今日の産経ニュース(2022年1/28~30日分)ほか(副題:維新による菅直人氏への言いがかりに呆れる)

【産経の本】『頭山満伝 玄洋社がめざした新しい日本』 近代史から消された男の実像 - 産経ニュース
 「産経らしい極右ぶり」ですが「右翼活動家」頭山など今時評価されないのは当たり前でしょう。
 つうか今の若者にとっては「大物右翼」だった「競艇のドン・笹川良一」や「ロッキード事件児玉誉士夫」すら「誰、それ?」でしょう。
 なお、どんな本かは未読なので分かりませんがググったところ

◆嵯峨隆*1頭山満アジア主義者の実像』(2020年、ちくま新書)

がヒットしました。


◆辰巳氏ツイート

◆たつみコータロー*2参議院議員
 橋下市長時代に実施し憲法違反と断罪された思想調査。業務命令で答えなければ処分対象。「あなたは特定の政治家を応援する活動に参加したことがありますか」という問いに「要請した人」まで書かせた。悔しくて泣きながら職場の仲間の名前を書いた職員も。維新は人権を語る資格があるのか。

 ということで「犬猿の仲・維新」を共産が批判するのはある意味当然ですがそれはともかく。
 「共産支持」俺の願望ではありますが、「泉立民のふがいない態度」によって「立民支持者」の中には「他党議員の菅氏を擁護する共産に感心した。泉には失望した」として共産への株を上げた人間も多いのではないか。そしてこれらの維新の行為(菅氏への言いがかりにせよ、市職員への思想調査にせよ)は「ヒトラー呼ばわりされても仕方ない行為」でしょう。それにしても辰巳氏には一日も早く国政復帰してほしいところです。


維新、菅直人元首相に直接抗議へ 投稿は「中傷」 - 産経ニュース
 理屈的には「当事者である菅氏に一番最初に抗議すべき所」、菅氏に抗議せず、立民に抗議するという意味不明な行為をやったあげく「何故菅氏に正式に抗議しないのか」と言われてから菅氏に抗議する滑稽さです。勿論、菅氏は謝罪などしないでしょうが。
 しかし「都民ファだったはずの音喜多」が今は維新の政調会長ですか。


【産経抄】1月29日 - 産経ニュース

「(学生時代に)ゲバ棒を持った対立グループに取り囲まれたが、要求された自己批判は断固拒否した。今回の維新の脅しは私には通用しない」。
 菅氏*3は抗議を脅しへとすり替え、勝ち誇っている。

 予想の範囲内ですが、1)「アンチ立民&アンチ菅」、2)「維新に同調する自民の態度」から産経も「菅叩き」をすることに決めたようです。しかし、菅氏が言うようにどう考えても「言いがかりと脅し」でしょう。一方で

◆麻生財務相(現・自民党副総裁)のナチス発言
◆森・五輪組織委員会会長の女性差別発言
杉田水脈の『生産性発言』『「女はいくらでも嘘をつく」発言*4

など明らかな暴言でも「自民党関係者」なら「財務相組織委員会会長)辞任の必要は無い」「野党が政争の具にしている」などと平然とかばう(かばいようがない場合は、発言の存在を故意に無視する)。産経にはいつもながら呆れます。
 なお、産経などは故意に無視しますが、未だに維新は「菅氏に悪口」しても公式に抗議したわけでは全くありません。
 ついでに書けば、ネット上でも指摘がありますが「今の橋下は建前では維新とは関係ない」。橋下批判に維新が「身内への誹謗」として抗議するのならば「私(橋下)は政治家ではない、維新とは関係ない」として「橋下が在阪のテレビで政治についてコメントする」のはおかしな話です。
 まあ、「未だ維新と明らかにつながりがある」橋下を「田中秀征*5」など「名実ともに政界引退した元政治家のコメンテーター」と同一視できないのは当たり前の話ですが。


国民・榛葉氏、菅直人氏のヒトラー発言に「イスラエル関係者が失望」 | 毎日新聞
 はてなブックマークでも批判がありますが「イスラエル関係者」とやらの名前が出せない時点で「がせの疑い濃厚な怪しい話」です。
 それにしても「国民民主*6が維新にすり寄ってること」は知っていますが、こんな「言いがかり」にまで同調するとは心底呆れます。


菅直人氏ヒトラー投稿「最大の侮辱」 自民・世耕氏 - 産経ニュース
 「岸田首相」など自民幹部議員がヒトラー呼ばわりされたのならともかく、意味が分かりません。
 いや、1)自民が維新を取り込みたい、2)とにかく菅氏を悪口したいということはわかりますが、「無関係の人間」が口を挟むのはおかしな話です。


「ヒトラー投稿」、立民・泉代表が橋下氏に見解披露 - 産経ニュース

 泉氏は、民主党政権時代に当時の自民党谷垣禎一総裁が、鳩山由紀夫首相の演説の際に民主党議員らが節目で一斉に拍手と歓声でたたえたことについて、「『ヒトラーヒトラー・ユーゲントナチス党の青少年組織)みたいだ』と言った」と指摘。「揶揄(やゆ)、批判、警鐘を鳴らすとかは枚挙にいとまがない」と語った。

