文科省、教科書調査官3人を採用 検定の際に意見書作成 | 共同通信
文部科学省は(ボーガス注:2020年4月)1日付で教科書調査官3人を新規採用した。定年後の再任用の任期満了や転職に伴う補充という。
新規採用されたのは、早稲田大などで非常勤講師を務めた国語担当の平藤幸(ひらふじ・さち)氏(44)、岡山大などで非常勤講師を務めた地理歴史(日本史)担当の黒沢良(くろさわ・りょう)氏(54)、明治大で非常勤講師を務めた公民(政治・経済)担当の高見純氏(36)。
調査官は検定の際、申請教科書を読み、検定意見の基となる「調査意見書」を作成する。
約4ヶ月前の少し古い記事です。
つうことは「社会科教科書担当」として、今後、黒沢氏や高見氏はつくる会や育鵬社と関わることもあるんでしょうか?
ググって見つけた「平家物語」三十講 | 横浜教室 | 朝日カルチャーセンターや「平家物語」を読む | 平藤 幸 | [公開講座] 早稲田大学エクステンションセンターなどによれば平藤氏の研究テーマは「平家物語」です。
ググったところ、黒沢氏には『清瀬一郎*1』(1994年、駿河台出版社)、『内務省の政治史』(2013年、藤原書店)という著書があります。
なお、黒沢良 - Wikipedia(くろさわ・りょう:声優)という人物はもちろん同姓同名の別人です(まあ声優の方は勿論芸名で、本名じゃありませんが)。
ググって見つけた高見 純 (TAKAMI JUN) - マイポータル - researchmapによれば高見氏の研究テーマは「中近世ヴェネツィア」です。
【参考:黒沢良 - Wikipedia】
黒沢良 - Wikipedia
1930~2011年。黒沢は芸名で本名は池田弘典(いけだ・ひろのり)。
新東宝ニューフェイス(高島忠夫と同期)、俳優座養成所(3期生、愛川欽也と同期)などを経て、NHK東京放送劇団(4期生)に入る。
NHKのラジオドラマ『笛吹童子』(デビュー作)、『紅孔雀』などに主演した後フリーとなり、声優として活躍。1960年代から1970年代にかけて、『サンセット77』、『FBIアメリカ連邦警察』(いずれもTBSで放送)の主演俳優エフレム・ジンバリスト・ジュニアをはじめ当時民放各局で人気を集めていた海外TVドラマシリーズの主役たちを数多く吹き替えた。 洋画ではゲイリー・クーパー*2の声を、ほぼ全作品で吹き替えている。 世界36か国で放送され一世を風靡したカナダの料理バラエティー番組『世界の料理ショー』(テレビ東京で放送)では、ホスト役の料理研究家グラハム・カーを軽妙なアドリブやジョークを交えて吹き替え、人気を博した。
テレビ東京『大江戸捜査網』、日本テレビ『長七郎江戸日記』などの連続テレビ時代劇やTVCMのナレーターとしても活躍。晩年は体調不良もあってナレーションの仕事に専念。BS日テレの長寿番組「BS日本・こころの歌」などでナレーターを務めた。
◆エピソード
・和歌山市出身で、1945年7月9日の和歌山大空襲で被災した経験があり、テレビ和歌山で制作・放送されたドキュメンタリー番組『語り継ぐ 我が心の和歌山大空襲』(放送:2002年7月9日)に出演し、ナレーターを務めると共に、自らの空襲体験を語った。
asahi.com(朝日新聞社):なつかしいなあ、スティーブ! - 小原篤のアニマゲ丼 - 映画・音楽・芸能
・「うわ、これはなつかしい!」と思わず声をあげてしまう商品に出会いました。「世界の料理ショーDVD-BOX」です。
・料理研究家グラハム・カーの軽妙なおしゃべりと世界の料理。日本では74年から放映されていたそうですが、小学生の私が見ていたのは再放送かもしれません。確か土曜の昼過ぎ、東京12チャンネル(当時)でやっていたのを、ゲラゲラ笑いながら夢中になって見ていた記憶が…。
・「今日は皆様にチューリヒのレストランのゴキゲンな肉料理をご紹介しますよ。何の肉だって? いけね、聞いてこなかったよ!」
吹き替えは黒沢良さん。
・珠玉の吹き替え芸です。南仏のリゾートやニューオリンズの下町など世界各地にカー夫妻が赴き当地の料理を食べるロケ映像、そして笑えるんだか笑えないんだか微妙なカーの小話をはさみ、それから料理、最後は観客の1人をテーブルに招いて試食。これが毎回のパターンです。
・「なんだスティーブ? あと30秒しかない? じゃあタマネギを炒めて、へへへ、ちょっと休憩」。
