新刊紹介:「前衛」8月号

 「前衛」8月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。「興味のある内容」のうち「俺なりになんとか紹介できそうな内容」だけ簡単に触れます。「赤旗記事の紹介」でお茶を濁してる部分が多いです。
http://www.jcp.or.jp/web_book/cat458/cat/


■日米一体の戦争する国づくりやめ、九条生かした平和外交を(井上哲士
(内容紹介)
 「日米一体」という記事タイトルが重要なポイントかと思います。日本が「改憲し戦争できる国」になるとしてもそれは自民党においては「米国の副官になること」を意味するのであって、よかれ悪しかれ、それは「米国の意図に反する物(例えば日米安保廃棄)」にはなりえません。
 もちろんそれは「日本が米国の奴隷」ということを意味しません。日本政財官界も「日米安保の枠」の中で自らの権益確保のために動いてるわけで単純に米国の言いなりになってるわけではありません。いずれにせよ「護憲」「平和外交」を日本で考えるにおいて「軍事同盟国・米国」の意図を無視して議論することは出来ません。


核兵器禁止条約成立二年:被爆七五年にむけた課題と展望(川田忠明*1
(内容紹介)
 様々な問題点や限界点はあれども核兵器禁止条約が成立したことを評価。その上でこの条約に背を向ける国々(いわゆる米英仏中露の核五大国や日本)が批判されています。

参考
主張/核兵器禁止決議/問われる被爆国政府の立場
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-07-04/2019070407_01_1.html


■対談『ふつうに働き、安心してくらし、学べる社会を」(藤井久実子、吉良よし子)
(内容紹介)
 吉良氏は日本共産党参院議員。藤井氏はエキタスメンバーであり、エキタスの活動(最賃1500円実現など労働運動)を中心に議論は行われています。

参考
裁量労働制拡大反対 エキタスがデモ/働いた分の金くらい払え/小池書記局長ら参加
「残業代ゼロ法案反対」訴え続ける/エキタスが国会前抗議
「最賃 全国一律1500円に」/東京・新宿でエキタスがデモ


■「領土不拡大」原則の形成をたどる(中):「領土的其ノ他ノ増大ヲ求メス」(大西洋憲章)の起源とその後(森原公敏*2
(内容紹介)
 新刊紹介:「前衛」7月号 - bogus-simotukareのブログで紹介した7月号記事「(上)」の続きです(おそらく9月号が(下))。
 いわゆる大西洋憲章で「領土不拡大原則」が定められながらも「ソ連対日参戦」を希望するルーズベルトチャーチルがその原則に反する「スターリンの千島割譲要求」にヤルタ密約で応じることが批判的に指摘されています。
 正直、新刊紹介:「前衛」7月号 - bogus-simotukareのブログでも書きましたが「領土不拡大原則」という「筋論」が無意味だとは言いませんが「島の返還」と言う意味ではそれ一本で解決するのは無理でバーター取引がやはり必要でしょう。これは何も北方領土だけじゃない。北朝鮮拉致だって話は同じです。「犯罪だ」といっても何もどうにもなりません。


原発推進 温暖化対策は建前、本音は?(明日香壽川)
(内容紹介)
 明日香氏は『地球温暖化:ほぼすべての質問に答えます! 』(2009年、岩波ブックレット)などの著書がある研究者です。
 「温暖化防止のための原発推進」と言う主張に対する批判がもっぱらされています。Q&A形式で書いてみます。
Q1
原発を温暖化防止に役立つとする主張(例:常岡浩介)をどう思いますか?」
A1
「はっきり言って虚偽だと思います。統計データ的には原発を推進してる国家で温室効果ガス(主としてCO2)が減り、一方、脱原発国家でそうしたガスが増えてるといったデータはありません。そもそも火力発電以外は、原発に限らず、水力、太陽光、地熱、潮力、風力、全て温室効果ガスを出さない発電です。その中で被曝事故の危険性がある原発は最もリスキーな発電方法です」
「また日本について言えば、赤旗でも
主張/石炭火力容認方針/原発も温暖化も国民は望まぬ
主張/石炭火力発電/撤退求める声に政府は応えよなどの指摘がありますが、石炭が安くなったなどの理由で、石炭火力発電所の建設が増えています(なお、原発推進国が軒並み日本のように石炭火力を増やしてるわけではありません)。『昔に比べれば石炭火力の性能もよくなり、CO2排出も少なくなった』と財界や自民党経産省は言い訳していますが、石炭火力がCO2を排出することは言うまでもありません。石炭火力を増設する日本が『温暖化防止のために原発』といっても説得力はまるでないのです」
Q2
原発は安い、経済的だという意見はどうでしょう。」
A2
「そのように言えるかは疑問です。例えば

【習近平訪英】中国と英国、7兆円超の巨額契約締結 習主席「中国は社会主義の道を選択」と演説 - 産経ニュース
 ロイター通信によると、中英間の契約の中心は原発投資で、中国企業は南西部ヒンクリー・ポイントで2025年に完成予定の原発など計3事業に180億ポンド規模を投資する。ロンドン東部の事業では、中国が3分の2の株式を取得して中国で設計された原発を建設する計画だ。

中国、仏アレバに出資 原発市場を共同開拓 :日本経済新聞
 首脳会談で合意した経済協力の柱が、原子力分野での協力拡大だ。経営再建中のアレバに対し、中国核工業集団が出資することを決めた。

と言う記事を考えてみましょう。「中国と英仏の経済関係」は原発に限定されませんがそれはひとまず起きます。なぜ英国やフランスは原発建設において中国の支援を受け入れるのか。それは原発が福島事故などによって『危険な代物だ』というイメージがこれらの国においても強まっており、政府の出資や英国、フランス企業の出資が、国民や株主の批判により、昔に比べれば難しくなっているからです。『人権面で中国には問題がある』などという批判があろうともそんな物は無視して中国の出資を受け入れざるを得ない状況なのです。そんな代物が果たして安いとか効率的とか言えるのでしょうか。」
Q3
原発は日本の核開発につながる危険があるという批判意見はどうでしょうか?」
A3
「これについては、『あえて言えば原発は日本の核開発につながる恐れがあるとは言える(必然的につながりがあるわけではないが)』」というのが私の考えです。過去には

“核兵器使用は違憲ではない”/安倍官房副長官
 安倍晋三官房副長官は二十七日の参院予算委員会で、週刊誌が報じた“核兵器の使用は違憲ではない”とする発言について、「政府の従来からの解釈を紹介したものだ」とのべて、認めました。
 この発言は、先週発売の「サンデー毎日」(六月二日号)が報じたもので、同氏が十三日に東京・早稲田大学での講演で、「戦術核を使うと言うことは昭和35年(1960年)の岸(信介=故人)総理答弁で『違憲ではない』という答弁がされています。それは違憲ではないのですが、日本人はちょっとそこを誤解しているんです」とのべたというものです。

