今日の産経&中国ニュース&三浦小太郎に突っ込む(2019年10月18日分)

リベラル21 少数民族から見た中国革命70周年(1)阿部治平

 1949年10月1日、毛沢東は北京天安門楼上で、中華人民共和国の成立を宣言した。70年後のことし2019年10月1日、習近平国家主席はこれを記念して盛大なパレードを催した。
 しかしモンゴル*1ウイグル・カザフ*2チベットなど、かつて独立国家*3であった記憶をもつ民族にとっては、この日は屈辱の記念日となっている。中共の傘下に入ることを余儀なくされたとき、彼らは民族国家の創設あるいは高度自治の獲得を期待したのだったが、いまはそれを口にするだけで国家分裂罪という重罪に問われる。

 いつもの阿部治平*4&リベラル21の「中国への悪口雑言」ですね。「そういう悪口してなんか意味あるの?」「建国記念日の祝賀行事ぐらい素直に認めろよ」ですね。


中国建国70周年の祝賀パレードに登場した、チベット活仏を「俗人化」させた娘 | 楊海英 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

・10月1日に中国・北京の天安門広場で繰り広げられた建国70周年を祝う閲兵式の後、市民らが参加した官製パレードがメインストリートの長安街で行われたが、その1シーンが世界のチベット仏教徒たちに衝撃を与えた。「中華民族の偉大な復興」を謳歌する行列の中に建国の功労者とその家族を乗せた山車があり、その上で30代の女性が故パンチェン・ラマ10世の写真を掲げて手を振っていたのだ。女性の名はアブシ・パン・リンジンワンモ。パンチェン・ラマ10世の娘である。
・1959年のチベット蜂起後、ダライ・ラマはインドに亡命し、パンチェン・ラマダライ・ラマに追随せずに中国と共生する道を選んだ。
共産党パンチェン・ラマを中国人女性と結婚させ、1983年に女児が生まれた。彼をチベット仏教の活仏という神聖な法座から単なる「欲望の塊である俗人」に引き降ろす手段だった*5。高潔な活仏ではなく、一児の父親という俗人になったパンチェン・ラマに、チベット仏教徒たちは失望した*6
 それでも彼は(ボーガス注:文革で)共産党が破壊した寺院を再建し、後進の育成に当たるなど仏教の復活に尽力した。1989年1月、共産党が破壊した歴世パンチェン・ラマの仏塔を再建しようとチベット西部のタシルンポ寺を訪れたときに急逝した。
 中国政府はそれ以降、(ボーガス注:インドに逃亡した)ダライ・ラマを「宗教の袈裟(けさ)をかぶったオオカミ」だと批判する一方、(ボーガス注:チベットにとどまり中国共産党に協力した)パンチェン・ラマを「祖国を愛した人士(愛国人士)」と称賛してきた。この「愛国人士」が仏教の戒律を破って生まれた女性が、「中華民族の一員」として山車に乗って習近平(シー・チンピン)国家主席の前を行進したのである。

 個人的にはインドに逃亡したダライより「チベットにとどまったパンチェンやプンツォク・ワンギャル」に強い尊敬の念を覚えますね。


中国が北大教授を拘束 40代準公務員、9月の訪中時か - 産経ニュース
北大教授を中国当局拘束 スパイ容疑?過去に防衛省勤務:朝日新聞デジタル
 中国が詳しく容疑事実を説明しない上に、マスコミ報道も「政府や北大当局、北大教授氏のご家族の要請(個人が簡単に特定できるような形であまり詳細に報じないでほしい等)」があったのでしょうが名前は勿論

「所属学部(中国政治が専門と書くが、学部記載は全くなし)」
「年齢(40代とのみ記載)」
「経歴(外務省や防衛省で勤務経験あり、と書くが詳細は記載せず)」
「訪問理由(全く記載せず)」

ということで抽象的すぎてなんとも評価が困難ですね。
 いずれにせよ問題解決は外交交渉以外に手がないでしょう。ここで「北朝鮮拉致問題でやってる」ような「経済制裁」なんかやってもどうにもならないでしょう。
 「朝日や毎日」「日本共産党」など(つまり非極右)はともかく産経のような反中国極右は「こんなことをされて来年春、習主席訪日なんてとんでもないことだ!」「韓国へのホワイト国除外のような報復をすべきだ!」位思ってるでしょうが安倍はそういうことはしないでしょう。しかし、評価が難しいですが中国も「それ(来年春の習氏来日計画や今月の王副主席訪日(即位式出席))はそれ、これ(身柄拘束)はこれ」「日中友好は大事だがスパイ摘発(?)も大事」と言う理解でしょうか?