グラスにワインを注いでCMタイム。そう、スティーブですよスティーブ! この名前を聞いて私の「なつかしさ」度はMAX。決して画面に出てこない、ホントにいるんだか分からないこのスタッフに向けたおしゃべりが楽しいのです。
「どーしよう、スティーブ! ソースがちょっとコゲてるよ。『気にするな』? 分かってるねオマエ」
TBSブリタニカサウンドミステリー「シャーロック・ホームズ」シリーズ - toroneiのブログ*3
小さい頃に沢山聞いたせいで、自分にとってホームズは黒沢良、ワトソンは羽佐間道夫でしかないです。
まあ俺的にはNHKドラマシャーロック・ホームズの冒険 (テレビドラマ) - Wikipediaの影響で「ホームズは露口茂 - Wikipedia」「ワトソンは長門裕之 - Wikipedia(または福田豊土 - Wikipedia)」ですが。
【参考:黒沢『内務省の政治史』】
黒澤良『内務省の政治史』 - 西東京日記 IN はてな
「日本は明治以来の官僚国家」とか「明治以来の官僚内閣制」といった言葉をよく耳にします。
では、それほどまでに力を持った官僚はどの省にいたのか?。まあ、出てくるのは大蔵省か内務省*4でしょう。特に戦前の内務省は国内の内政を一手に取り仕切り、警察も支配下においていたわけですから、そこの官僚こそが戦前の日本を牛耳っていた集団の一つと見ていいでしょう
民主的統制を受けなかった軍と内務省が、昭和になると政党などの民主的勢力を抑えこんで国家主義的な国づくりを進めていった。なるほど、これはわかりやすい、明解なストーリーです。
ところが、それは違う、というのがこの本。
内務省は、むしろ政党内閣のもとでその勢力を伸ばし、政党の没落とともにその力を失っていったというのです。
どうしても、陸軍から内務省に勢力を張った山県有朋*5の山県閥の印象があって、なんとなく内務省と軍がつるんでいるようなイメージがありますが、昭和期になるとそのイメージは通用しなくなります。
例えば、1933年に始まり、1930年代後半の重要な国策決定を担った五相会議に内務大臣は入っていません(内閣総理大臣・陸軍大臣・海軍大臣・大蔵大臣・外務大臣の5閣僚)。以前は、「副総理格」であった内務大臣の地位は低下し、内務省自体の地位もずいぶんと低下しているのです。
この本では、そんな昭和期の内務省の地位の低下と、その中での生き残り策を模索の様子を描き出しています。
目次は以下のとおり。序 章:内務省と人治型集権制
第一章:内務省と政党政治
第二章:挙国一致内閣期の内務省
第三章:「新官僚」再考
第四章:内務省と戦時体制
終 章:内務省解体と人治型集権制の変容
補 論:昭和期内務省関係資料についてまず、第一章では、政党内閣が選挙に勝つために内務省を重視したことと、それによって内務省の「政党化」が進んだことが説明されています。
内務省は政党の党勢拡張に直結する選挙と警察、地方行政を所管しており、特に普通選挙導入後の政党は内務省を「使って」選挙に勝とうとします。特に初めて普選が実施された田中義一*6内閣では内務大臣にかなりアクの強い人物である司法省出身の鈴木喜三郎*7が就任し、同じ司法省出身の山岡万之助*8を起用するなど、今までの慣例を破る人事を行います。
これは選挙対策の人事なわけですが、今までの慣例を大きく破った人事は、内務省のなかに「反政友会」グループを生み出し、そのグループは民政党へ接近していくことになります。この状況を著者は次のようにまとめています。選挙と地方行政を所管したことで、内務省は政治と行政が激しくせめぎあう、その要に位置する官庁となった。とりわけ政党内閣期には、与野党逆転を伴う政権交代を機に政友会と民政党それぞれが人事権を駆使して内務官僚、ひいては内務省の争奪戦を繰り広げていく。正統派選挙での勝利をめざしてあらゆる資源を動員しようとし、選挙が政治を支配する基本原則となった。行政機構の構成や官僚機構の運用も、選挙での勝利を至上命題とする政党の意向に従って秩序づけられた。内務省は、政党から重視され、政党を基礎とした内閣と密接に結び付くことによって有力官庁たりえたのである。(67p)
続いて第二章。しかし、政党と深く結びついた内務省は政党政治の危機とともにその基盤が揺らぐことになります。