自民・石破茂氏「核兵器の製造技術保持は必要」 核兵器保有は否定 - 産経ニュース
 自民党石破茂元幹事長は5日、東京都内の講演で、日本として核兵器を製造できるような技術は保持すべきだとの見解を示した。

などという発言もあります。原発が必然的に核開発につながると言ったらウソになりますが、『絶対につながらない』といってもそれはウソになるでしょう。問題は『核開発につなげようとする人間がいるかどうか』です。「自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相(安倍)」「福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)を歴任(石破)」という政府・与党の幹部である安倍や石破の発言を考えればその点について『危機意識を必要以上にあおる気は毛頭ない』のですが、私はあまり楽観的にはなれません。もし『核保有など考えてない』というなら安倍や石破は過去の発言を明確に撤回すべきです」
参考
2014焦点・論点/気候変動問題と日本 東北大学教授 明日香 壽川さん/原発は温暖化対策の答えでない 低リスク低コストは省エネと再生エネ
 やや古いですが内容的には今回の前衛記事と当然かぶるところがあります。


特集『新学習指導要領完全実施と小学校教科書検定(上)』
■安倍「教育再生」が“結実”した小学校教科書(鈴木敏夫
■始動した道徳科のもとで何が起こっているか(浪伊豆生)
(内容紹介)
 鈴木論文、浪論文の紹介については赤旗の記事紹介で代替します。

小学校教科書検定/「道徳」の教科書 首相の写真は消える
 26日に検定結果が公表された来春から使用される小学校教科書。「特別の教科 道徳」では前回、教育出版が「下町ボブスレー」と題する文章に安倍首相の写真を添え、「教育の政治的中立性を侵しかねない*3」などの批判が出ていました。今回申請された教育出版の教科書では、「下町ボブスレー」の文章そのものがなくなり*4、安倍首相の写真は消えました。
 また、同社の道徳教科書は、「国歌がながれたら、みんなでいっしょに歌います」などと記述し、「歌うことを強要しているようだ」などの批判が出ていましたが、今回そうした記述もなくなりました。

教科書に自衛隊記述増/小学校「領土」は政府見解通り/検定結果公表
 社会科では4年の災害対策・救援のところで、3社すべてが、警察、消防などに加え自衛隊をとりあげました。6年でも南スーダンへの自衛隊派兵について3社すべてが触れ、「道路の補修」に協力したなどと記述。憲法の「平和主義」の説明でも「自衛隊の役割」の記述が増えるなど、自衛隊関係の記述の増加が目立っています。
 低年齢のうちから自衛隊について詳しく説明する記述が増えていることは、憲法9条を変えて海外で戦争をできる国にすることを狙う安倍晋三政権の意図をうかがわせます。
 領土問題では、細かく検定意見をつけることによって、「北方領土」、竹島尖閣諸島を「日本固有の領土」と明記させ、尖閣諸島については「領土問題は存在しない」と書かせました。教科書の記述を政府の見解どおりにさせるものです。


■英語教育は選別の道具ではない:小学校英語と大学入試民間英語会話テストの導入他(瀧口優*5
(内容紹介)
【大学入試民間英語会話テストの導入】
 問題は「なぜそうするのか、そうするとメリットは何か」「混乱を生むだけではないか」と言う話です。
 瀧口論文や大学入試の英語試験を民間委託する波紋:日経ビジネス電子版によれば導入が予定されてる英語テストは「TOEIC(トーイック)」「TOEFL(トーフル)」「IELTS(アイエルツ)」「実用英語技能検定(英検*6)」などだそうです。
 しかし瀧口論文や大学入試の英語試験を民間委託する波紋:日経ビジネス電子版が指摘するようにこれらのテストは「共通一次試験」「大学入試センター試験」などと違い、もともと「大学入試での英語能力判定基準」に使うことを目的としていません。そうしたものを果たして「大学入試の英語能力判定基準」に使うことが適切なのか。
 複数のテストが認められてると言うことは「便利ではある」のですが「TOEIC(トーイック)」「TOEFL(トーフル)」「IELTS(アイエルツ)」「英検」などを一体どんな基準で「同一評価できるのか」つう問題もあります(もちろん「なら一つにすればいい」つう単純な話でもありません。その場合「なぜTOEFL(トーフル)だけを採用するのか」などといった問題が出てくるわけです)。
 実際、瀧口論文や大学入試の英語試験を民間委託する波紋:日経ビジネス電子版によれば、こうした難問があることを理由に東大は「判定基準に当面する考えはない」と発表しています(追記:後に「TOEIC(トーイック)」は不参加となりました)。
参考

大学入試の民間英語試験に疑問 揺らぐ公平性 地方受験生の負担大きく 高校側が文科省に要望書(1/3ページ) - 産経ニュース
 来年度から大学入試センター試験に替わって始まる「大学入学共通テスト」に、民間の英語資格試験が加えられることに対し、疑問の声が噴出している。地域によって試験会場数にばらつきが出る上、7種類の中から受験生が自由に選ぶ試験は、採点基準がまちまち。高校側から「公平性に問題がある」「実施を見送るべきだ」という声も上がり、全国高等学校長協会(全高長)が混乱の収拾を求め、文部科学省に要望書を提出する事態になっている。
 疑問の声は、民間試験を合否判定に利用する大学側からも上がっている。同省の国立大を対象とした今年5月時点の調査では、東北大、北海道大、京都工芸繊維大の3大学が公平性への懸念などから全学部で利用を見送った。
 試験ごとに出題の傾向や採点の基準、難易度がまちまちだという現実もある。中高生向けだったり、留学や移住希望者向けだったり。それを一つの物差しでどう測るか、公平性をどう保つのかが課題となっている。
 東京大の阿部公彦(まさひこ)*7教授(英米文学)は「用途が違う試験の成績を同じ基準に当てはめるのは問題だ」と指摘。「そもそも入試は形式をシンプルにするべきだ。複雑である必要はない」と訴える。

 産経と前衛記事の論旨がほぼ同じとは「奇妙」な気もしますが、まあ、右翼か、左翼かで結論が大きく異なるような話でもないですからね。


小学校英語】 
小学校採用 政府方針に現場困惑/半数を英検準1級に
 国のトップダウン小学校英語教育導入を決めても現場が対応できるのか、小学校で英語が使えなければいけない理由があるのか、と言う批判です。


■特別支援学校の危機:障害の重い子どもたちから引きはがされる教員定数(下)(藤森毅*8
(内容紹介)
 
新刊紹介:「前衛」7月号 - bogus-simotukareのブログで紹介した「(上)」の続きです。前回は「特別支援学校の学校設置基準の制定」が主として取り上げられていました。今回は「重複学級の減少」という別の問題が取り上げられています。
 これについては
都、重複障害児を過少報告/教員配置手厚い学級 減らす/参院文科委 山下議員が独自調査
特別支援学校 改善を/大津 山下氏が国政報告、懇談会
を紹介しておきます。


