■アキとカズ・第298回
http://www.sankei.com/life/news/150326/lif1503260006-n1.html
産経らしいトンデモ妄想小説「アキとカズ」に突っ込んでみます。
(やはりあの国は変わらなかった)
外務省幹部の福田は、ジュネーブの国連人権理事会で韓国代表が行った演説を聞いて、積み上げてきたものがガラガラと崩れ落ちるのを感じた。
拉致問題、脱北者、約1000万人もの離散家族…韓国も、日本と同じ問題を抱えている。北の人権問題への国際的な非難が高まっている今こそ、決定的に追い詰めるチャンスだったのだ。
ところが、韓国代表は「北の人権問題」を批判しただけでなく、返す刀で「日本の人権問題(慰安婦問題)」にも斬り込んできたのである。
福田は砂を噛(か)むような徒労感に打ちひしがれた。
(やっぱり「真の力」があってこそなんだ。だから、わが国はパワーゲームに参加できない…)
慰安婦問題でさんざん韓国を挑発しておいてこれです。韓国の方こそ「北朝鮮問題でも何でもいいけど協力して欲しいなら挑発するなよ」「つうか北朝鮮批判しただろ。日本批判したら北朝鮮擁護になるのかよ」といいたいところでしょう。
あげく「真の力が必要だ」。おそらく産経のことですから「真の力=軍事力」でしょうが軍事力があろうとたとえば「パレスチナやアラブ諸国はイスラエルを批判」「ウクライナはロシアを批判」するわけです。それに対して「イスラエルやロシアは軍事力をエスカレートすること」は問題解決になるのか。おそらくならないわけです。
つうか戦前日本だって「世界に冠たる軍事大国」でしたがそれで全てが解決できた訳じゃなく、かえって無謀な戦争で国土がずたぼろになったわけです。産経の軍事力信仰は異常でしょう。
“官邸の主”は、附則で自衛隊法改正を盛り込んだ「拉致被害者支援法」の改正案を強行採決するハラを固めていた。それが、茨の道であることは分かっている。反対は国内だけではない。韓国や中国、同盟国のアメリカさえもがここぞと嘴を挟んでくるだろう。
「だが、もう後には退けない」
はっきりしていることは、ここでもし、政府が動かねば、国民の怒りが爆発し、やがては政権が崩壊する道をたどることである。
まあやれやれですね。「北朝鮮への自衛隊突撃」なんて無謀な話は国内外に反対意見の当然あること、同盟国・米国ですらおそらく賛成しないことを認める点は産経としてはまともですが「強行突破するしかない、そうしないと政権が持たない」と無茶苦茶な話にもっていく点はやはり産経です。
国内外に反対意見のあることを強行する方がよほど政権が持たないでしょう。
「サクラ」の尾藤は自衛隊の現役部隊とのシミュレーションを重ねていた。
産経の願望でしょう。「サクラ(おそらく荒木の『予備自衛官ブルーリボンの会』がモデル)」なんて右翼団体とシミュレーションするほど自衛隊もバカじゃないでしょう。
海自のヘリ空母、イージス艦、潜水艦らを北朝鮮の沿岸へ派遣し、輸送ヘリに乗り込んだ陸自の特殊部隊「特殊作戦群」が救出に向かう。
自衛隊と北朝鮮人民軍の装備、技術を比べたら、横綱と子供ほどの「差」がある。拉致被害者の奪還・救出作戦自体はそう難しいことではない。
(だが、どこまでの覚悟があるのか…)
ひとつの予測が衝撃を与えた。
「損耗は5倍。つまり1人を救出するため、5人の犠牲者が出ることを想定しています」
まあ、産経らしい無茶苦茶です。「装備に差があろうと」人質がそう簡単に救出できるわけがないでしょう。大体、ヘリ空母やイージス艦なんか秘密裏に北朝鮮沿岸にもっていけるわけもないでしょう。
ましてやこの小説は「北朝鮮への自衛隊突撃論」をウヨが公言してるという設定です。北朝鮮が警戒態勢を強めてることは間違いない。
しかも「簡単だ」としながら「損耗が5倍」としてる点が無茶苦茶です(損耗ゼロなんて非常識設定もそれはそれで嫌ですが)。「損耗が5倍」なんて作戦のどこが「救出は簡単」なのか。全然困難じゃないですか。拉致被害者が死ぬ危険性のある作戦じゃないのか。
結局「損耗が5倍なんて作戦はできない(自衛隊)→自衛隊は腰抜けだ、俺達がやる(サクラ)→わー、サクラかっこいい(産経)」という話にしたいから「簡単な作戦としながら損耗が5倍という訳のわからない話」になるわけです。
■アキとカズ・第299回
http://www.sankei.com/life/news/150327/lif1503270003-n1.html
圧倒的な「国民の声」に背中を押される形で、法改正のために強行採決まで行い、拉致被害者奪還のために自衛隊を出すことだけは決めた。