五・一五事件によって犬養毅*9内閣が倒れると、政党の選挙干渉に対する批判が強まり、内務省から独立した司法警察の設置などが議題に上がるようになります。これに対して内務省は「選挙粛正運動」を掲げ、政党からの距離をとろうとします。ただ、「距離をとる」といっても、あくまでも「反政党」ではなく、政党の影響力排除を目的としたものでした。
この結果、1936年2月20日に行われた第十九回総選挙では「内務省の選挙運営は全体として公正が維持されたとの評価」(110p)を得たとのことです。ところが、この「政党内閣復活」の機運は、この6日後に起こった二・二六事件*10によって吹き飛んでしまいます。
この第二章を著者は次のように締めくくっています。二・二六事件後に政党内閣復活の可能性が著しく減じたことで、「政治」と「行政」の要に位置したことの重要性もまた損なわれてしまう。これに選挙粛正運動を通して自らが「政治的」存在から「事務的」存在へと転じたことをアピールした効果が加算され、内務省が地方官人事を独占する状況に不満を蓄積させてきた文部省や農林省、商工省が、府県人事の改革を唱え始める。内務省が「内政に於ける総務省」の地位を占める時代の終わりの始まりであった。(112p)
第三章の「「新官僚*11」再考」は、内務省における「新官僚」の位置づけと動きを追った章。内務省では「非主流派」から「新官僚」的な動きがあったのに対して、「主流派」は、陸軍との連携や新体制運動と距離をとることになります。
第四章では、戦時体制の到来とともに内務省の権限がますます弱くなっていく様子が記されています。戦時の到来は、内務省行政を縮小させる厚生省の新設をうながし、また内務省の総務省的行政機能と抵触する内閣機能強化を重要な政治課題へと押し上げた。さらには戦争勃発に伴う軍需物資の輸入をまかなうために、不要・不急の資金や物資の需要を抑制する直接的な経済統制の導入が不可欠となった。
(中略)
各省が戦時行政遂行の必要性を掲げて独自の地方出先機関を増加・拡充する傾向を強め、内務省の地方行政ラインからの各省行政の離脱が加速したことで、総合出先機関としての地方長官の役割は縮小を余儀なくされる。「政治」と「行政」に引き続き、「立案」と「実施」の要としての内務省の機能も損なわれていくのである。(165ー166p)このあたりの各省の独自の地方出先機関の展開については本書を読んでほしいのですが、この結果、1941年の秋には「内務省解体論」まで出てくることになります。
日米交渉に注力していた第3次近衛内閣は、同時に内閣への権限集中をねらい、内務省を解体して「地方行政および警察を担当する「内務局」を内閣に設置する」(200p)案を用意していました(ここでは同時に大蔵省を解体して「内閣予算局」をつくることになっていた)。
内務省は戦後、その強大すぎる権限のゆえに(ボーガス注:GHQによって)解体された、ということになっていますが、戦争が始まる前にすでに「内務省解体論」は議題として上がっていたのです。それも「強すぎるがゆえ」というよりは、「その機能がそこなわれたがゆえ」に。
この本では、終章で簡単に戦後の内務省解体について触れていますが、ここまで読んでくると内務省解体が「必然」であったことがわかります。
このように内務省や日本の官僚制に関する通俗的なイメージを覆してくれる本です。文章はかなり硬くてやや読みにくいところはあるのですが、日本の官庁や官僚、そして昭和期の政治を考えていく上で新たな視点を付け加えてくれる有益な本だと思います。
◆つくる会のツイート
新しい歴史教科書をつくる会
・文科省「不正検定」を正す会が週刊誌『アサヒ芸能』<「北朝鮮スパイリスト」に「文科省調査官」の衝撃真相>記事について緊急会見予定
一般人も参加可(予約不要)
令和2年7月31日午後1時30分~午後2時30分
場所:ホテルグランドヒル市ヶ谷 3階・瑠璃西の間
こんなツイートをしたところで
1)新しい歴史教科書をつくる会にも、HOME | 文科省「不正検定」を正す会にもこの「緊急会見」の記事は無く、
2)このツイートも「時間と場所のみ」で「誰が記者会見するのか」など具体的内容は何もなく
3)記者会見終了後になっても実施報告も掲載されない(2020年8月1日時点)のだから、つくる会がどこまで本気なのか怪しい話です。
「教科書調査官が北スパイ」疑惑報道 文科省が調査へ - 産経ニュース
