今日の中国ニュース(2023年3月13日分)(副題:サウジ、イランの和解ほか)

サウジアラビアとイランが国交回復 国連事務総長が中国の努力に感謝の意--人民網日本語版--人民日報
 中国がその外交力を世界にアピールしたと言えるのでしょう。
 そして中国が世界から孤立してるかのような反中国右翼の物言いがデマであることが証明されたと言っていいでしょう。
 こうした動きについて「欧米側がどう評価してるのか」も気になるところです。
 【1】「中国が外交力を示したことは脅威だ」という不快な思いと
 【2】「事情がどうあれイランとサウジが国交正常化したことは緊張緩和の意味で良かった」という安堵の入り交じった「複雑な評価」なのか。
 なお、ネット上で指摘があったので気づきましたが、こうした中国の行為は「(独立宣言しない限り)台湾侵攻意思の無さ」を示してるし、中国もそうした宣伝意図もあるのではないか。
 「対話外交」を掲げ、サウジ、イランの関係改善(戦争勃発阻止の方向)に動いた中国が、台湾問題では「独立宣言もないのに侵攻」では説得力に著しく欠けるからです。


イランとサウジアラビア、外交正常化で合意 中国が仲介 - 日本経済新聞

 中国主導による中東の大国の和解実現は米国の指導力低下を印象づけ、長期的には世界秩序を揺さぶるリスクとなりかねない。

 有料記事なのでここまでしか読めません。id:Bill_McCrearyさんも拙記事コメント欄及び反中国も、こじらせるとここまで馬鹿になる - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)*1で批判していますが「反中国だとそういう評価になるのか?(唖然)」ですね。むしろ「事情がどうあれイランとサウジが国交正常化したことは緊張緩和の意味で良かった」ではないのか?。
 あそこで戦争なんか起こっても迷惑でしょうに。
 大体

反中国も、こじらせるとここまで馬鹿になる - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
 福冨記者も、仲介国が中国でなければもっと称賛するのでしょう

ではないのか。さすがに仲介者が「ロシア」だったら(『反米国家だ』『独裁的国家だ』等という中国と同様の評価から)悪口するかもしれませんが「英仏独(親米国家、民主国家)」などだったら恐らく高評価でしょう。
 そもそも中国が「仲介した」にせよイラン、サウジとも「自主判断での和解」でしょうし、「中国を経済大国、貿易相手国として重要視はしてる」でしょうが、別に両国は中国を「親分」として崇めてるわけでもない。「米軍を駐留させる親米国家」サウジがこの件で「米国から距離を大きく置く」ようなこともないでしょう(勿論米国の方もこの程度ではサウジと敵対しない)。何も「中東で米国中心で話が進むこと=常に良いこと」ではないでしょう。
 なお、id:Bill_McCrearyさんも指摘するように「今のイランと米国の対立状況」ではイラン相手に外交する能力は事実上、米国にないでしょう。外交には「妥協がつきもの」ですが「北朝鮮相手に事実上妥協拒否の日本」同様、バイデン政権に「イランに否定的な政治家たち(与党・民主党にそうした政治家は多数いる)の圧力を押し切って妥協する能力」があるかどうか。
 能力以前にそうした意思が薄いかもしれません。


サウジ・イラン合意「中国は米国の代わりになれない」 米学者の分析:朝日新聞デジタル
 反中国も、こじらせるとここまで馬鹿になる - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)で紹介されていたので気づいた記事です。

◆記者
 今回の合意は、中東にどんな影響をもたらしますか。
◆バレット氏
 あまり実質的な意味があるとは思っていません。
 結局のところ、イランと湾岸アラブ諸国が本当に良い関係になることは有り得ません。
 1、2年もすれば何らかの事件が起き、両者がのど元にやいばを突きつけ合う展開に戻るでしょう。そうなった時に「うまくいかなかった」という不満は、中国に向かうと思います。戦略的な状況の根本が変わることはありません。

 反中国のバレット氏の願望でしか無いと思います。イラン、サウジ、中国全て「和解をアピールした」以上、そう簡単に和解を壊すわけにも行かないのではないか。特に不満は、中国に向かうというのは「はあ?」ですね。何も嫌がる両国に中国が無理矢理飲ませたわけでもないでしょう。
 というか堂々とイランと湾岸アラブ諸国が本当に良い関係になることは有り得ません。と言っちゃうのも「反中国なので今回の合意を評価したくないから」か「反イランだから(中国ではなく英仏独などの仲介でも)どんな形でもイランとサウジ等との和解を認めたくない」のか知りませんが「おいおい」ですね。建前ですら和解の可能性を語る気がないのか(呆)。バレット氏も「反中国だか反イランだか」を「こじらせているバカ」なのではないか。


台湾武力統一「タイムテーブルないが反分裂法に背けば」 中国の識者(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース
 「反分裂法に背けば=独立宣言、国連加盟申請するなど、独立の方向で現状を大きく変更すれば」なので、以前から中国が主張してることと大きな違いはありません。


習氏、訪露後にゼレンスキー氏と会談計画 米紙報道 侵略後初 - 産経ニュース
中国の習主席、ウクライナのゼレンスキー大統領と来週対話へ-WSJ - Bloomberg
 ロイターやウォールストリートジャーナルの報道であり、現時点では中国やウクライナから公式発表は何もないので真偽は不明です。
 これで、ウクライナ、ロシアで何らかの外交交渉が始まれば、「イラン、サウジ和解」に続き、中国の面目躍如ですが、果たしてどうなるか。
 なお、ここからはウクライナは「抗戦一本槍ではない」、中国は「ロシアべったりではない」とアピールしようとしてることが窺えるかと思います。


米下院議長、カリフォルニア州で台湾総統と会談か 台湾訪問は控える - 日本経済新聞

 台湾当局が中国の激しい反発を抑えるため、マッカーシー氏に訪台を控えるよう説得したという。
 代わりにカリフォルニア州での会談を提案したという。

 非常に興味深い報道かと思います。馬英九前総統に比べれば中国に挑発的、敵対的な蔡英文も決定的な対立は恐れてるようです。
 勿論中国は「場所」ではなく会談それ自体に反発しているとは思いますが。

*1:なお、このid:Bill_McCrearyさん記事で拙記事をご紹介頂きました。ありがとうございます。