■山宣の生きた時代と現代(市田忠義
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介などで代替。

■山本宣治(1889~1929年、ウィキペディア参照)
1920年東京帝国大学理学部動物学科を卒業。論文は『イモリの精子発達』で理学士の称号を得た。
・1922年3月、訪日していたアメリカの産児制限運動家マーガレット・サンガーと意見を交換して熱心な産児制限研究家となる。サンガーに啓発された山本は、性教育の普及と産児制限の必要性を痛感し、義弟・安田徳太郎らと共に「産児制限運動」(山本自身は「産児調節」の語を使った)を展開していく。同年4月、サンガーの著書を『山峨女史家族制限法批判』のタイトルで小冊子に翻訳し発行。山本は産児制限運動を通じて左翼系の社会運動との関わりを強めていった。
 1928年の第1回普通選挙(第16回衆議院議員総選挙)に京都2区から立候補し、1万4412票で当選した。 労農党からは水谷長三郎*9と山本の2人が当選したが、山本は共産党推薦(当時は非合法のため非公式)候補であり、反共主義者で戦後、民社党幹部となる「水長(みずちょう)」こと水谷*10とは一線を画していた。
 第55・56回帝国議会では治安維持法改正に反対した。
 1929年3月5日、衆議院で反対討論を行う予定だったが、与党政友会の動議により強行採決され、討論できないまま可決された。 その夜、右翼団体「七生義団」の黒田保久二に刺殺された。
■逸話
・長男は三高と早稲田を受験したが、「自分の信念を突進んで大衆のために死んだ」父を尊敬していると面接で述べたところ、いずれも落とされてしまったという(その後関西学院に入学した)。
帝国議会での治安維持法改悪反対を訴える「 実に今や階級的立場を守るものはただ一人だ、山宣独り孤塁を守る! だが僕は淋しくない、背後には多くの大衆が支持しているから」という全国農民組合大会での演説の一節は、あまりにも有名で彼の碑銘でもある(この言葉は大山郁夫の筆で山本宣治の墓に刻まれ、その拓本は国会内の日本共産党事務所に飾ってある)。ただし、文字どおりに治安維持法改正に反対した者が山本一人だけという意味ではない。当時の帝国議会では、反対派は少数派であるけれども、無産階級の代表として反対する、というほどの意味である。
・彼の生涯を描いた映画「武器なき斗い」(山本薩夫監督、1960年公開)がある。西口克己*11による彼の評伝『山宣』(新装版が2009年に新日本出版社から刊行)を映画化したもので、総評が中心となってその映画化に奔走した。

■黒田保久二(1893年~没年不詳、ウィキペディア参照)
 警視庁の有松清治特捜課長は、「もし私が彼を(検察に)送るものとすれば殺人ではなく傷害致死で送る。最初から殺意のなかったことを申し立てておる。」と発表し、黒田を擁護した。一方、東京地裁次席検事の松阪廣政*12は独自の現場検証の結果、警視庁の発表に疑問を持ち、殺人罪を適用すべきと判断した。その結果、内務省は警視庁に対し、黒田の「傷害致死」と発表した件について厳重警告を行った。黒田は裁判で正当防衛を主張したが、殺人罪で懲役12年の実刑判決を受けた。
 当時の報道では、山本はビールを飲んでおり、20分ほど口論した末の犯行と報じられた。しかし、これは警察が黒田を擁護したもので、実際には山本は酒を飲んでおらず、二言三言のやりとりだけで黒田は犯行に及んだという。
 黒田は獄中で、「共産主義者を殺すのだから、もちろん無罪で、十万円もらえるということだったのに、こんなところにぶちこまれてしまった」とこぼしていたという(報酬については別の発言もある。後述)。つまり山本暗殺の実行犯である黒田の背後に、黒幕がいたということである。警視庁の有松は、黒田ら七生義団の団員と面識があり、酒席を共にしたこともあった。そのため、「傷害致死発言」もあり、有松自身が黒幕の一人であったと疑われている。黒田は6年の服役で出所した。これは殺人犯としては異例の厚遇であった。黒幕であった人物を頼ろうとしたが、相手にされなかったという。その後朝鮮から満州に渡り、特務機関などで働いていた。戦後は引き揚げ、七生義団に戻り、その本部がある福岡県門司で、続いて小倉で日雇い生活をしていた。
 瀬川負太郎*13によれば、1952年ころ、脳梅毒で精神病院に入院していた黒田に、人づてに質問したところ、黒幕は戦後、代議士になった「えらい人」であったと示唆していたという。それによれば、150円を成功報酬として約束されたが、逮捕後は1度面会に来ただけで、その後は相手にされなかったと答えたという。山本の研究者・本庄豊*14によれば、戦後に国会議員となった元特別高等警察官僚54人*15の中から、山本に対し「特別の反感や怒り」を抱いた人物を絞り込んだ結果、大久保留次郎*16が黒幕ではないかと結論づけている。

 誰が黒幕かはともかく、「黒田に対する警察の露骨に甘い態度」を考えれば、「黒田の単独犯行ではなく」黒幕自体はおり、それは警察関係者だったのでしょう。「戦前日本の暗黒面」の一例と言っていいでしょう。なお、こうした「黒幕が存在する疑惑」については市田講演も触れています。

山本宣治ってどんな人?
〈問い〉
 あの戦前の状況下で「山本宣治」さんという方が国会議員に当選し、庶民の立場でたたかって暗殺されたという話を聞いて驚いています。どんな方だったのですか?(岡山・一読者)
〈答え〉
 山本宣治は一九二九年三月五日夜、暗殺されました。三十九歳の時でした。
 天皇制政府は侵略戦争の「銃後」を固めるため、前年に緊急勅令で治安維持法改悪(最高刑を懲役十年から「死刑もしくは無期懲役」に)を強行。その日は、衆院で同法の事後承認案の審議があり、山本は発言原稿を準備して議会に臨みますが、妨害にあって発言できず、東京・神田の宿舎に戻ったところを右翼テロリストにより刺殺されたのです。
 「山宣(やません)」と呼ばれ人々に親しまれた彼は、宇治川のほとりにある料理旅館「花やしき浮舟園」の若主人でもありました。京都では毎年、命日である三月五日に、「山宣墓前祭」をひらいています。
 大山郁夫*17書の墓碑銘「山宣ひとり孤塁を守る だが私は淋(さび)しくない 背後には大衆が支持してゐるから」は、いまも多くの人の胸に刻まれ、たたかいを励まし続けています。(喜)

