「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2022年2/4日分:荒木和博の巻)

憲法9条の話(R4.2.5): 荒木和博BLOG
 7分23秒の動画です。自衛隊拉致被害者救出といういつもの寝言です。

 憲法の話は何度かしてますが、まああんまり気にしないで良いのではないか、というのが私の個人的感想です

 「自衛隊救出論」において、何が「(憲法九条を)気にしないでいいのか」と言えば

1)「福田赳夫内閣の超法規的措置ダッカ事件)」のように「超法規的措置」で処理すればいい
あるいは
2)「荒木が肩入れしているらしい」大森勝久氏が主張する「芦田修正論の採用*1」で処理すればいい(大森主張については例えば日本の喫緊の安全保障上の課題は閣議決定で本来の憲法9条を確立して軍隊を保持することだ | 新・大森勝久評論集参照)

という荒木です。
 荒木曰く「そもそも『改憲』を掲げる安倍政権時代に改憲できなかった。岸田内閣で改憲できる絶対的な保証がない。衆院改憲派(自公、維新、国民民主)2/3と言っても参院はそうではない。今年の参院選改憲派2/3になる保証がない。仮に参院改憲派2/3になっても、改憲案を両院で可決して国民投票に持ち出し、国民投票で勝てる保証もない。改憲しないで自衛隊北朝鮮に投入する道を考えよう*2」と言うのだから呆れます。
 第一に荒木の「自衛隊救出論」の一番のネックは「憲法九条」ではない。「拉致被害者の居場所」がわからないことです。拉致被害者の居場所も分からないのにどこに自衛隊を投入するのか。
 第二に福田内閣も「苦渋の決断」であれをした。喜んで「身代金支払いと赤軍派解放」をしたわけがないでしょう。
 つうか福田内閣超法規的措置を例に出すのならむしろ「犯罪者の赤軍派にすら、人質解放のために金を出してバーター取引をした。国連加盟国の北朝鮮相手に、経済支援でバーター取引して拉致被害者を取り返して何が悪いのか」ではないか?。
 第三に、「北朝鮮への自衛隊投入」について「超法規的措置」や「芦田修正論採用」での正当化が本気で実現できると思ってるのか。ある意味「明文改憲より困難な道」でしょう。
 「明文改憲から逃げて、詭弁に走ってる」との批判は避けられません。
 以前も別記事で書きましたが芦田修正論について言えば

安倍政権の“解釈改憲”/国民だましの全過程2014.6.30
 「有識者懇談会」の体裁をとっていますが、実態は委員すべてが首相と考えを同じくする、「結論ありき」の会合です。大方の予想どおり、集団的自衛権の行使も多国籍軍参加に道を開く集団安保も、海外でのあらゆる武力行使を可能とする報告書を5月15日に提出。「憲法9条の下でも自衛戦争(=侵略戦争以外の武力行使)は許される」とする、「芦田修正」(1946年、政府の憲法改正小委員会での芦田均委員長の提案)の採用を求めました。
◆首相会見(5月15日)、考え“小さく”見せる
 報告書を受け取った首相はただちに記者会見を開き、邦人を乗せた米艦の防護などのイラストを掲げ、「国民の命と暮らしを守る」と力説。「芦田修正」は採用しないと述べる一方、集団的自衛権の「限定的」行使に言及しました。また、「武力行使を目的として他国の戦闘に参加しない」と述べ、安保法制懇と比べて、自身の考えを“小さく”見せたのでした。

ということで「安倍の設置した諮問機関」が「芦田修正論採用」を主張したのに、安倍がそれを否定したという事実が過去にあります。
 これが、赤旗が疑うように「安倍の方針」を「小さく見せるため」に「あえて芦田修正論を諮問機関に出させた」インチキ行為だとしても、大事なことは「安倍ですら芦田修正論採用など出来なかった」という点です。芦田修正論採用など現実的に出来る話ではないでしょう。超法規的措置に至っては「屁理屈ではあっても一応理屈ではある」芦田修正論と違い「法律から逸脱しているがやむを得なかった」という「ただの事実追認、居直り」なのだから「ダッカ事件」のように「そうしないと人質が殺されかねない」「そうすれば救出の可能性が高い」というよほどの事情が無い限り誰も容認なんかしない。自衛隊救出論は「可能性が高い」とはとてもいえない。


韓国人は北朝鮮をどう見ているのか(R4.2.4): 荒木和博BLOG
 6分程度の動画です。動画とは関係なく俺の考えを書けば「荒木が建前」とする「拉致被害者救出」において「韓国政府の協力を得て解決する」という考えに立つなら「韓国人は北朝鮮をどう見ているのか」は重要です。
 実際、米国のキューバへの対応から、日本の北朝鮮への対応を考えてみる - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)も紹介していますが、小泉訪朝においては韓国政府が「『末端の暴走』という形で拉致を認め、拉致被害者を帰国させ、小泉訪朝を受け入れるべきだ」と北朝鮮に働きかけたことがわかっています。
 しかし「アンチ北朝鮮」「アンチ太陽政策(アンチ金大中盧武鉉文在寅)」「戦前日本の植民地統治美化(河野談話否定論)」の荒木なので勿論「拉致被害者救出を韓国政府の協力を得て行う→韓国人は北朝鮮をどう見ているのか、知る必要がある」という話にはなりません。
 荒木曰く「北朝鮮認識は保守与党(李明博朴槿恵の流れ:北朝鮮に敵対的)と文在寅政権(金大中盧武鉉の流れ:より融和的)では違う」。
 今更、荒木が言わなくてもそんなことは分かってる。
 荒木曰く「多くの韓国人は『北朝鮮を脅威』と感じない一方で『早期統一』もありえないと見ており、それほど関心が無い。与党支持、野党支持にしても北朝鮮外交を理由にした支持は決して多くはない」
 まあ、そうでしょうね。我々日本人だって「北方領土(返還の見込みが当面ない)」「北朝鮮拉致(被害者の帰国の見込みが当面ない)」なんか日頃、興味がある人間は「元・北方領土住民」「拉致被害者家族」といった「当事者以外」まずいないでしょう。その結果が「拉致の風化」です。
 さて、「韓国にとっての北朝鮮」としてはもはや韓国(人)にとっては、北朝鮮は「脅威」「打倒の対象」よりもメロドラマのネタ程度のものなのだろう(たぶん日本も同じ 関川某も自分の書いたことを撤回しろとおもう) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)という指摘が重要ですね。もはや北朝鮮は「韓国にとっては軍事的脅威ではない」。
 なお、拉致解決という意味では「中露が北朝鮮をどう見ているか」も重要でしょう。中露は北朝鮮の友好国で、経済支援もしているからです。「日本が北朝鮮経済制裁しても意味が無い」と言われるのも「中露が北朝鮮を経済支援してるから」です。
 しかも現在進行形の「香港問題(中国)」「ウクライナ問題(ロシア)」などで欧米から非難されても「一歩も引かないタフな政治家」がプーチン習近平ですからね。日本が「北朝鮮への経済支援をするな」と言ったところで従うわけもない。

*1:そもそも芦田修正論を大森氏に吹き込んだのは荒木かもしれない。

*2:まあ、実際、「改憲の可能性は決して高くはない」ですが、ここまで「負け犬根性丸出しの発言」は「荒木以外のウヨ」では聞いたことがないですね。まともな人間なら本心はともかくここまで恥ずかしい発言は公言出来ないでしょう。