朝日新聞に「制裁解除論(礒崎教授コメント)」が掲載されたことを喜ぶ&小泉第二次訪朝(2004年5月22日)は第一次訪朝(2002年9月17日)に比べ知られてないと思う(2023年5月24日分)(追記あり)

【最初に追記】
 けっきょくこれも、誰かが死なないと事態が動かないということの一例ではないか(北朝鮮拉致問題に関するマスコミの論調変化) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)で拙記事の紹介を頂きました。いつもありがとうございます。
 なお、

けっきょくこれも、誰かが死なないと事態が動かないということの一例ではないか(北朝鮮拉致問題に関するマスコミの論調変化) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
 2002年に小泉訪朝があり拉致被害者が帰国したわけで、それから22年もの歳月が流れています。この年に生まれた人たちが、来年3月に大学を卒業すれば、続々と新聞社・通信社・テレビ局ほかの大手マスコミに入社します。彼らは当然02年のころの騒然とした雰囲気を知らない。もちろん現実問題としては、あの時の騒然とした雰囲気を知っているのは、当時の年齢で言えば、6歳から7歳、あるいは10歳くらいまでの年齢の人たちでしょう。ということは、その人たちも現在28歳から32歳くらいで、もっとも若い世代が30歳前後のわけです。そういった年齢以下の人たちが記者なりなんなりをしていれば、当然拉致被害者、家族会、巣食う会などへの遠慮も少なくなってきているでしょう。そしてこういったことは当然進みはしても後退することは、一時的にはあっても長いスパンでは考えにくいので、これからどんどん進みます。

という「赤字部分」に該当する一人が拙記事で紹介した「朝日の高橋杏璃記者(1994年生まれ)」でしょう。
【追記終わり】

20年進まぬ拉致問題、まずは日本の政策転換で打開を 礒崎教授:朝日新聞デジタル(聞き手・高橋杏璃)2024.5.22

 20年前の2004年5月22日*1、当時の小泉純一郎*2首相は2回目の訪朝で、拉致被害者5人に続き、その家族5人の帰国を実現しました。その後、1人も奪還できない状態が続き、日朝首脳会談の実現に強い意欲を示す岸田文雄*3首相も成果を出せていません。日本政府は北朝鮮への圧力を重視してきましたが、礒崎敦仁*4・慶応大教授(北朝鮮政治)は「事態打開のために日本がまず政策転換を」と唱えます。
(中略)
 小泉政権下の拉致被害者らの奪還について、礒崎さんは「対話の成果であって、圧力の結果ではなかった*5」と指摘します。局面打開に向けた礒崎さんの対応策を記事の後半で紹介します。