5月 « 2019 « 日本共産党宇治市会議員団
■山本宣治生誕130年記念講演会
 山本宣治は、宇治川のほとりにある「花やしき浮舟園」の二代目主人(「花やしき浮舟園」の現社長は、山宣のひ孫で5代目にあたります)。山本宣治は、山宣と呼ばれ、京大や同志社大で生物学を教える学者であり、性教育や産児調整運動、労働者・農民の教育運動や小作争議の支援など社会的活動にも熱心に参加しました。推されて無産政党から国政選挙に立候補して当選。治安維持法改悪反対の討論にたつ前夜、権力側がおくった元警察官によって暗殺されました。1929年3月5日、39歳でした。
 宇治市では、山宣の事績を調査・研究・保存して広く市民に知らせる活動が、宇治山宣会を中心に取り組まれています。同様の活動は、京都山宣会、東京山宣会、長野山宣会など、生前の山宣と縁のあった各地でも行われています。
 今年は、山宣生誕130年にあたり、5月25日に、記念講演会が開催されます。
日時:5月25日(土)午後2時~4時30分
会場:宇治市生涯学習センター
記念講演:「山宣の生きた時代と現代」 講師 市田忠義日本共産党副委員長・参議院議員

https://twitter.com/ichida_t/status/1132467901078728704
市田忠義
‏ 「山宣ひとり孤塁を守る だが私は淋しくない 背後には大衆が支持しているから」。山宣の墓に刻まれた有名な碑文。
 今や「山宣ひとり」ではない。市民と野党の共闘が進み、すでに合意した11県に続いて32の一人区全てで統一候補が実現できる見通しとなった。
 山宣の闘いは今に生きている。

「山宣」のたたかいに光 生誕130年 宇治市・記念講演会に200人/市田氏「生き方を社会進歩に重ね」 | 京都民報Web
 市田氏は、自身と山宣の関わりとして、高校3年生の時に見た山宣の生涯を描いた映画「武器なき斗い」が、政治、社会に関心を持つきっかけとなったと明かし、明治憲法下の社会や政治情勢と重ねながら、山宣の生い立ち、産児制限運動を広めた生物学者としての功績、治安維持法に反対した国会活動にふれて話を進めました。
 右翼の凶刃に倒れるまでの1年間の国会活動で、共産党への弾圧「3・15事件」に対する抗議の論戦(1929年2月8日予算委員会)と、殺された日に準備していた質問原稿にふれて、「あの暗黒時代に党を丸ごと語り、事実にもとづく告発、対案と希望を語っている」と山宣の先駆的たたかいに光を当てました。
 最後に、山宣が「山宣ひとり孤塁を守る」と言い表した時代から、力を合わせて頑張れば野党連合政権の扉を切り開ける時代を迎えているとし、「自身の幸せと社会進歩を重ね合わせ、生きがいある人生を送ることが、山宣の死に報いる道ではないでしょうか」と呼びかけました。

未来ひらく生き方を/山宣生誕130年 市田氏講演/京都・宇治
 戦前、治安維持法に反対し、右翼の凶刃に倒れた京都選出の代議士・山本宣治の生誕130年を記念する講演会が25日、宣治の生家がある京都府宇治市で開かれ、200人が参加しました。山本宣治生誕130年・没後90年記念事業実行委員会の主催。
 日本共産党市田忠義副委員長・参院議員が「山宣の生きた時代と現代」と題して記念講演しました。


シリーズ「メディアと民主主義を問う」
■韓国放送人と市民の抵抗と連帯から学ぶ(岡本有佳)
(内容紹介)
 『政治権力VSメディア:映画『共犯者たち』の世界』(2018年、夜光社)の共著者である岡本氏が映画『共犯者たち』で描かれた「李明博、朴クネ政権と韓国ジャーナリストたちの戦い」について説明し「安倍政権との戦い」が韓国に比べて弱い日本と比較しています。
 「(勿論韓国にも問題点や限界はあり安易に賛美すべきでないが)調査報道(いわゆる崔順実疑惑報道)でついに朴政権崩壊をもたらした韓国のジャーナリズムから日本は大いに学ぶべき面がある」「こうした長年の韓国ジャーナリストたちの権力との戦いがいわゆる崔順実疑惑報道として実を結び、朴クネ失脚、文在寅政権誕生につながった」という岡本氏の指摘には全く同感です。

参考

■『共犯者たち』(ウィキペディア参照)
 2017年公開の韓国のドキュメンタリー映画李明博朴槿恵政権の約9年にわたるメディアへの介入、これに迎合する韓国放送公社(KBS)や韓国文化放送MBC)の上層部、彼らの「共犯関係」と闘うプロデューサーやジャーナリストらを描く。弾圧に抗議する現場記者ら200人以上の解雇、政府発表のみを重視したことによるセウォル号沈没事故直後の「全員救助」の誤報、崔順実ゲートを当初無視していた事実などが取り上げられている。

『共犯者たち』〜政治権力と闘った韓国放送人たちの熱き記録 /永田浩三 | 連載 ドキュメンタリー解体新書 | WEB世界
 2008年から9年間、李明博朴槿恵政権からテレビへの露骨な介入が繰り返された。この作品は、公営放送MBCとKBSを舞台に、権力の横暴と闘った、血の出るような熱き放送人たちのドキュメンタリーだ。
 冒頭から度肝を抜く場面が続く。MBCを不当に解雇された元プロデューサーの崔承浩氏(この映画の監督)は、局の重要なイベントに潜り込み、社長に迫る。取り巻きは場をわきまえろと遠ざけようとするが、崔監督はひるまなかった。続いて、同じ公営放送のKBSの理事会。不当なことが決められようとしていることに抗議する局員たちが廊下に座り込んでいた。私服の警官は局員に乱暴する。肋骨を折られ痛みに悶える局員。そこにもカメラがあった。互いにもみ合う姿は、闇に葬られるのではなく、容赦ない言論弾圧の様子を伝えることを可能にした。
 こうした出来事はわたしの経験と重なるものがある。17年前のNHK番組改変事件だ。テーマは日本軍「慰安婦」とされた女性の問題。その責任を国際法の観点から問おうとしたのだった。放送前日、当時官房副長官だった安倍晋三氏らとNHKの幹部との間でやりとりが行われ、直後に番組の編集長だったわたしに改ざんが命じられた。わたしは十分抗うことができず、番組は無残なことになった。不甲斐なく、たくさんの仲間を傷つけた。わたしは真相を明らかにするために、いまも当時の関係者へのアプローチを続けているが、逃げられては悔し涙を流す日々だ。
 崔監督は、わたしのことを知っていた。光栄なことだが、やったことは天と地、月とスッポンほど違う。この違いはどこにあるのかを考えた。
 なぜ日本のメディアは声を上げないのか。わたしの経験から考えてみる。放送現場への政治介入や混乱状態を伝えることは、その組織の信頼を失わせるためマイナスだと判断する幹部が多い。身内の恥を晒してどうする。相手が悪すぎる。視聴者はついてきてくれない。そんなこんなの説得が繰り返され、私自身も長い間沈黙した。恥ずかしい。
 しかし、韓国の心ある放送人たちはそうは思わなかった。自分たちがからだをはって闘っていることを見せることこそが視聴者の信頼につながると信じた。番組から追われるキャスターの言葉や、職場での激しい討議も記録された。リアルタイムで進行する素材があること。理不尽なことに涙を流し、怒りの声をあげた証としての映像があること。これが映画の成功の最大のポイントだろう。