・文部科学省で教科書検定の実務を担う教科書調査官*12が「北朝鮮のスパイリスト」に掲載されていたとされる週刊誌*13報道について、萩生田光一文科相は31日の閣議後記者会見で「考えられる全ての情報を収集し、方向性をいずれかの機会に報告したい」と述べ、事実関係の調査を進める考えを示した。すでに本人に対し聴き取りを行い、「全く身に覚えがない」という趣旨の説明を受けたことも明らかにした。
・また、自由社が受けた約400件の検定意見のうち、この調査官による意見は2カ所だったことも明かし、萩生田氏は「朝鮮半島の問題とは全く関係のない箇所だった」として、検定結果に及ぼした影響に否定的な見解を示した。
・「2カ所」というのは、つくる会がスパイ云々と誹謗する担当調査官氏が『初期毛沢東の思想』(2000年、近代文芸社)の著者(つまり中国現代史が専門)である事を考えると
【第659回】教科書検定の透明性を高めよ « 今週の直言 « 公益財団法人 国家基本問題研究所
生徒が理解し難い、又は誤解するおそれといふ極めて主観的な検定意見が大半を占める。しかもその多くは、一般人にとつてはどうしてなのか理解し難いものである。
2例だけ上げる。年表の中の「1949年中華人民共和国(共産党政権)成立」の記述中、「共産党政権」について、中華人民共和国は(ボーガス注:細川・非自民連立政権、村山・自社さ連立政権、安倍・自公連立政権のような)連合政権であるから、生徒が(ボーガス注:共産党単独政権と)誤解するおそれがあるとされた(中国は実質的な共産党政権ではないのか)。
他は、天安門事件についてのコラムで、ワイシャツ姿の若者が戦車の前に立つて進路を妨害してゐる有名な写真を掲げ、「民主化運動を弾圧するために出動した中国人民解放軍の戦車に立ち向かう学生」の記述について、「(ボーガス注:職業が学生かどうか分からないので?)写真の人物の性格について断定的に過ぎる」から生徒が誤解するおそれがあるといふのである。
と高池勝彦つくる会会長が悪口する「2つの中国関係の意見」なのかな?、と言う気はします(勿論これらは萩生田が言うように北朝鮮は何一つ関係ありません)。
なお、高池が悪口する「中華人民共和国関係の意見」のうち、「建国時の中国は連立政権(連合政権)」は、反中国ウヨ連中にとっては、よほど許しがたいのか、他にも
「欠陥著しく多い」と指摘され、つくる会中学歴史教科書が検定不合格 撤回を要求 - 産経ニュース
政治色をうかがわせるような指摘もあったといい、「中華人民共和国(共産党政権)成立」とする記述にも、カッコ内の共産党政権の語句に「誤解するおそれ」との検定意見が付いた。
【主張】歴史教科書 太子や龍馬を泣かせるな - 産経ニュース
つくる会の反論はもっともな点が少なくない。たとえば、年表の中で1949年の「中華人民共和国(共産党政権)成立」の記述が「誤解されるおそれ」があるとされた。成立時は「連合政権」だというが、実態は共産党政権に変わりない。それを無視しては、かえって生徒の理解を損ねよう。
つくる会教科書 検定不合格。しかし「中華人民共和国」はどう見ても「中国共産党政権」だと思う|三浦小太郎|note*14
今回の文科省検定において、つくる会教科書の記述に対する検定意見として「中華人民共和国(共産党政権)成立」という記述について、文科省側から「生徒に誤解を与える表現、建国時の中華人民共和国は連合政権」という意見が付いたことが報じられております。
歴史的事実を言えば、1949年の中華人民共和国成立時は、共産党以外にもいくつかの左翼政党(というより政治勢力)が存在し、中国人民政治協商会議に参加していたことは事実です。当時毛沢東は「新民主主義論」を唱えていて、簡単に言えば、左翼勢力である限り一定の政治勢力の存在を認めていました。
しかし、中華人民共和国の建国は、あくまで毛沢東と中国共産党が、蒋介石国民党政権を軍事的に破って追放したのち、1949年10月1日、毛沢東*15の名において建国宣言が行われています。これを「中国共産党政権」と呼んでおかしい理由は何もありません。
「つくる会」教科書不合格 文科官僚の不正|藤岡信勝 | Hanadaプラス*16
欠陥番号369番。1949年に成立した中華人民共和国。これを「冷戦」を学ぶためにつくった東西対立の対比年表で、《1949年・・・中華人民共和国(共産党政権)成立》と書いたら、《生徒が誤解するおそれのある表現である。(成立時の中華人民共和国の性格)》という指摘事由が書かれた。
お飾りの政党を作る*17のは共産党の常套手段である。それを教科書調査官は「連合政権」だという。こういう教科書検定をしている限り、子供が物事の本質を学ぶことを文科省は妨害していると言わざるを得ない。