 以下は有料記事なので全く読めません*6が、別途、紙で記事を読んだところ、やはり「予想通り」礒崎氏の言う「政策転換、対応策」とは要するに、「北朝鮮・拉致問題」のブログ記事一覧-ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)の各記事や、俺や和田春樹氏なども以前から主張しているところですが「制裁解除によるバーター取引」です。
 礒崎氏は「(バーター取引は)家族会の反対で実現困難」とやはり(?)悲観視していますが、「朝日新聞に礒崎氏のような人物(北朝鮮研究者だが北朝鮮シンパとは言えない*7)」が「制裁解除」を「(バーター取引は)家族会の反対で実現困難」と悲観視はしているものの、打開案として主張したことは「朝日(高橋記者)と礒崎氏」を高く評価したい(今後、高橋氏が「編集委員」等として「朝日を代表する記者の一人」に成長することを期待したい)。そして、今後、拉致問題が「制裁解除によるバーター取引」の方向に変わることを少しでも期待したい。いずれにせよ現実的解決策は「制裁解除によるバーター取引」以外には無いでしょう。
 なお、制裁解除前でも
1)日本人妻の日本帰国
→例えばぜひ購入して読んでみたい(「ドキュメント 朝鮮で見た〈日本〉: 知られざる隣国との絆」)(こういう基本的なことをどうにかしてもらわないとどうしようもない) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)参照
2)朝鮮高校、幼稚園の無償化適用
(以上、政府)
3)横田一家(横田早紀江や息子達)の訪朝によるウンギョンさん一家との面会(そしてこの機会に横田一家の家族会退会、救う会との縁切り)
4)家族会と「家族会が除名した蓮池透氏」との和解
5)家族会による「個人攻撃で退官に追い込んだ田中均氏」への謝罪
(以下、拉致被害者家族)
北朝鮮にとって「制裁解除ほどのインパクト」はないでしょうが、「拉致解決に向けた日朝交渉ムードを高める(北朝鮮に『日本政府や拉致被害者家族会は変わった、交渉する意味がある』と思わせる)」ために今すぐやるべきだと思います。まあ、1)、2)の本筋は「日本人妻の人権」「朝鮮高校、幼稚園の生徒の人権」と言う問題であって「拉致解決」ではないですが。まあ、「制裁解除によるバーター取引」どころか、1)~5)のどれ一つとして残念ながら日本政府も拉致被害者家族もやる気は無いのでしょうが、それではいつまで経っても拉致は解決しないでしょう。
 なお、この記事の筆者である高橋杏璃記者はコミュニケーション力に不安を感じる20代へ。同世代の新聞記者に聞いたコツ3つ│ちょい読みで、わたしが広がる。│朝日新聞によれば

◆1994年生まれ、2018年朝日新聞入社
→つまり今年で30歳、朝日入社6年目
◆初任地・奈良総局で1年、その後、秋田総局で3年勤務。秋田では県魚であるハタハタ漁の取材に熱中した
→ハタハタ漁の記事として例えば
秋田)県魚ハタハタの漁獲量を管理 福田姫子さん:朝日新聞デジタル(2020.2.3)
ハタハタ、本場の食べ方は? 地元秋田の食卓を訪ねた [秋田県]:朝日新聞デジタル(2020.12.20)
「ハタハタがいねえ」 秋田の漁師が気づいた海の異変 [秋田県]:朝日新聞デジタル(2020.12.23)
ハタハタ漁師の苦悩を取材して 消費者にできることは [秋田県]:朝日新聞デジタル(2020.12.27)
季節ハタハタ漁獲量、禁漁以降3番目の少なさ [秋田県]:朝日新聞デジタル(2021.3.7)
ハタハタ、八森で初競り 高くても地元に活気期待 [秋田県]:朝日新聞デジタル(2021.12.5)
秋田沖、目の前に降るハタハタ100匹 親方6人の漁で見た冬の味覚 [秋田県]:朝日新聞デジタル(2021.12.24)等。
◆2022年4月に東京本社政治部に異動し、安倍元首相銃撃事件があった昨夏参院選当時も含め岸田首相番を担当
→首相番記事として例えば
(取材考記)首相の「単語」解析 憲法改正、遊説では控えめ 高橋杏璃:朝日新聞デジタル(2022.8.17)
「異次元」よりも「当たり前」の少子化対策を 首相演説に感じた矛盾:朝日新聞デジタル(聞き手・高橋杏璃)(2023.1.24)等
◆現在は外務省担当
→外務省関係記事として例えば(取材考記)議長国 平和外交、日本はG7で主張を 高橋杏璃:朝日新聞デジタル(2023.11.15)等
◆(ボーガス注:外務省担当になったので?)最近、韓国語教室に通い始めた。

とのことです。
 「1994年生まれ*8の高橋記者」は小泉第一次訪朝時(2002年)は8歳、小泉第二次訪朝時(2004年)は10歳だったわけで、そうした若い記者だと「制裁解除を主張する記事(礒崎コメントの紹介にすぎず高橋氏の意見ではなく、また礒崎氏も「家族会の反対で実現困難」と腰が引けてはいますが)」も書きやすいのかもしれない。
 しかし、この期に及んで「制裁解除によるバーター取引」が絶対に言えないらしい高世仁には「高橋記者と礒崎氏を見習え」と心底呆れます。
【追記その1】

