「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2022年6/18日分:荒木和博の巻)

政府主催国際シンポで早坂勇治さん・胞吉さんスピーチ【調査会NEWS3620】(R4.6.18): 荒木和博BLOG
 早坂勝男氏は特定失踪者であり、北朝鮮拉致扱いするまともな根拠は何もないので馬鹿馬鹿しい限りです。
 それにしても救う会横田拓也家族会代表がオンラインの国連シンポで報告として横田の挨拶を紹介する一方で「特定失踪者家族の挨拶紹介」はなし。荒木の方はその逆と言うことで「荒木グループ」と「西岡、島田らの救う会グループ」の関係は「実は良くないこと」が窺えます。救う会も内心では「特定失踪者なんて拉致の訳がない」「救う会を追放された荒木が飯の種にでっち上げただけだろ」としか思ってないのではないか。


富山アベック拉致未遂事件(R4.6.18): 荒木和博BLOG
 6分57秒の動画です。
 この未遂事件は以下の通り、国会で取り上げられたことがあります。

参院・決算委員会 1980/03/241980.3.24
 江田五月 – 新たな出発の一部です。江田氏*1は故人ですがサイトを残してるようですね(江田氏が拉致に関心があったとは知りませんでしたが)。橋本質問に比べれば「北朝鮮拉致疑惑」を政府が認めてない点でこの質問は知名度が落ちます(質問者は公明党議員)。
◆和泉照雄君
 マスコミ等でも取り上げられた問題でございますが、昭和五十三年の七月から八月にかけて全国で起こった若い男女の蒸発事件*2について警察庁にお尋ねをいたします。
(中略)
 昭和五十三年の八月十五日、富山県で若い男女の誘拐未遂事件が起こっておりますが、事情聴取をしておられると思いますけれども、この未遂事件の状態はどのようになっておりますか。
◆政府委員(中平和水(なかひら・かずみ)君*3
 ただいまお尋ねの事件は、五十三年八月十五日の夕方、正確に申し上げますと、十八時三十分から十九時ぐらいの間に起こっているわけでございますが、富山県高岡市にあります通称・島尾海水浴場の松林の中におきまして、海水浴に来ておりましたアベック*4の、結婚を前提におつき合いをされている男女二人でございますが、これが四人組、大体、年齢三十歳前後の男に襲われまして逮捕、監禁、致傷、けがをさせられた事件でございますが、事件の概要は、事件当日、この高岡市に住んでおります当時二十七歳の男性の方と婚約者の二十歳の女性の二人が海水浴場で遊泳を終わりまして、自分たちが乗ってまいりました自動車の駐車場まで帰る途中、前方から参りました四人組、服装はステテコとかシャツ姿でございますが、そういう男がすれ違った途端に後ろの方から二人に襲いかかりまして、この四人組が持っておりましたタオル、あるいは手製のゴム製のさるぐつわ、あるいは手錠等を使用しましてこの二人を縛り上げまして、それぞれに寝袋様な布袋にこの二人を押え込みまして監禁をいたしまして、数十メートル離れました松林の中に運びましてこの二人を放置して、やがて犯人らは現場を去ってまいった次第でございまして、被害者の二人は少し薄暗くなるまで待ちまして、自力で付近の民家に助けを求めまして、そこから一一〇番をして発覚をした事件でございます。
 この事件を認知いたしました富山県警察では、直ちに緊急配備あるいは検索等のいわゆる初動の捜査措置を講じたわけでございますが、犯人を検挙するに至らなかったわけでございまして、引き続いて犯人の足取り捜査あるいは犯行の用具に使われました布袋、あるいはさるぐつわ等に使用されましたゴム製品、あるいは手錠、タオル等の遺留品等につきましてその製造元、販売経路等について追跡捜査を徹底して実施しておりますが、残念ながら現在のところ犯人を検挙するに至っていないと、こういうことでございます。
(中略)
 私どもといたしましては、これは何としても事件性のはっきりしている富山県の事件の解明をすることがまず第一でございまして、富山県にはそうした三つの事件、三つの若い男女がいなくなった事件との関連があるかどうかということも含めて捜査を鋭意遂げていくように指示をしてございますし、それから犯人にたどり着くのは、何といってもこれは残された遺留品でございますから、遺留品につきましてさらに鋭意捜査を続けてまいると、こういう方針で臨んでいるわけでございます。
 先ほどまた御指摘のありました手錠の問題でございますが、手錠につきましても必ずしも外国製品ということは言えませんで、ある程度総体的に申し上げられることはかなり古い品物であって、しかもかなり、まあ、何といいますか、程度のよくない手錠であると、こういうことが言えるわけでございますが、それがまあ、どこで製造されたものかということにつきましては、証拠上それを裏づけるものは何もないと、こういうことでございます。