教科書調査官が自由社を不合格にした検定意見 昭和編
【自由社が表記した内容】
「冷戦の経過」の中、自由主義陣営と共産主義陣営の動きを対比した年表の中で1949年に中華人民共和国(共産党政権)成立とした記述。
【検定した教科書調査官の意見】
「共産党主席の論文*18が示しているように、成立時の中華人民共和国は連合政権」であるから「共産党政権と誤解するおそれがある」として×
【説明】
中国には今でも(ボーガス注:中国国民党革命委員会 - Wikipedia(民革)、中国農工民主党 - Wikipedia(農工党)、中国民主同盟 - Wikipedia(民盟)などといった)共産党以外の政党が存在しています(ボーガス注:そして中国人民政治協商会議に議席を保有しています)。しかし、中国共産党の指導を自ら進んで受け入れることが条件です。つまり中国共産党の支配下にあり、独立した政党ではない。指摘の通り「連合政権*19」と記述すれば、生徒は中国の政治の本質を見誤ることになります。
など、高池以外のウヨ連中も悪口雑言しています。しかし前も書きましたがまさか「極右・安倍政権」でこんな意見がつくとは意外でした。
・それはともかく「全く身に覚えが無い」てそりゃそうでしょう。どう考えてもガセネタですし。外務省ならまだしも、文科省にそんなもん送り込んでどうするんだって話です。教科書検定で露骨に北朝鮮万歳なんてできる話じゃないし。
しかし質問者はほぼ確実に産経でしょうが、「あまりにも馬鹿馬鹿しい」ので無視するかと思いきや調査ですか(追記:動画を聞いたところ産経ではなく読売でした。昨今の読売の『安倍自民応援団化』は深刻と言えるでしょう。その典型例が世論の厳しい批判を浴び、読売が「安倍政権のリークでは無い」と言い訳せざるを得なくなった「前川出会い系バー」報道ですが。ナベツネが生きている限り読売は安倍応援団なのでしょう。老害『ナベツネ』には『悪友・中曽根の後を追って』早く死んで欲しいと思います)。とはいえまさか懲戒処分なんて事も無く「我々は警察、検察のような強制捜査権はないので、調査には一定の限界があるが、調査した限りではそのような事実は無かった」で終わりでしょうが。大体「400の内2カ所」では「工作員(そもそもデマですが)のせいで不合格」なんていえたもんではありません。
いずれにせよ「400の内2カ所」「朝鮮半島の問題とは全く関係のない箇所だった」という「つくる会の主張への事実上の批判」をしている萩生田発言からは「調査結果が何でアレ、萩生田が合否の判断を変えないであろうこと(そもそもスパイなどと判断することもあり得ないでしょうが)」はほぼ確実です。
そしてわざわざ「400の内2カ所」「朝鮮半島の問題とは全く関係のない箇所だった」と「つくる会の主張への事実上の批判」をためらいなく書く産経が「つくる会切り捨て」に動いてることは間違いないでしょう。スパイ云々などと言うのは「つくる会やアサヒ芸能はともかく」産経について言えばどう見ても「つくる会へのお付き合いで渋々」「つくる会不合格は産経の謀略では無く、育鵬社合格はただの偶然というアリバイ作り」で本気で無いのは明白でしょう。
産経がつくる会シンパの立場なら絶対にこんなことは書かないでしょうからね。やはり「育鵬社合格」とセットで考えればあの不合格は「育鵬社の謀略」だったわけです。まあ、前から分かっていたことですが。
【参考:萩生田の記者会見】
萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年7月31日):文部科学省
記者)
教科書検定に関連して伺うんですけれども、一部週刊誌の報道では、検定を担当する教科調査官が北朝鮮のスパイリストなるものに掲載されていたと報じられています。事実関係の調査を求める声もあるんですけれども、現在の見解と今後の対応についてお聞かせください。
大臣)
一部の週刊誌*20において、そのような報道がなされたことは承知しております。該当すると思われる調査官にはですね、すでに担当課より記事の内容について聞き取りを行い、本人からは全く身に覚えがないという趣旨の回答がなされたと報告を受けております。しかしながら、一部で週刊誌のみならず、新聞*21などでその追記事などもございますので、私の立場としましては、きちんと調査をしようと思って、その対応を今続けているところでございます。