サンデー毎日:和田春樹と「日朝国交交渉30年検証会議」が緊急提言 いまこそ日朝国交樹立を 倉重篤郎のニュース最前線 | 週刊エコノミスト Online2024.4.8
 裏金事件に関与した安倍派解体への動きが加速している。日朝関係・拉致問題を、ナショナリズム喚起のために利用してきた安倍的手法は、もはや終わるべきだろう。和田春樹東京大名誉教授が、岸田政権、そして国民に、あり得べき新たな日朝関係への展望を問いかける。
(中略)
 安倍1強の呪縛があちこちで解(ほど)け始めた。
 裏金事件の発覚、東京地検特捜部の捜査に端を発した安倍派解体の動きがその一つだ。捜査が手ぬるいとの批判はあるものの、検事総長人事にまで介入していた驕(おご)りが一転、100人近い最大派閥が恣(ほしいまま)にしていた権勢は今は昔となった。
 外交政策でもそうだ。
 「北朝鮮による日本人拉致問題」解決、日朝国交正常化でも、新しい動きが出ている。金正恩キム・ジョンウン朝鮮労働党総書記の妹、金与正(キム・ヨジョン)氏が3月25日の談話で、岸田文雄首相が「早期に国務委員長(金総書記)と直接会いたいという意向を我々に伝えてきた」ことを明らかにした。
 日本側も平仄(ひょうそく)を合わせ、林*9官房長官が「拉致問題が解決済みとの主張は受け入れられない」との言い回しを引っ込め、「日朝間の諸懸案の解決に向けた政府の方針は繰り返し説明してきた通りだ」と応答した。
 岸田氏の日朝関係打開への意欲は、昨年9月の国連総会演説で公式に表明された。曰(いわ)く、「日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指すという方針は不変です。共に新しい時代を切り開いていくという観点から、条件を付けずにいつでも金正恩委員長に直接向き合うとの決意を伝え、首脳会談を早期に実現すべく、私直轄のハイレベルで協議を行っていきたいと思っています」。昨年3、5月には、日朝関係者が秘密裏接触、政府高官の平壌派遣案も話し合われた、という。
 日朝交渉の水面下で何が動いているのか。安倍*10菅義偉*11政権時代は、拉致被害者は「全員生きて奪還」が大原則だった。北側が2002年9月の小泉純一郎元首相訪朝以来一貫している「5人生存、8人死亡」との主張を門前払い、被害者の生死の確定という基本作業に着手することもなく、ひたすら対北強硬姿勢を吹かすことで、それを政権の追い風として政治的に利用してきた。小泉再訪朝以来20年、拉致問題は一ミリも動かず、関係者は次々に鬼籍に入っていった*12
 岸田政権はそれとは別のボールを投げているのか。その中身はまだわからない。