【追記】
中国政府系機関が北大教授を招聘 拘束は手配のホテルで(北海道新聞) - Yahoo!ニュース

 北海道大学(札幌)の40代の男性教授が中国当局に拘束された事件で、教授は9月3日、北京にある中国政府系シンクタンク中国社会科学院の招きで訪中し、9月上旬に同院が手配した北京市内のホテルで拘束されたことが23日、分かった。日中関係筋が明らかにした。防衛省防衛研究所や外務省に勤務したことがある教授の経歴から、中国当局が当初から拘束目的で招聘(しょうへい)したとの見方も浮上している。
 教授は昨年も中国側の招きで訪中しており、中国社会科学院近代史研究所のホームページは、教授が昨年9月11日、同研究所で「中日戦争初期の日本の和平工作」と題して講義したと紹介している。

 さすがにそこまで無茶苦茶なことはしないと思うのですがね。そんなことをすれば当然ながら今後「中国政府系のシンクタンク」が日本人研究者を招へいしたところで「危なくて行く気にならない」と拒否されて学術交流に明らかに支障を来すからです。
 それにしても「昨年、招へいしたときは何もなかったこと」と今回の扱いとの違いが謎ですね。


佐賀県が北京で観光PRイベント マイナーでディープな日本旅行が新たなトレンドに--人民網日本語版--人民日報

・17日午後、2019年「日本九州佐賀県観光旅行説明・商談会」が、ニューオータニ北京(北京長富宮飯店)で開催された。佐賀県内の主な自治体関連機関、旅行会社、宿泊施設など28機関の代表が同会に出席し、中国の観光業関係者と商談を行った。
佐賀県地域交流部文化・スポーツ交流局の石井正宏副局長は、「美肌効果のある温泉、ヘルシーなグルメ、スピリチュアルパワーを秘めた神社、四季折々の花々など、佐賀は極めて豊かな観光資源を備えている。本日の交流を通じて、より多くの中国人観光客が佐賀を訪れ、正真正銘の日本の風情を体験してほしい」と紹介した。
日本政府観光局(JNTO)北京事務所の小松栄一副所長は、「私には、九州のグルメといえば、すぐに佐賀県呼子イカ*7が頭に浮かぶ。最初に呼子イカを食べた時の感動は、今でも忘れられない」と話した。
 また小松副所長は、「今年1月から8月までに日本を訪れた中国人観光客の総数は、延べ658万3600人に達し、前年同期比13.6%増加した。うち7月の1ヶ月だけで延べ100万人を突破した。携程旅遊網が発表した『国慶節(建国記念日、10月1日)個人旅行人気目的地ランキング』によると、日本はタイを抜いて一躍トップに躍り出た。また、中国人観光客による日本旅行の目的地とスタイルにも変化が生じている。東京・大阪・京都など有名な大都市への旅行から、マイナーな目的地でディープな日本体験をしたいという中国人観光客が増加の一途をたどっている。今月28日、佐賀と西安*8を結ぶ直行便が就航する。就航後は、より多くの中国人観光客が佐賀を訪れるチャンスが増えて、佐賀の魅力を堪能することになるだろう」。

