今日の産経ニュース(7/30分)(追記・訂正あり)

■【「歴史戦」英日対訳版】ケント・ギルバートさん「慰安婦問題知らぬ海外*1では反日団体の主張をすぐ信じる」「日本の立場を掲げて戦うべきだ」
http://www.sankei.com/politics/news/150730/plt1507300005-n1.html
 ケントなんて「日本でしか影響力のない外タレ(外人タレント)」ですからね。しかも「巨泉のまるごとハウマッチ」など人気番組に出てた1980年代と違い今なんか「完全に落ちぶれてます」からねえ(苦笑)。


■【矢板明夫の目】中国共産党にカモならぬ“北京ダック”にされた日本 「100年で3度も美味しく味わった…」そのココロは?
http://www.sankei.com/premium/news/150730/prm1507300002-n1.html

 先日、数人の中国の改革派知識人と北京市内のレストランで「鴨三吃」を注文した。杯を重ねているうちに、日中関係の話となった。執拗に日本批判を繰り返す習近平*2政権の本音はどこにあるかについて、いろいろな意見が出たが、「権力基盤が弱く、国内をまとめられないから、日本を叩くことに通じて政権の求心力を高めようとしている」という結論で一致した。

 まあ産経の言うことなのでそんな知識人がいるかどうかすら疑問です。脳内ででっちあげた「非実在知識人」かもしれない。実在だとしても言ってる事が産経並みに酷くて論外ですけど。まあ、朝日、読売、毎日、日経ならまだしも産経とつきあう人たちですからね。
 つうか何で叩くのかと言ったら「首相が安倍だから」以外に答えはないんですけどね。安倍が首相をやめれば「ポスト安倍が安倍レベルに酷くない限り」問題はいい方向に解決するでしょう。産経には認められない答えでしょうが。

 ある知識人は「最近百年、日本は実に中国共産党に都合よく利用されてきた。まるでこのテーブルにあるアヒルのように、“鴨三吃”にされている」と指摘した。
 まず、日中戦争を利用して共産党軍の勢力を拡大させ、中華人民共和国の建国につながったことだ。

 おいおいですね。だったら産経は「日中戦争は愚かな戦争だった」と認めるのか。普段「蒋介石反日だから悪い」とか言って戦前日本を正当化してたのはどこに行ったのか。
 「ナチスドイツが対ソ連戦争したら最終的にはドイツ東部(旧東ドイツ)がスターリン勢力下になった」からといって誰も「スターリンヒトラーをカモにした」と言わないのと同様、単に日本が自滅しただけじゃないですか。

 1964年に訪中した当時の日本社会党佐々木更三*3委員長が毛沢東に対し戦争の謝罪をしたが、毛は「何も申し訳なく思うことはないよ、日本軍国主義は中国に大きな利益をもたらした。中国国民に権利を奪取させてくれたではないか、皆さん、皇軍の力なしには我々が権利を奪うことは不可能だったろう」と話した。

 佐々木が「日本人として申し訳ない」と言うのに対して毛がジョーク飛ばしただけじゃないですか。
 この毛のジョークについては皇軍に感謝した毛沢東?を紹介しておきます。
 つうかこういうジョークを飛ばされるような愚行を「日本人がやらかしたこと」に対する恥の感情は産経にはないんでしょうか。
 そしてむしろ日本を利用したというなら「日本軍の支援を受けながら最後に連合国軍に寝返った」ミャンマーのアウンサン辺りの方がよほど「日本をカモにした」「日本を利用した」んじゃないですかね。まあ、別にそれを理由にアウンサン批判する気は全くありませんが。

そして、日本を二度目に利用したのは、トウ(=登におおざと)小平*4だった。1970年末に最高実力者となったトウ小平は、自らが推進した改革開放路線を支えるための資金と技術を手に入れるために日本を訪問した。

 で「日本は技術移転した」わけですがそれ「単なる善意」じゃないビジネスだし、その種の技術移転は「韓国や東南アジア相手」にもされたわけです。日本が一方的に中国にかもられたなんて話じゃない。

