今日の産経ニュースほか(2020年12月7日分)

TBSラジオ森本毅郎スタンバイ『安倍離れを始める菅首相
 うろ覚えで書いてることをお断りしておきます。

◆森本氏
 今日のコメンテーターは時事通信の山田惠資さんです。テーマは「安倍離れを始める菅首相」だそうですが菅さんは総裁選で安倍継承を言っていたんじゃないんですか?
◆山田氏
 そこで注目したいのは菅さんの記者会見なんですね(令和2年12月4日 菅内閣総理大臣記者会見 | 令和2年 | 総理の演説・記者会見など | ニュース | 首相官邸ホームページ参照)。
 ここで注目したいのは菅さんが、安倍さんが首相退任表明後に発表した談話『敵基地攻撃論』について菅さんからは全く触れてないことなんですね。わざわざ安倍さんが退任表明後にそういう談話を出した。それは明らかに菅さんへのある種の政治的置き土産でしょう。菅さんに『敵基地攻撃論』について何かやってほしい。ところが菅さんは記者の質問を受ける前に自分の考えを延々と説明したけれどもそこでは敵基地攻撃論には自分からは何も触れなかった。
 自分から触れたのは「現在深刻な問題であるコロナ」や菅さんが総裁選でアピールした「携帯電話料の値下げ」「デジタル庁」「不妊治療への保険適用拡大」などでした。
 産経の記者から質問が出て、菅さんは『敵基地攻撃論』について回答した物の、その内容は『今後の検討課題であり、現時点では明確な物はない』という代物でした。
 菅さんの周辺からは「安倍継承と言ったが全て引き継ぐとは言ってない」「総裁選で戦った石破氏や岸田氏に比べれば引き継いでる」なんて言葉も出ている。
 そこで「病気辞任したはず」「辞任して間もないはず」なのに、安倍さんに近い自民党内の右派議員からは菅さんへの不満から「安倍再登板」なんて話が出てくる。
◆森本氏
 でもそれは今回の桜前夜祭の捜査で潰れたんじゃないんですか?
◆山田氏
 森本さんの言うとおり潰れたと見ていいと思います。というか永田町ではそうした安倍再登板論に不快感を覚えた菅さんが検察を動かしたとも、そこまでではなくても安倍さんと彼に近い議員の動きに不満を覚えて、検察の捜査を黙認したとも言われてる。政権が誕生して三ヶ月しか経ってないのにそんな話が出れば菅さんも当然不快でしょう。そして今の最高権力者、首相が菅さんで、菅さんが検察捜査を容認してる以上、安倍再登板なんて公言できる話ではありません。
◆森本氏 
 でも安倍再登板は潰れたとはいえ、コロナの蔓延で菅さんの支持率は落ちていますよね。桜前夜祭だって「菅さんだって安倍内閣官房長官だから同罪じゃないか」と言う声もある。
◆山田氏
 だから僕は今後の動きによっては菅さんは短命に終わる可能性もあると思いますね。菅さんというのは結局、二階幹事長と麻生副総理・財務相が「石破さんや岸田さんよりは彼らにとってマシ」ということで担いだ神輿に過ぎないわけです。安倍政権官房長官を長く務めたとはいえ、菅さんは二階さんや麻生さんと違って、派閥のボスではない。だから二階さんや麻生さんが「菅は使えない」と思って菅おろし、ポスト菅擁立に動けば話は今後大きく変わってくるだろうと思います。その場合、誰を擁立するのかは現時点では分かりませんが。安倍再登板は潰れた、石破さんは避けたいとなれば、派閥ボスとしては岸田さんになりますけれども。果たして岸田さんを担ぐかどうか。官房長官だった菅さんをポスト安倍に担いだように、加藤官房長官を担ぐとかあえて派閥ボス以外から担ぐかもしれない。


