黒坂真に突っ込む(2021年4月23日分)

◆黒坂のツイート

黒坂真
 吉岡正史さん。日本共産党中国共産党朝鮮労働党覇権主義と批判するが、中朝の軍事的脅威は決して認めない。日本共産党中国共産党朝鮮労働党を大局的には平和勢力とみなす。

 そりゃ「尖閣侵攻、台湾侵攻(中国)」「韓国侵攻(北朝鮮)」と言う意味で軍事的脅威かといったら、そんなことはありませんからねえ。「在日、在韓米軍の反撃」「国際的非難(経済制裁)」などのリスクを冒してまで、そんなことをするメリットがない。北朝鮮に至ってはメリット以前にそんな国力があるかどうか。そうした認識は「中国、北朝鮮を平和勢力扱いしている」と言う話ではない。
 大体、北朝鮮はともかく、中国について言えば「コロナの蔓延」で延期されてるとは言え、「習主席の訪日」を計画した菅政権はそんな認識には明らかに立ってないでしょう。黒坂は「中国の軍事侵攻」云々というなら菅政権の「習主席訪日計画」を批判したらどうなのか。
 しかもそうした「虚構の脅威」を理由に「九条改憲」「集団的自衛権行使」「軍拡」などを主張する動きを共産党が批判するのはある意味当たり前のことです。
 むしろ俺的には「北朝鮮の核開発」「中国のウイグルチベット問題」などを批判するにおいて「覇権主義」などという「対外侵略を連想させる表現」を日本共産党は辞めた方が良いのではないかすら思いますね。

黒坂真リツイート
 日本共産党本部の皆さん。中国共産党尖閣諸島を攻撃し領有しうる。志位さんは尖閣や台湾に侵攻する人民解放軍と話し合いますか。共産党は宣伝。
志位和夫
21日参院本会議
共産・井上哲士*1議員「日米共同声明には、中国の覇権主義を象徴する海警法に言及がありません。日米間で同法の国際法違反*2についてどのように議論したのですか」
首相「(答弁せず)同法も念頭において、力による現状変更に…」
念頭云々でなく、違法性の議論を(ボーガス注:日米首脳会談で)したのか否かを聞いたのです。

 黒坂のリツイートが志位氏のツイートとまるでかみ合ってないのはいつもながら呆れます。菅をかばいたいなら「首相の答弁に問題は無い」と言えば良いだけの話なのに。まあ、どう見ても菅は「中国の反発を恐れて、井上質問から逃げてる」し、そうした答弁を「アンチ中国のウヨ」黒坂としてはいかに自民支持者とは言え、正面から擁護が出来ないのでしょうが。しかしそれでも日本共産党に因縁を付けようとするのだから呆れたバカです。

黒坂真
 石川康*3先生。中国共産党は台湾統一とやらのため、尖閣を攻撃、領有して人民解放軍の基地を作る可能性があります。

 石川氏が何を言ってるかと言えば1)台湾有事を理由に日本が集団的自衛権を発動することには反対、2)尖閣有事を理由とした軍拡に反対、です。それに対する黒坂の「反論」がこれです。言ってることが無茶苦茶すぎて吹き出しました。中国の尖閣侵攻理由として「尖閣周辺に埋蔵されてるかもしれない石油の獲得」云々ならまだしも「台湾侵攻のための軍事基地設置」なんて与太を俺が聞いたのは今回の黒坂のツイートが初めてです。
 そもそも「蔡英文政権が独立宣言しない限り」、「台湾侵攻」の可能性自体が低いのですが、かりに「その可能性がある」としても「尖閣にそのための軍事基地をつくる」というのは与太でしかない。
 なぜなら「尖閣」は「台湾対岸にある福建省(実際に1950年代においては福建省の基地から台湾への攻撃がされた)」などに比べて、台湾に近いわけでは無く、尖閣に軍事基地などつくっても「台湾侵攻には役立たず」全く意味がないからです。少なくとも「尖閣よりは福建省に軍事基地をつくった方」が台湾侵攻という意味では有益です。
 しかも福建省が「中国の領土」なのでそこに軍事基地をつくってもそれ自体は法的問題が生じないのに対し、尖閣に軍事基地なんかつくったら「日本の自衛隊と戦争になりかねず」あまりにもリスキーです。そんな馬鹿なことはするわけがない。

*1:日本共産党参院幹事長。日本共産党幹部会委員

*2:というのはあくまでも日本共産党の見解であり、中国は「国際法違反ではない」としていることをお断りしておきます。

*3:神戸女学院大学教授。全国革新懇代表世話人。『現代を探究する経済学』(2004年、新日本出版社)、『いまこそ、憲法どおりの日本をつくろう! 政治を変えるのは、あなたです。』(2007年、日本機関紙出版センター)、『覇権なき世界を求めて』(2008年、新日本出版社)、『人間の復興か、資本の論理か:3・11後の日本』(2011年、自治体研究社)、『マルクスのかじり方』(2011年、新日本出版社)、『橋下「日本維新の会」がやりたいこと:何のための国政進出?』(2012年、新日本出版社)、『若者よ、マルクスを読もう』(共著、2013年、角川ソフィア文庫)、『「おこぼれ経済」という神話』(2014年、新日本出版社)、『社会のしくみのかじり方』(2015年、新日本出版社) など。個人サイトはげしく学び はげしく遊ぶ-石川康宏研究室石川康宏 - Wikipedia参照)