今日の産経ニュース(2021年6月14日分)

安倍前首相「菅首相、立派に後継いだ」ニッポン放送で - 産経ニュース

 安倍晋三前首相は14日朝放送のニッポン放送番組で、首相辞任の理由となった持病の潰瘍性大腸炎の現状について「人間ドックで調べた結果、大変よくなってきた。今までの薬は飲み続けるが、(新しい治療法の)免疫抑制剤は卒業してよいのではないかといわれた。ひと安心しているところだ」と述べた。

 政治的困難の出現(例えば第一次安倍内閣では消えた年金問題、第四次安倍内閣ではコロナ禍)とそれによる支持率低迷が起こるたびに、やる気を失い「政権を放棄する」が、自らの非を認めたくないために「病気ガー」「辞めたくないがやむなく辞める」とまるで「浜口雄幸*1首相(右翼テロで瀕死の重傷を負い、やむなく退陣。退陣の翌年に死去)」「石橋湛山*2首相(脳梗塞で倒れ退陣)」「大平正芳*3小渕恵三*4首相(首相在任中に病死)」のような悲劇であるかのように強弁し、時間が経つと「病気が改善した」と言いだすこの男には怒りを禁じ得ません。

 自民党内には安倍氏の3度目の首相就任を希望する声もあるが、安倍氏は「全く考えていない。辞めたばかりだから」と否定した。

 フジサンケイグループニッポン放送なら予想の範囲内ですが「モリカケ」「桜を見る会」「河井夫妻の公選法違反」などの厳しい質問はせず「再々登板の考えは?」などとおべっかでおだてるとは心底呆れます。
 なお、さすがに安倍も「首相退任後、実弟佐藤栄作*5、子分・福田赳夫*6、女婿・安倍晋太郎*7」を使って政治力を行使したとはいえ首相に復帰はしなかった祖父・岸*8同様に、目指す方向はもはや「元首相としての活動(子分を使っての活動)」ではないかと思いますが、「溝手潰し」でわかるように、安倍には著しく常識が欠落してる上に、それを容認する太鼓持ちばかりが今の自民なので「再々登板が絶対にあり得ない」とまではいえないところが何ともかんともです。
 いずれにせよ「支持率が低迷」とはいえ、安倍が禅譲した「子分・菅(第二~四次安倍内閣官房長官)」なのに、安倍が言うように「安倍が辞めたばかり」のこの時期で「安倍再々登板」とはよほど産経らウヨは菅への不満があるのでしょう。とはいえその不満は「コロナ蔓延」というよりは「改憲に不熱心」というくだらないものでしょうが。コロナ失政なら安倍とて大して変わらず、安倍と菅の違いと言ったら「改憲への姿勢」くらいしかないからです。


首相、コロナ対策で安心感醸成を優先 衆院解散 - 産経ニュース
1)支持率が低迷する上に、コロナが終息してない現状において
2)とはいえ二階幹事長など一部の自民幹部が「不信任案が提出されれば否決されても、解散もありうる」と公言している状態で
3)一方『不信任案提出が国民にどう評価されるか』という世間受けにやたらこだわり、立憲民主党が不信任案を出すか微妙な状態で
「明確なことは言えず逃げてる」という印象ですね。菅の言動においては2)が大きいでしょう。所詮「派閥ボス」でなく「主流三派(安倍前首相の属する細田派、二階幹事長の二階派、麻生副総理・財務相麻生派)」が担いだ神輿でしかない菅には「自主性」などないわけです。
 なお、コメ欄で

アンドリュー・バルトフェルドさん
 みこしだから二階には逆らえない感じです。
 不信任案で投票日がどうなるかですね。

としてバルトフェルドさんは「即時解散の方向」と見ているようですが、俺は「解散の可能性は五分五分」とみています。 
 もちろん「即時解散するかもしれない要素」としては
1)野党共闘がまだ十分には進んでおらず、「例の対談本出版延期」のような不協和音も見られる(今、解散した方が野党共闘の準備不足で自民が有利と見なせる余地がある)
2)ワクチン接種が進んできたことで「解散しても政治空白にはならない」と居直れるとの算段
3)菅がアピールしていたデジタル庁法案が可決できた(最低限、デジタル庁が菅の政治的成果として宣伝できる)
4)二階の解散論の存在(解散しないと二階の面子が潰れる)
と言う問題はある。
 但し、一方で「即時解散は避けるかもしれない要素」としては
1)政権交代はないとしても、自民が議席を減らしかえって菅の政権基盤が弱まる危険がある
2)コロナが終息してない中での解散は「終息してから解散しろ」という批判を生む恐れがある
3)7月の五輪開催後の解散の方が「ご祝儀相場」「野党は中止論を唱えていたが無事開催できたと宣伝できる(野党攻撃)」と言う意味で「より有利」と菅が判断する可能性がある
4)「菅は二階の言いなり」というイメージを避けたい
がある。従って「少なくとも6月中には解散しない」「五輪開催後の解散(勿論中止の可能性もありますが)を狙う」可能性もあるかと思います(これだと任期満了選挙と違い解散自体はするので二階の面子もそれなりに立つ)。

*1:加藤高明、第一次若槻内閣蔵相、第一次若槻内閣内務相などを経て首相

*2:吉田内閣蔵相、鳩山内閣通産相などを経て首相

*3:池田内閣官房長官、外相、佐藤内閣通産相、田中内閣外相、蔵相、三木内閣蔵相、自民党幹事長(福田総裁時代)などを経て首相

*4:竹下内閣官房長官自民党副総裁(河野総裁時代)、橋本内閣外相などを経て首相

*5:運輸次官から政界入り。吉田内閣郵政相、建設相、岸内閣蔵相、自民党総務会長(岸総裁時代)、池田内閣通産相科学技術庁長官などを経て首相

*6:大蔵省主計局長から政界入り。岸内閣農林相、自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)、佐藤内閣蔵相、外相、田中内閣行政管理庁長官、蔵相、三木内閣副総理・経済企画庁長官などを経て首相

*7:三木内閣農林相、福田内閣官房長官自民党政調会長(大平総裁時代)、鈴木内閣通産相、中曽根内閣外相、自民党幹事長(竹下総裁時代)など歴任

*8:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後、日本民主党幹事長、自民党幹事長(鳩山総裁時代)、石橋内閣外相を経て首相