今日の産経ニュース(2020年1月18日分)

共産党大会ルポ 一番人気は「ふかし芋」 党員と警官が対右翼で“団結” - 産経ニュース
 「団結」も何も街宣右翼が無法な妨害活動をすれば警察が「被害者(今回は共産党)の側にたつ」のは当たり前の話です。


世田谷一家殺害 遺族が現場住宅室内を初公開 - 産経ニュース

 殺害された妻の泰子さん=当時(41)=の姉、入江杏さん(62)はこの日、現場住宅を訪問し一家の遺品を改めて確認。4人が生きた証しを伝えるため、報道機関への公開に踏み切ったという。

 失礼ながら、今更公開してもあまり意味はないでしょう。

 警視庁は建物内で犯人の指紋やDNA型など必要な証拠を保全、現場の状況の捜査書類化と3D映像による記録化も実施したとし、昨年3月、遺族側に取り壊しを正式に打診。関係者によると、遺族には同12月に改めて、取り壊し延期の要請を解除するとの通知があった。
 みきおさんの母、節子さん(88)は同月30日、一家4人が眠る埼玉県新座市の霊園で墓参りをした際、「犯人を逮捕しない限り事件の風化が早まるのではと思い、まだ取り壊しの判断がつきかねている」と述べていた。入江さんの代理人弁護士は「取り壊しのタイミングは遺族の意向を第一にすべきだ」としている。

 正直、「平成12年12月(今から約21年前)」に発生したこの事件が解決する可能性は低いですし、今更「取り壊さなければ風化しない」というもんでもないでしょう。とはいえ、「3D映像による記録化」などを実施しないと遺族も納得してくれないと言うことなんでしょう。仮に「遺族の同意がなくても取り壊せる」としてもよほどの理由(即時、取り壊さないと事故が起こる危険性が極めて高いなど)がない限り遺族の反感を確実に買うそうした行為は警察もしたくないでしょう。


【偏西風】赤穂浪士を知らない若者たち 文化喪失、橋渡し役が必要だ 亀岡典子 - 産経ニュース
 まあ年配の方にとっては「川中島合戦」「真田十勇士(猿飛佐助、霧隠才蔵三好清海入道、三好伊左入道、穴山小助由利鎌之助筧十蔵海野六郎根津甚八望月六郎)」「水戸黄門」「忠臣蔵赤穂浪士)」「遠山の金さん」「大岡越前」「新選組」などといった「時代劇や講談でおなじみの出来事やヒーローたち」を最近の若者が必ずしも知ってはいないことは「ショック」かもしれませんが大騒ぎすることでもないでしょう。好きな人間は知ってるし、そうでない人間は知らないだけの話です。


【昭和天皇の87年】これぞ戦争犯罪!非道な無差別爆撃 ついに皇居も炎上した - 産経ニュース
 今回は米軍の空襲を「非道な戦争犯罪」と悪口するだけでたいした中身はありません。
 米軍の空襲が非道な行為であること(戦争犯罪と見なしても問題ないと思うこと)には俺も異論はありません。
 しかし「空襲の責任者の一人カーチス・ルメイが、航空自衛隊創設の功績で勲一等旭日大綬章を受けたことを批判しなかった産経」「南京事件慰安婦など日本の戦争犯罪を『事実無根』などとデマで居直る産経」がこんなことを言ったところで説得力は皆無です(また無差別空襲なら日本が中国重慶で、日本の同盟国ドイツがゲルニカでやっており、日本は一方的に米国の無差別空襲を批判できる立場にありません)。
 またあくまでも「米軍の行為を批判した上での話」ですが、ここまで被害が出れば、「本当に昭和天皇が国民の命を大事に思っているならば」早急に降伏して当然でしょう。しかし、昭和天皇は保身(国体護持)のため「降伏を遅らせ」いたずらに犠牲を増やしたわけです。もちろん昭和天皇に甘い産経らウヨはそうした批判を絶対にしませんが。

参考

カーチス・ルメイ(1906~1990年、ウィキペディア参照)
 1964年12月7日、勲一等旭日大綬章を授与された。理由は航空自衛隊育成に功績があったためである。推薦は佐藤内閣の小泉純也*1防衛庁長官椎名悦三郎*2外相の連名で行われた。ルメイが東京大空襲や原爆投下を行った部隊の指揮官だったことから授与に対し批判も大きく、日本社会党原水爆禁止団体、被爆者などから国民感情として納得できないという声が上がった。叙勲は不適切ではないかという質問に佐藤栄作*3首相は「今はアメリカと友好関係にあり、功績があるならば過去は過去として功に報いるのが当然、大国の民とはいつまでも過去にとらわれず今後の関係、功績を考えて処置していくべきもの」と答弁している。