 (注:トウの熱意に)感動した松下幸之助は即座に「何であれ、全力で支援するつもりです」と答えた。

 そんなきれい事オンリーの話の訳がないでしょうよ。「日本の侵略に対する贖罪意識」や「善意」が全くないとは言いませんが「中国ビジネス」という経営判断があるに決まってる。
 「最新技術は教えないで、やや時代おくれの技術を教える」つう対応がされたに決まってることはいうまでもないわけです。中国ビジネスを考えれば「何も教えない」というわけにもいかないが「自分の商売を考えれば」全部教えるなんて馬鹿な事も出来ない訳です。

 松下幸之助は自身の財界への影響力を行使し、ほかの企業に対しも中国進出を積極的に勧めた。

 やれやれです。松下の影響力はあったでしょうが何も松下が働きかけなくても日本企業は中国市場に進出したでしょう。ビジネスとして有望だからです。


■【産経抄】見事なトリック 7月30日
http://www.sankei.com/column/news/150730/clm1507300004-n1.html

 元治(げんじ)元(1864)年7月、長州藩は、京都での主導権を奪回するために御所を攻めた。いわゆる禁門の変である。しかし、薩摩藩会津藩に撃退され、長州藩は存亡の機に立たされる。
▼すると、藩主の了承のもとで行われていたにもかかわらず、責任を取ったのは3人の家老だった。切腹し、藩を救った。歴史家の山本博文*5さん*6によると、江戸時代、「武士の切腹は、藩主を頂点とする藩社会を守るために行われた」。
▼ただ、「現在の日本でも、そのような構造は、官僚組織や会社組織などに根強く残っているのではないか」ともいう(『切腹光文社新書*7)。確かに、文部科学省の久保公人(きみと)スポーツ・青少年局長(58)の辞職*8は、詰め腹を切らされたと、世間では受け止められている。
▼建設計画が白紙に戻された新国立競技場の問題で、野党は、下村博文文科相の責任を追及している。下村氏を頂点とする、文科省という「藩」を守るためには、担当局長だった久保氏の切腹しかないというわけだ。

 「受け止める」も何も実際「安倍の盟友・下村文科相」や「安倍の親分・森*9東京五輪組織委員会会長(元清和会会長、元首相)」といった「安倍にとっての身内」を守るためのトカゲのしっぽ切り以外何物でもないでしょうよ(次官や局長は本来トカゲのしっぽなんてちゃっちいポストじゃありませんが政治家連中と比べればトカゲのしっぽですし、さすがの安倍政権も「部長、課長、係長」といった現場の中間管理職レベルの更迭ですむとは思わなかったんでしょう)。守られてるのは「文科省という藩」ではなく「安倍の身内という藩」です。首相が安倍でなかったら、たとえば谷垣*10首相だったら下村、森二人とも速攻で更迭でしょう(谷垣首相だったらそもそもこの二人が役職に就かなかったかも知れませんが)。
 文科官僚からすれば「安倍首相が無理矢理下村大臣、森会長かばってたたかれる位なら二人とも安倍首相が更迭してくれた方がありがたい」でしょう。彼ら官僚には下村や森に対してそれほどの義理もないでしょうから。つうかよほどの実力大臣でもない限り「文科省に限らず」官僚にとって大臣なんか誰でもいいでしょう。

ただ、下村氏は会見で、「定例の人事」と述べている。

 まあ確かに今が「霞が関官僚の人事異動時期」である事は事実のようです(文科省以外でも人事関係の記事がメディアに載っている)。
 が、この件について「定例の人事異動」なんて誰も思ってないでしょう。久保氏は「文科省を自己都合退職」するそうですから。
 また例によって下村は「久保氏の自己都合だから、辞職理由は私の関知する所じゃない」とか抜かしてるようですが「お前ふざけんな」て話ですよね。久保氏もこの件がなければ定年まで勤めたでしょうよ。
 興味深いのは「久保氏に詰め腹切らせてごまかすつもり」が「トカゲのしっぽ切りじゃないか」と批判されると、下村が「いや定例の人事異動ですから」「久保氏は文科省を辞めるが自己都合だ」と逃げ腰になってることでしょう。

 民主党政権下の4年前、こんな出来事があった。当時の海江田万里経済産業相は、次官ら3首脳の辞任を発表した。東京電力福島第1原発事故への対応の不手際や、原子力安全・保安院のやらせ問題などの批判を受けて、3氏を更迭しけじめをつけた、と各メディアは伝えていた。
▼ところがしばらくすると、3氏の退職金には、上積みがあること*11がわかる。官僚が、大臣に花を持たせて実を取り、国民はまんまとだまされた。「見事なトリックというほかない」とコラムで皮肉ったものだ。「トカゲの尻尾切り」とも揶揄(やゆ)される今回の辞職劇は、どんな展開を見せるのか。