 楊海英や産経のような反中国が何をほざこうとも無視されるという話ですね。


【正論】左右とも中国になぜ媚びるのか 文化人類学者、静岡大学教授・楊海英 - 産経ニュース
 「媚びる右」とは「来年春、習近平氏を国賓として出迎える予定の安倍自民」や「中国ビジネスを重視する日本経団連経産省」のことです。
 「媚びる左」と言うのは必ずしも左派政党(社民党共産党)、労組(連合、全労連全労協)などを意味せず、立民や国民民主(つまり安倍のような極右に批判的な保守リベラル)を含んでいますがそれはさておき。
 楊&産経の言う「中国に媚びる」というのは文字通りの「媚び」といいよりは「中国ビジネスをそれなりに重視する(中国相手に国交を断絶し、台湾と国交樹立するなどの無茶はしない)」「一帯一路やAIIBに参加する」などと言う意味ですのでまともな政治勢力(特に政権与党)では「日本に限らず」欧米にしても「フランスのマクロン大統領にしてもドイツのメルケル首相にしても他の誰にしても」「中国に媚びる政治勢力」しか世界にはいません。楊や産経の期待するような中国敵視なんかあり得ない。
 この駄文で明らかになっていることは「本気なのかデマなのか」はともかく楊が異常な反中国極右に転落したと言うことでしかありません。
 しかしついに産経&楊も「右も中国に媚びてる!」「一帯一路参加だの国賓訪日だの許せない!」といって安倍や日本経団連まで非難するようになりましたか(苦笑)。

 ウイグルの問題は現在進行形で展開されている。百万人単位で強制収容所に閉じ込められ、女性たちは性犯罪に巻き込まれ、児童は親から隔離されている。それなのに左側から批判の声は上がらない。

と左派に悪口の楊ですが、

特集:ウイグル収容施設の惨状|週刊金曜日公式サイト
「奇跡の生還はたしたオムル・ベカリさん衝撃の告発」(M谷Y子)

中国、説明なく拘束/ウイグル人収容所体験者証言/都内で集会
・中国政府が新疆ウイグル自治区で多数のウイグル族の住民らを拘束しているとして国際問題となる中、収容所から生還した女性メヒルグル・トゥルスンさん(29)が6日、米国からのネット中継で東京都内の集会で証言しました。
・「実家など多くの家に盗聴器や監視カメラが設置され、イスラムのハラル食材や食堂、ラマダンなど伝統行事が禁止された。私がしゃべると故郷の親や家族に危険が及ぶかもしれないが、黙っていても同じ。実情を知ってほしいと証言を始めた」と語りました。
・集会は、人権団体「アムネスティ・インターナショナル日本」と明治大学現代中国研究所が主催しました。

などの記事で分かるように「M谷Y子・明治大現代中国研究所准教授(ウイグル研究)のインタビュー記事が週刊金曜日に掲載」「M谷Y子・明治大現代中国研究所准教授のかかわったウイグル集会を赤旗が報道」し、M谷氏自身もツイッター(今はプライベートモードで見られませんが)で過去に「赤旗週刊金曜日には感謝している」「ウヨは左派が中国批判してないなどと言うデマは辞めるべき」とツイートしていたことでも分かるように楊のここでの左派非難「ウイグル問題について日本左派の中国批判が全くない」は全くのデマです。
 まあ、楊が「日本左派の批判はまだぬるい」「週刊金曜日赤旗など一部を除けばまだ少ない」と評価するのは勝手ですが「批判がぬるい、少ない」のと「批判がない」のとでは全然違います。
 しかし岩波もこんな奴の本を出すのは辞めた方がいいんじゃないですかね。

『墓標なき草原:内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録(上・下)』(2009年、岩波書店→後に、2018年、岩波現代文庫
『続 墓標なき草原:内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録』(2011年、岩波書店
『中国とモンゴルのはざまで:ウラーンフー*9の実らなかった民族自決の夢』(2013年、岩波現代全書)
『「知識青年」の1968年:中国の辺境と文化大革命』(2018年、岩波書店

など、こいつの本を岩波がせっかく出してやっても「左派(もちろんどう見ても岩波を含む)は中国批判しない」と産経でデマ飛ばすようなヤツですからね、こいつは。恩知らずというか、クズというか。
 つうか岩波以外にも楊は

・『狂暴国家 中国の正体』(2014年、扶桑社新書
・『チベットに舞う日本刀:モンゴル騎兵の現代史』(2014年、文藝春秋
・『逆転の大中国史 ユーラシアの視点から』(2016年、文藝春秋→後に、2019年、文春文庫)
・『「中国」という神話:習近平「偉大なる中華民族」のウソ』(2018年、文春新書)
・『最後の馬賊:「帝国」の将軍・李守信』(2018年、講談社
・『モンゴル人の中国革命』(2018年、ちくま新書
・『独裁の中国現代史:毛沢東から習近平まで』(2019年、文春新書)