1988年3月26日/参議院予算委員会での橋本敦議員の質問(抜粋)1988.3.26
 初めて北朝鮮拉致疑惑を政府が公式に認める「梶山*5国家公安委員長答弁」を引き出した「有名な橋本敦質問」
 城内警備局長答弁は三件の拉致についても回答していますが今回「荒木動画」が取り上げた「未遂事件」と関係ないので紹介は省略しました。また梶山答弁についても紹介を省略しました。
◆橋本敦君
 昭和五十三年七月と八月、わずか二カ月間に四件にわたって若い男女のカップルが突然姿を消す*6という事件が立て続けに起こっているのであります。これは極めて重大な事件でありますが、福井*7、新潟*8、鹿児島*9そして富山、こうなりますが、(ボーガス注:富山の)一件は(ボーガス注:拉致)未遂であります。
 警察庁、簡単で結構ですが、事件の概要について述べてください。
◆政府委員(城内康光(きうち・やすみつ)君*10
 富山県で起きました未遂事件のことでございますけれども、この事件につきましては、八月十五日の午後六時三十分ごろ、海岸端を歩いていた被害者である男女が自分たちの乗車してきた自家用車の駐車場に帰るために防風林の中を歩いていたということで、そうしたら前方を歩いていた四人組がいきなり襲いかかって、防風林内に引きずり込んでゴム製猿ぐつわ、あるいは手錠、タオル等を使用して縛り上げて、それぞれ寝袋様のものに入れたと。そして現場から数十メートル離れた松林内に運んで放置したということで、原因はわかりませんがその四人組はいなくなりまして、その後その男女は別々に自力で脱出いたしまして一一〇番した、こういう事件が発生しております。
(中略)
◆橋本敦君
 未遂事件で遺留した物品があったようですが、これについての検討で犯人像は何か出てきませんか。
◆政府委員(城内康光君)
 遺留品について見ますと、ゴム製猿ぐつわ、手錠、タオル、寝袋などがあるわけでございますが、その使われましたタオルのうちの一本が大阪府下で製造された品物であるということがわかっておりますが、他のものにつきましてはいずれも粗悪品でありまして、製造場所とか販売ルートなどは不明でございます。

参院・決算委員会 1991/06/051991.6.5
 これも江田五月 – 新たな出発の一部です。質問者の尾辻氏は小泉内閣厚労相を務めた自民党議員です。
尾辻秀久
 警察庁、これらの事件につき、捜査状況をお教えいただけますか。
◆説明員(漆間巌(うるま・いわお)君*11
 昭和五十三年の八月十五日に、富山県の沿岸部でアベックが四名の男たちに拉致されそうになった監禁致傷事件というのが起こっておりますが、この事件では、被害者は海岸で突然襲われまして、松林の中に引きずり込まれまして、猿ぐつわ、手錠等を用いて縛り上げられた上、寝袋のような布袋に押し込まれておりました。事件の内容から見て、これは強盗等の目的で行われたものとは考えられておりません。また、現場にゴム製猿ぐつわ、手錠、タオル等が遺留されておりまして、そのうちタオル一本が大阪府下で製造されたものであるということが判明しておりますが、その他のものはいずれも粗悪で、製造場所、販売ルートともに不明でございます。
 これら一連の事件は、その状況あるいは手口等から拉致または拉致未遂事案と考えられておりまして、発生場所が沿岸部であることを考えますと、海外に拉致された、あるいは海外に拉致されそうになった事件であるということで、警察といたしましては、事態の重大性にかんがみまして公開手配するなどいたしまして、これまで鋭意捜査してきたわけでございますが、いずれも手がかりが少なくていまだに解明に至っておりません。
(中略)
 一連のアベック行方不明事案は北朝鮮による拉致という疑いが強いというふうに考えております。