国民民主党、憲法改正で論点整理 デジタル時代の人権 9条改正に2案 - 産経ニュース
 九条改憲容認で「第二自民党」という本性を日々露呈する玉木一派(国民民主党)です。「自民に加担するのか」と言う批判を恐れてか、必死に「サイバー上の人権」「デジタル時代の人権」などと「九条改憲以外の話も持ち出して」ごまかしに走ったところで「改憲しなくても法律で処理できる問題」なのだからごまかせる話ではない。
 しかも、その結果、自民党批判層は立憲民主、共産、社民、れいわを支持し、一方、自民支持層は自民、「自民の連立相手」公明や「自民の二軍」維新を支持するわけです。決して国民民主は支持されず、衰退の一途ですから全く愚劣です。


日本学術会議会員の男逮捕 下半身触る姿見せた疑い - 産経ニュース
 豊田理化学研究所研究員(元大阪大教授)に対してこのタイトルとは日本学術会議を敵視する産経らしい。心底呆れます。
 当たり前ですがその人物が性犯罪者かどうかなどと言うことは「逮捕でもされない限り」そう簡単に分かることではない。そして学術会議は研究業績で選んでるわけです。
 過去にも「セクハラの矢野暢(当時、京都大教授)」「痴漢行為の植草一秀(当時、早稲田大教授)」など「研究業績はそれなりに評価されていた性犯罪者」もいるわけです。「セクハラのもみ消し」のような問題があるのならともかく、そうでないなら「矢野や植草の個人的犯罪で大学が批判される理由はない」ように今回もこんな個人的犯罪で「学術会議や豊田理化学研究所が非難される理由」はない。


甲賀市役所でも赤旗無許可勧誘 3会派が調査要請 滋賀(1/2ページ) - 産経ニュース
 非常識な反共過ぎて絶句ですね。もちろん「押し売りだ」と言うなら話は別ですが、そこで「許可制だ」などというのは全く非常識です。
 まあ、「押し売り」など存在しないでしょうが。


元農水相に現金疑惑 贈収賄適用、焦点は? 業界に利益/大臣の権限 - 産経ニュース
 農水相在任中に、鶏卵業界の要望に応える施策を実施した上に、大臣室で鶏卵業者から「500万円の現金受領」とはどう見ても収賄の疑い濃厚でしょう。
 検察、野党、マスコミの追及を期待したい。そもそも自民党が独自調査を開始すべき話でもある。


【政界徒然草】公明国盗り物語 「政治不信」だけではない別の事情 - 産経ニュース

 公明党衆院広島3区に斉藤鉄夫*1副代表=衆院比例中国=の擁立を決めた。同区の現職である元法相、河井克行被告(自民党離党)による買収事件で政治不信が広がり、自民候補は支持できないというのがその理由だ。

 まあ酷い詭弁ですね。実際には衆院広島3区での溝手氏*2立候補による「溝手氏復権*3」の危険性(?)を阻止したいが『河井夫妻が起訴された今、さすがに河井案里のような党中央の指名による落下傘候補などもはやたてられない』『このままでは溝手が復権するかもすれないがそれは嫌だ』という「常軌を逸したアンチ溝手」安倍や菅の意向を背に「公明党小選挙区当選議員」を増やしたいだけでしょう。溝手氏と彼の親分・岸田氏も全く舐められたもんです。
 そもそも政治不信というなら公明党だっていい加減「あいつら信用できない」とまともな人間には見なされてるのですが。正直「いっそ衆院広島3区に与党候補は一人も立てなければいい」「つうことは今後、自民党議員が不祥事で議員辞職した場合は全部、公明党候補が擁立されるんですか?」などと皮肉を言いたくもなります。


【主張】北方領土の要塞化 共同経済活動を中止せよ - 産経ニュース
 「共同経済活動を中止すべきか」どうかはともかく、これでは「今のままでは島が戻ってこないこと」は確かでしょう。


【主張】「夫婦別姓」案 家族の意義考えぬ暴論だ - 産経ニュース

・夫婦同姓は、日本の伝統的な家族観に基づき、社会に広く受け入れられている。最高裁も合憲の判断を示している。制度を変える必要はない。
・旧姓使用*4のさらなる拡充などを検討するほうが現実的だ。
・夫婦同姓は、責任を共有し、子供を育てていく家族の一体感につながる。それを崩す道理はない。コロナ禍で家族が協力すべき場面は多い。児童虐待も絶えない。家族の絆こそ大切にするときだ。