韓国映画、民主化や言論統制描く 前政権の圧力越えて|エンタメ!|NIKKEI STYLE
 朴政権の言論統制そのものを題材にしたドキュメンタリー映画も出てきた。「共犯者たち」(12月公開)は李明博(イ・ミョンバク)政権と朴政権の約9年にわたるメディアへの介入の実体を明らかにする。政治介入に抵抗するスト中に解雇された公営放送MBCの元プロデューサー、チェ・スンホが監督した。
 李が大統領に就いた08年、新閣僚の検証報道をした公共放送KBSの社長が解任される。政権に批判的な番組が廃止され、調査報道チームは解散、記者たちは非制作部門に配転された。MBCでも米国産輸入牛肉報道を巡りプロデューサーを逮捕。ニュース番組のアンカーを更迭し、社長を辞任に追い込んだ。朴政権で両局の政権擁護の色彩はさらに強まる。政府発表のみを重視し、300人を超す死者・不明者を出したセウォル号沈没事故で「全員救助」の誤報を流し、崔ゲート事件も当初無視した。
 チェは解雇後、市民の支援で立ち上げたニュースサイトで調査報道を継続。権力に抵抗する記者らの声を拾い、局内で両政権に迎合してジャーナリズムを骨抜きにした“共犯者”たちを告発する。映画は韓国で昨夏公開。チェは昨年12月、MBC社長に就任した。


■対談「障害児はどのように戦争を体験し、組み込まれていったのか:『太平洋戦争下の全国の障害児学校:被害と翼賛』を材料に(下)』(岸博実、清水寛*18
 新刊紹介:「前衛」7月号 - bogus-simotukareのブログで紹介した「(上)」の続き。
 戦争が激化する中、障害者が「戦争翼賛体制」に否応なしに動員されていくことが説明されます。
 ただし、一方で岸氏は

「障害の受容」も「身辺の自立」も〈御国〉がからめとろうとした
・最近は、4つの側面から史実を明らかにし、記録しておこうと努めています。第一は、差別され、排除されてきた側面です。第二は、物的・人的な被害の側面です。第三は、動員され、参加させられてきた側面です。今回は主にこの面を採り上げます。そして、第四は、戦争はいやだ!と声を上げた側面です。
(中略)
 第四の側面に光を当てることが大切になっています。障害児者による厭戦反戦の言動はまだ調査のとば口にありますが、それでも、大正時代、陸軍の大演習に反対するビラまきに参加した盲人エスペランティスト小野兼次郎がいたこと、警察に追われる彼を京都ライトハウス創立者・鳥居篤治郎が一晩かくまったことなどが分かってきています。昭和期には、弱視の守田正義が音楽家として反戦運動のリーダーになりました。果敢に生きた先人もいたのです。小さなつぶやきを遺(のこ)した名もない人たちも見つかりつつあります。それらをもっと丁寧に拾い上げる営みを通じて、平和へと向かう勇気の輪を太く強く育みたいと思います。

ということで「過大評価は禁物」とした上で「障害者による反戦厭戦の動き」も取り上げていきたいとしています。
 そうでないと「障害者とは所詮、健常者に逆らえない弱い存在なのか」ということになりかねないからです。


■論点「需要が軒並み減ったのに、GDPはなぜ増えたのか」(川上則道*19
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

「GDPプラス」は数字のトリック 景気回復の実態はない/小池書記局長が記者会見
 日本共産党小池晃書記局長は20日、国会内で記者会見し、内閣府が同日発表した2019年1~3月の実質国内総生産(GDP)速報値の発表(前期比プラス0・5%、年率換算でプラス2・1%)について、「数字のマジック、トリックだ」「2期連続プラスだというが、国民のなかには景気が回復したという実態も実感もまったくない」と指摘しました。
 小池氏は、GDPがプラスになった最大の原因は、輸入が輸出の下落を上回る規模で大幅に落ち込んだためだと指摘。「内需が冷え込み輸入も落ち込んだことで、計算上、GDPがプラスになっただけだ」「その証拠に個人消費も設備投資もマイナスだ。日本の景気は冷え込んだまま、さらに悪化を続けているというのが実態だ」と強調しました。

だそうです。


■暮らしの焦点「問われる持続可能な森林行政:逆行する改定国有林野理経営法・森林経営管理法」(古山潔)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
国有林の役割損なう/国有林野法改定案 紙氏が指摘/参院本会議
国有林の現場無視/管理経営法改定案が成立/紙氏が反対


メディア時評
■テレビ:裁量労働制をめぐる労使の議論(沢木啓三)
(内容紹介)
 読売テレビ労組が「会社の裁量労働制導入提案」を挫折させた経緯が紹介されています。
 「裁量労働制を導入してもみなし残業時間を超えた部分については残業代を支払う(そうでなければ過労死が助長される)」という逆提案を労組から実施。裁量労働制について労組の反発をかわすために今まで「賃金固定化が目的ではない」と強弁していた会社側は今更「それでは賃金抑制が出来ない」とはいえず、一方で労組の逆提案も予想していなかったがために「再検討したいので今回はひとまず白紙に戻したい」として撤回したとのこと。


■新聞:〝安倍政治に終止符〟総決起の夏(阿部裕)
(内容紹介)
 東京新聞の企画
東京新聞:<ファクトチェック 安倍政治の6年半>(1)憲法 要件緩和、教育充実… 変わる改憲項目:政治(TOKYO Web)が「こうした企画を応援したい」「他のメディアもこうした批判を行うべき。安倍長期政権の理由の一つはメディアの批判が弱いことだ」「さすが望月記者のいる東京新聞社会部。これからも望月氏共々応援したい」として好意的に紹介されている(しかし6年半ですか。改めてげんなりします)。なお「選挙前に多くの人に情報提供したい」と言う考えからか全文無料で読めるのがありがたい。

