今日の産経ニュース(2022年10/29分)

【産経抄】10月29日 - 産経ニュース

 かねて不思議に思うことがある。人間社会の複雑さや人間関係の大切さと難しさを痛感し、本音と建前を使い分け*1暮らす大人が、なぜ政治にはひたすら分かりやすさと清廉潔白を求めるのか。
▼人気作家の池波正太郎は、戦国時代から幕末・維新までの歴史上の人物を論じた『男の系譜*2』で語る。
「『正義の政治』だの、『清潔な政治』だなんていう政治家は絶対信用しないね。汚いものの中から真実を通してゆく、それが政治家なんだ」
 池波はエッセー『男のリズム*3』ではこう指摘する。
「近頃の日本は、何事にも、『白』でなければ、『黒』である。その中間の色合が、まったく消えてしまった」
▼池波はそれを「融通」と呼んだ。政治が教条的になり臨機応変な対応を忘れ、一面的な正義ばかり追求*4していては、国は全体主義へと向かいかねない。

 まあ、池波の代表作『鬼平犯科帳』では鬼平こと長谷川平蔵は「業績を上げる(盗賊を捕縛する)ために非合法な手段(盗賊上がりの密偵を使う)を使っています」し、『仕掛人・藤枝梅安』に至っては「暗殺対象」が「人でなしの外道」ということで「仕掛人(殺し屋)の梅安(表の顔は医師)」がヒーローとして描かれてますからねえ。そういう価値観を池波が持っていても不思議ではないかもしれない(池波が産経のように「自民党汚職に甘かったのかどうか」は知りませんが)。
 それはともかく、「わかりやすさ」はともかく「清廉潔白さ」は「原則として」当然でしょう(「例外」については後で簡単に書きます)。
 「自民党応援団」産経が「モリカケ桜疑惑、統一協会癒着の安倍元首相」「事務所費疑惑の寺田総務相」など自民党の腐敗、疑惑を正当化したいことはよく分かりますが、産経も「細川首相の佐川ヤミ献金疑惑」「鳩山首相故人献金疑惑」「小沢民主党幹事長の西松建設疑惑」「辻元議員の秘書給与詐取問題」等、非自民政権や野党の疑惑、不祥事では「清廉潔白」を求めてきたのでデタラメ極まりない。
 大体この産経の理屈「清廉潔白より政治的業績ガー」なら「ニクソン訪中の手柄で、ニクソンウォーターゲートを」「田中訪中の手柄で、田中の金脈疑惑やロッキード事件を」免罪できてしまう。そんなおかしな話はない。
 なお、「わかりやすさ」について言えば「複雑な物」は複雑にしか語れないのは事実です。
 過剰な「わかりやすさ」の追求は「大阪都構想で全てはバラ色」のようなデマ政治を生みかねない。
 但しその一方で「できる限りわかりやすく説明する努力」は必要です。勿論「相手を煙に巻いてごまかす為にわざとわかりにくく説明する」なんてのは論外です。
 ちなみに「清廉潔白でなくていい、業績さえ上がればいい」と俺が「例外的に」思うのは「北朝鮮拉致問題」ですね。
 「ダッカ事件での超法規的措置赤軍派解放と身代金支払い)」もそうした考えの一例でしょう。
 「拉致被害者帰国が実現できるのなら北朝鮮に経済支援して構わない(いわゆるバーター取引論)」と俺は思っています。
 ところが「清廉潔白でなくていい、業績さえ上がればいい」なんて記事をこのように書いて「自民の腐敗」を擁護しようとする産経が拉致問題では「バーター取引論」については「その通りだ。清廉潔白でなくていい、業績(拉致被害者帰国)さえ上がればいいのだ。バーター取引すべきだ」とは言わずに「泥棒に追い銭か」「北朝鮮に舐められてたまるか」「そんな汚い話があるか」と「清廉潔白」であることを主張するのだから呆れます。


<独自>国葬検証へ有識者ヒアリング 年内に報告書、ルール策定へ - 産経ニュース
 岸田のやる有識者ヒアリングでは「自分たちに都合のいい有識者」を使って「国葬正当化」としか思えませんが、ひとまずは様子見ですね。出てきた報告書については野党各党、マスコミなどが批判をするでしょうし。


菅前首相、日印協会長就任へ 安倍元首相の後任 - 産経ニュース
 どういう基準で会長を決めてるのかと聞きたくなります。「前会長」安倍との距離感か?


