今日の産経ニュース(8/18分)(追記・訂正あり)

台湾総統府李登輝*1を批判 抗日行事「嫌がらせでない」
http://www.sankei.com/world/news/150820/wor1508200048-n1.html

 台湾総統府の陳以信報道官は20日、李登輝元総統が日本の月刊誌で、7月に台湾で実施された「抗日戦争勝利70年」記念イベントなどついて「日本に対する嫌がらせ」と馬英九総統を非難したことに対し「『戦争は残酷で平和は尊い』と指摘するためだ」と反論して李氏を批判した。
 李元総統は月刊誌で、イベントなどの狙いについて「中国側の歓心を買おうとしているのだろう」と指摘。総統府が発表した文書の中で陳氏は「第2次大戦に参戦した主要国はそれぞれのやり方で(戦争終結を)記念している」と述べ「これらの国々も日本や、もしくはドイツに対して嫌がらせをしているのだろうか」と異議を唱えた。

 李登輝の日本ウヨに媚びるゲスぶりには本当にうんざりします。李と馬総統を見てるとまさに「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」などといった言葉が思い浮かびます。もちろん李が燕雀(チンカス以下の小人物)で、馬総統が鴻鵠(それなりの見識を持ったまともな政治家)のわけですが。およそ元台湾総統とは思えない李の醜態です。李を引き上げてやった恩人・蒋経国蒋介石の息子、蒋介石死後、台湾総統)が存命なら李に怒り心頭でしょう(まあ蒋経国が存命ならさすがの李もここまでの醜態はさらせないかも知れません)。
 なお、この記事で問題になっている「日本の雑誌」ですが、どうも李登輝は「月刊Voice」9月号(PHP研究所)に『日台新連携の幕開け』なる駄文を書いたようです(http://www.php.co.jp/magazine/voice/参照)。
 このVoice、目次を見るだけでも

ポツダム宣言は日本の罪を問うていない」(有馬哲夫*2
中国経済は完全に息絶える」(長谷川慶太郎*3
「WGIP洗脳工作の源流を暴く」(高橋史朗*4

などという非常識きわまりない代物であり、こんな雑誌に寄稿する李登輝人間性を疑います。


■台湾・馬*5総統、慰安婦問題に執着 日本の謝罪要求 レガシー作りの思惑も?
http://www.sankei.com/world/news/150818/wor1508180033-n1.html
 「何らかのレガシー(政治的遺産)を残したいと言う思惑がある」と書き、

・16日には、総統府で行政、立法、司法の各院長を招いて台湾人元慰安婦の記録映画の上映会を開いた。
 馬総統は鑑賞後、目に涙を浮かべながら、台湾でも慰安婦募集の強制性をめぐる議論*6があることについて、「そのような議論は非文明国の証しだ」と批判。慰安婦は「性奴隷だ」と述べた。
・馬総統は18日、訪台した自民党青年局一行と総統府で会談し、「(注:安倍談話で)慰安婦に対し明確なおわびがなかったのは遺憾だ」と述べた。その上で、「一人の友人として日本にさらなる取り組みを求める」と謝罪を促した。

といった馬総統の「慰安婦問題での積極性」を「レガシーづくりの不純なもの」とネガキャンする産経です。
 しかし「慰安婦問題でのこうした態度がレガシーになる」とは「こうした行為は馬政権の支持率を『上げるかどうかはともかく』少なくとも落とさないし、与野党のどこからも批判が来ないということ(まあ、日本ウヨに媚びてる李登輝一味は別でしょうが)」を意味するわけです。皮肉にも馬総統の慰安婦問題での態度は
1)『別に馬さんがそう言うことやりたいならやればいいジャン、俺は慰安婦問題なんて興味ねえから積極的に支持はしないけど日本のウヨ連中みたいに反対する理由もない』という消極的支持であれ
2)『馬総統の慰安婦問題に対する態度に感動しました、是非頑張ってください』という積極的支持でアレ
「とにもかくにも、与野党問わずほとんどの台湾人に支持されてる」ということを認めてしまっている産経です。
 そしておそらく馬総統のこうした態度が「蒋介石国民党時代に産経がどれほど応援したと思ってるのか」「慰安婦問題で日本批判するわ、中国と経済交流を進展するわ、馬の野郎、裏切りやがって、お前がそう言う気なら国民党なんか攻撃対象だ」「朴チョンヒを応援してやったのに、慰安婦問題その他で日本批判する朴クネと全くかわらない無礼な野郎だ」などという産経の馬氏への反感を強めていることも間違いないでしょう。


