黒井文太郎に突っ込む(2024年1月29日分)

黒井文太郎
 かねて指摘してきたように、ロシア・中国・イラン・北朝鮮・シリアその他独裁国ら*1の"悪の枢軸"はどんどん完成形になってきています。
 戦いは長期になります

 俺も「かねて指摘してきた」のですが「悪の枢軸*2」など「存在しない虚構の存在=デマ」です。ロシアと「中国その他の付き合い」は、「米国を盟主とするNATO」「ソ連を盟主とするワルシャワ条約機構」等とは違いロシアを盟主とする「枢軸」のような同盟関係ではないし、もっとドライな国益判断です。いざとなればいつでもそうしたつながりは「国益判断から廃棄される」でしょう。
 大体、この黒井理解だと
1)軍事独裁エジプト、国王独裁サウジアラビア(米軍基地がある)など親米的な独裁国家の存在
2)BRICSメンバーでロシアと経済的つながりがある「民主国」ブラジル、インド、南アフリカの存在
はどう理解されるのか?

黒井文太郎
 オタク同士なのでつい熱が(笑)。ありがとうございました!
◆江崎道朗
 インテリジェンス・オタク(笑)として長い付き合いがある黒井さんが新刊*3を出したので、対談をさせてもらいました。

 日本会議系列のデマ右翼「コミンテルン陰謀論」江崎*4と対談した上に「長い付き合いがある」んだそうです。「他に対談相手はいないのか」と呆れます。

黒井文太郎
 全力で自衛隊在日米軍の弱体化*5を主張して、対外進出*6前提での戦力強化を進める中国軍を実質的に絶賛応援する言説を散見する

 というなら具体的に何が「そうした言説」なのか引用しろという話です。どうせ「沖縄の米軍基地を県外移設すると中国が喜ぶ」等のデタラメ発言をするのでしょうが。

黒井文太郎
◆中東とイタリアのなにか
 ノルウェー外相、UNRWAへの資金提供を継続すると発表。
UNRWAは、ガザのみならず、より広範な地域で深く苦しんでいる何百万人もの人々にとっての命綱」と声明

 ノルウェーの態度は高く評価したい。

黒井文太郎
◆末廣香
 人々への支援の成否は生死に直結します。(UNRWAの一部職員にハマスに協力した)ハマスのメンバーがいたかどうかの調査とは別に、困窮する人々への支援は継続されるべきです。

黒井文太郎
 UNRWA問題で資金停止が当然だと考える人が多いのは、そもそも現在の混乱状態で、現実に人々の日々の命綱になっていることを知らない人が多いのではないかな
ガザの人命救助「終わる可能性」 UNRWA、資金停止続発に危機感 [イスラエル・パレスチナ問題]:朝日新聞デジタル
 UNRWAのラザリーニ事務局長は27日、「人命救助が拠出停止で終了する可能性がある」として、拠出の再開を求める声明を出した。攻撃に関わった疑いのある職員との契約を終了させたにもかかわらず、資金拠出が止められたとして、「一部の個人の疑惑を理由に、UNRWAとその貢献先のコミュニティー全体を制裁するのは非常に無責任だ」と批判した。ロイター通信によると、資金拠出をこれまでに一時停止した9カ国は米国や豪州、カナダ、英国、ドイツなどだという。

黒井文太郎
 すでに酷い状況に置かれた何の罪もないガザの一般住民、子供たちがさらに追い詰められることに。ハマスが悪いからあの子供達が犠牲になるのは当然とは思いません。日本政府*7に再考を強く求めます。
日本も資金拠出を一時停止 「UNRWA迅速調査を」(共同通信) - Yahoo!ニュース

 今回は珍しく黒井が正論です。仮に「国連パレスチナ難民救済事業機関UNRWA)」の一部職員に「ハマスシンパ」がいて犯行に加担したとしてもそんなことが支援停止の正当化理由になるとは俺も全く思いません。というか「親イスラエル国家」がイスラエル支援の一環として「UNRWA潰し」に動いてるようにしか見えません(イスラエルが因縁をつけてるだけで、そんな親ハマスの職員はそもそもいないとか、いてもイスラエルが言うほど多数では無いという批判がある)。こういう発言だけなら俺も黒井を非難しないのですが。

*1:黒井が名前を挙げてない国で「枢軸メンバー」と評価してる「その他独裁国ら」は何処なのか?。旧ソ連時代からロシアとつながりがある共産国ベトナムラオスキューバ」か、旧ソ連諸国のウチ、ロシアと親しいとされる国(例:ベラルーシ)か、あるいは他にもあるのか?。

*2:もともとはブッシュ子大統領の発言で、イラク(当時のフセイン政権)、イラン、北朝鮮を指す(イランとイラクは「イラン・イラク戦争」以降、対立関係にあることから、当時からこうした主張には「日独伊三国枢軸とは違い、同盟関係にないから枢軸と呼ぶべきではない」として批判があった)。後にフセイン政権は米軍によって打倒された。

*3:黒井『工作・謀略の国際政治』(2024年、ワニブックス)のこと

*4:著書『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』(2016年、祥伝社新書)、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(2017年、PHP新書)、『日本は誰と戦ったのか:コミンテルンの秘密工作を追及するアメリカ』(2019年、ワニブックスPLUS新書)、『ルーズヴェルト政権の米国を蝕んだソ連のスパイ工作』(2023年、扶桑社新書)等

*5:そもそも自衛隊はともかく在日米軍は「その存在は当然の代物」ではない。弱体化どころか「自衛隊で国防上問題は無い」「日本の国防と直接に関係の無い米軍の海外展開に協力すべきではない」と言う立場(例えば日本共産党はそうでしょうが)なら「廃止しても」構わない。米軍を駐留させてない国はいくらでもあります。在日米軍を当然視する黒井らウヨには呆れます。

*6:少なくともロシアのように欧米を敵に回して「ウクライナ戦争型の侵略戦争(独立宣言もないのに台湾侵攻など)」をする気は中国には無いでしょう。是非はともかく「対外進出」がありうるにしても「米国型(世界の警察官)の軍事展開」でしょう。

*7:ガザの人命救助「終わる可能性」 UNRWA、資金停止続発に危機感 [イスラエル・パレスチナ問題]:朝日新聞デジタルによれば米国、英国、ドイツ、カナダも支援停止しており同様の批判が該当します。