立維共闘「効果上がっている」 立民・岡田幹事長 - 産経ニュース
 支持率が上がったわけでもなく、一体何の効果が上がったのかと聞きたくなります。
 代表在任中は「共産を含む共闘」を進めた御仁なので「共産を含む共闘破壊」を明らかに目的としている「維新との共闘」という「泉の暴走」を少しでも阻止することを「多少」期待していたのでげんなりです。
 とはいえその岡田ですら「地方支部の反発」に「国会で法案を共同提出しただけ、維新との選挙協力は考えてない」と言い訳せざるを得ませんが。何故地方支部が反発し、それに岡田が気を遣うかと言えば、「共産を含む共闘」を壊したらそれに代わる何かは「ないから」でしょう。「共産を含む共闘」が一定の成果上げた反面、維新は選挙協力する気があるか怪しいし、そもそも大阪以外では維新は大して力もない。一方で維新が力のある大阪では「維新にとって立民と共闘する理由がない」。


新ワクチン、接種率4% 開始1カ月…流行小康状態、危機感薄く - 産経ニュース
 「危機感が薄い」というのもあるかもしれませんが、それよりも「何をどうしていいのかわからず混乱してる」と言う面が大きいのではないか。
 小生も正直困惑していますし、今のところ「ファイザー→モデルナ→モデルナ」の三回接種*5しかしていません。
 当初はワクチンはファイザーしかなかったので迷うことはなかった。今は「モデルナ」「アストラゼネカ」「オミクロン対応ワクチン」といろいろと増えた。また「三回接種以上はあまり効果がない」という指摘もあるし「自治体からの接種通知も来ない」ため「何をどう接種するのが一番適切なのか」分からず困惑してるのではないか。つまりは国や自治体の広報が大事だと言うことです。


【深層リポート】沖縄発 危うき知事の国連提起表明 中国の介入招く恐れも - 産経ニュース

 国連の自由権規約委員会が2008年、日本政府に対し、(ボーガス注:沖縄基地問題との関連で)沖縄の人々を「先住民族」と認め、(ボーガス注:米軍は?)土地などを侵害してはならない-と勧告したのである。
 (ボーガス注:2008年勧告を元にデニー知事が沖縄県民は)「抑圧された先住民族」であり、「日本政府に基地負担を押し付けられている」と国連で訴えればどうなるか。米国をはじめ西側諸国は相手にすまい。しかし中国は、もろ手を挙げて賛同するだろう。人民解放軍が沖縄を「解放」する口実にもなる。

 「中国ガー」といえば何でも正当化できると思ってるのかと産経のバカさに心底呆れます。
 国連勧告の是非はともかく*6、国連勧告は「沖縄基地問題の現状」を批判してるだけで中国の軍事介入(産経の言う「解放」)を正当化してるわけではない。また、沖縄に自衛隊や米軍が駐留してるのに軍事介入するわけもない。
 大体、この産経の理屈なら「ウイグルチベット問題での国連の中国批判」を理由に「チベットウイグル」を米軍が解放(軍事介入)できることになりかねませんが、そんなことは勿論ない。
 そもそも「中国の一部」扱いしている台湾や尖閣*7ならともかく、沖縄本島に侵攻する大義名分がどこにあるのか。


〈特報〉テロから武力侵攻想定へ 「住民不在」で実効性に疑問も、国民保護訓練 - 産経ニュース
 馬鹿馬鹿しくて心底呆れます。どこの外国が武力侵攻するというのか。

*1:これだって程度問題です。あまりにも使い分けが酷ければそれは『嘘も方便』で済む話ではない。

*2:新潮文庫

*3:角川文庫

*4:むしろこういう詭弁で権力者の不祥事を容認することの方が全体主義を生み出すでしょう。わかりやすい例がロシアのプーチンです。

*5:三回接種後に見事にコロナ感染で発熱した(但し軽症で済み自宅療養)ので「重篤化予防効果はあっても、感染予防効果は限定的(完全な感染予防はできない)であること」を身をもって実感しました。

*6:俺は是の立場ですが

*7:尖閣も沖縄の一部ではありますがここでの産経の主張は明らかに「尖閣限定ではない」でしょう。