参考

東京新聞:<ファクトチェック 安倍政治の6年半>(1)憲法 要件緩和、教育充実… 変わる改憲項目:政治(TOKYO Web)
 7月21日投開票が有力視される参院選まで1カ月。安倍晋三首相の政治姿勢も、有権者にとって重要な判断材料だ。第2次安倍政権以降、6年半にわたる首相の発言をファクトチェック(事実確認)する。 (清水俊介)
 「自衛隊に対する、自治体の非協力な対応がある。例えば自衛官の募集。六割以上の自治体から所要の協力が得られていない」
 今年一月の衆院本会議。首相は、自衛隊災害派遣自治体を助けているのに冷たい扱いを受けているとして、「終止符を打つためにも、自衛隊の存在を憲法に位置づけることが必要」と訴えた。
 だが、首相の言葉は正確とは言い難い。
 防衛省によると、二〇一七年度、全国千七百四十一市区町村のうち、自衛官適齢者の名簿を作って自衛隊に提出した自治体は36%。一方で、適齢者名簿や住民基本台帳の閲覧・書き写しを自衛隊に認めた自治体も計54%あった。完全拒否したのは1%に満たない。
 ほかにも首相は、自衛隊を明記する必要性を訴えようと、あらゆる理由を総動員してきたが、額面通り受け取れないことが多い。
 有名なのは、自衛官の子どもが「お父さん、憲法違反なの」と涙ながらに尋ねたというエピソード。首相は一七年十月の民放番組で「(自衛官から)直接聞いた」と説明したが、野党は国会で「実話なのか」と追及。首相は一九年二月の衆院予算委員会で「防衛省担当の首相秘書官を通じて伺った」と言い直した。
 首相は「(実話と証明する)資料を出せというのなら出させていただく」とたんかも切ったが、結局、資料は出てこなかった。

 こんなウソ付き野郎が長期政権だというのだからため息しか出てきません。歴代首相でここまで酷い奴もいないでしょう。
 改めて「前原の馬鹿が希望の党などしなければ」「なぜ石破以外の派閥ボス(岸田政調会長、二階幹事長など)は安倍にへいこらしかしない」と言う思いを禁じ得ません。
 東京が紹介する「子どものエピソード」など「櫻井よしこ百田尚樹などの取り巻きウヨから吹き込まれた与太話をそのまま鵜呑みにしてしゃべった」という説が有力ですから首相がそのレベルとは「呆れて二の句が告げません」。しかも証拠もないのに「出せというなら出す」と野党相手に放言して結局出さない。
 「地方首長の地方政治」ですらそれではまずいですが、そのレベルで外交をやられては国益が破壊されます。実際「韓国への報復」などそのレベルとしか思えませんが。こんなんに日露外交(北方領土)だの日朝外交(拉致)だのおよそ無理でしょう。

東京新聞:<ファクトチェック 安倍政治の6年半>(2)経済 GDP・勤労統計・求人倍率… 「成果」実情触れず:経済(TOKYO Web)(渥美龍太)
 「しっかりと経済を成長させている」。
 安倍晋三首相は十九日の党首討論で、立憲民主党枝野幸男代表に向けこう強調した。民主党政権時代の国内総生産(GDP)の実質成長率が安倍政権を上回っていたと訴えた枝野氏に対し、「一点だけ申し上げる」と強く反論した。
 枝野氏は物価変動の影響を除いた実質成長率を「経済の総合成績」と主張した一方、安倍首相は変動分を含んだ名目成長率を前提にした。どの指標を扱うか。解釈一つで、アベノミクスの代表的な「成果」とされるGDPでさえも評価が大きく変わる。両者の主張がかみ合わなかったのは、「物差し」の違いが大きい。
 政権が「名目GDP六百兆円」を目標に掲げたのは二〇一五年。首相は同年十一月、「二〇年ごろに十分達成できる」と宣言した。一五年度の実額は当初、五百兆円程度にとどまり、専門家から「不可能」との意見が相次いだ。しかし、その後に数値は急伸。一八年度には五百五十兆円まで伸ばした。
 伸長のからくりは、GDPの計算方法の変更だった。目標を掲げた後の一六年十二月に計算法を変え、一五年度は基準変更前と比べGDPを三十兆円以上伸ばした。「後出しじゃんけん*20」との批判も招いたが、一連の事象を首相が率先して説明する姿はみられない。
 首相がアベノミクスの成果を誇る際、紹介した数字の裏側にある実情を丁寧に説明しない場面が多くみられる。賃金の伸びは春闘の実績を使い、基幹統計として重要性が高い「毎月勤労統計」の結果には触れず。勤労統計の一八年実績が、政府の不正*21や算出方法の変更により、かさ上げされていることも背景にある。
 頻繁に取り上げる雇用の改善でも説明不足の構図は同じだ。今国会でも「有効求人倍率は史上初めて全都道府県で一倍を超えた」と繰り返す首相。この数字は事実だが、団塊世代の一斉退職や生産年齢人口の減少という特殊要因には触れず、増えた雇用は高齢者ら短時間労働者が多いという中身は語らない。

東京新聞:<ファクトチェック 安倍政治の6年半>(3)森友・加計問題 ゆがむ「政」と「官」 忖度の疑念 消えないまま:政治(TOKYO Web)(望月衣塑子)
 首相は一七年七月の衆院予算委で「(加計学園による特区への)申請を知ったのは一月二十日の特区諮問会議」と答弁。しかし、首相は同年六月の参院予算委などで「(国家戦略特区の前の)構造改革特区で申請されたことは承知していた」と答えていた。矛盾だと追及された首相は「整理が不十分で混乱していた」と陳謝し、答弁を修正した。

 モリカケでは安倍答弁が矛盾だらけでその矛盾を野党から指摘されると「記憶違いだった」でコロコロ変わり、説得力がまるでないという批判です。
 比較自体、「望月氏に失礼」ですが「同じ女性記者」福島香織との違いに頭痛がしますね。望月氏なら独立したとしても、福島のようには劣化しないんじゃないか、「俺の願望ですが」そんな気がします。まあ今後も望月氏が東京で活躍することを期待していますが。

<ファクトチェック 安倍政治の6年半> (4)辺野古:参院選2019:中日新聞(CHUNICHI Web)
 沖縄では二〇一四年十一月の知事選で、移設阻止を掲げた翁長雄志(おながたけし)氏が当選。同年十二月の衆院選では、県内四小選挙区で移設反対の候補が勝利した。一八年九月の知事選も、移設に反対する玉城デニー氏が当選。今年二月には二十三年ぶりの県民投票が行われ、投票者の72・15%が辺野古埋め立てに反対した。
 安倍晋三首相はその都度「選挙結果は真摯(しんし)に受け止めたい」と国会答弁したが、計画を見直すことなく、土砂投入などを進めてきた。
 沖縄振興予算については、一三年末に当時の仲井真弘多(なかいまひろかず)知事が辺野古埋め立てを承認したことを受け、首相は一四年一月の参院本会議で「二一年度まで毎年三千億円台の予算を確保する」と約束した。一四年度は直近十年で最多となる三千五百億円超が配分され、現在まで三千億円台は保たれている。
 ただ、一四年知事選で移設に反対する(ボーガス注:翁長)県政に代わった後は減額されることが多く、一八、一九両年度は三千十億円にまで減った。
 政府は、移設予定地の周辺地区「久辺(くべ)三区」に対し、名護市の頭越しで直接補助金を交付したことも。移設推進のために予算措置も駆使する姿勢が鮮明だ。

