今日の産経ニュース(2023年2/3日分)

【大手町の片隅から】なぜ共産党は激高するのか コラボ問題の国会質問に 乾正人 - 産経ニュース
 批判を「激高」と書いて「痛いところを突かれて逆上した感情論(コメント欄で指摘があるようにそれは安倍のモリカケ桜などの不祥事での「安倍信者」産経の態度でしょうが)」扱いしようとする辺り産経らしいくだらなさです。
 ついでに言えば例えば

◆「原爆投下は正しかった」と米国が言えば被爆者は
◆「シベリア抑留は正しかった」「クリル諸島北方領土)はロシア固有の領土だ(これは日頃からロシア派普通に言ってると思いますが)」とロシアが言えば「抑留経験者や元島民」は

激高するでしょう。
 だからといって誰も「激高する」人間を、今回「反共右翼」産経が共産党を小馬鹿にするようには、小馬鹿にしたりしない(むしろ産経もロシア相手には激高するでしょう)。「激高するかどうか」と、それが「正しいかどうか」は全く関係が無い。
 自分にとって「許せない暴言(実際どうなのかはひとまず置きます、俺も「アンチ中国」id:Mukkeid:kojitakenの俺に対する『激高(中国シンパ呼ばわり)』、一部の犯罪被害者遺族の裁判所への『激高』や、増元照明蓮池透氏への『激高』が正しいとは全く思いませんので。従って名古屋闇サイト事件における被害者の母親の主張を批判する(1) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)には共感します)」と思えば人間は激高することがあると言うだけの話です。
 産経が美化する拉致被害者家族会だって石井一氏の主張は、とくに暴論でも突飛な意見でもない - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)が指摘するように「彼らにとって許せないらしい発言」にはいろいろと激高してますし、それを正論として持ち上げてきたのが産経の訳です。


【阿比留瑠比の極言御免】石原氏 風穴開けた慰安婦問題 - 産経ニュース
 石原氏*1(竹下*2、海部*3、宇野*4、宮沢*5、細川*6、羽田*7、村山*8内閣で官房副長官)が河野談話について阿比留が評価するような「否定論」なのか無知なので知りませんが、仮にそうだとしたらそれは「石原氏が非常識右翼」なだけです。
 そして阿比留のようにそんな「非常識な点」を褒めるのは例えば

半藤一利氏についてその『ハニートラップ説』を褒める(やっぱり半藤一利氏ってトンデモじゃんとあらためて思った(追記あり) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)参照)
本多勝一、進藤栄一氏についてその『ルーズベルト陰謀論』を褒める(この人たち(本多勝一氏と進藤栄一氏)大丈夫かと本気で思った(デマ本を真に受けて、ルーズヴェルト陰謀論を本気で信じている馬鹿な人たち) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)参照)
本多勝一氏についてその『トンデモ医学論』を褒める(けっきょくこれらの本を読めば、本多勝一氏の東洋医学の本など根本から崩壊してしまう(高橋晄正氏の著書) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)参照)

ようなもんで客観的には「日本皇民党の褒め殺し」のようなものでしかない。まともな人間なら「半藤、本多、進藤著書」を一定程度評価する人間でもこれらの行為に呆れるように、石原氏の知人友人でも「何というバカなことを石原はしたのか」と嘆くような話です。
 さすがに石原氏(1926*9~2023年)の没後にそんな非常識な褒め方をするのは産経くらいなもんです。
 他のメディアは以下の通りです。

元官房副長官の石原信雄さん死去、96歳…官僚トップとして7人の首相に仕える : 読売新聞オンライン
 昭和天皇崩御に伴う改元大喪の礼、国連平和維持活動(PKO)協力法*10や、政治改革関連法の成立*11などを裏方として支えた。

石原信雄氏死去 96歳 元官房副長官で歴代最多7つの内閣支える | NHK | 訃報
 副長官在任中は、昭和天皇崩御に伴う改元大喪の礼*12などを事務方として支えたほか、阪神・淡路大震災の復旧や復興*13にも尽力しました。
 去年、海部元総理大臣が亡くなった際には、NHKのインタビューで「湾岸戦争多国籍軍自衛隊が加わるかどうか議論になったとき、海部氏は、終始『自衛隊を武力紛争を伴う場所に派遣すべきではない』という意見を貫き、なんとしても武力ではなく交渉で事を収めようという徹底した平和論者*14だった」と話していました*15

 なお、コメント欄でも指摘がありますが、そもそも石原氏は河野談話が出たとき(宮沢内閣)の官房副長官です。
 また「コメント欄では指摘がないですが」、しかも「河野談話の立場に立って、慰安婦に償い金を渡したアジア女性基金」の副理事長まで務めている
 なお、基金役員の他の面子は

女性のためのアジア平和国民基金 - Wikipedia参照
【理事長】
◆村山元首相(1924年生まれ*16
【副理事長】
大鷹淑子氏(1920~2014年)
 戦前は李香蘭、戦後は山口淑子(結婚前の本名)の芸名で女優活動。1958年に結婚のため、芸能界を引退するが、1969年にフジテレビのワイドショー『3時のあなた』の司会者として復帰、1974年3月まで務めた。1974年から1992年までの18年間、自民党参議院議員を3期務めた。 
評議員会座長】
赤松良子氏(1929年生まれ)
 労働省婦人局長、ウルグアイ大使、細川、羽田内閣文相、日本ユニセフ協会会長など歴任
【専務理事】
◆和田春樹氏(1938年生まれ*17
 東大名誉教授。著書『慰安婦問題の解決のために』(2015年、平凡社新書)、『アジア女性基金慰安婦問題』(2016年、明石書店)、『慰安婦問題の解決に何が必要か』(2020年、青灯社)
【理事】(名前順:一部のみ紹介)
◆金平輝子氏(1927年生まれ)
 東京都福祉局長、副知事、日本司法支援センター(法テラス)理事長など歴任
◆宮崎勇氏(1923~2016年)
 元・経済企画事務次官。退官後は大和証券経済研究所理事長、村山内閣経済企画庁長官など歴任

