今日の朝鮮・韓国ニュース(2021年7月1日分)

「親日視点」の韓国人翻訳者、日本の国家基本問題研究所賞を受賞=韓国報道(WoW!Korea) - Yahoo!ニュース

 右翼性向の書籍を韓国で翻訳した落星台(ナクソン)経済研究所のイ・ウヨン研究委員は、日本の右翼団体の特別賞を受けることになった。
 2日(現地時間)、日本の産経新聞によると、右翼の視点から日本の徴用工問題を扱った本『でっちあげの徴用工問題*1』(西岡力*2著)を韓国語に翻訳したイ・ウヨン研究委員が、日本の国家基本問題研究所が主催する第8回日本研究賞特別賞の共同受賞者に選ばれた。イ研究委員のほか、この本を出版した極右性向メディアであるメディアウォッチのファン代表取締役も受賞する。

 これについては第8回「国基研 日本研究賞」受賞者決定 « ニュース « 公益財団法人 国家基本問題研究所も紹介しておきます。
 「徴用工は違法でも不当でもない」という日本ウヨ・西岡のデマ本を翻訳して韓国で出版した功績で国基研の賞をもらうなど「売国奴」「歴史修正主義」と批判されても文句の言えない所業であり、心底呆れますね。要するに『反日種族主義』(邦訳:2019年、文藝春秋)の著者・李栄薫の同類の訳ですが。
 なお、徴用工問題(朝鮮人強制連行問題)については、

【刊行年順(刊行年が同じ場合は著者名順)】
◆外村大*3朝鮮人強制連行』(2012年、岩波新書)
戸塚悦朗*4 『「徴用工問題」とは何か:韓国大法院判決が問うもの』(2019年、明石書店
戸塚悦朗歴史認識と日韓の「和解」への道:徴用工問題と韓国大法院判決を理解する』(2019年、日本評論社
◆内田雅敏*5『元徴用工・和解への道:戦時被害と個人請求権』(2020年、ちくま新書)
◆川上詩朗*6他『徴用工裁判と日韓請求権協定:韓国大法院判決を読み解く』(2020年、現代人文社)
◆竹内康人*7『韓国徴用工裁判とは何か』(2020年、岩波ブックレット)
◆波多野澄雄*8『「徴用工」問題とは何か:朝鮮人労務動員の実態と日韓対立』(2020年、中公新書)

といった著書があります。


北朝鮮の核問題、どう解決する? 問われる日本の役割:朝日新聞デジタル

北朝鮮の実務に携わってきた3人の識者に尋ねた。
◆制裁緩和は時期尚早、挑発行為には追加措置を 竹内舞子さん(国連安保理北朝鮮制裁委・専門家パネル前委員)

 正気で言ってるのかとげんなりしますね。そうした制裁路線にははっきり言って限界があるのではないか。なお、有料記事なので「登録してない俺は竹内氏以外の意見は読めません」。


朝鮮半島非核化問題-王毅外交部長発言-|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ

 7月2日に清華大学で開催された第9回世界平和フォーラム(同大学主催、中国人民外交学会共催)で3日に基調講演を行った王毅*9外交部長は、「朝鮮半島核問題」に言及して、問題の主要な責任はアメリカにあると強調する、以下の注目すべき発言を行いました。
(中略)
 とりあえず紹介する次第です。

 朝鮮半島核問題に関してもっとも重要なことは、平等な対話及び平和的解決の大方向を堅持することである。
(中略)
 アメリカは、数十年にわたって朝鮮に加え続けてきた軍事的な威嚇及び圧力を反省するべきであり、朝鮮の合理的な関心を正視して解決するべきである。朝鮮が非核化及び情勢緩和についてすでに取った措置を考慮し、アメリカは誠意を持ってこれに応えるべきである。国連安保理もまた、タイミングよく朝鮮に対する制裁決議の遡及条項を起動させ、朝鮮の経済民生状況の改善を助けるべきである。半島の問題は中国の玄関の問題であり、中国はこれまでどおり、半島に長期にわたる平和と安定が実現するまで建設的な役割を発揮していく。

 ということで、「北朝鮮を一方的に非難する米国の態度には賛成しない(北朝鮮にも一定の理がある)」ということは以前から中国が表明してきたことですが「米中対立が深刻な今」、あえて「そうした米国批判を中国側が行ったこと」は浅井氏ご指摘の通り、注目すべき事かと思います。


北朝鮮の党最高幹部、突然の解任 金正恩氏は何に怒ったのか:朝日新聞GLOBE+

 どのような理由があるにせよ、誰が解任されたにせよ、部下に責任を押しつけ、妹の与正氏*10の力にすがるという、金正恩氏の政治手法は全く変わっていない。高級幹部と共生せざるをえない「弱い独裁者」である以上、いつかこの手法は限界を迎えるだろう。

 むしろ「この手法は限界を迎える」のは「このような記事を書き飛ばす、どのような理由があるにせよ」、「誰が、なぜ更迭されたのか」すら曖昧な現状*11で「北朝鮮体制危機論」を放言してしまう牧野*12の方でしょう。朝日新聞もよくこんなアホ記事を掲載するもんです。
 それにしても牧野って「独裁者は強い独裁者ばかり」とでも思ってるんですかね?。歴史的事実としてそんなことはないでしょう。大抵の独裁者は「高級幹部と共生せざるをえない弱い(?)独裁者」でしょう。むしろ「劉少奇国家主席や鄧小平副首相といった最高幹部」を失脚させた「文革毛沢東」みたいな代物の方が例外的存在でしょう。

