任

*10:ただし法輪功の言うような弾圧が本当にあるかどうか俺は知りませんが。

*11:著書『中国と台湾:対立と共存の両岸関係』(2003年、講談社現代新書)など

*12:台北市議、総統府秘書長、行政院秘書長を経て民進党党首

*13:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*14:共青団中央書記処第一書記、貴州省党委員会書記、チベット自治区党委員会書記などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*15:著書『草原と馬とモンゴル人』(2001年、NHKブックス)、『モンゴル草原の文人たち:手写本が語る民族誌』(2005年、平凡社)、『チンギス・ハーン祭祀』(2005年、風響社)『墓標なき草原(上)(下):内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録』(2009年、岩波書店→後に2018年、岩波現代文庫)、『続・墓標なき草原:内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録』(2011年、岩波書店)、『中国とモンゴルのはざまで:ウラーンフーの実らなかった民族自決の夢』(2013年、岩波現代全書)、『植民地としてのモンゴル:中国の官制ナショナリズムと革命思想』(2013年、勉誠出版)、『ジェノサイドと文化大革命内モンゴルの民族問題』(2014年、勉誠出版)、『モンゴルとイスラーム的中国』(2014年、文春学藝ライブラリー)、『チベットに舞う日本刀:モンゴル騎兵の現代史』(2014年、文藝春秋)、『狂暴国家中国の正体』(2014年、扶桑社新書)、『日本陸軍とモンゴル:興安軍官学校の知られざる戦い』(2015年、中公新書)、『モンゴル人の民族自決と「対日協力」:いまなお続く中国文化大革命』(2016年、集広舎)、『「中国」という神話:習近平「偉大なる中華民族」のウソ』(2018年、文春新書)、『「知識青年」の1968年:中国の辺境と文化大革命』(2018年、岩波書店)、『最後の馬賊:「帝国」の将軍・李守信』(2018年、講談社)、『モンゴル人の中国革命』(2018年、ちくま新書)など

*16:一橋大学大学院社会学研究科での指導教官は英国社会主義運動研究が専門の都築忠七。論文『ハロルド・ラスキ の「同意による革命」論研究』で一橋大学社会学博士取得。イギリス政治思想史研究から始め、その後、北京語を学んで国立政治大学に留学し、台湾研究に転向。著書『ハロルド・ラスキ』(1987年、勁草書房)、『衰退国家の政治経済学』(1993年、勁草書房)など(ウィキペディア『小笠原欣幸』参照)

*17:高雄市長(1998〜2005年)、行政院長(首相)等歴任。現在、台北駐日経済文化代表処駐日代表(駐日大使)。

*18:高雄市長(2006〜2018年)などを経て、現在、総統府秘書長

*19:立法院副院長(国会副議長)、院長(国会議長)を歴任

*20:連戦内閣法相、台北市長などを経て総統