などです。
 石原氏は副理事長として

韓国における事業終了に関する石原信雄副理事長の発表
 この事業は終了いたしますが、慰安婦」の方々に対し、日本政府および日本国民が示す、深い反省と歴史の教訓とする決意は不変であります。

という談話まで出している。
 つまり、この産経の石原美化は、「お前は事務次官時代は朝鮮学校無償化除外を容認してた!」「何故当時今のように批判しなかった」などという産経の前川元次官批判(例えば【朝鮮学校無償化訴訟】菅義偉官房長官「文科省前次官の前川氏が官房長として決裁した」 朝鮮学校授業料無償化の適用除外めぐり言行不一致を批判 - 産経ニュース参照)と矛盾しないのか(前川氏以外にもそうした「当時はお前は容認してた、今頃批判するな」という産経の物言いはあると思いますが、今思いついたのが前川氏なので例にあげました)。
 石原氏については「官房副長官時代に宮沢内閣に抗議して辞任しろとでも言うのか!、村山の要請を断ってアジア女性基金の副理事長就任を拒否しろというのか*18、それは酷だ」「良心の呵責に耐えかねて今告白した,それを評価して何が悪い」つうなら前川氏も話は同じですし、前川批判の理屈なら、前川氏同様「今頃言うな!」「アジア女性基金の副理事長をやったくせに何を言っているのか!」と言う話です。どっちにしろ産経の石原評価(石原は河野談話否定派)が正しいとしても「(コメント欄で指摘があるが)官房副長官を引退してほとんど過去の人*19」「既に彼の告白時には河野談話は歴代内閣(安倍内閣含む)が踏襲して事実上、国是*20」「彼の主張は彼の一方的な主張に過ぎず、河野氏など他の人間はそんなことを認めてない*21」なので「そんな告白に何の意味があるのか」ですね。  

*1:自治事務次官、官房副長官など歴任

*2:佐藤、田中内閣官房長官、三木内閣外相、大平、中曽根内閣蔵相、自民党幹事長(中曽根総裁時代)などを経て首相

*3:自民党国対委員長(三木総裁時代)、福田、中曽根内閣文相などを経て首相

*4:田中内閣防衛庁長官自民党国対委員長(三木総裁時代)、福田内閣科学技術庁長官、大平内閣行政管理庁長官、中曽根内閣通産相、竹下内閣外相などを経て首相

*5:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、福田内閣経済企画庁長官、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相などを経て首相

*6:熊本県知事、日本新党代表を経て首相

*7:中曽根、竹下内閣農水相、宮沢内閣蔵相、羽田内閣副総理・外相を経て首相

*8:社会党国対委員長、委員長を経て首相

*9:1926年生まれの著名人としてはフィデル・カストロキューバ首相(2016年死去)、江沢民中国国家主席(2022年死去)などがいる。

*10:海部内閣時代

*11:細川内閣時代

*12:竹下内閣時代

*13:村山内閣時代

*14:まあ海部氏は三木派出身ですからね。とはいえ「リベラルの宮沢派」の流れをくむ岸田が大軍拡を主張するように三木派も今や「三木派の流れにある高村正彦高村派会長)が自民党副総裁、大島理森(大島派会長、議長就任時に党籍離脱慣行に従って会長を辞任)が衆院議長(第二次安倍総裁時代)」と「安倍に忠誠を誓うことで重用され」、あげくは「山東会長時代に派閥を解散し、麻生派(麻生は第一次安倍政権外相、第二~四次安倍政権財務相を務めた安倍側近)に合流」と完全に右傾化していますが。一方で安倍派は右翼派閥ですから、自民党は完全に右傾化しています。安倍の復権(第二次政権誕生)がつくづく悔やまれます。

*15:こうしたNHK報道の思惑はやはり岸田批判でしょう。

*16:1924年生まれの著名人としては竹下首相(2000年死去)、ブッシュ父大統領(2018年死去)などがいる。

*17:1938年生まれの著名人としては細川首相などがいる

*18:産経の石原評価(石原氏は河野談話否定派)が正しいなら村山氏も口には出さないにしても「石原の野郎、ふざけてる」と怒り心頭でしょう。

*19:ウヨ業界を除けば、前川氏の加計告発ほどに騒がれなかった。

*20:産経の主張が正しいとして「安倍内閣だから、今まで隠していた右翼の地金が出た」か、「安倍内閣から恫喝されて屈服し、そういう発言をした(例:森友問題での財務官僚)」かどっちにしろ石原氏の行為(安倍時代の行為)の背景はろくなもんではないでしょう。安倍内閣でなければそういうことをやったかどうか。

*21:例えば、前川氏の加計告発で名前が出た首相補佐官は「圧力などかけてない」といい産経も「どちらが正しいか真偽不明(普通に考えて前川氏の方が正しいでしょうが)」と主張したくせにこの件では「石原が正しい、河野は嘘つき」とするのだから、まあデタラメです。