衆院・外務委員会 1997/04/181997.4.18
 これも江田五月 – 新たな出発の一部です。質問者の松沢(後に神奈川県知事、現在は維新所属の2022年参院選・神奈川選挙区予定候補)は当時は新進党の議員です。なお、1997年2月には産経、アエラ、テレ朝による「安明進証言報道」がありました。テレ朝の報道についてはたとえばけっきょく「横田めぐみ拉致問題における安明進証言」などというものにのっかったのが、高世仁が会社をこかした淵源(の少なくとも1つ)ではないか - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)(2021.5.25)、高世仁の幼稚なデマ自慢を平然と垂れ流すNHKの馬鹿さとクズぶりに本気であきれ返る - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)(2022.1.11)を参照ください。
◆松沢委員
 私の得ました情報では、この幾つかの政府が確認している拉致疑惑事件の中に、事件の現場に日本で製造されていないロープというのが遺留されていて、その後の調査で、これは北朝鮮で製造、使用されているものだというふうに韓国側からの発表があったというふうに聞いておりますけれども、その後、警察当局では、このロープを含めた遺留品の関連捜査状況はどうなっているんでしょうか。
◆小林説明員
 今、先生御指摘のような遺留品のロープ、多分これは昭和五十三年の八月の富山のアベック拉致未遂事件のことを指摘されておられると思いますが、御指摘のような遺留品につきましては、当方としては把握しておりません。
 なお、当該事件におきまして、現場にゴム製の猿くつわ、それから手錠、タオル等が遺留されておりまして、そのうちのタオルの一本が大阪府下で製造されたものであることが判明しております。しかしながら、他のものはいずれも極めて粗悪品である、製造場所、販売ルートとも不明ということに、その当時の捜査ではなっております。

参院・決算委員会 1997/05/011997.5.1
 これも江田五月 – 新たな出発の一部です。質問者の吉川氏は森内閣労働相を務めた自民党議員です。
吉川芳男
 富山県で起きた未遂事件の遺留品は日本で製造されたものではないということも明らかになっておりますが、そういうことについて警察庁はどういうふうに調べておられるのか。
◆政府委員(伊達興治(だて・おきはる)君*12
 御指摘のそれぞれの事件、石川県の宇出津事件、それから福井、新潟、鹿児島の海岸での連続発生したアベック行方不明事件、富山の拉致未遂事件、それから韓国で検挙された辛光沫事件、李恩恵の事件等々、これらにつきましては、先ほども申し上げましたように、韓国当局との情報交換も含めて関係各機関と連携しつつ新たな関連情報の収集に当たり、また各事件相互の関連性の調査など所要の捜査を真剣に継続しているところであります。その具体的内容につきましては、体制等も含め捜査上の秘密の保持という観点から答弁は差し控えさせていただきます。

1997年6月5日/参議院法務委員会での橋本敦議員の質問(抜粋)1997.6.5
 1988年の質問から9年後の橋本質問(その1)
◆橋本敦君
 警察庁に伺います。これまで北朝鮮の拉致と見られる、認定された事件の件数と人数はどうなっておりますか。
◆説明員(米村敏朗(よねむら・としろう)君*13
 私どもの方でこれまで北朝鮮による拉致の疑いのある事件と判断しておりますのは七件、十人*14でございます。なお、これ以外に未遂であったと思われるものが一件、二人であると判断しております。

参院・法務委員会 1997/11/131997.11.13
 1988年の質問から9年後の橋本質問(その2)
 これも江田五月 – 新たな出発の一部です。
◆橋本敦君
 法務省刑事局長に伺いますけれども、これらの事件のうち富山における拉致未遂事件ということで五十三年八月十五日に発生した事件は送検をされまして、これが受理されて処分は不起訴処分となっておりますが、多くの証拠物が遺留されておったことは明白だと思います。間違いありませんか。
◆政府委員(原田明夫*15
 遺留品が何点かあったというふうに承知しております。
◆橋本敦君
 それらの遺留品は、例えばゴム製の猿ぐつわといい布袋といい、当時の新聞に大きく報道されておりますが、製造元がどれもこれは日本国内とは考えられない、不明のものだという報道もあり、北朝鮮拉致事件にかかわるものだという重要な証拠資料の一つだと思いますが、どう判断されておりますか。
◆政府委員(原田明夫君)
 具体的な事件の証拠物とその事件とのかかわりということでございますので、法務当局からその点について直接お答え申し上げることは差し控えたいと思いますが、委員御指摘の点はそのように考えられるものだろうと思います。