て、「選択制なんだよ!。お前ら同姓がやりたい奴にまで別姓にしろって言ってねえんだよ!。『別姓家庭の「家族の絆」が心配だ』だと。手前、勝手に別姓だと絆がないと決めつけるな!。別姓家庭は、お前にそんな心配されるいわれはないわ!。じゃあ同姓家庭は皆、絆にあふれてるのかよ!。別姓家庭だとDVや児童虐待が多いとか何かまともなデータ出せるんだろうな?」「最高裁も『別姓にしなくても合憲』と言ってるだけで、別姓制度を導入してはダメだとは言ってない」「愛媛玉串料訴訟違憲判決とか都合の悪い最高裁判決は罵倒するくせにふざけるな」「何でそんなに旧姓使用にこだわるんだよ?」つう話ですがそれはさておき。
 今日の産経ニュースほか(2020年12月3日分) - bogus-simotukareのブログでも触れましたが「自民党内にも野田聖子*5など別姓支持派はいる」とはいえ

 政府の「男女共同参画基本計画」原案に、選択的夫婦別姓制度の推進派の意見を強く反映した記述があることが分かった。結婚した夫婦が同じ姓を名乗る現行制度について「少子化の一因」とするなど、極めて問題のある内容だ。

と言うのが驚きですね。産経も「何故、正式な閣議決定ではないとは言え、案文段階とは言え、菅政権でそんな案が!」と不愉快なのでしょう。
 ちなみにこの「男女共同参画基本計画」はマスコミ報道に寄れば「12月中旬閣議決定予定」なので、予定通り決定されると仮定すれば、12月中旬を「来週末12月18日頃まで」と考えるとあと2週間程度しかない。
 産経としては「2週間の間に自民党内外の別姓反対派ウヨの運動で、この記述を潰す」という構えなのでしょうが、「俺の願望込み」ですが、そう上手くいくかどうか。当然ながら「2週間で閣議決定」ということは、「大まかな案の内容」については既に担当大臣(橋本聖子男女共同参画・女性活躍担当相)や首相の了解を得ているとみるべきでしょう。つまり「2週間後にほぼ原案通り決定」が既定方針になっている。それで今更菅も「反対意見があるから修正(あるいは削除)します」だの言いづらいでしょう。そもそも菅だってこうしたウヨの反発があり得ることぐらいわかってるでしょうし。
 しかも党内には野田聖子のような夫婦別姓賛成派もいる。
 結局「夫婦別姓に好意的な記述は確かにあるが、菅政権において実施するとは書いてない」と菅に産経らウヨが懐柔されて「まあ仕方ないな、菅の面子も潰せないわな。わしら自民党支持者だし」「菅がコロナで困ってるときに余りきついことをいうのも控えよう」「別姓導入を菅が言い出したときに反対すればいい」で終わるのが落ちでしょう。なお、この原案、確かに「別姓に好意的な記述」ではあるようですが、産経曰く

【主張】「夫婦別姓」案 家族の意義考えぬ暴論だ - 産経ニュース
・原案では選択的夫婦別姓制度に関する記述で「婚姻前の氏(姓)を引き続き使えないことが婚姻後の生活の支障となっているとの声もある」「国際社会で夫婦の同氏を法律で義務付けている国は、日本以外に見当たらない」などとしている。
・「実家の姓が絶えることを心配して結婚に踏み切れず少子化の一因になっている」と言う。

程度の記述に過ぎないようで「別姓派にとってはグッドニュース」とはいえ「導入が決まったわけではない」。
 仮に原案通り、計画が決定しても、産経ら反対派が「別姓制度導入阻止」を続けるのは確実であり、別姓賛成派の闘いは「別姓導入が正式決定される」までは残念ながら続きます。


【正論1月号】政界なんだかなあ 社民党分裂に思う 産経新聞論説委員・政治部編集委員 阿比留瑠比(1/3ページ) - 産経ニュース
 むしろ裁判所お墨付きのデマ記者(辻元清美議員、小西洋之議員が起こした名誉毀損訴訟に二度も敗訴)の阿比留が懲戒処分も受けずに論説委員編集委員に出世してる産経の方が「新聞業界なんだかなあ」「日本新聞協会も産経なんか除名したら?」ですが、それはさておき。

