「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2021年2/28日分:島田洋一の巻)

◆島田のツイート

島田洋一
 遅ればせながら映画「空母いぶき」を観た。先制的自衛行動*1をためらい続ける辺り、日本の現状を映しているが、最後に国連安保理常任理事国*2の連合潜水艦隊(中国含む)が日本の救援に乗り出して一件落着となる辺り、幻想にしても単純かつ危険すぎるだろう。

 「島田なら予想の範囲内」ですが、感想が「何で中国に対してもっと否定的、批判的じゃないんだ!」てねえ(苦笑)。空母いぶき - Wikipediaによれば、どうも原作では「中国が敵国だった」のが映画では「(フィリピンの近くにある)東亜連邦(旧名:カレドルフ)という謎の島国(中国ではない)」に敵国が変更されたようです。
 「フィリピンの近くの島国(フィリピンではない)」つう事は「インドネシア?」「マレーシア?」それとも「台湾?」、「えーと、他に国ってあったかしら?」つう所*3ですがどの国にせよ「いや、そんなこと、せえへんやろ?(特に台湾はともかくマレーシアやインドネシアは能力的にそんなことができるかどうか?)」ですね。まあ中国だって「そんなことせえへんやろ?」ですが。
 いずれにせよ、島田の不平不満を信じれば映画版は「原作マンガほど反中国極右テイスト」ではなく「むしろ中国は日本の味方」だったようです。
 たぶん原作のママ「反中国映画」にした場合に「他の日本映画の中国での興業に響くこと」を映画関係者が恐れたのでしょう。まあ「ほとんど中国に展開してない日本漫画業界(だからこそ『いぶき』のような反中国漫画が連載?)」に比べれば「日本映画業界」は中国に展開してますからねえ。
 もしかしたら「原作漫画版元の小学館」が「中国でのドラえもん映画の興行」に悪影響が出るのを恐れたのかもしれない。
 ウヨのかわぐちかいじも「そんなんなら実写化しなくていい!」つう度胸は無かったようです。やはり「映画化でかわぐちに来るカネが魅力的だった」と。つまりは経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)ということです。
 「空母いぶき、映画」「東亜連邦、映画」でググると島田のようなウヨの不満がいくつかヒットします。
 何せ映画版「いぶき」では「いきなり襲ってきた野蛮国家」に「専守防衛の立場で反撃(中韓など隣国は日本に好意的な態度)」らしいのでウヨの大好きな「改憲云々」という話になりようがない。結果、原作マンガはともかく映画は「津川雅彦の例のウヨ映画」などと違い、ウヨからは褒められず(むしろけなされる)、左派からも大して批判されず(ほめられもしないが)という「政治的には大してインパクトのない映画」になったようです。
【参考:映画版『空母いぶき』】

「空母いぶき」実写化のハードルは「敵国=中国」の設定 作者が明かす - ライブドアニュース2019.12.3
 広島県出身の漫画家かわぐちかいじが1日、東京・銀座のひろしまブランドショップTAUで「呉災害復興応援フェアイベント『かわぐちかいじ先生スペシャトークショー in TAU』」に出席した。
 敵国が中国に設定されていることが映画化の話を一時遠ざけたとも告白。「映画は中国を観客として見込んで作りますから。(そういう設定だと)俳優を預かる芸能プロも(出演させないよう)全部をストップかけます。無理で、あきらめるかってなったんですけど、中国がだめならほかに国を作るかって」とそれでも実写化の話は進んだという。「友人の軍事ジャーナリスト*4と相談したんです。東南アジアで大きめの国作るかって」と敵国をすり替えることで映画化がその後実現したことを明かしていた。

実写版『空母いぶき』をおススメできないこれだけの理由 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト古谷経衡
 映画版では(中略)カレドルフというルソン島北東にある正体不明の島嶼国家が、日本を脅かす存在という設定になっている。
 そしてカレドルフと中国は、別個の国家として描かれている。
 原作と映画版の差違はあまりにも大きく、これを以て私は、実写版『空母いぶき』は原作『空母いぶき』とは別個の作品であると断定せざるを得ない。映画版の「原作表示」は間違いなくかわぐちかいじ先生*5だが、筆者はこの事実を個人的に認めたくない。
 厳しいことを言うようだが、映画版の制作者は、きちんと原作と、かわぐちかいじ先生の過去作品の系譜を読み込んで映画版の構成にあたったのだろうか。疑いたくなる。
 筆者は改めてかわぐちかいじ先生の大ファンとして怒りに近いニュアンスを表明して本稿を脱稿するほかない。

実写映画『空母いぶき』は本当に駄作なのか?(ネタバレあり) - ひたすら映画を観まくるブログ
・原作は自衛隊と中国軍が戦う話なのに、「東亜連邦」という架空の国に変わってました。
・「変えなきゃ色々と面倒なことになる」というのは分かる
かわぐちかいじ先生は敵国を変更した理由について「今、世界の情勢はどんどん変化しているので、もし日本と中国が仲のいい時に映画が公開されたら困ると思った」などと釈明しています

【参考終わり】

島田洋一
 トランプの盟友で次期共和党大統領候補の一人*6、ロン・デサンティス・フロリダ州知事が、保守派の論客「故ラッシュ・リンボー」について「我々の最も偉大な野戦将軍(field general)の1人」と表現していた。的確だろう。

 以前も指摘しましたが「オバマイスラム教徒」説(もちろんオバマイスラム教徒ではありません)などの悪質なデマを多数垂れ流したデマ屋がリンボーです。そのリンボーが死去した後になってもこんなことを言い続けるとは呆れて二の句が継げませんね。
 まともな米国保守派にとっては「デマ屋」リンボーなど「百田尚樹高須克弥の米国版」でしかありません。「保守、リベラル」以前の話です。

*1:先制攻撃は「自衛」ではあり得ないので詭弁も甚だしい。

*2:米英仏露中

*3:まあ、その辺りは曖昧にごまかすのでしょう。下手なこと言ったらインドネシアなどとの間で政治的な大問題になりますからね。

*4:「いぶき」監修者の惠谷治のことか?

*5:つまりは事情が何であれ、かわぐちが「この改変を消極的であれ容認した」ということです。というか著作権者の意思を無視したら著作権侵害になって法的措置を執られるので「原作レイプ」と悪口される作品とて、皆、著作権者の同意を得ていますが。かわぐちが故人で「著作権者が遺族」なら「かわぐち先生が存命ならこんな改変は認めなかった」といえますが存命なのでその言い訳は通りません。ウヨの古谷などまともな人間とは思っていませんが、それにしても「かわぐち批判を逃げながら、映画批判をする古谷」は滑稽かつ醜悪でしかない。

*6:島田がそう言ってるだけであり、実際がどうなのかは不明です。