金正日と金日成は仲が悪かった(R6.7.20)|荒木和博ARAKI, Kazuhiro
令和6年7月20日土曜日「荒木和博のショートメッセージ」第1548号。1997年に出版された小説『永生』。読んでいると色々なことが分かります。ちなみに日本語版もあるようですが、そちらは読んでいません。中身が違うとも聞いています*1。
第一にこんな「不仲説」には何の根拠もない。
第二にそんなことが拉致解決に何の関係があるのかと呆れます。
なお、小説「永生」については以下の記述を紹介しておきます。
共和国の長編小説「永生」翻訳出版/慟哭の年、リアルに描写
本書は、ひたすら祖国と民族のために捧げ、人民とともに歩んだ金日成主席の生涯の最後の年、1994年を克明に描いた小説である。本書が共和国*2で出版されたのは1997年6月。
このほど白峰社から日本語で翻訳出版された。
なお、「白峰社」でググると
白峰社 - Wikipedia、印刷・出版・ITの白峰社参照
【日本の官公庁との関係】
・財務省「平成財政史(平成元~12年度)」の刊行
・外務省「日本外交文書」の刊行
・文化庁「宗教法人台帳管理システム及び宗教統計システム」の改修
がヒットしますが、さすがに「金正日を美化する小説の版元」に中央省庁が仕事を依頼しないでしょうから「同名の別会社」でしょう。
それとも「創業者・和多田進*3から、経営者が変わって会社のカラーが大きく変わった晩聲社」ケース(白峰社の経営者が変わって北朝鮮に近い社風が、関係ない社風に変わった→中央省庁側も過去を問題にせず仕事を依頼)か?
参考
永生 - Wikipedia、南北首脳会談 - Wikipedia参照
『永生』は北朝鮮で1997年6月に出版された、金正日を主人公とする長編小説。1993年の大晦日から1994年7月20日に開かれた金日成死去をいたむ中央追悼大会に至る約7か月間を、北朝鮮核問題をめぐる米朝対立、カーター元米国大統領による調停、7月7日夜から8日未明にかけての金日成の死などを中心に描いたものである。著者は、ペク・ポフムとソン・サンウォンの2名だが、個人が勝手に金正日のことを書けば処罰されるので、金正日が御用作家たちに直接指示して書かせたと見られる。
『永生』は、金正日の「偉大性」を宣伝するための小説であり、事実そのものとは言えないが、萩原遼*4『金正日・隠された戦争:金日成の死と大量餓死の謎を解く』(2006年、文春文庫:以下「萩原・2006年」)は、この小説を「かなりの事実を反映している」と評価している。
金日成は、死去の前、金泳三韓国大統領との間で南北首脳会談を開くことに合意し、前向きな姿勢を示したが、金正日の頭越しになされた合意に対し彼は不服であったことが『永生』に記されている(但し、実際にはそうした会談は金日成の病死*5のため行われず、南北首脳会談が初めて行われたのは2000年の金大中大統領、金正日国防委員長(朝鮮労働党総書記兼務)の首脳会談。その後も2007年(盧武鉉大統領と金正日国防委員長(朝鮮労働党総書記兼務))、2018年(文在寅大統領と金正恩国務委員長(朝鮮労働党委員長兼務))に首脳会談がされている)。
『永生』によれば、金正日は父金日成に対し、電話で何度も首脳会談をやめるよう懇請し、ついに金日成は「それならば私は朝鮮労働党総書記の権限を行使してでも会議を行う」と言った。1980年以降、金日成から金正日への権限委譲は進展しており、1994年当時は「外交分野の仕事」以外はすべて金正日に任せるという状態にあったが、それでもなお、金日成は労働党総書記という「党トップ」の地位にあり、金正日は党の組織書記でしかなかった。
『永生』は、東京の白峰社から日本語訳が出版されているが、「萩原・2006年」によれば重要な部分が変更されているという。
確かに「金日成と金正日の意見対立」が小説内にあるようですし、荒木や萩原らの「不仲説」の根拠の一つも「この記載」のようですが、この程度で「不仲」とはいえないでしょう。
それにしても金正日の了承の元に作成されたであろう小説において、そうした記述があるとは意外です。
朝鮮半島有事でシミューションをやってみて思ったこと(R6.7.19)|荒木和博ARAKI, Kazuhiro
令和6年7月19日金曜日「荒木和博のショートメッセージ」第1547号。大学院の授業でシミュレーションをやりました。
荒木が「ウヨ仲間」と一緒に右翼活動としてやるならともかく、「院の授業かよ(呆)、さすが拓殖はウヨの巣窟だな」ですね。
◆荒木ツイート
荒木和博
令和6年7月18日木曜日荒木和博のショートメッセージ。日本はなんだかんだ言いながら結構テロの多い国です。
テロ事件の一覧 - Wikipediaなど参照
◆伊藤一長長崎市長暗殺(2007年)
◆安倍元首相暗殺(2022年)
◆岸田首相襲撃(2023年)
等が戦後にあるとは言え、日本は世界的に見たら「政治テロの少ない国」でしょう。
やはり「銃器規制」と言う要素も大きいのでは無いか(銃社会の象徴 | inti-solのブログ - 楽天ブログ参照)。
なお、「幕末維新(攘夷派による井伊大老暗殺、不平士族による大久保利通暗殺など)」「昭和戦前期(515事件で犬養首相暗殺、226事件で高橋蔵相らを暗殺など)」のような昔の話は、今と状況が違うのでここでは論じません。
いずれにせよそんなことが「拉致の解決」と何の関係があるのかと心底呆れます。
*1:荒木も北朝鮮専門家を名乗るのなら日本語版を入手して「読み比べ」くらいしたらどうなのか?
*3:1945~2016年。1972年、現代史出版会の設立に参加。1976年、出版社「晩聲社」を創立。1993年から1994年に『週刊金曜日』編集長兼社長を務める。1999年に晩聲社を譲渡(なお、晩聲社の経営者は、大島渚監督『絞死刑』に出演した尹隆道(2017年12月没)を経て現在は尹未道)。著書『編集現場でルポルタージュを考える』(1985年、晩聲社)、『生きてるうちが花なのよ:編集現場で考える』(1986年、晩聲社)、『新版・ドキュメント帝銀事件』(1994年、晩聲社)等(和多田進 - Wikipedia、晩聲社 - Wikipedia参照)
*4:1937~2017年。本名は坂本孝夫(萩原はペンネーム)。著書『韓国の知識人と金芝河』(1977年、青木書店)、『淫教のメシア・文鮮明伝』(編著、1980年、晩聲社)、『民主主義よ君のもとに:韓国全斗煥体制下の民衆』(1986年、新日本出版社)、『朝鮮戦争』(1997年、文春文庫)、『ソウルと平壌』(1998年、文春文庫)、『朝鮮と私』(2000年、文春文庫)、『北朝鮮に消えた友と私の物語』(2001年、文春文庫)、『拉致と核と餓死の国北朝鮮』(2003年、文春新書)、『北朝鮮金王朝の真実』(2012年、祥伝社新書)等。立命館大学名誉教授で元『上方芸能』編集長の木津川計(本名は坂本凡夫)は兄(萩原遼 - Wikipedia参照)
*5:荒木は病死について「金泳三との首脳会談」に反対の金正日が「医療ネグレクトで故意に死なせた」と主張しますが、そんな主張には根拠はないし、いずれにせよ拉致解決とは全く関係ない話です。