 時あたかも、在野でこの問題を追い続けてきた和田春樹東京大名誉教授と「日朝国交交渉30年検証会議」のメンバーが『北朝鮮拉致問題の解決 膠着を破る鍵とは何か』(岩波書店、3月)を出版、日本政府公認の拉致被害者17人について、そのプロフィル、拉致状況、現況を詳細に検証、横田めぐみさんを巡る新証言を明らかにすると共に安倍路線の根本的転換を求めている。和田氏と話し合った。
◆倉重篤*13
「交渉する際、何が重要か?」
◆和田春樹氏
「日朝関係は今完全に対立状態で交渉自体が9年以上止まっている。であるならば、行き詰まりをもたらした対処方針を転換しなければならない。解決の道を閉ざしているのは安倍3原則と言われるものだ」
 ①拉致問題は我が国の最重要課題
 ②拉致問題の解決なくして日朝国交正常化なし
 ③拉致被害者が全員生存しているとの前提に立って、すべての拉致被害者の生還を強く求める――というのが安倍3原則だ。安倍氏が06年9月第1次政権誕生後所信表明演説で述べたことが定式化、国策化された。」
「①については、北朝鮮核武装した今、むしろ北朝鮮と平和善隣関係を作ることこそ『わが国の重要課題の第一』であり『拉致問題は重要課題の一つ』と改める。②は『拉致問題の解決は日朝国交正常化交渉の過程で実現できる』としていた小泉外交路線に戻す」
「特に③が大きな障害を作り出している。『これ以上待てない。全拉致被害者の即時一括帰国を実現せよ』という『救う会』『家族会』のスローガンも同じだ。③もまた小泉路線に戻し、『生存している拉致被害者、生きていることがわかった被害者は帰国させよ』と要求することに改め、『死亡と通知された被害者については、死の状況の説得的な説明を求める』ことを基本として交渉を行う」
北朝鮮が、死んだ者を生き返らせるのは不可能だ、とするのに対し、実は全員生きており、北側が嘘をついている、というのが安倍路線だ。袋小路を脱するためには、まずは、安倍政権時代に受け取りを拒否した第三次調査報告書を受け取りたい、再手交してほしいと北側に求めることだ」
「新しい第三次報告書を受け取ったら、10人の生死についてどれほど新しい説明が加えられているか詳細に検証する。調査をこれ以上求めるのは無理だと判断すれば、北側報告の結論を暫定的に受け入れ、拉致被害者の死については北朝鮮国家が全責任を取るよう要求し、拉致被害死者に対する賠償を求め、金額と支払時期について交渉する」
日朝平壌宣言が生きていることは両国が認めている。同宣言に基づき思い切って、北朝鮮と国交を樹立、互いに大使を交換したうえで、拉致問題の交渉、核・ミサイル、安全保障、過去の植民地支配に対する償いとしての経済協力に関する交渉を東京と平壌の大使館で開始するのが現実的ではないか。オバマ米元大統領が2014年、キューバとの国交樹立の後に関係正常化交渉を開始するという逆転の発想を取ったのに倣うのも一案だ。キューバ方式(ボーガス注:北朝鮮と日本の場合、拉致解決を後回しにし、まず国交樹立する方式)のメリットとして、ただちに人道支援や地域文化交流ができるようになる。」