だが、肝心の「政治の覚悟」が定まらない。
海自のヘリ空母とイージス艦、空自のF15戦闘機、空中警戒管制機(AWACS)を出す。だが、関係国*1を刺激しないため、北朝鮮の領海内には入らない。自衛官の犠牲者は1人たりとも出してはならない。
そして、拉致被害者が領海外まで自力で逃げてくれば自衛隊が救出する。それが大方針だった。
「自力で逃げるなんてできるはずがないでしょう」
内々に参加を打診された尾藤(びとう)が疑問を投げかけると、相手はこともなげに答えた。
「もちろんそうだ。だから、あなたたち(サクラ)に手伝っていただけないか、と考えている」
つまり、北朝鮮に侵入して拉致被害者を奪還し、領海外まで連れ出すのは尾藤ら「サクラ」のメンバーにやらせる。危険で関係国を刺激しかねない仕事は、自衛隊員でない人間に押しつけ、イザとなれば「知らぬ存ぜぬ」で切り捨てるハラなのだろう。
まあ、「日本国民の行動である以上、『ウヨが勝手にやったこと』で逃げられるか疑問」で、そんなこと(民間右翼の活用)は自衛隊は考えてないでしょうがそれはさておき。これ、荒木や産経らの立場からすれば「自衛隊が直接出撃しないこと」は不快だとしても「あんたら救う会が北朝鮮領内で活動することは大目に見てやるよ」てんだから、それこそ「はい、喜んで!」でしょう。
何せ荒木らは「自衛隊がやらないなら俺達がやる覚悟がある」とさんざんふいてたわけですから。
しかし小説では「コケにするな」と自衛隊に怒り出すと言うんだから訳がわかりません。
特殊機関に潜り込んでいた元外交官、「石山の遺志を継ぐ者」と名乗る男から梓に連絡が入った。
【4月×日、0355(マルサンゴウゴウ)。「あの女性」を東の海岸まで連れて行く。われわれの総力を結集して必ず、やり遂げる】
まあ、この小説以前読んだ方なら分かるでしょうが石山とやらの奮闘により「3人の特定失踪者が救出されて国民世論が盛り上がって」と言う設定です。
正直な話「はあ?」ですよね。特定失踪者が救出されたのにそんな事が可能なのか?。当然「あの女性(横田めぐみさんの事)」に限らず北朝鮮の「拉致被害者*2」に対するガードは堅くなってるでしょう。
徹底的な「石山の協力者狩り」も行われたでしょう。そんな中で「北朝鮮内部の協力者によってあの女性を海岸まで連れて行く」と言うことが可能なのか。
そしてそれが可能なら
「自力で逃げるなんてできるはずがないでしょう」
という発言とは矛盾するわけです。
■取材相手のウソ説明で誤報、京都新聞が逆転勝訴 控訴審判決、賠償命令取り消し
http://www.sankei.com/west/news/150326/wst1503260079-n1.html
田中裁判長は判決理由で、取材記者が「一定の調査をして記事を書いた」と指摘。業者の虚偽説明をうのみにしたことに過失はなかったと判断した。
まあ、この判決が正しいかどうかはともかく一般論としてはその通りでしょう。
産経のように「無反省にデマ記事量産」では困りますが「間違った記事を書いたら即損害賠償」という結果責任ではジャーナリズムは成り立たないでしょう。
■【アジアインフラ投資銀】韓国が参加申請、トルコも 計35カ国に 近く台湾・香港も
http://www.sankei.com/world/news/150326/wor1503260042-n1.html
日米政府が「AIIBには反対だ」と言う中、「中国と仲良くやっていきたいが日米ともめたくない」と参加申請に躊躇していた韓国、トルコですが
1)英国、フランス、ドイツ、イタリアといったヨーロッパの経済先進国が参加申請
2)日米も「どこまで本気かは疑問だが」、英国、フランス、ドイツ、イタリアの参加申請後「我々も絶対にAIIBに反対な訳じゃない」「AIIBに疑念があるのだ、それが晴れれば参加を検討する」と多少トーンダウンしたこと
もあってか、ついに参加を申請したようです。で、台湾も近く申請を予定すると。もう産経ら反中国ウヨが、あるいは日米政府が何を言おうと「AIIB設立の動き」はとまらないでしょう。
■【アジアインフラ投資銀】「日本も最初から入った方が得だ」 石原*3前環境相
http://www.sankei.com/politics/news/150326/plt1503260050-n1.html
まあ、こういう意見は当然出てくるでしょう。石原jrが「現在、党や政府の役職に就いていないこと」を考えれば、どれほどの政治的影響力があるか分かりませんが。
オヤジ・慎太郎は異常な反中国ですが息子はそうでもないようです。