 国会議員四人のうち福島瑞穂党首を除く三人が離党する見通しとなり、希望する党員・地方組織の立憲民主党への合流が決まった十一月十四日の臨時党大会は、大荒れだった。
 中でも、照屋寛徳衆院議員による福島氏批判は、いかにも左翼の内ゲバ*6らしく興味深い。照屋氏は福島氏について罵倒した。
「あなたが二〇〇三年(平成十五年)に党首になって十年間で、全国の社会党社民党の党員、先輩方が築いた遺産をすべて食いつぶした。そういう自覚はないのか」
 社民党の没落は福島氏のせいだということだろうが、果たしてそうだろうか。福島氏をかばう気などさらさらないが、社民党が存在感をなくし、無用な存在と化したのは時代の必然ではなかったか。

 で阿比留による社民党への悪口雑言(『北朝鮮拉致問題ガー』云々)ですが、見るに堪えないので引用は省略します。
 ただし『社民党北朝鮮との友好関係』は「阿比留が言うほど衰退原因として大きな物」とは俺は思いません*7が、そう言う要素もないわけではないでしょう。
 「立民への大量移籍」で存亡の危機にある社民党と違い、党が「そこまで酷い状態ではない」共産党はこの点、梶山*8国家公安委員長、宇野*9外相の『北朝鮮拉致疑惑発言』を引き出した『拉致問題での橋本敦質問』でわかるようにかなり早い段階から北朝鮮にはかなり批判的でした。
 さて社民党が没落したのは「福島氏のせいだけか」と言えば阿比留が言うようにそんなことはありませんね。
 まず第一に社民党は「福島氏が党首に就任する前から」没落していました。一方、「社民党の支持層を奪う形で」民主党社民党のかなりの部分が移籍し、連合が支援)と共産党が躍進し、民主党は最大野党にまで成り上がるわけです。
 共産党の1990年代は

今日の産経ニュース(2020年10月6日分) - bogus-simotukareのブログ
【1996年】
6月:
 吉田万三氏が足立区長選挙に勝利(任期途中に足立区議会の不信任決議が通り、出直し選挙で残念ながら、敗北する1999年まで務める)
7月:
 矢野裕氏が狛江市長選に勝利(以降、2012年まで4期16年務める)
10月20日
 衆院選共産党が改選前15議席から改選後26議席に躍進
【1997年】
7月6日:
 都議選で共産党民主党公明党議席を上回り自民党に次ぐ第二政党となったいわゆる「共産党都議選ショック」
【1998年】
7月12日:
参院選共産党が改選前8議席(改選対象議席)から改選後15議席に躍進(非改選も含めればトータルで23議席
 なお、この選挙では自民党が予想以上に議席を減らし橋本*10首相が退陣に追い込まれた
長尾淳三氏が東大阪市長選に勝利(2002年まで1期4年務める)

ということで「過大評価は禁物ですが」没落する社民党とは全く逆に躍進していたわけです。
 むしろ「没落する社民党」を立て直すために市民活動家としてそれなりに著名な福島氏が抜擢されたというのが事実です。
 第二に

今日の産経ニュースほか(2020年11月13、14日分) - bogus-simotukareのブログ
 照屋氏の「福島氏に対する無礼な物言い」には「何様だ、手前!」と怒りを禁じ得ませんね。照屋氏も社民党幹部(国対委員長、副党首など歴任)であり「先輩の遺産」とやらを「食い潰した一人」ではないのか。
 自分を棚上げして福島氏に悪口とはどういう神経なのか。大体、土井たか子社民党党首時代から社民党は衰退傾向であり、福島氏の個人的責任を問うのは酷というものでしょう。土井氏ら「福島氏の先輩たち」の「負の遺産」を福島氏が何とか克服しようとしたが力及ばなかったという話であり、「福島氏の先輩たち」を照屋氏のようにただただ美化するのは事実に反しているでしょう。
 むしろ土井氏から社民党党首を引き継いだ福島氏に感謝すべきではないのか。
 「市民派弁護士として著名な福島氏」まで社民党を去っていたら、とっくの昔に「福島氏に代わる看板が居ない」社民党は「もっと衰退していた」でしょう。
 だからこそ「社民党が選挙に敗退し、福島氏が党首を引責辞任しても」、代わりの党首が出てこず、福島氏が「党首を再登板」することになったわけです。
 従って「社民党を離党して民主党に移った辻元氏(元社民党国対委員長)」などに比べたら「現在まで社民党に残留した福島氏」に対しては俺だったら「感謝の念」しかないですけどね。
 そして俺が照屋氏の立場なら、福島氏に悪口する前に「こんな事態を回避できなかった社民党メンバーである自分の無力さ」に慚愧の念しかないですが。