■【正論】戦後70年に思う 冷戦後症候群こそ現代の脅威(袴田茂樹*7
http://www.sankei.com/column/news/150818/clm1508180001-n1.html
 安保法制反対派にレッテルを貼って罵倒してるだけの駄文です。「袴田氏ってその程度の人だったのか」と思います。

核を弄ぶ北朝鮮大国主義の中国、北方領土でも軍備を強めている露

なんてことがあの安保法制とどう関係するのか。あの法案のターゲットはどう考えても「中東」でしょう。隣国相手に安保法制発動なんて物騒な事ができるわけもない。


■【主張】GDPマイナス 消費喚起へ「民」の底力を
http://www.sankei.com/column/news/150818/clm1508180003-n1.html

(注:昨日の政府発表に寄れば)4〜6月期の実質国内総生産(GDP)が年率換算で1・6%減に落ち込み、3四半期ぶりのマイナス成長となった。

 まあ、以前から「アベノミクスは景気を良くしてなんかいない」という批判が「アベノミクスに批判的な野党やエコノミスト」からありましたがそれが「政府統計データからも裏付けられた」という話です。今安倍の支持率は「安保法制や新国立競技場問題」などで下降傾向ですからこれは痛いでしょう。
GDPがマイナス成長だろうと、消費や輸出、設備投資が伸び悩んでいようと企業収益が上がってるし株価は高いから問題ない」つう立場を取るなら別ですが、さすがの産経もそう言って安倍政権を擁護する気はないようです。で「何とかしないと!」と普段のアベノミクス絶賛もどこへやら完全に焦りまくっています。
 たぶん安倍政権もそう言う居直りはしないし、できないでしょう。アンチ安倍の俺としては「アベノミクスの失敗の明白化」によりさらなる安倍政権支持率低下を期待したいところです。「景気が悪いのを喜ぶのか?」と言う方もいるでしょうが小生からすれば「藪医者の藪治療(安倍政権のアベノミクス)をいつまでも受けていては治る病気(景気問題)も治らなくなる」「安倍は藪医者」という考えですので「アベノミクス失敗の明白化」は悪いことではありません。
 「先生もよくなってるって言うし、なんか良くなってるみたい」で藪治療をいつまでも受け続けたら「病状悪化」という恐ろしいことになります。
 また安倍政権の害悪は「近隣諸国との関係悪化」「マスコミへの恫喝」など「経済失政」にとどまらない深刻なものです。一日も早い退陣が望まれます。

 問題は、円安や原油安を追い風とした企業業績の好転とは裏腹に、消費者心理が一向に盛り上がらないことだ。このギャップの解消を急がねばならない。
 それには企業が、賃上げはもちろん、魅力的な商品やサービスで国内需要を開拓し、消費を喚起する必要がある。

 共産党などは「雇用の安定など欧州型社民政策で生活不安をなくし消費意欲を高めよう」「消費税増税など国民負担を減らし消費意欲を高めよう」といますがそう言う認識は産経にはありません。
 「魅力的な商品やサービス」なんてのは政策でどうこうなることじゃないでしょう(そもそも賃金が上がらないのに魅力的な商品やサービスがあっても買えるか、ボケ!て話でもありますが)。
 「賃上げ」という産経ですが「政府が賃上げのためにできることは何か」じゃなくて「企業はあげろ」という企業丸投げなんですからあげるわけがない。「産経の口先介入」であげるようなら誰も苦労しない。

経済財政白書は、増税や物価高による消費不振が平成26年度のGDPを1・7%程度押し下げたと分析した。その傾向が今も続いている。

 なら増税をやめろつう話ですが「景気のことなどまともに考えていない」ので、そうはならないのが産経であり安倍政権です。
 物価高にしても「そもそも物価高を金融緩和によって故意に実現することで景気回復が望めるとしたのがアベノミクス」「今の物価高を『アベノミクスの当初予定(物価上昇率2%)よりは低い』としてもっとあげろという人間すら中にはいる」「物価高の一因は輸入品物価の上昇だがその理由はアベノミクス円安」つうことを考えれば「何だかなあ」です。
 自分で物価上昇を「景気が良くなる」として金融緩和で助長しておいて「実際に物価が上がったら」景気低迷の原因になりましたと発表。頭がおかしいんじゃないかと思います(詭弁で「物価上昇は景気低迷と関係ない」と言われても困りますが)。だったらアベノミクスの金融緩和なんかやめたらどうなのか?
 いや「株価高や円安」は「アベノミクスの金融緩和が理由」であり、下手に金融緩和をやめると「反動株価安、円高で恐ろしいことになりかねない」のは事実です。したがってアベノミクス批判派も「うかつにはやめられない」として無責任に「とにかく今すぐ打ち切れ」とは言ってません。
 しかし批判派は「メリットは小さく、弊害が大きいから早くやめるべきだ、出口戦略を考えるべきだ、深みにはまるとどんどん脱出が難しくなる」と言ってるわけです。「ここまで深みにはまるとそう簡単にはやめられないが、さらに深みにはまるとどんどん脱出が難しくなる。出口戦略を考えよう」てもはやアベノミクスは「戦前日本の日中戦争」「米軍のベトナム戦争」「旧ソ連のアフガン戦争」並みにやばい代物になってないか。