【昭和天皇の87年】名将、栗林忠道の力戦 硫黄島の浜辺は米兵の鮮血で染まった - 産経ニュース

 帝国陸軍屈指の名将である栗林は、従来の水際作戦を放棄し、敵を内陸部に誘い込む戦術をとっていた(※1)

 もちろん一般的には「水際作戦」がベストです。上陸をみすみす許すことは出来れば避けたい。今の日本の自衛隊だって「水際で撃退」という方針の訳です。
 しかし当時の日米の軍事力には差がありすぎて、とても水際で撃退するなんてことはできません。それをやろうとすれば水際で日本軍が壊滅状態になるだけです。
 そこで「硫黄島住民を疎開させた」上で、「内陸部に誘い込んでゲリラ戦」になるわけですが、こんなことを考えること自体、負け戦でしかありません。しかもそうしたところで勝てる保証もない(実際負けましたが)。栗林も「勝とうとした」というよりは「敗戦を遅らせようとした」と見るべきでしょうね。

 日本軍は9割以上の1万9000人が戦死、1000人が負傷して捕虜となったが、米軍も6800人が戦死、2万2000人が負傷。勝者の損害が敗者を上回る、異例の展開となった(※2)。

 「負傷者もコミで数えれば上回ってる」とはいえ死者は明らかに日本が上回っています。こんなことを産経が書くのは負け惜しみでしかない。

 驚異的な粘りをみせる日本兵は、硫黄島が奪われれば本土が危ないと知っていた。

 お涙頂戴に走る産経ですが、もはや負け戦なのだから、昭和天皇が降伏を決意すれば犠牲などなかった。しかし「国体護持(天皇制存続)」にこだわる昭和天皇は徹底的に降伏を遅らせました。そしてそれを「国体護持にこだわるのは当然だ、無条件降伏を要求した米国が悪い」として昭和天皇をかばう産経です。

 この激戦が米軍および米国民に与えた衝撃は計り知れないだろう。あまりに大きな犠牲に驚愕し、米紙に「アメリカの若者をこれ以上殺させるな」「最高指揮官を更迭せよ」といった投書が相次いだほどだ。このため米軍は戦略の見直しを迫られるようになる。
 その頃、空と海の戦いでも、日本兵の決死の反撃が米軍の度肝を抜いていた

 といえるかどうかは疑問ですね。最終的には「天皇制存続」「訴追どころか昭和天皇退位も求めない」という「昭和天皇を政治利用する形」で米国は対日政策を決定しましたが、結局「無条件降伏要求」は変わらなかったからです。
 それにしても「負け戦なのに降伏せずいたずらに犠牲を増やす昭和天皇」を批判するどころか、「負け戦でも奮闘する栗林らに感動した」とは産経も呆れたバカです。
 なお、ここで産経は重要なことを書いています(多分意識してないでしょうが)。
 太平洋戦争当時ですら

 「アメリカの若者をこれ以上殺させるな」「最高指揮官を更迭せよ」といった投書が相次いだ

のなら今は「米兵の戦死」についてもっとそう言う類の投書が相次ぐだろうと言うことです。スレイマニの暗殺に無人飛行機が使われたなんてのもその影響です。米国もどこの国も国内の批判が怖いので「できる限り戦死者は出したくない」。
 そこで「戦争のハードルは現在高い(例えば北朝鮮やイラン相手に全面戦争など米国はしない)」わけですが、そのハードルを低くする危険性があるのが「軍事小国では開発が困難だが、軍事大国なら開発が容易な無人兵器(軍事大国が一方的に軍事小国をボコボコにすることになりかねない)」であり、だからこそ「無人兵器開発の規制論」も出てくるわけです。


【産経抄】1月18日 - 産経ニュース

・12日に台北市で蔡氏と面会した岸信夫元外務副大臣
・17日には、超党派日華議員懇談会古屋圭司*4会長らも蔡氏と面会し、岸氏の実兄である安倍晋三首相が自民党総裁として祝意を伝える親書を手渡した。

 とはいえ「安倍*5本人」や「二階*6幹事長、岸田*7政調会長」レベルの大物は訪台して蔡英文と面会しないわけで、蔡とて「安倍が反中国ウヨ政治家として最低限度のリップサービスをしたにすぎないこと」「こうした自民の態度は安倍が首相を辞めればおそらく消えること」「いずれにせよ習主席は今年春訪日すること」は十分理解してるでしょう。
 それにしても日韓議連会長が額賀福志郎*8財務相、日通議連会長が林芳正*9元防衛相であるのにくらべ「日華議連会長が古屋」とはまあ随分と軽量です。
 ウィキペディア日華議員懇談会」では歴代会長として灘尾弘吉*10元文相、山中貞則*11通産相の名前が挙がっていますが古屋はそれほどの大物ではないでしょう。