 サンデー毎日と倉重氏についても高く評価したい。拉致について「遅きに失した」とはいえ、拉致について、ついに、やっと「流れが『制裁解除によるバーター取引の方向』に変わってきた」と思いたいところです。
 なお「キューバ方式」については米国のキューバへの対応から、日本の北朝鮮への対応を考えてみる - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)を紹介しておきます。それにしても「未だに家族会批判ができない高世」と「家族会、救う会などの個人攻撃を無視し、日朝交渉を主張する和田氏」ではまさに「月とすっぱん」「比較にならない(勿論高世が劣る)」ですね。


【追記その2】

ストックホルム合意10年、動かぬ拉致問題 識者の見方 - 日本経済新聞2024.5.29*14
 日朝両政府が北朝鮮による日本人拉致問題の再調査などを確認した2014年5月29日の「ストックホルム合意」から10年を迎えた。政府は当時、再調査の決定を受けて独自の制裁措置の一部を解除したが、2016年1月の北朝鮮による核実験と2月の弾道ミサイル発射を受け、再び独自制裁を決定した。北朝鮮は調査中止を一方的に発表した。
 北朝鮮を巡る国際情勢や拉致問題解決への課題を識者に聞いた。
新潟県立大の三村光弘*15教授「経済状況変化、支援意義薄れる」(聞き手は馬場加奈記者)
 日朝首脳会談を開いた2002年と2004年当時は北朝鮮にとって、日本の経済協力の意義は大きかった。2014年のストックホルム合意の頃までには中国とも貿易関係を築き、北朝鮮は外貨調達の手段が多様化した。経済支援のインパクトは薄れていった。
 2014年のウクライナ政変後にロシアとの関係を深め始め、2022年からのウクライナへの「特別軍事作戦」を支持している。ロ朝首脳会談などを経て全面的な協力関係*16に入り、米韓によると北朝鮮はロシアに武器を輸出して対価を得ているとされる。
 そんな状況下で北朝鮮が日本や米国との交渉を望むとすれば、その目的は国交正常化にある。
 日本は9月に自民党総裁選、米国は11月に大統領選を控え、政権が変わる可能性がある。北朝鮮側も様子をうかがっている。
 北朝鮮がすでに解決済みと主張する拉致問題について、日本にとって受け入れ可能な「解決」とは何か、日本政府が北朝鮮に明確かつ具体的に示す必要がある。
◆慶応大の西野純也教授「日米韓の政策調整が重要」(聞き手は川上進平記者)
 日朝間で水面下の接触はあると思うが、双方が提示する条件や認識の差が埋まらず本格的な交渉には入れていないと分析する。岸田文雄首相も強調しているように、被害者家族の高齢化によって拉致問題は時間的制約のある問題だ。北朝鮮にとって日朝首脳会談が意味のあるものだと受け取られないと、金正恩キム・ジョンウン)総書記は交渉のテーブルには着かないだろう。もっと戦略を練る必要がある。
 一例として北朝鮮への独自制裁の一部を緩和することなどが想定できる。
 その場合は米国、韓国の理解を得ることが欠かせないが、容易な作業*17ではない。米国のバイデン政権、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の両方が北朝鮮への抑止力を強化する政策をとっている。
 尹政権の与党が4月の総選挙で大敗し、国内的には対日政策で厳しい立場に置かれている。日本と北朝鮮が関係構築を進めた場合、尹政権は更なる批判を浴びかねない*18。日本はそういった事情も勘案せざるを得ない。
 拉致問題の交渉が進展しても、北朝鮮の核・ミサイル問題を巡る対応に悪影響を与えることはないと真摯に伝えなければならない。

 「マスコミの変化の一例」として紹介しておきます。


【参考:小泉第二次訪朝から20年】

(社説)小泉訪朝20年 平壌宣言の精神今こそ:朝日新聞デジタル
 小泉純一郎首相(当時)が2004年、2度目に北朝鮮を訪問し、金正日(キムジョンイル)総書記(同)と会談してから20年が過ぎた。いらい日朝首脳の会談は実現せず、2002年の日朝平壌宣言で国交正常化を目指したはずの両国の溝は深まるばかりだ。
 拉致被害者の家族は高齢になり、未帰国の被害者の親で存命なのは(ボーガス注:有本明弘氏と横田早紀江氏の)2人だけだ。できるだけ早く実のある対話が実現するよう努力を続けてもらいたい。
 北朝鮮は近年、ロシアとの関係を深めている。中国に加えロシアの後ろ盾も得て、日本に譲歩してまで交渉することにメリットを感じていないとの指摘もある。
 日本政府もこれまでの北朝鮮へのアプローチの仕方を検証し、改めるべきところは改め、北朝鮮側の思惑も見極めながら対話の道を探っていくべきだ。一時期のような圧力一辺倒では問題が解決しないのはすでに明らかだ。
 事態打開には米韓との連携に加え、北朝鮮に影響力をもつ中ロへの働きかけ*19も欠かせない。

 「圧力だけでは駄目」「中露への働きかけが重要」等の指摘には全く同感ですが「今までそんなことを朝日は言ってたか?」感はある。時間の経過で朝日も変わってきたように思います。