衆院・法務委員会 1998/03/111998.3.11
 これも江田五月 – 新たな出発の一部です。質問者の木島氏は共産党所属です。
◆木島委員
 外務省、お呼びしているのでお聞きしたいのですが、この七件の事案、あるいは富山での未遂事案について、真相解明、被害者の生存の確認等、外交的にどんな努力をされているのか、御報告願いたい。
◆樽井説明員*16
 本件につきましては、我が国国民の生命の安全にかかわる大変重大な事件*17と心得ておりまして、これまでも、いろいろな北朝鮮側との接触を通じまして、私どもとしてはしっかり北朝鮮側と協議しているということでございます。
 ちなみに、昨年八月に行われました審議官級の予備交渉、引き続いて日朝間の赤十字連絡会議等ございまして、そういう場を通じましても、我が方は、北朝鮮に対しまして、本件の早期調査を強く申し入れている次第でございます。
(中略)
◆木島委員
 先ほど警察から報告があった七件の拉致疑惑容疑、そして一件の富山での拉致未遂事件、これについて、送致を受け、刑事訴訟法に基づく処分をした例はありますか。
◆原田(明)政府委員
 富山におけるアベック拉致事件*18につきまして、昭和六十年七月十五日に富山地方検察庁高岡支部におきまして、被疑者不詳のまま逮捕監禁致傷の罪名で送致を受けた。そして、それにつきましては、当時の状況で時効が完成しているということで、昭和六十年七月十九日に不起訴処分に付されたということを承知しております。
◆木島委員
 この未遂事件の被疑者不詳ということですが、その後北朝鮮による拉致の疑いもあるということで記録は保存しておると。もし北朝鮮による拉致未遂事件だということになれば、これは時効はとまると考えていいんですか。
◆原田(明)政府委員
 もし今後犯人が判明いたしまして、ある期間、海外逃亡中であったという事実が認められますならば、その間の時効の進行は刑事訴訟法の二百五十五条によりまして停止いたしますため、その段階で改めて公訴時効の完成の有無が考慮される、検討されるということになるかと存じます*19

衆院・内閣商工逓信連合審査会 2000/11/062000.11.6
 これも江田五月 – 新たな出発の一部です。質問者の山田氏は民主党所属です。
◆山田(敏)委員
 富山県で昭和五十三年の八月に起こりました拉致未遂事件では、たくさんの物的証拠が残されました、手錠とか目隠しとか猿ぐつわとか。
(中略)
 我が国はアメリカ及び韓国に対して、拉致事件の解明なしには国交の交渉などあり得ないということを明確に言うべきではないかと思います。
 外務省の方、コメントお願いします。
◆荒木*20政務次官
 我が国政府は、米国及び韓国との間では、従来から、極めて緊密かつ頻繁に北朝鮮をめぐる問題につきまして協議をしております。そういう中で、我が国政府より拉致問題についての立場を繰り返し説明し、理解を得ていると思います。

参院・地方行政・警察委員会 2000/11/092000.11.9
 これも江田五月 – 新たな出発の一部です。質問者の浅尾は民主党所属(当時。現在は自民所属の2022年参院選・神奈川選挙区予定候補)です。
浅尾慶一郎
 先ほど一件未遂があるというふうにおっしゃいました。まず、未遂の場合は当然拉致をされそうになった方がまだ日本にいられる。具体的な証拠というものも当然あるわけでありますから、これは未遂罪も当然適用される罪だと思いますが、この未遂のものについては証拠もかなりあるんではないか、あるからこそ未遂だというふうに言えるんだと思いますが、未遂のものについてはどういうふうに考えておりますか。
◆政府参考人(田中節夫君*21
 先ほど申し上げましたように、これは昭和五十三年八月に富山県で発生したアベックの事件でございますが、これは監禁致傷ということで我々は問擬をしているところでございます。
(中略)
 このアベック監禁致傷事件につきましては、いわゆる国外移送ということではございませんで、これは現にその被害者となられた方も我々は確保しておりますし、供述も得ております。これはいわゆる拉致未遂というふうに言えば正しいのかもしれませんけれども、刑法の罪名として問擬する場合には監禁致傷事件ということで問擬をしているところでございます。

