今日の産経ニュース(2019年8月16日分)

N国、次期衆院選全選挙区で候補擁立へ 上杉幹事長「政権交代目指す」 - 産経ニュース
 上杉には呆れて二の句が継げませんね。最大野党でもない政党がどうやって政権交代を目指すのか。「これから最大野党に躍進します」というなら正気ではありません。一方でN国と立憲民主、国民民主、共産、社民が共闘するわけもない。


【正論・令和の8月に思う】国家の基本問題から逃げ回るな 杏林大学名誉教授・田久保忠衛 - 産経ニュース
 「国家の基本問題」といった場合、小生だとそれには「福祉」「科学技術立国」などが入ってきますが、産経文化人だと「軍事大国化」「戦前礼賛(靖国美化など)」などという極右な話しか出てこないから心底呆れます。
 科学技術振興や福祉を軽視するウヨ連中の何が「国家の基本問題」なのか。福祉はともかく科学技術立国という面ではよほど中国・習近平政権のほうがウヨ連中よりまともです。ちゃんと科学技術振興予算を付けてるわけですから。


【主張】露の新兵器爆発 危うい核軍拡を即やめよ - 産経ニュース
【産経抄】8月16日 - 産経ニュース
 核開発なら米国もしていますが、ロシアや北朝鮮など敵視した国しか批判しないデタラメさが産経らしい。しかも「日本も核武装すべきだ」など言うのだから度しがたい馬鹿さです。

【産経抄】8月16日 - 産経ニュース
 旧ソ連から受け継いだ世界に誇る科学技術を、軍事以外の分野に活用して、国民の生活を豊かにする。あと5年も任期を残すプーチン氏には、残念ながらこんな発想はまったくないようだ。

 「日本人の国民生活」に全く興味のない「自衛隊軍拡バカ」の分際で産経もよくもこんなことが言えたもんです。なお、軍事技術の民生転用というのは一般的にいって楽なことではありません(軍事技術は別に民生転用を目的としてないので)。一番手っ取り早い軍事技術の利用法、それは武器の輸出による外貨稼ぎでしょう。そして中国が「軍事技術開発」とは別途「その他の科学技術予算を付けてる」のも軍事技術の民生転用には限界があるからです。


【主張】終戦74年 英霊たちに静かな祈りを - 産経ニュース
 靖国戦没者追悼施設と強弁する産経ですが
1)戦没者でも彰義隊、白虎隊、「箱館戦争で戦死した土方歳三」「西南戦争で自決した西郷隆盛*1」などいわゆる賊軍の兵士は祀られていない
2)「安政の大獄で処刑された橋本左内吉田松陰」「桜田門外の変で井伊大老を暗殺し、現場で死亡した、あるいは後に死刑となった水戸浪士」「政治的に対立していた重臣吉田東洋暗殺の責任を土佐藩に追及され死刑となった土佐勤王党首領・武市半平太」「何者か*2に暗殺された坂本龍馬中岡慎太郎」「寺田屋事件薩摩藩が有馬ら過激派を粛清した事件)で死亡した有馬新七」「不平士族に暗殺された明治新政府の高官・大村益次郎*3」「東京裁判で死刑になった板垣征四郎*4陸軍大臣東条英機*5元首相、広田*6弘毅元首相など」「東京裁判中に病死した松岡洋右*7元外相、永野修身*8軍令部総長」「東京裁判終身刑判決を受け服役中に獄中で病死*9した梅津美治郎*10参謀総長小磯国昭*11元首相、平沼騏一郎*12元首相」など戦没者でない人間も祀られているのだから、明らかに靖国戦没者追悼施設ではありません(ウィキペディア靖国神社」参照)。
 なお、こうした「戦没者でない合祀者」については、吉原康和『靖国神社と幕末維新の祭神たち』(2014年、吉川弘文館)という著書があるようです。
 「お国のために死んだ英雄」と認定された人間が祀られる「英雄顕彰施設」が靖国です。だから「英雄でない白虎隊」は靖国に祀られないし、「英雄である武市半平太」は戦没者でなくても祀られる。
 そして英雄顕彰(合祀)は追悼とは違います。「水戸浪士を合祀し英雄扱いする=水戸浪士の行った井伊大老暗殺を正義と認める」「武市を合祀し英雄扱いする=武市の行った吉田東洋暗殺を正義と認める」「東条英機を合祀し英雄扱いする=東条が首相として開戦した太平洋戦争を正義と認める」と言う話です。「暗殺(井伊大老吉田東洋の殺害)や侵略戦争(太平洋戦争)を国が正義と認めていいのか」と言う問題は今更言うまでもないでしょう。
 こうしたことを知らない人間も多いようですが「靖国問題の本質」を知るために是非知ってほしいですね。これを知らないで靖国問題の議論など出来はしません。
 靖国はあえて言えば「錦繍山太陽宮殿(北朝鮮建国の父・金日成*13の遺体を安置)」「ホー・チ・ミン廟(共産国としてのベトナム建国の父ホー・チ・ミン*14の遺体を安置)」「ホメイニ廟(イスラム主義国家としてのイラン建国の父ホメイニの遺体を安置)」「毛主席紀念堂(共産国としての中国建国の父・毛沢東*15の遺体を安置)」「レーニン廟(ソ連建国の父レーニンの遺体を安置、ソ連崩壊後廃止)」*16に性質の近い施設です。これらのいわゆる「霊廟」も単なる追悼施設ではない。
 そして「繰り返しますが」「テロリスト(吉田東洋を暗殺した武市半平太、井伊大老を暗殺した水戸浪士)」「戦争犯罪者(東条英機元首相ら)」を英雄視していいのかという問題もあるわけです。
 靖国関係者が「靖国戦没者追悼施設だ」と言い張るなら最低限「戦没者ならば彰義隊、白虎隊のような賊軍兵士でも祀る」「武市半平太、水戸浪士、東条英機のような戦没者でない人間は祀らない」事が必要でしょう。まあそんなことが今更靖国に出来るとは思いませんし、「英雄顕彰施設」というカラーが既に長きにわたってついているが故に今更そんなことを今更しても「もう遅い」と思いますが。