記者)
それに関連してなんですけども、一部新聞報道という話もありましたが、あの、自由社の歴史教科書が不合格となったことに絡めて、不正が、疑惑を訴える声もあるわけなんですけど。端的に言って、今回の、そのいわゆる指摘されているですね、教科書調査官との関係があるのかどうかというのは、この辺の見解はどうなんでしょうか。
大臣)
私も記事を読みましたけれど、これ、事実だとすればちょっとびっくりする話だと思うのですね。で、今何をしているかっていうことをつまびらかに皆さんにお伝えをするわけにはいかない。と言いますのは、外交問題も含めて、インテリジェンスのお話であります。ちなみに、私、官邸で2年間官房副長官務めて、この手のお話をいくつも、自分なりにきちんと対応してきましたので、考えられる全ての情報を収集して、きちんとですね、方向性を皆さんに、いずれかの機会に報告したいと思います。他方、報道は、出版社の不合格と何かリンクしているような報道があったのですけれど、報道のあった調査官を含め、歴史につきましては、複数の調査官が担当しておりまして、当該調査官が、発行者と、すなわち連絡調整や取りまとめを行うなどの主担当として行っていたという事実はございません。いくつかの社をみんなで分けて、担当者、責任を置くので、まず、第一に担当外だったってことですね。それから、教科書検定の在り方については、あんまり公にこういう仕組みでこういうふうにしてっていうことを申し上げるのはいかがかなと思うのですが、連日のように報道がありますので私の責任であえて申し上げますけれど、この検定官は、当該出版社の担当じゃない上にですね、あの、公表されていますけれど、40か所の訂正意見が付されていますけれど、この担当者が担当したのはそのうちの2か所でございまして。それは、率直に申し上げて、朝鮮半島の問題とは全く関係のない箇所でありました。そんなことも改めてご報告したいと思います。(ボーガス注:文科省の事務方から「40箇所ではなく、400カ所です」と訂正が入り)失礼。「400か所の指摘のうち2か所」ということでございます。
ということで、どう見ても萩生田はつくる会の要望に応える気は無いですね。
「文科省の教科書調査官、北のスパイ」報道…加瀬英明氏らが“徹底究明”要求! 調査官「身に覚えない」 アサヒ芸能「記事には自信」 - zakzak:夕刊フジ公式サイト
文部科学省で教科書検定を担当する現役「調査官」が、「『北朝鮮のスパイリスト』に掲載されていた」と、週刊誌「アサヒ芸能」(7月21日発売号)が報じた。これを受けて、教科書の執筆者らでつくる「文科省『不正検定』を正す会」(加瀬英明代表)は7月31日、都内で記者会見し、文科省に事実関係の徹底究明を求めた。
「報道が事実とすれば、国民に強い不安感を与えることになる。日本の国際的な立場上も望ましくない」
外交評論家*22である加瀬氏は会見でこう語った。
さすがにこんなアホなことを言ったところで萩生田もつくる会の希望するような「調査官の懲戒処分」だのは、しないんじゃ無いか。
同誌によると、韓国警察がソウルにある脱北者団体を捜索した際、「北朝鮮のスパイリスト」とみられるものが発見された。この中に、日本人学識者の名前があり、米CIA(中央情報局)経由で、この人物に関する情報提供が日本当局に求められたという。
この人物を、アサヒ芸能は「文科省調査官」と報じた。同誌は本人に取材を試みたが、「(取材は)受けられない」との対応だった。
驚くべき報道であり、事実なら文科省や教科書検定への信頼が崩壊する。永田町や霞が関でも注目されている。
アサヒ芸能の編集長は「記事には自信がある。調査官側からの抗議もない」と語っている。
アサ芸や夕刊フジごときがこんなことを言ったところで「アホか、ボケ」「なら、お前らの所(アサ芸や夕刊フジ、産経)以外どこも報じてないのはどういうことや?。朝日、読売、毎日、日経、NHK、日テレ、TBS、テレ朝、テレ東は報じてないやろ?」で終わる話です。
それにしても「事実だから抗議しないのだ」とはアサ芸ごときがいい度胸です。まともに相手をする気になれないほど、ばかばかしいガセ記事だし、下手に応答して「戦前の天皇機関説事件(美濃部達吉の反論に反発したウヨの攻撃によって、美濃部にとってかえって事態が悪くなった)」の様な事態になってもイヤなので調査官氏が「可能な限り」無視してるだけでしょう。大体抗議すれば「無視できないほど我々の記事が痛かったのだ」だの、「素直に非を認めず居直るなど許せない」だの、おそらく言い出すのだからこんな連中はまともに相手できません。