 「やっとか」とは思いますし、菅発言への評価を避けた点が「何だかな」ですが「ヒトラーという表現それ自体は常に不当とはいえない。もし不当というなら岸田氏はどうなるのか?」とはっきり泉が言った点は評価します。しかしこれで「ヒトラーという表現自体が常にダメ」という維新の物言いがデマだと改めて「わかった」わけです。しかし維新と支持者連中は「ヒトラーという表現自体が常にダメ」についてわびもせず、「谷垣のヒトラー発言はOKだが、菅の発言はダメ」あるいは「谷垣は政界引退したから今の自民と関係ない」と言いつのるのでしょう。「バカにつける薬はない」と呆れます。


菅直人氏ヒトラー投稿問題「立憲民主党は関与せず」 泉代表 - 産経ニュース
 党所属議員、それも「鳩山内閣副総理・財務相、首相(民主党代表)など要職を歴任した重鎮・菅氏」が言いがかりをつけられて誹謗されてる上に、「菅氏個人の行為で立民は関係ない」と維新がしてるのならまだしも、「所属議員の行為は立民も同罪だ*7。立民は謝罪しろ」と立民にまで因縁をつけられてるのに、「菅氏の発言に問題など無い。橋下氏は『中国での買春はODA』など、ヒトラー呼ばわりされても仕方のない暴言やデマ発言を数々してきた」「維新が党所属議員の不祥事を『個人の行為で執行部は関係ない』と切断処理してきたことと今回の立民非難との整合性はどうなっているのか?」などとまともに反論せず、逃げ腰なのだから泉執行部のあほさには心底呆れます。
 そんなに「維新にすりよりたい」のか。
 しかし維新にすり寄ったところで「維新シンパ」は「立民が維新の軍門に降った」と馬鹿にし、俺のような「維新批判派」は「維新にまともに対応できない泉・立民には呆れた」と不信感を強めるだけでしょう。「立民支持層のうちの菅氏支持者」は「泉執行部が菅氏を見捨てようとした」「所属議員への誹謗中傷にまともに対応しないとはどういうことか?」と不快感を強めるでしょう(勿論、党内融和を重視して口には出さないにせよ、菅氏も泉の態度には不愉快でしょう)。
 どっちにしろ「狂信的な泉執行部の支持層」でも無い限りこんな対応には呆れ、失望するだけです。
 むしろ「我々維新の批判に立民・泉が逃げてる」と維新に宣伝され、維新支持層の「維新支持」がいっそう強固になりかねない。また「野党共闘の障害*8」どころか「泉執行部が菅氏を見捨てようとした」で「立民内部の内紛のネタ」にすらなりかねません。
 「枝野代表ならここまで酷くはなかったのではないか」と絶句します。

*1:静岡県立大学名誉教授。著書『近代中国アナキズムの研究』(1994年、研文出版)、『近代中国の革命幻影:劉師培の思想と生涯』(1996年、研文出版)、『中国黒色革命論:師復とその思想』(2001年、社会評論社)、『戴季陶の対日観と中国革命』(2003年、東方書店)、『アジア主義と近代日中の思想的交錯』(2006年、慶應義塾大学出版会)、『アジア主義全史』(2020年、筑摩選書)

*2:日本共産党中央委員

*3:著書『大臣(増補版)』(2009年、岩波新書)、『東電福島原発事故、総理大臣として考えたこと』(2012年、幻冬舎新書)、『総理とお遍路』(2015年、角川新書)、『民主党政権・未完の日本改革』(2021年、ちくま新書

*4:『山口敬之のレイプ』を告発した伊藤詩織氏に対する誹謗とみられる。

*5:新党さきがけ代表代行、橋本内閣経済企画庁長官を歴任。現在、福山大学客員教授。著書『日本の連立政治』(1997年、岩波ブックレット)、『梅の花咲く:決断の人・高杉晋作』(2002年、講談社文庫)、『日本リベラルと石橋湛山』(2004年、講談社選書メチエ)、『平成史への証言:政治はなぜ劣化したか』(2018年、朝日選書)など

*6:議席が増えたと自画自賛したところで比例獲得票は共産を下回り、「れいわと同程度」、議席の大部分は「小選挙区」の上に「党執行部に対する忠誠心に欠ける小選挙区選出議員がいつ離党して他党(自民、立民、維新)に鞍替えしてもおかしくない」のだからこのままでは将来がないことは玉木らも自覚してるでしょう。だからこそ大阪での維新の強さにいまさらながら驚く(関西をのぞいても、維新の比例の獲得票数は共産党の全国の獲得票数を上回る) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)が指摘するように、比例獲得票が「相当程度ある維新」にすりよるわけです。

*7:その理屈なら維新所属議員の不祥事は「維新執行部も同罪」でしょうに「個人が勝手にやったこと」で逃げてきた連中が全くふざけたことがよくもいえたもんです。

*8:泉がこんな態度では共産、社民、れいわと言った維新批判派は立民との共闘がしづらくなります。