 そこまでいうからには「退職金上積み*12」や「大学や文科省関係団体(例:日本体育協会)の役員としての復権」なんてことがあったら産経はきっちりと安倍、下村を批判出来るんですかね。
 まあ、この件の場合、「話をぐだぐだにしたのは下村」なので「退職金の上積みがあろうとなかろうと」、トカゲのしっぽ切りでごまかそうとしている下村は批判されて当然ですし、いい加減大臣をやめたらどうなのか。つうか個人的には「博友会疑惑」のときに下村はやめるべきだったと思いますが。
 ああ、そうそう今回の件でid:Mukke先生が「類友id:DG-Lawさん」と以前絶賛してらした「鈴木寛・文科大臣補佐官」がどう動いたのかも気になるところですね(毒)。Mukke、DG-Lawコンビにとって「過去の鈴寛絶賛」はもはや「消し去りたい黒歴史」かもしれませんが。

*1:マイク・ホンダ氏やワシントンポストNYタイムズなどにすれば「知ってるわ、ボケ、日本でしか通用しない三流外タレがバカにすんな」でしょう。

*2:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て国家主席、党総書記、国家中央軍事委員会主席、党中央軍事委員会主席

*3:社会党選挙対策委員長、副委員長を経て委員長。

*4:副首相、党副主席、人民解放軍総参謀長などを経て国家中央軍事委員会主席、党中央軍事委員会主席

*5:下村「博文」ネタだから「山本博文氏」を持ってきたと思うのは小生の邪推でしょうか?

*6:著書『参勤交代』(1998年、講談社現代新書)、『江戸を楽しむ:三田村鳶魚の世界』(2000年、中公文庫)、『島津義弘の賭け』(2001年、中公文庫)、『サラリーマン武士道:江戸のカネ・女・出世』(2001年、講談社現代新書)、『「葉隠」の武士道:誤解された「死狂ひ」の思想』(2001年、PHP新書)、『対馬藩江戸家老』(2002年、講談社学術文庫)、『鬼平と出世:旗本たちの昇進競争』(2002年、講談社現代新書)、『徳川将軍と天皇』(2004年、中公文庫)、『江戸城の宮廷政治』(2004年、講談社学術文庫)、『徳川将軍家の結婚』(2005年、文春新書)、『お殿様たちの出世:江戸幕府老中への道』(2007年、新潮選書)、『江戸のお白洲:史料が語る犯科帳の真実』(2011年、文春文庫)、『徳川将軍15代』(2011年、小学館101新書)、『「忠臣蔵」の決算書』(2012年、新潮新書)、『武士道の名著:日本人の精神史』(2013年、中公新書)など

*7:2013年刊行

*8:産経は触れていないが事務次官の辞任も発表されており、これも久保氏同様「詰め腹」と見られている。

*9:中曽根内閣文相、自民党政務調査会長(宮沢総裁時代)、宮沢内閣通産相、村山内閣建設相、自民党総務会長(橋本総裁時代)、幹事長(小渕総裁時代)などを経て首相

*10:小泉内閣国家公安委員長財務相自民党政務調査会長(福田総裁時代)、福田内閣国交相、第二次安倍内閣法相などを経て現在、自民党幹事長。しかし今思えば安倍を「幹事長や官房長官にはしても」外相や財務相にはしなかった小泉という人は彼なりに「安倍のヤバさ(極右性)と無能さ」を自覚していたのかも知れないですね。

*11:まあ「後で説明しますが」今回の久保氏と同じで建前では「処分じゃないから」でしょう。

*12:つうか本当に「局長更迭は定例の人事異動」で「退職も自己都合退職」扱いなら、建前では処分された訳じゃないんだから「早期退職に応じたら退職金が上積みされることがある」のと同じ理由で「若干の上積み」はあるんじゃないですかね。もちろん「20代での自己都合退職」なら「勤務年数が少ない」から上積みなんかないでしょうが「定年まで後1年半程度」ならこれは民間だって上積みはするんじゃないか。