全国教育問題協議会教科書調査官が自由社を不合格にした検定意見 昭和編
■共産主義について
【自由社が表記した内容】
マルクスの理論と思想は、マルクス主義として19世紀から20世紀にかけて広い影響力を持ちました。しかしそれは(ボーガス注:スターリン粛清や文革、ポルポト虐殺など?)理想とは逆の悲惨な結果をもたらしました。
【検定した教科書調査官の意見】
共産主義について「一面的過ぎ」て生徒にとって理解し難い表現であると指摘し×
【説明】
ソビエトは、マルクス主義を掲げて共産革命が行われ、(ボーガス注:スターリン粛清などで?)多くの人命が失われた。
共産党政権が樹立されたあとも粛清という大量虐殺が各地で行われ、犠牲者は一億人*23をこえる。独裁政権の下、自由を奪われ、経済発展も出来なかった*24のが共産主義の国々です。
マルクス主義がもたらしたのは差別と抑圧であり、教科書の記述に問題はない。
「お前それ歴史教科書じゃ無くてただの反共右翼本だろ?。歴史教育を口実にやっていい行為じゃねえよ(呆)」「ドイツ社民主義や英国労働党もマルクスがルーツの一つだと考えれば明らかにその悪口雑言は一面的だろ。十字軍を理由にキリスト教を全否定したり、廃仏毀釈や国家神道を理由に神道それ自体を全否定するような事を書くな」ですが、それはさておき。
「反共極右」安倍政権なら当然に通過すると思っていたのがこうした意見を付けられてつくる会がマジギレしていることがうかがえます。
まあこれが安倍政権で無ければ「首相は共産主義シンパか!」でしょうが安倍だと黙りなのだから大笑いです。
全国教育問題協議会調査官が自由社を不合格にした検定意見 戦国時代・清朝滅亡編
■清朝滅亡後の中国
【自由社が表記した内容】
清朝滅亡後の中国は軍閥の割拠する無法地帯と化しました。
【検定した教科書調査官の意見】
清朝滅亡後の中国が無法地帯となったとあるが、無法地帯とはどんな状態か理解し難いと指摘して×
【説明】
無法地帯とは、法律が適用されない場所。あるいは何をしても許される無秩序状態となっている場所である。
清朝が消滅し、中国は、警察も法律もなくなり、軍閥が好き勝手な活動をし、無秩序状態になったのは明らかだ。検定意見の「理解し難い」というのが理解し難い。
いやいやさすがに「無法地帯」「無秩序」呼ばわりは「学問的正確性の面でも、日中友好の面でも」まずいでしょうよ。軍閥がそれなりの「法による統治」を行い、「それなりの秩序」を維持していたわけですから。「中央政府が無いから無法地帯」つうのは違うんじゃ無いか。
とはいえ当時の日本軍が「清朝滅亡後の中国」を「無法地帯」扱いし、張作霖暗殺など無茶苦茶やりまくり、蒋介石を「たかが軍閥」と舐めていたことが泥沼の日中戦争を生み、1945年の敗戦を産んだこともまた事実です。まあ、「無法地帯」云々つう救う会の理解は「蒋介石を舐めて自滅した日本軍」と大して変わらないと言っていいと思います。
それはともかく、その理屈だと
と書いてもいいことにならないか(もちろん戦国大名だっていわゆる戦国法による統治を行い、「それなりの秩序」を維持していたわけですが)。ただしそう書いたら「無法地帯とは何だ!」とつくる会など日本ウヨが激怒するであろう事は目に見えていますが。
つうか「無法地帯」云々と書いて何がしたいんだって話ですよねえ。中国を小ばかにして優越感を保ちたいのか。無法地帯だったから「関東軍が張作霖暗殺や満州事変をやって何が悪い」と居直りたいのか。
およそ教科書にふさわしい記述では無い。
しかしこういう記述書いて恥じないウヨ連中が中国を敵視するのは「やはり反共とは少し違う」わけです。
だって「清朝滅亡後の軍閥」は当然ながら共産主義者では無いわけです。
一方でつくる会らウヨが激しく敵視する共産国は「中国、北朝鮮限定」ですからね。連中は「共産国」ベトナム、ラオス、キューバには何の関心も無いわけです。
それどころか中には「ベトナムと手を結んで中国封じ込め」だの「ドイモイで発展するベトナムは日本企業にとって美味しい」だの平気で言うウヨすらいる。
全国教育問題協議会教科書調査官が自由社を不合格にした検定意見 古代編
■神話と皇室コラム