[B! 社民党] 「遺産食いつぶした」 照屋氏が福島氏を面罵―社民:時事ドットコム
 勿論酷いのは照屋/むしろ「野党時代に反対」の「長良川河口堰稼働」に賛成など「公約違反連続の自社さ政権での社民への失望で支持者減少」をいくらかでも建て直したのが福島じゃねえの?。事実認識が完全に歪んでる

と以前、小生も書きましたが、むしろ福島氏のおかげで没落が『今の程度にとどまってる』という面は明らかにあるでしょう。福島氏が辻元氏(立民に移籍)や保坂氏(世田谷区長に転身)のように社民党を去っていたらと思うと社民党支持者なら福島氏には感謝の念しかないでしょう。
 そうした福島氏に過大に依存する状況は1)福島氏に去られたらどうするのか(病気による退任なども含む)、2)福島氏が過ちを犯したり、専制的な党運営をしたりしても批判しにくい*11と言う意味でもちろんよいものではありませんが。
 それにしても「社民党を見すてることが出来ない」福島氏もある意味「善人」なのでしょう。彼女は「社民党を去った辻元氏(元社民党国対委員長。現在は立憲民主党に移籍)や保坂氏(世田谷区長に転身)」「これから去る気らしい吉田氏(現在、幹事長。元党首)」などと違い、福島氏の社民党幹部としての活動を要望する声が党内に一定程度ある限り、「福島は社民党を見すてた」という批判を受けることが我慢ならないのでしょう。
 正直、「福島氏が退任しても問題ない」という党内の空気(そうした認識が妥当かどうかはともかく)なら彼女はいつでも社民党幹部を退任するんじゃないかと思いますね。
 では何故、社民党は衰退し、党の存続まで危ぶまれる一方、「過大評価は禁物」ですが、共産党は今も存続し、一定の支持を得ているのか。
 それについては以前書いた文章をいくつかあげておきます。

社会党が衰退したわけ(五十嵐仁「政党政治と労働組合運動」(御茶の水書房)から) - bogus-simotukareのブログ
 「社会党(現:社民党)が国会の議席を大幅に減らし、ついに共産に敗北したのは(政策の是非や、ソ連崩壊による左翼のイメージダウン*12等もあるかもしれないが)共産と違って自分の手足がないこと、及び、労組(総評→連合)が最大の支持基盤だったことである」*13*14
社会党は政策が左だから衰退した、構造改革派や江田派の党内における政治的敗北が大きかったと考えると、社会党より左の共産が一定の勢力を今も保有していること、及び社会党より右の民社党*15社民連社会党党内抗争に敗れた江田三郎が離党して結党)が消滅したこと(民主党内の派閥として存在するが)が説明できなくなる」*16*17
社会党が労組を自分の手足として利用していたため、労組のパワーダウン(加入率低下)は社会党のパワーダウンに直結した。また、筋の通らないことでも労組が要求すれば、社会党はそれを飲まざるを得なかった(それは労組以外の社会党支持者(市民運動等)の離反を時に招いた)。*18そして、労組が小沢一郎菅直人鳩山由紀夫など非社会党政治家に期待するようになると、社会党は分裂しついに消滅した」
「共産が自分の手足作りに一定の成功をおさめたことは、もっと評価されてしかるべきである」*19