 「阿部氏が紹介した」東京以外にもいくつか「安倍政治ファクトチェック」を紹介しておきます。

辺野古移設で「飛行経路は海上に変わる」という安倍首相の発言は正しい?→不正確 実際には住宅地上空を飛行する可能性も〈参院選ファクトチェック〉 - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース
 【東京】安倍晋三首相は3日の日本記者クラブ主催の党首討論会で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設について「飛行経路も住宅の上空から海上に変わる」と述べ、危険性除去を強調した。だが辺野古新基地での経路は海上に限定されるわけではなく、防衛省普天間飛行場代替施設建設に伴う環境影響評価書は、気象などの要因から「航空機は図示された場周経路から外れることがある」と記しており、首相の発言は不正確だといえる。

年金支給額は増えたのか 三原じゅん子議員の演説をファクトチェック - 毎日新聞
 こだわりたい。三原じゅん子参院議員の「野党は愚か者」演説だ。参院選の争点でもある年金問題を巡り、気になる発言があった。
 「民主党政権の3年間、年金支給額は、何と引き下げられていた。安倍内閣は全く違います」。
 これは本当か? 演説のハイライトをファクトチェックすると、妙なことになってきた。

 落ちを言うと「安倍政権は全く違うどころか支給額を民主党政権よりも引き下げていた」なのですがこういう記事は無料にしてほしいですね。なんで有料記事にするのか。安倍への忖度か。いずれにせよこういう「嘘八百&誹謗」が安倍政権の重大な問題の訳です。


文化の話題
■映画「片桐直樹、降旗康男監督のこと」(児玉由紀恵)
(内容紹介)
 先日死去された片桐、降旗両氏への追悼記事。ネット上の記事紹介で代替。降旗氏は有名でしょうが、片桐氏は失礼ながら有名とは言いがたいかと思います。この人に聞きたい|マガジン9によれば片桐氏は、映画『戦争をしない国 日本』を作成した護憲派ドキュメンタリー映画監督で「映画人九条の会メンバー」だそうです(他にベトナム戦争を描いた『トンニャットベトナム』『映画監督・山本薩夫』などが代表作)。この会は確か、降旗氏や高畑勲氏、山田洋次氏もメンバーだと思います(山田以外は全て故人ですが)。

【片桐氏】

この人に聞きたい|マガジン9
■編集部
 現在、片桐さんが監督されたドキュメンタリー映画『戦争をしない国 日本』が、日本各地で上映されています。これは、「憲法と共に歩む」と題したシリーズの第1作だそうですが、そもそもそのシリーズの製作に至ったきっかけは何だったのですか?
■片桐
 僕は「映画人9条の会」の一員なんですが、ここのところの「9条を変えよう」という動きに対して、私たちも何かしたい、でも何ができるだろうかと、主に同じ世代の映画監督たちと話をする機会があったんです。その中で、「映画人である自分たちにできることは、やはり映画をつくることじゃないか」という声が上がったのがきっかけですね。
■編集部
 片桐さんの初監督作品も『裁かれる自衛隊』という、恵庭事件(注1)を題材にした、つまりは憲法9条と深く関わり合ってくる作品でした。
■片桐
 だから、今回の映画は、自分が生きてきた時代そのものをたどる、いわば一つの自分史みたいなものでもあると思います。
 戦後の教育で、なるほど民主主義とはこういうものか、平和憲法とはこういうものかと、非常に感銘を受けていました。だから、最近になって「憲法改悪の潮流が」とか言われても、まさか、戦争であれだけの苦しみを受けた末にやっとできた平和憲法をそんな簡単に変えてしまうなんて、日本人はそんなにバカじゃないだろうと思っていたんですよ。
■編集部
 ところが、実際には「改憲に賛成」という声は、非常に大きくなっている…。
■片桐
 そうなんです。ある新聞社の世論調査では、60%が「賛成」と答えていました。それを見て、本当に驚いた。同時に、僕ら戦争を知っている世代は、これまで何をやってきたんだろう、自分たちの体験をちゃんと若い世代に伝えることをしてこなかったんじゃないか、という思いにもとらわれました。そういった反省も、今回の映画には込めたつもりです。
■編集部
 こうした改憲への動きが強まった理由は、どういったことだとお考えですか?
■片桐
 一つは、やはり戦争体験者が少なくなっているということでしょうね。たとえば、60年安保がなぜあんなに国民的な運動になったかというと、やはり戦争体験者が国民の7~8割を占めていたからです。
■編集部
 一つには片桐さんがおっしゃったように、「戦争体験者の数が減っている」ということも影響しているのでしょうが、それだけではないようにも感じます。何かを訴えるために「集まって行動する」ということ自体に、興味を持たない人が多くなっている。
■片桐
 それはやはり、教育の問題が大きいでしょうね。1970年代の後半ごろ、ちょうど高度成長まっさかりのころからだと思うんだけど、優秀な人間はもっと優秀な教育を受けてエリートになっていくんだという「エリート教育」が始まった。戦後にある程度否定されていたはずの、人と人との格差が、はっきりと認められるようになったんです。そうした考え方の中では、何か困ったことを解決したり、望んだことを実現するには、わざわざ運動をして状況を変えるよりもお金があればいいんだ、という論理構造がつくられていく。そういう考え方に人間が変えられていったところがあったんじゃないかと思いますね。

【降旗氏】
「赤旗」創刊80周年によせて 発言/映画監督 降旗康男さん
きょうの潮流 2019年5月28日(火)
高倉健とのコンビで知られる映画監督の降旗康男氏が亡くなった - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)