といった中国批判本(モンゴル関係)を大手出版社(文春、講談社筑摩書房)から出してるくせによくもまあ「日本では中国批判がない」とあからさまなデマが飛ばせるもんです。
 なかなか常人にはまねできない楊のクズぶりです。まねしたくもありませんが。

 内モンゴルもその一部は「満蒙(まんもう)」として日本の植民地支配を経験した。

 要するに日本が満州国をつくって外モンゴルの「内モンゴルへの介入」を妨害したあげく、日中戦争で敗北して「満州から撤退→権力の空白状態に中国が介入」なんてことにならなければ「外モンゴルと一緒に独立出来たかもしれない」つう話です。にもかかわらず満州国建国を批判するどころか、それを美化する産経と一緒になって「中国共産党内モンゴル介入を容認*10した戦後左翼が許せない」と言い出すのだから、楊のクズさには呆れて二の句が継げません。


『ウイグル人』年末発売予定のお知らせ | 三浦小太郎BLOG Blue Moon
 「ウイグル人」(トルグン・アルマス著)を年内に翻訳発行する予定 三浦小太郎(評論家) | Yamato Pressの続報ですね。

 恥ずかしながらこの本にも解説を書かせていただいております。

 専門家・M谷N子氏ならまだしも素人の三浦が解説という時点で「はあ?」「アホか?」ですね。

「人類に対して一つの犯罪がなされようとしているこの時に、歴史書ウイグル人』が日本語に訳され出版されることは、大変重要な意味を持つ出来事です。」(ドルクン・エイサ 世界ウイグル会議総裁)
「歴史はすべて現代史である、とある哲人は指摘する。ならば、トルグン・アルマスが語っているのもまさにウイグル人にとっての現代史である」(楊海英 静岡大学教授)

 ごろつき右翼の三浦と付き合って恥じないというのだから世界ウイグル会議も楊もあきれ果てた馬鹿者です。

 東アジアの歴史を、これまで私たち日本人は、定住民族である漢民族中心の歴史観の視点から見てきたように思えます。

 まあ「内モンゴル外モンゴル」はともかく、ウイグルチベットは東アジアというよりはむしろ中央アジアとかでしょうからねえ。
 そして近現代に限らず、古代、中世にしたって日本人で吐蕃(昔のチベット)だの突厥(昔のウイグル)だのに興味がある人もあまりいないでしょうからねえ。

 著者の歴史観には異論のある方もおられると思いますが

 「異論の出るような本なの?」ですね。

*1:勿論外モンゴルではなく内モンゴルのこと。

*2:もちろんカザフスタンではなく中国国内のカザフ族のこと。

*3:イヤー清朝時代からすべて既に中国領土なのでこういう物言いはいかがなものか?。

*4:著書『もうひとつのチベット現代史:プンツォク=ワンギェルの夢と革命の生涯』(2006年、明石書店)、『チベット高原の片隅で』(2012年、連合出版

*5:「アンチ中国」楊の主張なので眉唾で聞いておきます。

*6:日本ではもはや「僧侶の結婚」は何ら珍しくないので「あ、そう(むしろ驚き)」ですね。

*7:俺が無知なだけでしょうがむしろ俺は「博多ラーメン、辛子明太子、もつ鍋(福岡)」「チャンポン、卓袱料理や長崎中華街、長崎カステラ(長崎)」「関あじ・関サバ(大分)」「馬刺しや辛子レンコン(熊本)」「チキン南蛮(宮崎)」「薩摩黒豚(鹿児島)」「ゴーヤチャンプル(沖縄)」といったところですね。

*8:陝西省省都

*9:1906~1988年。内モンゴル出身。内モンゴル自治区党第一書記、内モンゴル自治区政府主席、内モンゴル自治区政治協商会議主席など内モンゴルの要職を歴任。文革で一時失脚するが後に復権全人代副委員長、党中央統一戦線工作部長、全国政治協商会議副主席、国家副主席などを歴任

*10:容認云々つうなら「当事者であるモンゴル人」を除けば、(積極的に賛成しないにせよ)反対した人間なんかほとんどいないでしょうに全く楊と産経は何を言ってるのか。左派への言いがかりも大概にしろという話です。