ノンバイナリーについていろいろ(2023年6月19日)

島田洋一
 私はノンバイナリー*1(男女の二分法を拒否する立場の性自認)宣言*2をしました。仮に知人女性*3から「怖いので来てくれ」と頼まれれば*4、多少の抑止力にはなると考え、女性専用スペース*5に同行します。岸田に聞くが、何か問題あるか?

 真面目な宣言であれば、何をしようと、勿論個人の自由ですが、島田の場合明らかに「LGBT活動家への意味不明な当てこすり」なので「救う会副会長が拉致よりLGBT差別の方がそんなに大事かよ?」と心底呆れます。
 真面目に「ノンバイナリー」を宣言してる人への侮辱でもある。それとも島田は「ノンバイナリーなんてあり得ない、虚言に決まってる」と思ってるのか?。全くもっていいかげん家族会も、島田洋一に対して苦言くらいは呈したらどうか - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)でしょう。
 なお、「ノンバイナリー」でググってヒットした「本と記事」を参考に紹介しておきます。しかしマスコミ記事に「ノンバイナリー」なんて載る時代になったんですね。

◆ジェマ・ヒッキー『第三の性「X」への道:男でも女でもない、ノンバイナリーとして生きる』(上田勢子*6訳、2020年、明石書店
◆エリス・ヤング『ノンバイナリーがわかる本:heでもsheでもない、theyたちのこと』(上田勢子訳、2022年、明石書店

米 トニー賞 「ノンバイナリー」と公表の俳優2人 初受賞 | NHK | ジェンダー2023.6.12
 アメリカ演劇界で最高の栄誉とされるトニー賞の授賞式が11日、アメリカ・ニューヨークで行われ、ミュージカル部門の主演男優賞と助演男優賞で、自分の性自認を男女のどちらにも位置づけない「ノンバイナリー」の俳優2人が受賞しました。アメリカメディアによりますと、「ノンバイナリー」と公表している俳優の受賞は初めてだということです。
 ミュージカル部門の主演男優賞を、名作映画「お熱いのがお好き」をミュージカル化した作品に出演するジェイ・ハリソン・ジーさん*7が受賞しました。
 また、助演男優賞をミュージカルコメディー「シャックト」で女性役を演じているアレックス・ニューウェルさんが受賞しました。
 2人は、いずれも自分の性自認を男女のどちらにも位置づけない「ノンバイナリー」の俳優です。

 勿論「演技能力無視」で賞は与えないでしょうが、「極右によるLGBT差別へのカウンター」と言う要素は明らかにあるのでしょう。

大自在(6月15日)ノンバイナリー|あなたの静岡新聞2023.6.15
 LGBTなど性的少数者への理解増進を目的とした法案が、あすにも成立する見通しだ。
 性自認を、相手にどう呼ばれたいか。それを表す「ジェンダー代名詞」がある。he/him、she/her。米国などのSNSのプロフィル欄で見かけたことがある方もおられよう。
 その代名詞にthey/themがある。彼ら、彼女らという複数形ではない。性自認が男女どちらでもない「ノンバイナリー」を示す単数形で使われる。
 ノンバイナリーと聞いて、2021年東京五輪スケートボードを思い出した。当時13歳の西矢椛(もみじ)*8選手が日本人最年少金メダリストに輝いた女子ストリートの、アラナ・スミス選手(米国)である。国際大会でメダルを獲得したこともある実力者は、参加20人中最下位に終わった。コースを滑っただけで、トリックと言われる技を一つも披露しなかった。
 それでも笑顔だった。ユニホームには「THEY/THEM」のピンバッジ。スミス選手はノンバイナリーを公表していた。
 「私は女性スケートボーダーで知られたいわけではない。ただ、(ボーガス注:ノンバイナリーでは出場できないので女性選手で出場し)スケートボーダーとして名を残したい」。
 LGBT法は一歩前進といえるが、差別、偏見の解消はまだこれからだろう。