*1:2019年、草思社

*2:麗澤大学教授。救う会会長。著書『飢餓とミサイル:北朝鮮はこれからどうなるのか』(1998年、草思社)、『暴走する国家・北朝鮮:核ミサイルは防げるのか』(1999年、徳間文庫)、『拉致家族との6年戦争』(2002年、扶桑社)、『北朝鮮に取り込まれる韓国』(2004年、PHP研究所)、『日韓「歴史問題」の真実:「朝鮮人強制連行」「慰安婦問題」を捏造したのは誰か』(2005年、PHP研究所)、『北朝鮮の「核」「拉致」は解決できる』(2006年、PHP研究所)、『よくわかる慰安婦問題(増補新版)』(2012年、草思社文庫)、『朝日新聞「日本人への大罪」:「慰安婦捏造報道」徹底追及』(2014年、悟空出版)、『横田めぐみさんたちを取り戻すのは今しかない』(2015年、PHP研究所)、『ゆすり、たかりの国家』(2017年、ワック文庫)、『歴史を捏造する反日国家・韓国』(2019年、ワック)など

*3:東大教授。著書『在日朝鮮人社会の歴史学的研究』(2009年、緑蔭書房)

*4:著書『国際人権法入門』(2003年、明石書店)、『ILOジェンダー』(2006年、日本評論社)、『日本が知らない戦争責任:日本軍「慰安婦」問題の真の解決へ向けて』(2008年、現代人文社)、『国連人権理事会』(2009年、日本評論社)、『日韓関係の危機をどう乗り越えるか?:植民地支配責任のとりかた』(2021年、アジェンダ・プロジェクト)

*5:著書『「戦後補償」を考える』(1994年、講談社現代新書)、『「戦後」の思考:人権・憲法・戦後補償』(1994年、れんが書房新社)、『憲法第九条の復権』(1998年、樹花舎)、『敗戦の年に生まれて:ヴェトナム反戦世代の現在』(2001年、太田出版)、『これが犯罪?:「ビラ配りで逮捕」を考える』(2005年、岩波ブックレット)、『乗っ取り弁護士』(2005年、ちくま文庫)、『靖国には行かない。戦争にも行かない』(2006年、梨の木舎)、『靖国問題Q&A:「特攻記念館」で涙を流すだけでよいのでしょうか』(2007年、スペース伽耶)、『天皇を戴く国家:歴史認識の欠如した改憲はアジアの緊張を高める』(2013年、スペース伽耶)、『想像力と複眼的思考:沖縄・戦後補償・植民地未清算・靖國』(2014年、スペース伽耶)、『靖国参拝の何が問題か』(2014年、平凡社新書)、『和解は可能か:日本政府の歴史認識を問う』(2015年、岩波ブックレット)、『戦後が若かった頃に思いを馳せよう』(2019年、三一書房)など

*6:著書『日韓の歴史問題をどう読み解くか:徴用工・日本軍「慰安婦」・植民地支配』(共著、2020年、新日本出版社

*7:著書『浜岡・反原発の民衆史』(2014年、社会評論社)、『日本陸軍のアジア空襲』(2016年、社会評論社)、『明治日本の産業革命遺産・強制労働Q&A』(2018年、社会評論社

*8:筑波大学名誉教授。著書『「大東亜戦争」の時代』(1988年、朝日新聞社)、『幕僚たちの真珠湾』(1991年、朝日選書)、『太平洋戦争とアジア外交』(1996年、東京大学出版会)、『歴史としての日米安保条約:機密外交記録が明かす「密約」の虚実』(2010年、岩波書店)、『国家と歴史:戦後日本の歴史問題』(2011年、中公新書)、『宰相鈴木貫太郎の決断:「聖断」と戦後日本』(2015年、岩波現代全書)など

*9:アジア担当外務次官、駐日大使、中国共産党中央台湾工作弁公室主任(国務院台湾事務弁公室主任兼務)などを経て、現在、国務委員(外交担当)兼外相(王毅 - Wikipedia参照)

*10:朝鮮労働党宣伝扇動部副部長

*11:読めばわかりますが、「北朝鮮の発表」がそもそも「いわゆる5W1Hが曖昧なこと」もあって、牧野も、「誰がなぜ更迭されたのか」断言はできていません。

*12:著書『北朝鮮秘録:軍・経済・世襲権力の内幕』(2013年、文春新書)、『金正恩の核が北朝鮮を滅ぼす日』(2017年、講談社+α新書)、『ルポ・絶望の韓国』(2017年、文春新書)、『北朝鮮核危機全内幕』(2018年、朝日新書)、『ルポ「断絶」の日韓:なぜここまで分かり合えないのか』(2019年、朝日新書)、『ルポ・金正恩とトランプ』(2019年、朝日新聞出版)、『韓国を支配する「空気」の研究』(2020年、文春新書)、『金正恩と金与正』(2021年、文春新書)