 なお、上記の文では

【12/27追記】この文章を最初書いたとき、保坂は議員だったのだが残念ながら、その後の選挙で落選している。もちろん再起を期しているわけだが。

と書きましたがその後保坂氏は世田谷区長に転身しました。

今日の産経ニュースほか(2020年11月13、14日分) - bogus-simotukareのブログ
 こうした社民党の分裂劇には複雑な思いを禁じ得ませんが、もはや「ここに至っては残念ながらどうしようもない」のでしょう。
 やはり
1)労組(総評と同盟が合同して出来た連合)が「新党さきがけの一部(さきがけの鳩山由紀夫*20菅直人*21らが結党。代表の武村正義*22、代表代行の田中秀征*23らは鳩山等に民主党入党を拒否された)」と「社民党の一部(社民党党首の村山富市*24などは民主党入党を拒否された)」が結党した民主党支持に鞍替えし、そのダメージを克服できなかったこと
2)(1)とも関連しますが)辻元氏ら多数の「社民党議員の離党→民主党入党」を阻止できなかったことによるダメージ
3)自社さ連立政権で社会党社民党)の公約違反(例えば野党時代に反対していたはずの長良川河口堰稼働を、村山内閣の野坂浩賢*25建設相(社会党出身)が容認)で、社民党に失望した左派のかなりの部分が共産党支持に移行したことによるダメージ
が大きかったのでしょう。どれ一つとっても福島氏個人の責任ではない。例えば、1)についていえば、「日本社会党時代」から労組に代わる支持基盤を形成すべきでした。それをしようとしたのが「辻元清美」「福島瑞穂」「保坂展人」といった「非労組系の市民活動家」を登用した土井たか子ですが、成果はあまり上がらず、あげく、辻元氏は民主党議員、保坂氏は世田谷区長として、社民党を去ります。去った人間は「照屋氏のようなアホ」にうんざりしたのでしょう。一方、福島氏はそれでも「あえて社民党に残った」と。
 しかしその照屋氏自身は「自分のアホさを認める気は無い」ようで心底怒りを禁じ得ません。
 なお、個人的にはこの機会に福島氏が「自社さ連立での公約違反に反発して社民党を離党したグループ」による「新社会党」との和解(そして新社会党との合同)を出来ない物かと思います(なお、新社会党結党について、結党者たちを非難はしませんが、客観的な意味で言えば新社会党結党も当然、社会党の党勢を衰退させました。社会党から離反者が出たわけですから)。
 地方議員は出せても国会議員を出せない新社会党との合同はそれ自体は「社民党の党勢を大きく拡大するものではない」でしょうが、「自社さ連立での公約違反に反発して、社民党支持を辞めた層(かなりの部分が共産党支持?)」には一定のアピールになるでしょう。立憲民主とは合同しないというならそのくらいの思い切ったことをしないといけないのではないか。

*1:福田、麻生内閣環境相公明党政調会長、幹事長などを経て副代表

*2:元々は彼は参院議員ですが

*3:もちろん現時点では「そうなる可能性がある」というだけに過ぎませんが

*4:丸川珠代参院議員(大塚拓自民党衆院議員の妻で戸籍上は大塚姓)などが自民党議員にいるので産経や自民ウヨ議員もいわゆる「旧姓使用」は否定しません。

*5:小渕内閣郵政相、福田、麻生内閣消費者問題等担当相、自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)、第四次安倍内閣総務相など歴任

*6:別にこれは「批判の是非」はともかく内ゲバとは言えないでしょう。そして「つくる会教科書検定不合格事件(明らかに八木秀次日本教育再生機構育鵬社が黒幕)」を引き起こした「つくる会の内紛」が典型的ですが右翼も内ゲバをしてるのによくもこんなことがいえたもんです。あるいは右翼呼ばわりは不当かもしれませんが、自民党だって「四十日抗争」「加藤の乱」のような内紛はありました。

*7:と言うか阿比留も北朝鮮拉致をネタに社民党に悪口したいだけで本心はそんなことは思ってないでしょうが

*8:竹下内閣自治相・国家公安委員長、宇野内閣通産相、海部内閣法相、自民党幹事長(宮沢総裁時代)、橋本内閣官房長官など歴任

*9:田中内閣防衛庁長官自民党国対委員長(三木総裁時代)、福田内閣科学技術庁長官、大平内閣行政管理庁長官、中曽根内閣通産相、竹下内閣外相などを経て首相

*10:大平内閣厚生相、中曽根内閣運輸相、自民党幹事長(宇野総裁時代)、海部内閣蔵相、自民党政調会長(河野総裁時代)、村山内閣通産相などを経て首相

*11:過ちはともかく、「専制的な党運営」を過去においてしてないと思うし、今後もしないとは思いますが

*12:印象論に過ぎないがソ連崩壊のダメージは共産の方が社会党より小さかったのではないかと思う。共産はかなりソ連に批判的だったのに対し社会党はそうでもなかった気がするのだが?。