赤旗「拉致調査妨害」など事実無根/前参議院議員 橋本敦2002.11.17
 富山での未遂事件の遺留品が日本製のものと判断されないことからみて、国外からの犯行の可能性があるとの強い心証を得ていた。
 警備局長は、富山事件の遺留品について「製造場所とか販売ルートなどは不明」、つまり日本製でないかもしれないことを認めた。

 つまり「特定失踪者=荒木のインチキ拉致」と違い「モノホン、マジの北朝鮮拉致(未遂ですが)」と評価されていますがそれはさておき。
 こんなもんを今更云々して何の意味があるのか。
 「拉致未遂」である以上「救出しなければいけない拉致被害者」はいない。現実問題として「実行犯の逮捕」もできそうにない。
 「この拉致未遂を、被害者証言や遺留品(ゴム製猿ぐつわ、手錠、タオル、寝袋など)などを元に、『遺留品にハングルが書いてあった』などの理由で、橋本質問より早い段階で北朝鮮拉致と認定できなかったか」と今更警察や政府に悪口しても「今後の問題解決(拉致被害者帰国)」につながるわけではない。
 「1988年の橋本質問当時」はともかく今となっては「議論する必要は全くない代物」です。荒木のバカさにはいつもながら呆れます。拉致解決(拉致被害者帰国)に直接つながる話をしろと言いたい。
 それにしても「反共右翼の荒木」では予想の範囲内ですがこの拉致未遂について動画内で「産経の阿部雅美*22の記事ガー」とは言っても「橋本質問ガー」とは全く言わないのには心底呆れます。
 さて「荒木の動画から話が離れますが」興味深いのは以下のやりとりです。

参院・法務委員会 1997/11/131997.11.13
◆橋本敦君
 それで刑事局長、この記録でございますが、これが廃棄処分にされているということでございます。しかし、(ボーガス注:犯人が国外逃亡している疑いが強い*23ので)時効は完成していない事件だと私は見てよいと思うんですが、時効の点はいかがですか。
◆政府委員(原田明夫君)
 時効の点は、当時昭和六十年七月十九日の段階で、本件につきましては富山地方検察庁高岡支部におきまして、被疑者不詳のまま逮捕監禁致傷の罪名で送致されたもののようでございます。逮捕監禁の法定刑は、十年以下の懲役ということでございますので公訴時効は七年と定められております。本件につきましては、(ボーガス注:昭和53年7月の事件について公訴時効7年が経過したことで、昭和60年7月に)一般的には公訴時効は既に完成したということで不起訴処分に付せられたものでございます。
 もっとも、今後犯人が判明いたしまして、その犯人が海外にいるということになりますれば、その間の時効の進行は停止いたしますために、その段階では公訴時効の完成の有無が改めて検討されるべきことになるだろうと思います。
◆橋本敦君
 理論的にはそのとおりであります。だから、国外逃亡ということになれば時効中断ということで新たな事件再起の捜査が必要ですね。これらの証拠物件*24が処分されてしまっているという問題については、今後の捜査の支障の有無についてどうお考えですか。
◆政府委員(原田明夫君)
 一般的にはその事件に関して証拠物は重要でございますが、先ほど申し上げましたようないきさつで不起訴処分になった後廃棄されたということのようでございますので、その点については事件解明について遺憾である*25と言わざるを得ないと思います。

というやりとりです。 
 この原田答弁を信じるならば、「1985年(昭和60年)7月に遺留品を廃棄した時点」では日本政府は富山事件(1978年7月)を「北朝鮮の犯行とは見なしてなかった(犯人が国内にいる普通の刑事事件と判断していた→だから時効が1985年に成立する)」ということです。
 「1985年(昭和60年)7月に遺留品を廃棄した時点」から「1988年3月の梶山答弁」の間に「北朝鮮の犯行の疑い」という認識に変わったと言うことです。それは素直に考えれば大韓機爆破事件(1987年11月)についての「金賢姫の自白」で「認識が変わったと言うこと」なのでしょうが。