背景には(注:バブル崩壊後の)長期デフレで強まった倹約志向がある。

 おいおいですね。安倍以外の政権、例えば民主党政権ならこんな事言わないでしょうに(苦笑)。
 いわゆる「長期デフレ」は「バブル崩壊後」のことですから昨日今日始まったわけじゃない。そんな事で安倍が免罪できるなら、過去の政権(小渕、森政権、民主党政権など)も免罪できるでしょう。
 そもそも「物価が上昇しても賃金が上がらないことを放置したこと」「それどころか消費税増税などで国民負担を増やしたこと」によって倹約志向を強めたのがアベノミクスですからこんなことは言い訳になりません。

企業には、こうした消費構造の変化を見据えた製品開発や販売戦略の見直し、新規分野への投資などを改めて求めたい。政府は、そのための税制改正規制緩和などの環境整備に取り組むべきだ。

 「いい商品やサービスを作れば売れて景気回復するはずだ→規制緩和」ていい加減それでは景気回復しないって理解して欲しいもんです。「賃金は上がらない(物価上昇や増税を考えれば実質下がってる)、年金は下がる、物価は上がる、税金も社会保険料も上がる」では誰でも消費なんか控えます。

GDPを下押しした輸出にも引き続き警戒が必要である。特に減速傾向が鮮明な中国経済だ。訪日中国人の「爆買い」がなくなれば、消費の落ち込みは深刻となろう。中国の景気低迷が東南アジアなどに波及すれば、同地域への輸出も打撃を受ける。

 普段、「中国に悪口雑言」し「上海株式市場の株価低迷」も「ざまあ、中国」と当初、喜んでた産経ですが「GDPマイナス成長」という悲劇を前に「中国人観光客や中国への輸出が減ったら困る」「中国景気に上向いて欲しい」と言わざるを得なくなっています。
 なお、注意しないと行けないのは「GDPマイナス成長」は「4〜6月期」のことだということです。上海株式市場の株価低迷が表面化するのは確か「6月下旬から7月上旬」ですからこのマイナス成長にはおそらく「中国の景気問題」なんかあまり影響してないでしょう。

言うまでもなく、円安や原油安などがこのまま続くとは限らない。その前に消費主導の成長軌道を実現させたい。

 原油安は「日本でどうこうできるものではない」のでその通りですが「円安がいつまで続くか分からない」と産経が言ってるのにはびっくりです。
 アベノミクス応援団・産経も「今の円安は政策で無理矢理誘導してるもんでいずれ限界が来る」と見てるようです。

*1:台北市長、副総統などを経て総統

*2:著書『CIAと戦後日本:保守合同北方領土再軍備』(2010年、平凡社新書)、『児玉誉士夫:巨魁の昭和史』(2013年、文春新書)など

*3:著書『中国「反日」の末路』(2005年、東洋経済新報社)、『中国崩壊前夜:北朝鮮は韓国に統合される』(2014年、東洋経済新報社)、『破綻する中国、繁栄する日本』(2014年、実業之日本社)、『ロシア転覆、中国破綻、隆盛日本』(2015年、実業之日本社)、『中国大減速の末路』(2015年、東洋経済新報社)など

*4:つくる会副会長。著書『教科書検定』(1988年、中公新書)、『間違いだらけの急進的性教育』(1994年、黎明書房)、『歴史の喪失:日本人は自らの歴史教育を取り戻せるのか』(1997年、総合法令)、『日本文化と感性教育:歴史教科書問題の本質』(2001年、モラロジー研究所)、『日本が二度と立ち上がれないようにアメリカが占領期に行ったこと』(2014年、致知出版社)など

*5:連戦内閣法相、台北市長を経て総統

*6:李登輝辺りがほざいてるんでしょうか?

*7:著書『現代ロシアを読み解く』(2002年、ちくま新書)、『現代ロシアを見る眼:「プーチンの十年」の衝撃』(共著、2010年、NHKブックス) 。伯父は元・日本共産党幹部の袴田里見