■音楽「ドン・ジョヴァンニと「われ意志す」」(宮沢昭男)
(内容紹介)
 国立劇場で上演されたオペラ「ドン・ジョヴァンニ」の紹介。


■演劇「劇団朋友『ら・ら・ら』」(水村武)
(内容紹介)
 劇団朋友公演『ら・ら・ら』の紹介。

参考

劇団朋友「ら・ら・ら」を観て(その2) : せいじのブログ
 企画者で出演者でもある劇団朋友の西海真理が、次のように「ら・ら・ら」の見どころを語っている。
 “定年前仕事人間だった夫が、定年後はずーっと家にいる…。妻たちの生活は、がらっと変わってしまいます。そんなセカンドライフをどう過ごすのか?。合唱サークル「あんだんて」に集まってくる、熟年たちの悲喜劇。笑って笑って、ちょっとほろっとして。サークル「あんだんて」の合唱も聴いていただきます。女性には「あー、あるある、そうなのよねー!!!」と共感していただける部分が多いかも…?。男性は、「いやー…えーと…それは…」といたたまれなくなってしまう部分もあるかも・・・。でも、「定年になったって、こんなことにはならないよー」というご夫婦もいらっしゃるかもしれませんが・・・。とても楽しく、おもしろい作品ですので、いろいろなかたに観ていただけたらなぁと思っております。主婦のコーラスグループのお話なのですが、西田小夜子さんの本*22がもとになっておりまして・・・。キャッチコピーが「定年後、毎日ダンナが家にいる・・・。どうすりゃいいのセカンドライフ♪」という、ある年齢層の方には、どきっとするようなお話かもしれません。その年齢層より若い方でも、これを観て今から対策を考えたりできるかもしれません。実はこれ、再演なのですが、脚本の台詞なども初演と少し変わっています。”
インターネットに載っていた「ら・ら・ら」の感想の中から、わたしが特に共感したものを羅列的に記述すると・・・。
・とにかく楽しいお芝居でした。生のピアノ演奏もコーラスも素敵です。
原日出子さんはじめ、俳優さんが個性豊かに生き生きと演じられていた。熟年離婚した川本たつ子役(益海愛子さん)の演技力にも心を惹かれました。
・笑いあり涙ありで十分に楽しめました。速いテンポの会話でも全て伝わって良かったですが、結末(終わり方)には…どうでしょう?という疑問が残りました。100%夫が悪いわけではないし、女性の目線から見た終わり方かな?と思いました。男性としてはどうでしょうか・・・。
・リタイヤした夫が毎日家に居る。妻の本音は~さあたいへん!定年を迎えた夫たちの、妻たちの様子がよく描かれていた。コーラスグループ「あんだんて」の歌声がとてもよかったです。
・夫が定年になり毎日家にいて、しかもあまり趣味がなく、自分が食べたいものは妻の都合も考えずに注文する。まわりでもよくある話ですね・・・。

*1:著書『それぞれの「戦争論」:そこにいた人たち(1937・南京〜2004・イラク)』(2004年、唯学書房)、『名作の戦争論』(2008年、新日本出版社

*2:著書『NATOはどこへゆくか』(2000年、新日本新書)

*3:つうか「安倍が表敬訪問にいっただけ(下町ボブスレーは国家プロジェクトではない)」で安倍の写真を使うこと自体がおかしいですが。

*4:まあ下町ボブスレー自体が「明らかな失敗に終わりました(日本チームから採用されず、ジャマイカチームからも結局契約解除された)」からね。「中身のない代物をくだらないナショナリズムから持ち上げたが結局ぼろが出た=下町ボブスレー」なんでしょう。

*5:著書『どうする小学校英語』(共著、2019年、大月書店)など

*6:日本で一番受験者が多いのはこれでしょう。小生も中学時代に英検三級までとっていますが、それ以上はとっていません。

*7:著書『英詩のわかり方』(2007年、研究社)、『英語文章読本』(2010年、研究社)、『英語的思考を読む:英語文章読本II』(2014年、研究社)、『善意と悪意の英文学史』(2015年、東京大学出版会)、『史上最悪の英語政策』(2017年、ひつじ書房)など

*8:著書『教育の新しい探究』(2009年、新日本出版社)、『いじめ解決の政治学』(2013年、新日本出版社)、『教育委員会改革の展望』(2015年、新日本出版社)、『教育勅語を読んだことのないあなたへ:なぜ何度も話題になるのか』(共著、2017年、新日本出版社

*9:1897~1960年。片山、芦田内閣で商工相

*10:治安維持法改正案に反対したが、共産党員(当時は非合法のため非公式)の山本とは違い、あくまで反共という法の目的は認めた上で、拡大解釈による濫用を懸念する立場からのものだったので、日本共産党からは強い批判を受けていた。なお、1929年(昭和4年)、山本が暗殺された際には水谷も葬儀に参列している。

*11:1913~1986年。政治家、作家。1959年に京都市議会議員に当選(四期)、1975年に京都府議会議員となり蜷川虎三革新府政を支える立場として活動したが、三期目の1986年3月15日に急逝した。

*12:後に検事総長、小磯、鈴木内閣司法大臣を歴任

*13:1927~2013年。福岡県北九州市の地方紙『小倉タイムス』編集長(のち社長)。

*14:著書『山本宣治』(2009年、学習の友社)、『テロルの時代:山宣暗殺者黒田保久二とその黒幕』(2009年、群青社)、『魯迅の愛した内山書店』(2014年、かもがわ出版)、『戦争孤児を知っていますか?』(2015年、日本機関紙出版センター)、『戦争孤児:「駅の子」たちの思い』(2016年、新日本出版社)、『「明治150年」に学んではいけないこと』(2018年、日本機関紙出版センター)、『優生思想との決別:山本宣治と歴史に学ぶ』(2019年、群青社)など

*15:特高上がりの議員と言えば小生が知ってるのは奥野誠亮(戦前、鹿児島県特高課長。戦後、田中内閣文相、竹下内閣国土庁長官など歴任)ですね。

*16:戦前、警視庁特高課長、千葉県知事、東京市長など歴任。戦後、鳩山内閣北海道開発庁長官、石橋、岸内閣国家公安委員長(行政管理庁長官兼務)を歴任。

*17:1880~1955年。早稲田大学教授(政治学)。戦前、労働農民党委員長、衆院議員(1930~1932年)。戦後は社会党共産党の統一候補として参院議員を一期(1950~1955年)務めた(ウィキペディア「大山郁夫」参照)。

*18:著書『障害者と戦争』(編著、1987年、新日本新書)、『日本帝国陸軍精神障害兵士』(編著、2006年、不二出版)、『ハンセン病児問題史研究』(編著、2016年、新日本出版社)、『太平洋戦争下の全国の障害児学校:被害と翼賛』(2018年、新日本出版社

*19:著書『「資本論」の教室』(1997年、新日本出版社)、『「資本論」で読み解く現代経済のテーマ』(2004年、新日本出版社)、『マルクスに立ちケインズを知る:国民経済計算の世界と「資本論」』(2009年、新日本出版社)、『マルクスに立ちミクロ経済学を知る』(2013年、新日本出版社)、『市場原理と社会主義への展望』、『マルクス「再生産表式論」の魅力と可能性:「資本論」第二部第三篇を読み解く』(以上、2014年、本の泉社)、『搾取競争が、格差を広げ、地球環境を破壊する:『資本論』にもとづく現代搾取社会論』(2016年、本の泉社)、『「空想から科学へ」と資本主義の基本矛盾』(2017年、本の泉社)など

*20:正当な理由なら変えていいのですが、批判派が指摘するように「とにかくどんな手を使ってもいいから600億円を達成しろ」と安倍に言われて、「安倍のメンツ保持だけでかえた」というとんでもない疑惑が勿論あるわけです。正直、安倍については「モリカケが一番有名」ですがこんな不正話ばかりです。

*21:この不正も「安倍政権からの直接の指示」というとんでもない疑惑が勿論あるわけです。正直、安倍についてはこんな不正話ばかりです。

*22:中日新聞東京新聞)にコラム『妻と夫の定年塾』を連載。著書『定年夫は、なぜこんなに「じゃま」なのか? :「大量定年時代」の夫婦学』(2004年、ソニーマガジンズ)、『定年漂流』(2005年、小学館文庫)、『妻と夫の定年塾1~6』(2007年、2009年、2011年、2013年、2015年、2018年、中日新聞社)など