日朝首脳会談から20年 “帰国実現していないのは痛恨の極み” | NHK | 拉致2024.5.22
 拉致被害者家族の帰国が実現した2度目の日朝首脳会談から22日で20年です。林官房長官は、その後、1人の帰国も実現していないのは痛恨の極みだとして、問題解決に引き続き全力を挙げる考えを強調しました。
 拉致問題をめぐっては、2004年の5月、当時の小泉総理大臣が2002年に続いて北朝鮮を訪問してキム・ジョンイル金正日)総書記との2度目の日朝首脳会談を行い、拉致被害者家族5人の帰国が実現するなどしましたが、その後、交渉は停滞したまま、22日で20年となります。
 林官房長官は、午前の記者会見で「拉致被害者の家族が帰国されて以来、1人の帰国も実現していないことは痛恨の極みで、誠に申し訳なく思っている」と述べました。

*1:22年前の小泉第一次訪朝(2002年9月17日)に比べれば第二次訪朝の知名度は落ちるかと思います(俺もこの記事を読んで初めて気づきました)。

*2:宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相等を経て首相

*3:第一次安倍、福田内閣沖縄・北方等担当相、第二次、第三次安倍内閣外相、自民党政調会長(第二次安倍総裁時代)等を経て首相

*4:著書『北朝鮮と観光』(2019年、毎日新聞出版)、『最新版・北朝鮮入門:金正恩時代の政治・経済・社会・国際関係』(共著、2024年、東洋経済新報社

*5:これについては 「北朝鮮・拉致問題」のブログ記事一覧-ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)も以前から同様の指摘をしています。

*6:「家族会の反発が怖くて無料にしないのか?」と疑っています。

*7:まあ、かなり以前から「制裁解除によるバーター取引」を主張する「北朝鮮研究者」和田氏だって北朝鮮シンパでは無いですが

*8:1994年生まれの著名人としては「秋篠宮佳子(秋篠宮夫妻の次女)」「プロ野球選手の大谷翔平」「フィギュアスケート男子金メダル(2014年ソチ・2018年平昌五輪)の羽生結弦」などがいます(1994年 - Wikipedia参照)

*9:福田内閣防衛相、麻生内閣経済財政担当相、第二次、第三次安倍内閣農水相、第四次安倍内閣文科相、岸田内閣外相等を経て、現在、官房長官

*10:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官等を経て首相

*11:第一次安倍内閣総務相、第二~四次安倍内閣官房長官を経て首相

*12:「鬼籍」については例えばけっきょく反北朝鮮の道具として使い倒されただけじゃないか(横田滋氏の死) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)けっきょくのところ「巣食う会」にものを言えない人だった(拉致被害者家族会前代表飯塚繁雄氏の死によせて) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)参照

*13:毎日新聞政治部長論説委員長等を歴任。著書『日本の死に至る病アベノミクス罪と罰』(2016年、河出書房新社)、『秘録・齋藤次郎:最後の大物官僚と戦後経済史』(2022年、光文社)

*14:ストックホルム合意は2014年5月29日。なお2024年5月29日の高世記事は学ぶべき台湾の先住民族政策 - 高世仁のジャーナルな日々であり、タイトルで分かるようにストックホルム合意10年、動かぬ拉致問題 識者の見方 - 日本経済新聞(2024.5.29)とは違い「ストックホルム合意から10年」はテーマではありません。

*15:著書『現代朝鮮経済』(2017年、日本評論社

*16:これについては例えば朝露接近と朝日関係: 白頭の革命精神な日記参照

*17:勿論、最大の問題は「米韓の反応」ではなく「救う会、家族会の反発」です。そう書けない点は日経と西野教授の限界でしょう。

*18:いやむしろ最大野党は「太陽政策金大中の流れをくむ」ので関係構築を進めた方が「最大野党の関係が良好化」して尹政権にとってプラスでは無いか。

*19:中国への働きかけについては例えば拉致問題に対応するのに、中国と仲良くしていて損はない - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)参照