【自由社が表記した内容】
神話と皇室コラムの中の「日本の皇室は神話の時代から現代まで続く世界で最も古い王朝です。」
【検定した教科書調査官の意見】
このコラムの中の説明文は「生徒が誤解するおそれがある表現である」との検定意見がついて×
そもそも「この書き方では神話を事実と誤解させる恐れがある*25(文科省)」以前に「世界で最も古い王朝」てのは本当なのか?、て話でしょうよ。
しかしこんなウヨテイスト満点な文章を書きながら
調査官の歴史観、価値観、偏見による決めつけによる検定としか言えないものが多い具体的な事例を紹介しますので、左右にとらわれないでご理解ください。
とは何の冗談でしょうか。
*1:五・一五事件裁判において、被告側の弁護人を務めた。また、東京裁判で東条英機元首相の弁護を務めた。鳩山内閣文相時に公選制だった教育委員を首長の任命制に改定している。衆議院議長在任中の1960年6月19日から20日にかけて、衆議院本会議で日米安全保障条約(新安保条約)の採決が行われた蔡には自民党の強行採決に加担。改憲派の右翼政治家として知られる(清瀬一郎 - Wikipedia参照)
*2:1941年の『ヨーク軍曹』、1952年の『真昼の決闘』でアカデミー主演男優賞を受賞(ゲイリー・クーパー - Wikipedia参照)
*3:シャーロック・ホームズ - Wikipediaによればこのカセットブックが発売されたのは1987年
*4:戦後の自治省(現・総務省)、建設省(現・国土交通省)及び警察庁に当たる( 内務省 (日本) - Wikipedia 参照)。
*5:陸軍卿、内務卿、第1次伊藤、黒田内閣内務相、首相、第2次伊藤内閣司法相、枢密院議長、参謀総長など歴任。元老の一人。
*6:参謀次長、原、第二次山本内閣陸軍大臣、立憲政友会総裁などを経て首相(田中義一 - Wikipedia参照)
*7:司法省刑事局長、司法省法務局長、司法次官、検事総長を歴任。後に政界入り。清浦内閣司法相、田中内閣内務相、立憲政友会総裁など歴任(鈴木喜三郎 - Wikipedia参照)
*8:内務省警保局長、関東庁長官(関東軍が駐留する関東州を統治)、日本大学総長など歴任。司法官僚として治安維持法の作成に関わったことや、内務官僚として三・一五事件(日本共産党の弾圧事件)に関わったことで知られる(山岡萬之助 - Wikipedia参照)。
*9:第一次大隈内閣文相、立憲国民党総理、革新倶楽部代表、第二次山本内閣逓信相(文相兼務)、加藤内閣逓信相、立憲政友会総裁等を経て首相(犬養毅 - Wikipedia参照)
*10:斎藤実内大臣、高橋是清蔵相、渡辺錠太郎陸軍教育総監が暗殺された。
*11:革新官僚とも言う。外務省の白鳥敏夫(駐イタリア大使。戦後、戦犯裁判で終身禁固刑の判決を受け服役中に病死)、農商務省(後に商工省)の岸信介(東条内閣で商工相。戦後、自民党幹事長、石橋内閣外相などを経て首相)、陸軍省の東条英機(第二次、第三次近衛内閣陸軍大臣、首相を歴任。戦後、死刑判決)、武藤章(参謀本部作戦課長、陸軍省軍務局長等歴任。戦後、死刑判決)などが有名
*12:産経がいつまで経っても実名を書かない点も興味深い(実名を書いて欲しいわけでは無論ありませんが)。まあ、つくる会サイト、ツイッターなどを見れば誰か分かりますが、このこと一つとっても明らかに産経は本気じゃありませんね。
*13:アサヒ芸能だそうです。
*17:「文科省意見の是非はともかく」建国当時の諸政党はお飾りなどでは全くありません。それがよくわかるのが百花斉放百家争鳴 - Wikipediaと反右派闘争 - Wikipediaです。
*19:繰り返しますが、「文科省意見の是非はともかく」建国当時の諸政党はかなり力があり、今と同一視はできません。それがよくわかるのが百花斉放百家争鳴 - Wikipediaと反右派闘争 - Wikipediaです。
*20:アサヒ芸能だそうです。
*21:産経ぐらいしか後追い報道なんかしていませんが。
*22:と言うより右翼活動家ですが。
*23:と断定できるほど数値は明確ではないと思いますが
*24:現在の中国の経済発展を考えれば「共産主義だから経済発展できない」といえるかは疑問でしょう。一方で「フィリピン・マルコス独裁」など「反共独裁」だって「経済後進国」は山ほどある。
*25:全くその通りだと思いますね。つうか誤解させるためにこう書いてるんじゃ無いか。