【参考:お熱いのがお好き

お熱いのがお好き - Wikipedia 
【逸話】
◆ヒロイン役のマリリン・モンローは当初この映画が、カラー映画だと思っていたが白黒映画だと知った途端に不機嫌になったという。ビリー・ワイルダー*9監督曰く制作費が不足していたからではなく、トニー・カーティスジャック・レモン*10の女装がカラーで映ると非難の対象となると思って、白黒にしたという。
◆関係者曰く、現場でのトラブルの原因はほとんどモンローにあった。撮影当時はモンローの精神状態が不安定で、遅刻を繰り返し、撮影所に来ても楽屋から出てこない等の奇行が続いた。また、化粧室からなかなか出てこないので、呼びに来た助監督に対して「くたばれ!!」と怒鳴りつけたこともある。
 ワイルダーも撮影後に「マリリンとはもう二度と仕事をしたくない」と発言した。
 但しワイルダーは『お熱いのがお好き』(1959年)以前のモンロー主演映画『七年目の浮気』(1955年)撮影後も同様の発言をしており、彼女に辟易しつつもコメディエンヌとしての才能は認めていた。事実、モンローが死ぬ直前にも3度目のモンロー出演監督作の企画が進んでいた。
 なお、この頃モンローは妊娠していたことと、当時の夫(作家アーサー・ミラー*11)がワシントンで「赤狩りの査問」を受けていたことが重なって情緒不安定となっていたという同情的な見方もあった。

*1:バイナリーとは「二分法」のことで必ずしも「男女の区別」を意味しませんが「ノンバイナリー」となると一般に「自分の性自認を男女のどちらにも位置づけない」ということになるようですね。

*2:当たり前ですが「性的少数派」を自称すれば何でもまかり通ると言う「バカな話」はない。

*3:櫻井よしこ(国家基本問題研究所理事長)とか?

*4:そもそも普通に考えて頼まないでしょうし、頼まれても島田もやらないでしょうが。「LGBT活動家への当てこすり」のためだけによくもふざけたことが言えたもんです。

*5:女性トイレや女風呂のこと

*6:訳書にボニー・グレイブス『拒食症』(2003年、大月書店(10代のメンタルヘルス))、アイリーン・キューン『親の離婚』、ジュディス・ピーコック『うつ病』、ナンシー・M・キャンベル『パニック障害』(以上、2004年、大月書店(10代のメンタルヘルス))、ジョン・F・テイラー『学校と生活がたのしくなる本:ADHDの子のためのサポートブック』、ベス・アンドリューズ『どうしてそんなにかなしいの?:親がうつ病になったとき (心をケアする絵本)』(以上、2007年、大月書店)、ケリー・ヒューゲル『LGBTQってなに?』(2011年、明石書店)、ダニエル・ステファンスキー自閉症のある子と友だちになるには』(2011年、晶文社)、ナンシー・ムクロー『孫がASD(自閉スペクトラム症)って言われたら?!』(2017年、明石書店)、 ジュリー・ソンドラ・デッカー『見えない性的指向アセクシュアルのすべて』(2019年、明石書店)等

*7:ググったところ「映画ではジャック・レモンが演じた役」のようです。

*8:それまでの日本人最年少金メダル記録は1992年バルセロナ五輪競泳女子200メートル平泳ぎの岩崎恭子の14歳6日であった。公式記録が残っている史上最年少金メダリストは1936年ベルリン五輪高飛び込み(3m板飛び込み)のマージョリー・ゲストリング(1922~1992年、1976年に国際水泳殿堂入り)で13歳268日と西矢より2ヶ月ほど若い(西矢椛 - Wikipedia参照)。

*9:1906~2002年。1945年に『失われた週末』でアカデミー監督賞、脚本賞を、1950年に『サンセット大通り』でアカデミー脚本賞を、1960年に『アパートの鍵貸します』でアカデミー監督賞、脚本賞を受賞(ビリー・ワイルダー - Wikipedia参照)

*10:1925~2001年。1956年に『ミスタア・ロバーツ』でアカデミー助演男優賞を、1974年に『セイブ・ザ・タイガー』でアカデミー主演男優賞を受賞(ジャック・レモン - Wikipedia参照)

*11:1915~2005年。著書『セールスマンの死』『るつぼ』『みんな我が子/橋からのながめ』、『転落の後に/ヴィシーでの出来事』『代価/二つの月曜日の思い出』(以上、ハヤカワ演劇文庫)等