*13:なお、労組依存の問題点については、社会党においてもある程度認識はされていた。書記長の成田知巳は社会新報紙上で「大衆運動のよわさ」「議員党的体質」「労組依存」の3点(これを俗に「成田三原則」と呼ぶ)を社会党の問題点として指摘したことがあるからである。また、土井たか子市民運動出身者(現在も社民党議員の福島瑞穂辻元清美保坂展人など。彼らは俗に「土井チルドレン」と呼ばれる。【12/27追記】この文章を最初書いたとき、保坂は議員だったのだが残念ながら、その後の選挙で落選している。もちろん再起を期しているわけだが。)を重用したのも労組依存への危機感があったからだろう。

*14:五十嵐氏によれば労組依存を問題視するこうした考えは、田口富久治、奥田八二、太田薫の主張(田口「日本社会党論」(新日本新書)、奥田・太田「労働組合社会主義政党」(日本評論社))にヒントを得たものであるという。

*15:社民連はともかく民社党は「社会党より右」どころか「自民党より右」の気もするが。日本版ウィキペディアも「CIAから金をもらっていた」「韓国・朴正煕政権やスペイン・フランコ政権、チリ・ピノチェト政権など、反共で一致すれば、軍事独裁政権も支持した」「塚本三郎大内啓伍は、委員長時代に『民社党』の党名から社会主義を意味する「社」の部分を外し、「民主党」に改称しようとした」「米沢隆は「民社の『社』は社会主義ではなく会社の『社』」と主張した」など、社会党右派がルーツの社民主義政党とは思えないすばらしい記述にあふれている(笑い)。

*16:向坂逸郎らの社会主義協会新社会党のルーツの一つ?)の存在や、文革に当初好意的な態度を取ったこと(共産はかなり早い段階で批判)、大韓航空機爆破事件での態度(共産の方が社会党よりも早い段階で北朝鮮の犯行と断定し、非難した)、原発に対する態度(社会党の方が原発に否定的だったと思う。少なくとも、今の社民と共産では、社民の方が否定的だろう)などを考えると、共産の方が社会党より常に左と言えるか微妙な気もする。

*17:なお五十嵐氏によれば「左だから衰退した」と主張する有力な論者として安東仁兵衛、石川真澄がいるという。こうした説に対しては五十嵐氏の批判以前に既に渡辺治新川敏光が批判を加えているという。

*18:また、「総評/連合」が社会党への内政干渉を何ら問題と思ってなかったことも重要である。一方、共産を支持する組合(全労連など)は、少なくとも建前では、「総評/連合」の社会党への政策押しつけを批判しており、「総評/連合」ほど公然と労組方針を押しつけることはしたくてもできなかった。

*19:もちろん五十嵐氏は共産に問題がないと言っているわけではない。多くの左派の学者、ジャーナリストが不当に社会党に甘く、共産党に辛いのではないかと言っているのである。また五十嵐氏は共産党のいわゆる自主独立路線を「ソ連崩壊の影響を最小限に食い止めることが出来た」として一定の評価をしている。

*20:細川内閣官房副長官新党さきがけ代表幹事、民主党幹事長、首相など歴任

*21:社民連副代表、新党さきがけ政調会長、橋本内閣厚生相、鳩山内閣副総理・財務相、首相など歴任。現在、立憲民主党最高顧問

*22:八日市市長、滋賀県知事を経て衆院議員。新党さきがけ代表、細川内閣官房長官、村山内閣蔵相などを歴任

*23:橋本内閣で経済企画庁長官

*24:社会党国対委員長、委員長、首相、社民党党首など歴任

*25:日本社会党国対委員長、村山内閣建設相、官房長官社民党副党首など歴任(野坂浩賢 - Wikipedia参照)