今日の中国ニュース(2022年10月25日分)

【産経抄】10月25日 - 産経ニュース

 荀子は「人の性は悪」だとして、性善説を厳しく批判する。「師法」や「礼儀」によって矯正されて、ようやく「善なる者」となる、というのだ。

 「人の性は悪」かどうかはともかく「教育が重要」なのは事実です。周囲がろくでもない人間ならそれに影響されて劣化するのが普通の人間です。

 「虎*1もハエ*2も同時に叩く」。
 今回の共産党大会で、習氏が成果をアピールした「反腐敗闘争」は、確かに「性悪説」が根底にあった。
▼もちろん習氏が著書や講話で取り上げてきた古典は、荀子だけにとどまらない。唐王朝の第2代皇帝、太宗の言葉を紹介した貞観政要も含まれる。忠臣が諫言しそれを君主が広い心で受け入れるのが、あるべき君臣の道だと説いている。
▼習氏が固執する「ゼロコロナ」と「共同富裕」の理念も、人の勝手な行動を戒める荀子の主張につながっている。

 「はあ?」ですね。反腐敗闘争、ゼロコロナ(コロナ撲滅のための厳しい行動規制)はともかく、「共同富裕(所得再分配による格差是正)」のどこが「性悪説」なのか。
 いずれにせよ習氏の「反腐敗闘争」「ゼロコロナ」「共同富裕」は「総論賛成、各論反対」的な話です。産経のように「中国に悪口雑言してすむ話」ではない。
 習氏の手法の是非はともかくどこの国でも「反腐敗闘争(政治家や官僚の汚職撲滅)」は重要な問題です。
 中国ほど厳しくないとはいえ、日本も含めてほとんどの国はコロナについては「マスクの着用」「移動規制」などの行動規制を何らかの形でしてきた。「共同富裕(所得再分配による格差是正)」にしても習氏の手法の是非はともかく、それをやらない国はまともな国ならどこにもないでしょう。
 なお貞観政要ですが

【この本と出会った】明治書院社長・三樹蘭 『座右の書「貞観政要」』 先人の知恵、究極の実用書(1/2ページ) - 産経ニュース2019.6.2
 貞観政要とは、中国・唐の皇帝・太宗(李世民)と群臣との対話を収めた漢文の書籍で、「帝王学の定番」といわれる。日本では中世以後の武家社会で特に重んじられ、現在でも多くの経営者が「必読書」として挙げている。

第207回臨時国会における茂木敏充幹事長代表質問 | 政策 | ニュース | 自由民主党2021.12.8
 中国史上最高の名君と謳われた唐の二代皇帝、太宗はその言行録貞観政要の中で、「チームの力」を強調し、「諫言に耳を傾けよ。さすれば国はよく治まる」と語っています。まさに、総理が重視する「聞く力」だと思います。

プーチン氏「人の鏡を持っていない」 楽天グループ三木谷氏が指摘 - 産経ニュース2022.4.1
 三木谷氏は新入社員へのあいさつで、古代中国の唐王朝で名君といわれた太宗の言行録貞観政要を引用し、「身なりを整える『銅の鏡』、過去から学ぶ『歴史の鏡』、他人の意見に耳を傾ける『人の鏡』を持ってほしい」と話し、「さらに世界からどう見られるかという『世界の鏡』も必要だ」と付け加えた。

懐中の一冊 「貞観政要」 シューマート社長 霜田清さん|信濃毎日新聞デジタル 信州・長野県のニュースサイト2022.5.21
 靴販売のシューマート(長野市)社長の霜田清さん(55)は、中国・唐の2代皇帝太宗とその臣下らの問答を収めた貞観政要を会社のデスクの傍らに置いている。27年前、創業者の故・岡宮秀明さんから手渡された。同書は今も経営者になった自身を見つめる機会を与えてくれている。

原点守りつつ成長 吉本興業・岡本昭彦社長の座右の書: 日本経済新聞2022.10.15
編集委員・鈴木亮
 社長就任直後の2019年7月、所属芸人の不祥事で責任を問われ、記者会見は5時間半にわたった。
◆岡本
 あの時、吉本は大きな転機を迎えていた。昭和から平成にかけて、吉本は東京に進出、テレビというメディアを通じて急成長した。令和になり、これまでなら問題なかったこと、大目に見てもらえたことが許されなくなった。そんな時期に社長になり、読み返したのが、今や座右の書となった貞観政要だ。
 中国の古典、貞観政要は唐時代の名君、太宗の言行に学ぶ帝王学の書。愛読する経営者も多い。貞観政要の重要なポイントの一つが「守成」だ。守成とは創業の原点を守りながら、組織を育てること。吉本にとっての守成とは何か。次の100年に向けて基盤を固め、成長するために今、何をなすべきか。所属芸人との契約を完全書面化し、仕事の中身を厳格にチェックし、すべてはお客様の笑顔のため、という吉本の原点を再確認した。
 あの期間、たくさんの芸人と話し、驚いたのは、彼らがテレビより劇場の仕事を増やしてほしいと訴えてきたこと。劇場こそ吉本の原点と考える。トップの思いを若手芸人たちが共有していたことに驚き、感激した。目には見えない吉本のDNAが継承されていると実感した。

と言う記事(本当にこうした人間が貞観政要を読んでるのか知りませんが)で分かるように日本においてもこの本は長く「帝王学の書物」として評価されてきました。


中国軍幹部人事も台湾統一念頭 習近平氏の側近ずらり: 日本経済新聞

 現副主席の張又俠氏は異例の続投が決まった。72歳と高齢で、本来なら党大会時に68歳以上は引退する慣例に該当する。
 「習氏の父親である習仲勲元副首相」と「張氏の父親」は国共内戦時代の戦友で、習氏と張氏も昔から親密な関係にあるとみられている。
 現軍事委メンバーである苗華政治工作部主任も続投が決まった。福建省にある第31集団軍の出身で習氏が福建省勤務時代に知り合った。軍の関係者は「両氏は30年来の仲で強い信頼関係で結ばれている」と話す。

という「習近平氏と関係の深い人間が多数メンバー」と言うことが分かるのは便利ですが、結論が酷すぎる。 

 台湾の武力統一も選択肢に軍拡を加速する見通しだ。
 「祖国の完全統一は必ず実現しなければならず、必ず実現できる」とも話し、習指導部の3期目の事実上の公約に位置づけた。

 日経の言う「祖国の統一(台湾統一)が第3期の公約」云々が「第3期中(2022~2027年の5年間)に武力を使ってでも絶対に統一」を意味するのなら*3「台湾が独立宣言しない限り侵攻しない」が、中国の方針なのでデマも甚だしい。
 「祖国の統一」云々は単に「台湾独立を画策していると疑われる蔡英文政権への政治的牽制」にすぎないでしょう。
 もはや日経は「産経と違わない反中国」と言っていいのではないか。

*1:習政権時代に摘発された腐敗官僚のうち周永康(国土資源大臣、四川省党委員会書記、公安大臣、党中央政治局常務委員(党中央政法委員会書記兼務)などを歴任。後に無期懲役刑)のような「政府中枢の大物」のこと

*2:腐敗官僚のうち小物のこと

*3:文脈から見て恐らくそうなのでしょうが