*1:社民連代表、細川内閣科技庁長官、参院議長、菅内閣法相など歴任

*2:この当時は拉致と表現されてない。なお「蒸発=失踪」ですね。今村昌平監督人間蒸発 - Wikipedia(1967年)、夏樹静子『蒸発:ある愛の終わり』(1973年の日本推理作家協会賞受賞作品)などの「蒸発」です。最近はあまり失踪のことを「蒸発」といわない気がします

*3:1924~1993年。佐賀県警本部長、警察庁刑事局捜査第二課長、刑事局捜査第一課長、警視庁刑事部長、総務部長、愛知県警本部長、警察庁刑事局長など歴任

*4:カップルのこと。最近はあまり「アベック」といわない気がします

*5:竹下内閣自治相・国家公安委員長、宇野内閣通産相、海部内閣法相、自民党国対委員長(海部総裁時代)、幹事長(宮沢総裁時代)、橋本内閣官房長官など歴任

*6:「つまらない揚げ足取り」ですが、4件のうち1件は未遂なので「姿を消す」は明らかに言い間違いです。「姿を消す」というなら「三件」が正しいし「四件」というなら「若い男女のカップルのうち1件は拉致未遂で残り三件も同様の拉致の疑いが否定できない」とでも言うべきではあります。

*7:地村夫妻の拉致

*8:蓮池夫妻の拉致

*9:政府認定拉致被害者である市川修一氏、増元るみ子氏の拉致

*10:群馬県警本部長、警視庁公安部長、警察庁警備局長、警務局長、次長、長官など歴任。「拉致調査妨害」など事実無根/前参議院議員 橋本敦によれば1988年の質問当時、警察庁警備局長

*11:愛知県警本部長、警視庁副総監、大阪府警本部長、警察庁警備局長、次長、長官、麻生内閣官房副長官など歴任

*12:警視庁警備部長、千葉県警本部長、北海道警本部長、警察庁警備局長など歴任

*13:秋田県警本部長、警視庁公安部長、大阪府警本部長、警視庁副総監、警察庁警備局長、警視総監、内閣危機管理監内閣官房参与など歴任。米村氏については人間考えることはそんなに異ならないらしい - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)も参照ください。

*14:数字は橋本質問当時。現在では政府認定拉致被害者は「12件、17名」(政府認定の拉致被害者|外務省参照)

*15:1939~2017年。法務省刑事局公安課長、刑事局刑事課長、盛岡地検検事正、法務省刑事局長、法務事務次官、東京高検検事長検事総長など歴任

*16:外務省アジア局中国課長、外務省総合外交政策局安全保障政策課長、中国公使、外務省大臣官房審議官(アジア局担当)、クウェート大使、軍縮大使、沖縄担当特命大使など歴任

*17:日朝平壌宣言の『日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題』とよく似た表現ではあります。

*18:正確には「未遂事件」

*19:とはいえ「国外逃亡を理由に時効が停止するとしても犯人逮捕なんか無理だよ」が警察、検察の本心でしょうが。

*20:森内閣外務政務次官、外務副大臣公明党参院政策審議会長など歴任

*21:宮城県警本部長、警察庁交通局長、次長、長官など歴任

*22:産経東京本社社会部長、サンケイスポーツ編集局長、産経東京本社編集局長、常務、産経デジタル社長など歴任。著書『メディアは死んでいた:検証・北朝鮮拉致報道』(2018年、産経新聞出版

*23:北朝鮮に逃亡したよど号事件がわかりやすいですが、国外にいる期間は、時効は停止します。ミステリ小説、ドラマで「国外にいる期間は時効がとまること」はよく描かれるのでご存じの方も多いかと思います。

*24:ゴム製猿ぐつわなどの遺留品のこと

*25:とはいえ「遺留品を残しておいても犯人逮捕なんか無理だよ」が警察、検察の本心でしょうが、さすがに「廃棄は遺憾だった」と建前上は言わざるを得ない。