 中国は、こうしたささやかな交流すら気に入らない。

 おいおいですね。「日本国内でリップサービス、社交儀礼的な祝意表明」ならまだしも、わざわざ訪台までして「首相の親書」を手渡すことのどこが「ささやかな交流」なのか。
 「蔡英文再選だからそうしたのではないか。韓国瑜当選ならそこまでしなかったのではないか」と中国が反発するのは当然です。

 中国に屈しない姿勢を見せてきた蔡氏は新年の談話で、香港情勢悪化を受け、中国の習近平国家主席が台湾統一の方式として掲げる「一国二制度」を厳しく批判した。
 「信用はすでに破産」「民主主義と専制は同時に同じ国家に存在できない」。

 蔡英文って本当にクズだなと思うとともにこんなクズを再選した台湾住民にも呆れます。
 そもそも習氏の言う「一国二制度」とは「台湾統一において台湾住民の意思を無視しません」程度の話でしかありません。現実の問題として浮上してるわけではない。である以上、「習氏が何を言おうと私個人は統一の意思は当面ありません(蔡)」程度で軽く流せば済む話であって、蔡のように悪口雑言する必要も乏しい。にもかかわらず悪口したのは「総統としての実績に乏しい蔡」が「反中国感情」を煽ることで総統選勝利を目指したからでしょう。その計算は残念ながら「成功した」のでしょうが、およそまともな政治家のやることではない。合理主義ではなく、ポピュリズムに訴えて政治を行うこと自体邪道ですし、中国との関係をそこまで悪くしてどうするのかという話です。経済的利益(中国との貿易)を度外視するなどまともな政治家のすることではない。

 蔡氏が総統選で史上最多票を得たのも、中国の香港やウイグルなどでの専横に、有権者が「明日はわが身」と恐怖したことが大きい。

 政治情勢が全然違うので「明日は我が身」なんてことはありえません。そもそも蔡に比べれば「融和的」とはいえ中国国民党は中国政府の傀儡ではない。台湾住民もいずれ「蔡再選は愚かな選択だった」と後悔する日が来るのではないか。

 狭量な圧力路線は、世界の不信と警戒感を招くばかりで逆効果だと、中国が気づく日はいつか来るだろうか。

 むしろ「逆効果」に該当するのは産経の「慰安婦違法性否定論」でしょう。それはかえって米国などでの「慰安婦銅像設置」などの動きを激化しています。そして産経が「それに気づいて改めること」はないわけです。


原発再稼働問題の争点化なく…茨城・東海村議選19日投開票(1/2ページ) - 産経ニュース
 東海村において原発が完全に「主要産業になってしまった」ということですね。脱原発派としては残念ですが、一方で「お前らが食えなくなっても脱原発を受け入れろ」つうわけにもいかないので「原発に未来がないこと」を訴える一方で「原発に変わる産業」をどう構築していくかを考えていく必要があります。

*1:池田、佐藤内閣で防衛庁長官小泉純一郎元首相の父。

*2:戦前、岸信介・東条内閣商工省の下で商工次官。戦後、岸の誘いで政界入り。岸内閣官房長官、池田内閣通産相、外相、佐藤内閣外相、通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、総務会長(佐藤総裁時代)、副総裁(田中総裁時代)などを歴任

*3:運輸次官から政界入り。自由党幹事長(吉田総裁時代)、吉田内閣郵政相、建設相、岸内閣蔵相、自民党総務会長(岸総裁時代)、池田内閣通産相科学技術庁長官などを経て首相

*4:第二次安倍政権で国家公安委員長

*5:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*6:小渕、森内閣運輸相、小泉、福田、麻生内閣経産相自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)を経て幹事長

*7:第一次安倍、福田内閣沖縄・北方等担当相、第二次、第三次安倍内閣外相を経て自民党政調会長

*8:小渕内閣防衛庁長官森内閣経済企画庁長官、自民党政調会長(小泉総裁時代)、小泉内閣防衛庁長官、第一次安倍、福田内閣財務相など歴任

*9:福田内閣防衛相、麻生内閣経済財政担当相、第三次安倍内閣農水相、第四次安倍内閣文科相など歴任

*10:石橋、岸、池田、佐藤内閣文相、池田内閣厚生相、衆院議長など歴任

*11:佐藤内閣環境庁長官、田中内閣防衛庁長官自民党政調会長(田中総裁時代)、中曽根内閣通産相など歴任