今日の中国ニュース(2023年10月22日分)

【台湾有事の衝撃】迫る「台湾有事」 ウクライナ侵攻前も「専門家」は現実を見ようと しなかった 潮匡人 - 産経ニュース
 以前も指摘しましたが「独立宣言しない限り侵攻しない」と中国が公約してる以上「独立宣言がない限り」侵攻の可能性は低い。
 「独立宣言なし」で侵攻したら「嘘つき」の非難は避けられないからです。欧米の対中国経済制裁も不可避でしょう。
 そんなリスクを中国が犯すとは思えない。
 いわゆる「断交ドミノ」はその傍証でしょう。「軍事侵攻で一気に片をつける」のなら「断交ドミノ」を仕掛ける必要は乏しい。
 但し、一方で「独立宣言」があれば「侵攻の可能性」が否定できません。そのような危険な行為は台湾政府もしないでしょうが。
 「多くの専門家はロシア全面侵攻の可能性を低く見て、最悪の場合でも一部的な局地戦争とみていた」として「中国の台湾侵攻」を云々する産経ですが「全面戦争に踏み切ったプーチン」が「非合理」なのであって、中国はそこまで「非合理ではない」でしょう。

 東大先端科学技術研究センター専任講師の小泉悠氏*1が、「少なくとも軍事的には、侵攻できるだけの戦力が集結している」と指摘

 小泉も「軍事的には全面侵攻可能」「最悪の事態(全面侵攻)も一応想定しておくべき」としていたにすぎない(潮のような全面侵攻論放言の立場ではない)点にむしろ注目すべきでしょう。

 昨年上梓した拙著『ウクライナの教訓』(育鵬社)の帯には、「ロシアの侵攻を予測した軍事専門家が警鐘を鳴らす!」と書かれていた。なぜ、私は予測できたのか。

 勿論「単に反ロシアの潮が放言していた(結果的にあたった)」にすぎません。「反中国のウヨ連中」が「中国バブルは崩壊する(中国経済崩壊論:未だあたってない)」を毎年放言しているのと全く違いがない。
 ロシアが侵攻しなければ「NATOの対決姿勢に露が恐れをなして屈服した」で済ませればいいのだから「こんなに楽なこともない」。


豪州首相が約7年ぶり訪中へ 豪産ワインの制裁見直し着手で合意 - 産経ニュース
 重要なことは「外交交渉で決着した」ことです。その決着を「豪州が中国に屈服した」と否定的に評価するにしても中国も「外交で決着できるなら外交で決着させる」。台湾問題も同様に「無理に軍事侵攻すること」はしないでしょう。問題は「中台間の対立を深めるばかり」で中国との間で「外交をしない」台湾側にあります。


元台湾総督・明石元二郎の没後104年、台北で慰霊式 - 産経ニュース

 作家の門田隆将氏*2、前衆院議員の長尾敬(たかし)氏ら日台の関係者約60人が出席した。

 門田や長尾といったウヨが名を連ねてる時点で「右翼的な代物」と予想がつきげんなりします。
 なお、台湾総督と言えば「桂太郎(後に首相、1903年死去、今年で没後120年)」(台湾総督府 - Wikipedia参照)もいるのに「没後104年記念(1919年死去)」とは随分中途半端です。
 なお、以前、スペイン風邪(1918~1920年)での著名人の死去について(追記あり) - bogus-simotukareのブログで触れましたが1919年はスペイン風邪によって多数の死者が出ています(但し、明石の死因はスペイン風邪ではない)。


中国大使に金杉氏起用へ 7年ぶり「非専門家」に - 産経ニュース

 日本政府が次期駐中国大使*3に金杉憲治*4インドネシア大使(64)を起用する方向で最終調整していることが21日、分かった。約7年ぶりに中国語研修組「チャイナスクール」出身ではない大使となる。日中関係の停滞が長期化する中、「非専門家」を最前線へ送り込み、局面打開につなげる狙いがある。

 論理展開が意味不明すぎて「は?」です。いわゆる「チャイナスクール」が不当な忖度をしてるから、中国が日本を舐めて、日中関係が上手くいかないとでも思ってるのか?

*1:著書『現代ロシアの軍事戦略』(2021年、ちくま新書)、『ウクライナ戦争』(2022年、ちくま新書)、『ウクライナ戦争の200日』(2022年、文春新書)、『終わらない戦争:ウクライナから見える世界の未来』(2023年、文春新書)等

*2:門田に『この命、義に捧ぐ:台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(角川文庫)と言う著書があるからか?

*3:現在の中国大使は垂秀夫 - Wikipedia(アジア大洋州局中国・モンゴル課長、外務省大臣官房総務課長、領事局長、大臣官房長等を経て中国大使)

*4:外務省大臣官房総務課長、韓国公使、外務省経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官(経済担当)等を経て現在インドネシア大使