*1:参議、陸軍大将、近衛都督を歴任

*2:ただし、京都見廻組佐々木只三郎による殺害が最も有力とされる。佐々木は清川八郎殺害の実行犯としても知られる(ウィキペディア「清川八郎」「坂本龍馬」「佐々木只三郎」参照)。

*3:陸軍大輔をつとめ「陸軍建設の父」と評価されるが故に「軍人死者」が祀られる靖国に合祀されました。暗殺された明治新政府の高官は他に「大久保利通(内務卿。大村同様、不平士族による暗殺)」「伊藤博文(初代首相、貴族院議長、枢密院議長、韓国統監など歴任。安重根による暗殺)」がいますが、彼らは大村と違い、靖国に祀られてはいません。暗殺されれば当然に祀られるわけではないわけです。

*4:関東軍高級参謀として満州事変を実行。その後も、関東軍参謀長、第1次近衛、平沼内閣陸軍大臣朝鮮軍司令官、第7方面軍(シンガポール)司令官など歴任

*5:関東憲兵隊司令官、関東軍参謀長、陸軍次官、第二次、第三次近衛内閣陸軍大臣、首相など歴任

*6:斎藤、岡田内閣外相、首相、第1次近衛内閣外相など歴任

*7:満鉄総裁、第二次近衛内閣外相など歴任

*8:広田内閣海軍大臣軍令部総長(第二次、第三次近衛、東条内閣)など歴任

*9:終身刑判決を受けても後に仮釈放され獄中で死ななかった荒木貞夫陸軍大臣(犬養内閣)、賀屋興宣元蔵相(第1次近衛、東条内閣)(仮釈放後、自民党政調会長、池田内閣法相など歴任)、木戸幸一内大臣嶋田繁太郎海軍大臣(東条内閣)、畑俊六元陸軍大臣(阿部、米内内閣)などは靖国に祀られていません。

*10:関東軍司令官、参謀総長など歴任

*11:陸軍次官、関東軍参謀長、朝鮮軍司令官、平沼、米内内閣拓務大臣、朝鮮総督、首相など歴任

*12:検事総長大審院長、第2次山本内閣司法大臣、枢密院議長、首相など歴任

*13:朝鮮労働党総書記、国家主席朝鮮人民軍最高司令官

*14:ベトナム労働党主席、北ベトナム国家主席

*15:中国共産党主席

*16:なお、ホーチミンとホメイニは生前、廟を作ることには否定的だったとされるが、死後、その意思は無視されたわけです。